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書き換え可能な「eSIM」、組み込み型SIMカードがウェアラブルデバイスやスマホを変えていくか:山根博士の海外スマホよもやま話

山根博士(Yasuhiro Yamane), @hkyamane
2015年12月21日, 午前06:30 in Apple Sim
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1枚のSIMがiPadの設定画面からauやアメリカキャリアのSIMに変身する『Apple SIM』の登場など、SIMカードをめぐる話題が最近少しずつ増えている。その中でも日本でも発売となったサムスンのスマートウォッチ『Galaxy Gear S2』の韓国版やアメリカ版には、SIMカードを利用せずに通信機能を搭載した3G対応モデルが存在する。

この内蔵SIMカードはeSIM(embedded SIM、組み込み型SIM)と呼ばれ、業務用(M2M)の機器、例えばスマートメーターなどでの採用も広がっている。

Gallery: eSIM | 4 Photos

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​今回Gear S2搭載のeSIMは、大手スマートフォンメーカーによるコンシューマー向け製品としては最初ともいえる製品だ。今後このeSIMの採用は他のコンシューマー製品にも広がっていくのだろうか。eSIMの今後の動きや課題について、Gear S2にeSIMソリューションを提供したジェムアルト(Gemalto)の日本・南アジア・オセアニア地域マーケティング部長、西健治氏に伺った。

まずSIMカードを組み込み型にすることで、どのようなメリットがあるのだろうか。SIMカードの抜き差しが不要になることからデバイスサイズを小型化できるし、ユーザーはキャリアとの契約を変えるときにSIMカードの抜き差しも不要になる。だがeSIMのメリットは物理的な面だけではない。

西氏:「ここ数年、キャリアのビジネスは国内だけではなくグローバルへ広がっています。IoT機器の登場などで、通信回線を内蔵した端末の利用シーンは国を超えるようになりました。従来のSIMカードに加入者情報をひとつひとつ対応させていたのでは、そのようなグローバル展開には対応ができなくなります。通信モジュールはひとつでも、それに対して利用者のプロファイルをソフトウェアで書き換えスイッチしていく、eSIMならばそれが可能になるのです」

ジェムアルト マーケティング部長 西健治氏


例えばM2M分野ではコンテナに入れた通信モジュールにeSIMを搭載し、港に到着するとその国のキャリアのプロファイルが書き込まれ、そのキャリアのSIMカードとして利用できるソリューションも採用が始まりつつある。やはりM2M用途からeSIMは広がっていくのか。

「まずは大口案件で、各国の個別のキャリアとの契約が必要なグローバルビジネスを行っていく企業向けのソリューションからeSIMの普及は進んでいくでしょう。しかし今回のサムスン Gear S2のようなコンシューマー向け製品へのeSIMの搭載もこれから進んでいくと思われますウェアラブルやIoT機器の関連企業の間でもeSIMに興味を持っているところが増えています」

サムスン Gear S2の3G版にはジェムアルトのeSIMソリューションを搭載

そうなるとスマートフォンへの採用も期待が持てる。eSIMを導入する側のキャリアの動きも気になるところだ。キャリアとしては全てをeSIMに置き換えていくことも考えられる。

「eSIMが端末に搭載されるようになると、例えば今までWi-FiやBluetoothでつながっていた機器が今後は3Gや4G回線を利用できるようになります。するとキャリアは回線を提供できることになるわけです。1人複数回線契約も当たり前になるでしょう。そうなる今までとは異なる料金プランの提供など、新たなビジネスチャンスが生まれます。

一方でキャリアと顧客は現在、SIMカードを使って契約を結びつけています。物理的なSIMカードの廃止は、端末にSIMを入れるという現状のビジネスモデルの変革が必要になります。そのためまずはウェアラブルデバイスなど、小さなところからeSIM化を進めるという動きが起こるかもしれません。とはいえeSIMはキャリアにとって大きな可能性も秘めています。

現状のSIMカードはアプリケーションを書き込めますが容量の制限があります。これがeSIMになればより大きいアプリケーションを動かすことも可能になり、キャリア側が新たなサービスを展開する可能性も開けるのです。そのためeSIMの"プロファイル書き換えが可能な機能"を使いつつ、現状の物理的なSIMカードと組み合わせて利用する、といった展開も考えられるでしょう」

これはM2M向けのeSIMソリューションの例。3つの国のキャリアプロファイルを書き換えできる


つまり世の中の流れはeSIMに向かうだろうが、すぐに切り替えるにはシステムの投資はもちろん、現在のSIMカードによるビジネスモデルの変革も必要となるというわけだ。

