Faraday FutureがフォーミュラEへの参戦を開始したのはこの7月に最終戦を終えた2016~2017年シーズン(シーズン3)から。フォーミュラEのシーズン1から参戦しているドラゴンレーシングとの4年間のパートナーシップによるもので、ファラデーフューチャーはチームに数人のエンジニアを送り込み、フォーミュラEでの技術開発を市販EVの開発へ取り込むとともに、マーケティングの機会も得る算段でした。
しかし、本業のEV事業の方はと言うと、この1年間はFaraday Futureにとってかなり厳しい出来事がたて続けに起こりました。たとえば初の量産型EV「FF91」の発表直前に資金面の不足が表面化したり、パーツサプライヤーへの未払い問題や訴訟問題に直面、フェラーリから来たマルコ・マティアッチを含む主要役員が相次いで離脱、工場の建設中止などなど枚挙にいとまがありません。
もちろん良いこともないわけではありません。CES 2017で発表した FF91 の評価は高く、この車のプロトタイプで参戦したパイクスピーク・ヒルクライムでは、EV市販車部門の最速記録を叩き出したことが話題となりました。

ここへ来てフォーミュラEでの活動に暗雲が立ち込めてきたのは、主な資金提供元となっている中国LeEcoのサポートが縮小されたことが大きいと考えられます。LeEco自身も財政的な問題が表面化しており、EVスポーツカー開発で提携していたアストンマーティンとの関係も終了しています。
Speeding into the weekend like... #FFDRpic.twitter.com/9HV0m5Ir3L
— FF Dragon Racing (@DragonRacing) 2017年8月11日
フォーミュラEは各チーム独自のパワートレイン開発が解禁され、そこにワークス参戦を決めたアウディやメルセデス・ベンツ、ポルシェが巨大な予算を投じることが予想されることから、全体的な参戦コストの増大が懸念されはじめています。
ただ、パイクスピークの例もあるように、モータースポーツである程度の成功を収めつつあるFaraday FutureにとってはフォーミュラEで引き続きその存在をアピールし続けるほうが、ようやくリースながら生産設備を手に入れた市販EVの開発やプロモーションにも良い効果がありそうです。
ちなみに、Faraday Futureは8月16日、Jalopnikなどからの問い合わせに対しモータースポーツ部門はR&D部門のバイスプレジデント、ニック・サンプソンが担当し、来シーズンに向けてドラゴンレーシングとの協力関係を継続するとコメントしました。道は険しいものの、まだしばらくはフォーミュラE参戦の"未来"は続きそうです。