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電動アシスト搭載ロードバイクのヤマハ『YPJ-R』をサイクルメカニックが徹底解剖!

Engadget JP Staff, @engadgetjp
2016年3月4日, 午前11:30
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去る2015年12月、ヤマハ発動機が持つ電動アシストの技術を駆使し、スポーツバイク向けに特化したアシスト機能を搭載した『YPJ-R』がリリースされました。これまでスポーツやトレーニングとしての位置づけであったロードバイクの中に新たなジャンルを投じると同時に、新しいターゲット層を呼び込む狙いのようです。
(この記事はサイクルメカニックの石橋徹也氏に寄稿いただきました)



YPJが従来の電動アシスト自転車と大きく異なる点は、電動アシストとロードバイク双方の乗り味というものを両立させている点です。

従来の電動アシスト自転車はいわゆるママチャリタイプがメインであり、自力でこぐというよりは、アシストに頼るところが非常に多く、ひとたびバッテリーが消耗してしまうと、漕ぐものままならないくらいの重さがデメリットでした。

しかし、このYPJ-Rはロードバイクの快適さ、スピード感、軽さをもっと簡単に体感できるようアシスト機能を加えたとモデルであり、根本的に従来の電動アシスト自転車とコンセプトが異なります。つまりロードバイクという乗り物を肩肘張らずに誰でも楽しめるように門戸を広げたということです。

YAMAHA担当者いわく、「私たちはすでにロードバイクを楽しんでいる方に対して、YPJ-Rを提案しているわけではありません。彼ら、彼女らはすでにロードバイクの楽しさを理解されているからです。私たちが乗ってほしいと思っている方たちは、ロードバイクに興味はあるが、乗りこなす自信がない人たちをはじめ、トレーニングではなく、純粋に走る楽しさや、より楽にロードバイクの快適な部分を感じたい方にお勧めしたいのです」

では、機能とその乗り心地というのを解説していきましょう。



ヤマハ製の電動アシストシリーズの中ではもちろん最軽量の15kgの車体重量を実現。従来のYAMAHAの電動自転車PASシリーズの重さが25kg前後ということを考えると、相当な軽量化を実現させたことになります。

フレームはアルミ製で、これはアシスト機能と価格のバランスを考慮した上の選択です。

フレームのジオメトリー(寸法)はロードバイクとほとんど変わらず、アシストユニットを搭載する部分は強度を設けるため形状は異なるが、そのほかはロードバイクと遜色はありません。



ギアシステムやブレーキなどの総称を表すコンポネントはシマノ105を採用。シマノ105とはロードバイクのコンポネントの中でも中級者向けのグレードでフロントギアが2段、リアのギアが11段の最大で22段ものギアを使用できる十分な構成。これにアシストが付くことを考えると誰もがポテンシャルの高さを期待してしまうでしょう。

シマノ105のブレーキに関しても制動力、コントロール性両面で非常に評価が高い。そういう意味で、現在ロードバイクを楽しんでいるユーザーは、このシマノ105コンポネントを使用している人が一番多いかもしれません。

ホイールシステムも電動アシストだからといって専用のものではなく、700×23Cのタイヤを使用できるごくノーマルなロードホイールです。



ヤマハ発動機の腕の見せ所はもちろんここ。アシストユニットはいわばこの自転車の心臓部です。このアシストユニットは現在欧米で活発なE-bikeなどのスポーツ系電動アシストバイクに採用され好評を得ている「PWシリーズ」という小型のユニット採用。もちろん従来の電動アシスト車のユニットよりも軽量に仕上がっています。

バッテリーも小型化されますが、当然、アシスト可能な走行距離も短くなってしまいます。そのバランスを保つため、YPJには走行距離48kmまで走れる「エコモード」が用意されています。同社の大容量バッテリーアシスト自転車『PAS ナチュラL』の走行距離53kmに迫る性能を持ってる点は特筆すべきところでしょう。