Apple SIMのプロファイル書き換えはeSIMの概念と類似するものだが、確かに画面から使うキャリアを変えらえれるとういう操作はユーザーとキャリアのつながり方を大きく変えるものになる。eSIMの導入にはキャリアの提供する契約形態や料金プラン、ユーザーの獲得や引き留め方法などを今までとは全く異なるものにする必要がありそうだ。

ところでサムスン Gear S2に採用されているeSIMは、すでに業界で規格が標準化されたものなのだろうか。今後も同じ規格で他の機器への展開拡大が見込まれるのだろうか?

「eSIMの規格は現在GSMA(GSM Association、携帯電話キャリアや関連企業の業界団体)で標準化を進めており、技術仕様書も間もなく出てくる予定です。この標準化には弊社も参画しています。Gear S2などに採用されたeSIMは弊社開発の技術を搭載していますが、標準化を見越した設計となっているため将来バージョンアップで対応できるようにしています」

今後eSIMの仕様が標準化されればIoT機器を中心に搭載する機器が増えていくだろう。ユーザー側もSIMの抜き差しが不要、キャリア側は自由にプロファイルを書き換えできるなど利便性は今まで以上に高まる。だがeSIMにすることで問題や懸念も発生する。それはセキュリティーだ

「例えば自動運転の車がハッキングされる、といった懸念の声が聞かれます。コネクテッドカーは携帯電話回線を通じて常にネット接続されるため、今まで以上にセキュリティー対策が必要となるのです。車に限らず、たとえばオフィスのプリンターがハックされる可能性もあるわけです。家に設置する据え置き型の電話機が盗聴される危険もあります。eSIMが搭載される機器すべてに、セキュリティー対策が必要なのです」

「eSIMはセキュリティー対策が重要」と話す

「すなわちeSIMの商用化のためには、安全性を強固なものにするためにeSIMとは別にセキュリティーエレメントも搭載する必要があるのです。このセキュリティーエレメントへは外部のサーバーから必要な時だけ鍵やサービスプロファイルを発行し、それを受信することで鍵を開いたり新しいサービスを追加できるようになります。

例えば勝手な通信を防ぐこともできますし個人認証を行い交通系の非接触ICカードへの応用も出来ます。会社で作成した文章を自分だけが開けるようにする、といった身近なセキュリティー管理も可能です。弊社はSIMカードやクレジットカードのリモート管理、セキュリティー管理などに長年の実績を持っています。それらの技術を持っているためeSIM単体だけではなくセキュリティーも含めた総合的なソリューションを提供しています。
いずれeSIMにはそのセキュアエレメントも組み込まれ、ワンチップになっていくでしょう。その結果モジュールの小型化が進み、これまで搭載できないような機器への組み込みも可能になります。スマートウォッチも今はまだほとんどの製品がBluetooth接続ですが、直接インターネットへつながれば便利になりより多くのユーザーが使うようになるでしょう。そうなるとセキュリティー対策は今以上に重要なものになります。弊社のソリューションがそこで強みを発揮するのです」

eSIMの利便性に加え、セキュアエレメントも組み込まれるようになれば身の回りの製品への組み込みが加速する、というわけだ。とはいえ鳴り物入りで登場したApple Watchも普及が期待されたほどではないという意見もある。eSIMを内蔵したウェアラブルデバイスは今後様々なものが出てくるだろうが、実際に購入して使うユーザーは増えるのか。

英国ラグビークラブのサラセンズはプリペイド式リストバンドを導入しスタジアム内で非接触決済ができる
「ひとつの取り組みとして、ウェアラブルデバイスで支払いをする体験を提供する取組みも行われています。イギリスのスタジアムでは、弊社のリストバンド型端末を来場者に提供して売店などでキャッシュレスで簡単に支払いができるようにしています。他にも中国の武漢市では交通系ICカード代わりのリストバンド端末の提供も行われています。またスマートウォッチが単体で電話やネットアクセスを機能を備えれば、利用頻度が上がりそれ以外の機能も求める声が高まります。そうなれば決済機能の搭載も進むでしょう」

eSIMの標準化やモジュールの小型化により、身の回りのあらゆる機器が直接インターネットに繋がるようになっていく。それに加えて高いセキュリティー対策を備えていることから、全く新しいサービスが生まれる可能性も秘めている。eSIMの今後の動向は大いに期待できるものになるだろう。


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