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モバイル決済の黒船"Apple Pay"の日本国内上陸は'16年9~10月か、関係各所の動きを読む:モバイル決済最前線

鈴木淳也(Junya Suzuki), @@j17sf
2016年4月12日, 午前06:00 in Apple
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Apple Payの日本上陸に向けた動きが活発になっている。Appleが2016年に国内での同サービス開始を目指しているという話は、9 to 5 MacなどがMasterCardの内部文書として今年2月末に報じた例でも出ている。

少なくとも筆者が周辺取材で把握している範囲では、2015年後半には具体的な動きが見え始めてきており、2016年初旬の段階で「同年中のサービス開始」が決済業界内でほぼ公然の"約束"のようになっており、関係各所が共通のゴールに向けて動きを加速させている状態だ。

本稿では、このApple Payの国内ローンチについて現状でわかっている範囲の情報を整理してみる。

Apple Payの上陸する日本。今年はそれ以外の決済関連の新サービス上陸も予告されており、大きな地殻変動の年となるかもしれない

国内Apple Payのターゲットは9~10月、ただし決定事項にあらず

関係各所の話を総合する限り、現在の国内ローンチのタイミングは「秋」が有力だとみられる。具体的には、9月に発表が行われ、10月以降のタイミングで正式スタートという手順を踏むと考えられる。ここ数年、Appleは9月上旬にiPhone新製品の発表イベントを行うのが通例となっている。米国で初めてApple Payが発表されたのは、2014年9月9日の「iPhone 6」が発表されたスペシャルイベントで、実際にサービスが利用可能になったのは10月20日以降だった。日本国内のローンチもこのルートをたどる可能性が高い。

ただし、このスケジュールは絶対ではない。Apple PayのローンチにはApple本体だけでなく、銀行からカード会社、決済処理のサービス提供会社や小売店まで、多くの関係各社が関わっている。その準備がある程度完了していることがカギとなる。今年のさらに遅い時期、あるいは来年2017年以降にずれ込む可能性もある。これは筆者の予想だが、Appleは"サービス"のローンチにあたって「規模感」を重視する傾向がある。特にApple Payの場合、「どれだけ多くの場所でサービスが使えるか」が重要だ。もしApple Payを受け入れ可能な小売店がサービス開始時点で少なかった場合、「Apple Payは実は使えないサービス」という印象を与えかねない。

そのため、現在のターゲットとみられている9~10月の時期に実際にサービスを開始すべきなのか、事前にAppleが判断するタイミングがやってくる。時期的には6~7月くらいの時期に同社が最終判断を下すものだと筆者は考えており、この時期での各所の動きやニュースに注意してみてほしい。

最近になり、米国でも「Apple Pay使えます」を示すロゴマークが小売店で多くみられるようになった。インフラの広域展開は思っている以上にハードルが高い


Apple Pay受け入れに向けた国内各所の動き

Apple Payの国内ローンチで最大の問題となるのは、店頭での決済(対面決済)における決済端末の対応だ。多くが知るように、日本国内でインフラとして浸透しつつある非接触決済技術は「FeliCa」をベースとしており、Apple Payのベースとなっている「Type-A/B」系の技術とは互換性がない。現在ではFeliCaとType-A/Bの両方の方式に対応した決済ターミナルが各社からリリースされており、古い世代の端末ではハードウェアの入れ替えの必要があるが、比較的新しい世代の決済ターミナルはハードウェアの変更なしにそのままApple Payに対応可能だ。

ただし、その場合でもソフトウェア側の改修作業が必要であり、Apple Payを含む「MasterCard PayPass」や「Visa payWave」といったType-A/B型の決済手段を受け入れるために時間とコストを必要としている。決済ターミナルや決済サービスを提供している各社の説明によれば、大規模にPOSを展開している場合と比較的小規模な小売店とで異なるものの、ソフトウェア改修と確認作業にだいたい半年~1年ほどの期間を必要とするという。つまり、9~10月の時期をサービスインの目標に設定した場合、ローンチパートナーとしてAppleが発表するリストに名前が載るためには、少なくとも原稿執筆時点の4月上旬のタイミングで導入準備に入っていなければならない。

だが現在のところ、各社の動きは思った以上に遅いというのが筆者の認識だ。銀行やカードブランド、ネットワーク側の対応は進んでいるものの、小売店側は大手を中心にまだ動きを決めかねているように見える。設備投資サイクルや諸般の事情により、各社が一斉に足並みを揃えるのは難しいのが現状で、どうしても偏りが出てしまうだろう。

JR東日本が提供している資料によれば、同社の交通系カードである「Suica」サービスの物販での利用はほぼ「自販機」と「コンビニ」での利用に偏っており、おそらくApple Payでもその傾向は同様になると思われる。日本国内ローンチでは、さらにこれに「ドラッグストア」と「スーパーマーケット」を加えた4つのカテゴリで、どれだけApple Payの利用が可能になるかが、前述の「規模感」を演出するうえで重要となる。

例えば、日本電気では3月初旬に海外からのインバウンド需要を想定して「クレジットカードとType-A/B型の非接触決済も利用可能な自販機向けの決済装置」を発表している。決済装置は今年9月からの出荷開始を予定しているが、実際に全国にあるどれだけの自販機がこのタイミングでの入れ替えを行うかは未知数で、当面はその数も非常に限られたものになるだろう。Apple Payがローンチされるからといって、必ずしもすべてが一斉に「右へ倣え」となるわけではない点に注意したい。

日本ほどではないものの、米国でも自販機を見かける機会は多い。最近ではこのようにApple Payで購入が可能なタイプのものも増えてきた

Apple Payの国内ローンチが意味するもの

これまでApple Payが提供されてきた5つの国(米国、英国、カナダ、オーストラリア、中国)では、もともと「携帯電話を使った非接触通信による決済」という仕組みが広がっていなかった。オーストラリアなどではインフラが比較的普及しており、実際に使っているユーザーも多いといわれるが、実際にはクレジットカードに非接触通信の機能が搭載されたものが主流であり、モバイルでの利用はほとんどない。一方で、日本国内ではすでにFeliCaベースのインフラが浸透しており、都市部を中心に日常的に多くのユーザーが利用している。ここにApple Payがやってくることで、何が変わるのか。

実際のところ、すでに普及したFeliCaがすぐになくなることは考えにくく、Apple Payのローンチ後も引き続き主要なインフラとして使われ続けるだろう。ただ、非接触はFeliCa一辺倒で、クレジットカードを中心とした決済システムは従来の古いままだった日本のインフラは、Apple Pay登場を機に「国外で主流の決済手段も受け入れる」よう、徐々に舵を切っていくことになる。

目先の部分では、2020年の東京オリンピックのタイミングまでにチップ入りクレジットカードによる決済である「EMV」への対応を進めつつ、インバウンド需要を見込む形でこの動きが加速していく。最後の砦といわれる「交通インフラでのFeliCa以外の対応」も、2020年には間に合わないとしても、そう遠くないタイミングで検討が進んでいくと予想する。Apple Payの国内参入はそのきっかけのひとつといえる。Apple Payが革命を起こすわけではないが、これを起爆剤にインフラに変化が訪れるわけで、個人的には非常に興味を持って動向に注視している。


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