YPJの意図は大容量のバッテリーよりも軽量化を選ぶことで、ロードバイクの快適な乗り味を再現し、アシストはそれをサポートするためにあるということなのです。



アシストユニットを操るのが、ハンドル中心部にある液晶マルチファンクションディスプレーとスイッチユニット。モードは常時表示と切替表示が設けてあります。

(常時表示)
・速度
・時計
・1分間当たりのペダルの回転数(ケイデンス)HIGHモード、STDモード、ECOモードの3つのアシストモード

(切替表示)
・平均速度
・最大速度
・トリップメーター
・オドメーター
・残りアシスト走行可能距離
・消費カロリー
・ぺダリングパワー
・バッテリー残量メーター

以上がわかりやすく表示されます。

3モードあるアシストの最大走行距離(一充電当たりの走行距離)は
HIGHモード...14km
STDモード...22km
ECOモード...48km
となっています。

電動アシスト車は常に同じパワーをライダーに供給しているわけではなく、走行中の速度によりアシストのパワーバランスが変化していることはご存知でしょうか。

巡航速度までの一連の流れで説明すると、時速0kmから10km未満まで比例補助というアシストが一番強く働く速度域です。それ以上の速度が出ると逓減補助といい、人間がぺダリングに慣れてきたと同時にアシストパワーも徐々に抑えられていく仕組みとなっています。そして巡航状態に入り、時速24kmに到達した時点で、リミッターが働きアシスト機能が解除され、従来のロードバイクのような"スポーツバイク"に変化するのです。



スイッチユニットの右側面にはマイクロBタイプのUSBポートがあり、スマートフォンやデジカメなどの給電に役立ちます。サイクリングの際はGPSを利用することも多々あるので非常に重宝するでしょう。バッテリー本体側にはUSBアダプターが付いています。

走行時の使用は安全面で難しいですが、バッテリー本体は駐輪の際に車体から取り外すことで様々なデバイスの"充電"が可能です。その充電によってバッテリー残量が気になるところだが、さほど影響を与えないといいます。



液晶マルチファンクションディスプレーは着脱式で、取り外すと主電源をOFF(ロック)にすることができ、自転車から離れる時は必ずディスプレーも取り外すことが盗難等のトラブルを予防するためには必要です。



そして肝心の乗り心地について。

トルクが必要なスタート時は比例補助の効果はありますが、力強さを重視するママチャリとは異なりまして、車体の軽さも考慮した上で自然に優しくアシストをかけてくれる感じです。しかし優しい=弱いということではなく、スピードに乗る巡航速度までスムーズに連れて行ってくれるイメージ。

スピードに乗りアシスト機能が切れる24kmを超えれば、もはや従来のロードバイクと乗り心地は変わりません。アシストユニットが車体の中心下部にあることで、重心が低くなり安定感も保たれると感じました。

24kmを超えるスピードでしばらく巡航できればその分バッテリーの消費も抑えられ、巡航距離+アシスト距離として使用できることになるので、ロードバイクの快適さを得るための理想的な距離を走ることができそうです。

さらに巡航状態を保つ程、アシストが本当に必要とされる場面で余裕を持たせたバッテリー残量にもつながると思います。



ママチャリ型電動アシスト車はバッテリーが切れると大変重い自転車になってしますが、YPJ‐Rはユニット自体が軽量であることに加え、ペダルを回すクランクとアシストユニットがそれぞれ独立した配置のため、たとえバッテリーがOFFとなっても漕ぎ味が重くなることがないのです。

時速24kmを超えても快適に巡航できるのはそのためです。この部分がロードバイクと電動アシスト自転車が共存できる一つのポイントではないでしょうか。

走ってみて、安定した機能と操作性を持つシマノ105に加えたロードバイク+アシスト機能のメリットをハイブリットすることで、走りの楽しみと、自転車に興味の高い若年層や、中長距離ライドを快適に楽しみたい方に是非提案してみたいと思いました。


(この記事はサイクルメカニックの石橋徹也氏に寄稿いただきました)

石橋徹也(ウェブサイト):都内のプロショップに10年間在籍後、2015年独立し東京・西新宿を拠点にスポークバイクの修理、メンテナンスとカスタマイズを軸に展開するVIKING the MAINTENANCE を設立。同時に自転車通勤も応援。通勤中のトラブルの出張修理対応や駐輪場内での自転車メンテナンス等、時間とスペースを有効に使った活動を展開中!
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