新VAIO Sに同梱される契約不要データSIM「Cellular Data for VAIO」を一足早く使ってみた
プリペイドタイプで契約不要、1GBまで無料なWin 10データプラン対応SIM
本日発表されたVAIO S lineの新製品。その中でS11、S13のLTEモジュール搭載モデルには、「Cellular Data for VAIO」というSIMが用意されています。
これは日本では初めての「Windows 10データプランに対応した、契約なしに利用できるSIM」となり、Windowsストアから通信容量を購入するなど、これまでのSIMとは使い勝手が大きく異なる、特徴的なSIMとなります。今回は、いち早く試す機会が得られたので、使用感のレポートをお届けします。
Windows 10のデータプラン(Cellular Data)とは、通信容量をWindowsストアから必要なぶんだけ購入できる、モバイルネットワーク接続の販売サービスです。Wi-FiスポットとLTEに対応し、Windows 10に組み込まれた機能のため、特別な操作や設定が不要です。
今回同梱されたSIMは、フランスの電気通信事業者であるTransatel社が提供するグローバルローミングSIM。日本でのサポートは、インターネットイニシアティブ(IIJ)が専用窓口を用意します。
【17時30分訂正】記事公開当初「日本ではIIJmioがサポートします」と記載しておりましたが、こちらはIIJが開設する専用窓口を介してのサポートとなります。読者の皆様方並びに関係者の皆様にお詫びし、訂正いたします。
新型のVAIO S11に挿入してさっそく利用してみました。新型のVAIO S11は、SIMスロットが蓋付きになり、見栄えも万が一の落下にも対応しています。SIMを挿入したら、あとは電波が入るのを待つだけです。
▲SIMは底面に挿入口があり、現行機になかった蓋が付いた
キャリアやMVNOによるSIMと大きく違うのは、契約は必要なく、差した状態からすぐに通信が行えるところ。たとえば、Wi-Fiなどの通信手段がなくても、このSIMでLTEの電波をキャッチできる場所なら、Windowsストアでデータ容量を選択して購入できます。つまり、ストアで追加容量を購入する際の通信は無料で利用できるわけです。
このため、Wi-Fiが通じる場所だと思っていたらまったく通じず、でもネットへ接続しないと......といった状況で、わざわざSIMを買いに行かなくてもすぐに接続できるようになり、LTE通信対応の威力が発揮されるわけです。
▲携帯電話の通信が接続完了の表示になれば利用可能に
さらに初めてこのSIMを利用するときは、無料で1GB分が利用できるため(ただし1か月の期間制限もあります)、最初にWindowsストアへ行って容量を購入する必要はありません。
ただし通常のSIMと違いローミング接続となるため、電波をキャッチして利用できるまでは時間がかかります。筆者の環境では、だいたい接続するまでに40秒ほどかかりました。
こうした挙動のため、接続時にはしばらく「圏外」と表示されますが、慌てずに待っていると電波状態が表示され、自動的に接続します。
とくにAPNの設定をする必要もなくあっさりつながるので、手順は新規にSIMを導入する場合より簡単です。
▲最初は1GB分が無料で使えるので、モバイル通信を開始すると残り容量が表示され「1024MB」となる
ただ筆者の自宅では、なかなか接続できませんでした。大都会から少し離れた場所なため、たまたま電波の状態がよくない地域だったようです。VAIOの話によるとKDDI網を利用しているようですが、別の場所で試してみたらすんなりと電波をキャッチし、利用できました。
通信を開始すると、通知領域にある「インターネットアクセス」アイコンをクリックすると、いちばん上の携帯電話のところに「Cellular Data」と表示され、その下に残り容量が表示されます。最初は「1024MB」と表示されていました。
この「Cellular Data」の表示も、筆者宅の電波が弱い場所だと、単なる数字が表示される場合がありましたが、電波が弱すぎなければ通信できていたので、問題はないようです。ちなみに通信状態を確認画面でも、この数字が表示されています。
▲携帯電話が「圏外」だったり、接続しても「Cellular Data」ではなく数字表記だったりと、電波が弱いとうまく接続できないことも
▲「Cellular Data」と表示されていても、通信状態はこの数字表記だった
ローミング接続ということで、速度が気になるところですが、ブラウジングしたところ、画像がサクサクっというわけには行きませんが、めちゃめちゃ重いわけでもなく、閲覧にイライラするようなことはありませんでした。
試しにSpeedtest.netで速度計測しようとしたところ、計測場所がパリとなり、フランスの通信業者を利用していることを実感できます。速度は2Mbps程度となりましたが、これはそのまま真に受けてはいけません。実際にはそれ以上出ている体感が得られます。
なお、この通信環境に関しては、年末に向けて改善させるとのこと。より快適に利用できるようになるかもしれないので、速度に関しては参考程度にとどめておいてください。
▲Speedtest.netへアクセスすると、フランスのパリ周辺のサーバーが表示される
▲試しに計測してみたが、2~3Mbps程度。体感的には、これ以上の速度を感じた
容量を使い切れば、ネットワークアクセスのCellular Dataにある「Windowsストアで購入」をクリックすると、Windowsストアの「有料Wi-Fi&携帯ネットワーク」のウィンドウが開くので、「携帯データネットワーク通信プラン」から必要な容量を購入します。
ただし最初に、このアプリをWindowsストアへアクセスしてアップデートする必要があります。また、 事前にマイクロソフトアカウントでWindowsもしくはWindowsストアにログインしておく必要があります。
▲容量のないSIMでは、ストアの更新はできないので、あらかじめWI-Fiが利用できるところで、「有料Wi-Fi&携帯ネットワーク」のアプリを更新しておく必要がある
▲とくにAPNの設定も必要なく利用可能。設定が不要なのは楽でいい
▲「有料Wi-Fi&携帯ネットワーク」アプリからも、残り容量が確認できる
▲容量がなくなったら、「有料Wi-Fi&携帯ネットワーク」アプリから容量を購入すれば利用可能に。Cellular Dataに接続できればいつでも購入できる
このように、ローミングに対応した国なら、いつでもどこでも必要な分だけ容量を購入できるという使い勝手は通常のSIMより上ですが、PCを起動してから接続するまで少し時間がかかること、接続速度は若干遅いこと、毎月の定額制SIMよりは料金が割高になることを理解し、必要に応じて利用するのがいいでしょう。
国内も海外もこのSIM1枚で過ごせるようになるので、短期間の出張や旅行の多い人は、このSIMを使いこなすのもありだと思います。
なお、同時に発表されたVAIO本体、および新S11の使用感に関しては、下記記事を参照ください。
速報:新VAIO Sシリーズ3機種発表。S13はSIMフリーLTE対応、S11ともに新デザインに。指紋認証も
新VAIO S11実機レポ。デザイン一新とUDカーボン復活で「VAIOらしさ」が戻ってきた
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