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アサシン クリードの歴史教材モード、彫像の胸や股間をセルフ検閲。歴史修正と非難される

貝殻貼り職人の朝は早い。

Ittousai, @Ittousai_ej
2018年2月23日, 午前09:30 in Assasinscreed
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古代エジプトを舞台にしたゲーム『アサシンクリード オリジンズ』のユービーアイソフトが、歴史学者の監修を受けたという教育向け追加コンテンツ「ディスカバリーツアー」で、彫像の胸や股間を「修正」していたことが見つかり議論を呼んでいます。

見慣れたギリシア・ローマの神像や彫刻が、股間や胸に本来はなかった貝殻をスタンプのように貼り付け、なんとも遠慮と忖度を感じさせる、逆にわいせつという言葉を連想しかねない様子です。

写真は「ディスカバリーツアー」のもの。(よじ登っているのは修正作業に急遽動員された貝貼り職人......ではなく、たまたまパルクールで通りすがった絶世の美女ファラオ)

Gallery: アサシンクリード オリジンズ『ディスカバリーモード』自主規制 | 7 Photos

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Ubisoft の『Assasin's Creed』 は古代より続く暗殺教団と、歴史を裏から操ってきた秘密結社との時代を超えた戦いを描く人気ゲームシリーズ。

第一作は第三回十字軍時代のエルサレム周辺、第二作はルネサンス期イタリアなど、歴史上の舞台を壮大なスケールで再現したオープンワールドの完成度が高く評価されてきました。


最新作のアサシン クリード オリジンズでは、かのアレクサンドリア大図書館からギザの大ピラミッドまで、プトレマイオス朝エジプトと当時の人々の暮らしを細部に至るまで再現。

あくまでゲームの舞台としての都合を優先しているものの、膨大な資料をもとに作り込まれた歴代アサシンクリードは教育関係者から教材として利用したいとの声も多く、オリジンズではシリーズ初の学習向け追加コンテンツ「ディスカバリーツアー」が制作されました。




ゲーム本編には主人公と敵と物語があり、戦闘や探索を重ねることで移動可能な範囲が広がってゆく仕組みですが、ディスカバリーツアーは物語を無視して、社会・文化などテーマごとのガイドを用意します。

売りは世界を自由に移動して、インタラクティブに歴史や文化や建築を学べること。ユービーアイソフトは、歴史学者や教育機関の専門家チームから監修を受けた教育向けコンテンツと位置づけています。



新しい試みとして注目されたディスカバリーツアーですが、試してみて奇妙なことに気付いたプレーヤーからの報告がすぐにSNSなどに投稿され始めました。

たとえば、アレクサンドリアのとある広場に置かれた「円盤投げ」の像。ミュロンの有名な彫刻がそうであるように、当時の文化的には運動中に裸体であることが普通だった、どころか神聖な奉納競技であればむしろ着衣が不敬として禁じられていたはずですが、ディスカバリーツアーではこのように、どことなく痛々しい貝殻が装着されています。



神の股間も女神の胸も、写真アプリのスタンプか!と思わせる貝殻前貼りや貝殻ブラ。貝殻なのはやはり、全裸で胸と股間を隠した『ヴィーナスの誕生』から、ザ・恥じらいの象徴としての採用でしょうか。

この修正に対しては、ただのアクションゲームの背景であればともかく、史学者の監修を受けて教育向けをうたうコンテンツである以上、あたかも当時からそうであったかのような改変を施すのは、当時の社会の価値観を誤って伝えることで却って教育にマイナスではないか、現在の特定の価値観や抗議を恐れて過去の史実を書き換える歴史修正ではないか、との声があがりました。

こうした批判に対するユービーアイソフトの声明は、

「ディスカバリーツアーはさまざまな年齢・文化的背景の人々を対象に、できるだけ多くの人が、失われて久しい古代エジプトの世界と歴史を訪れることができるように制作されました」

「教育関係者や研究機関との密接な協力のもとで、国によって異なる文化的な感じ方を考慮し、年少の学生を含むすべての人にふさわしいよう、コンテンツを調整しています」


要するに、歴史学習コンテンツをうたってはいるものの、「全年齢」をクリアするため肝心の歴史を改変しましたという、そのままといえばそのままな回答です。

アサシンクリード オリジンズのゲーム本編は、そもそも主人公が復讐に燃える暗殺者であり暴力表現があるために、街なかの「無修正」な彫像以前の問題で大人向けレーティングです(ESRBでは17歳以上のM (Mature)。CEROでは18禁のZ)。

ディスカバリーツアーはゲーム本編の購入者ならば無料で利用できるほか、単体でも販売するため、こちらのレーティングをできるだけ多くの教育関係者に買ってもらえるよう下げることを目的に、貝殻を大量に消費したようです。




レーティング機関を通じた自主規制と、それを教材に適用する際の問題、また修正するにしても、分かりやすい注釈もなくあたかも当時の文化がそうであったように書き換えることの是非など、論点は多数あります。

また最近では特に、歴史的価値が認められてきた作品や資料であっても、美術館などでの展示に対して「従来の評価はどうあれ、現在のある基準に照らせば不適切なのだから撤去すべき」といった抗議活動が各地で発生しているのも事実です。

なおディスカバリーツアーで貝殻修正される彫像の多くは、場所や年代も含めて歴史的に正確な特定の芸術作品というよりは、資料をもとに有名どころをリミックスして作られた「当時ありそうな」モデル。

逆にディスカバリーツアーのガイド部分には、19世紀になって作られたスパルタクス像のように、修正無しで掲載されているものもあります。



制作側の意図や基準を探ろうと眺めていると見つかる、困惑させるガイドのひとつ。「ゲームの中では、男女どちらも授業に出席している様子を描くことにしました。歴史的には不正確ですが、ゲームで歴史的な性差別主義を描く必要はないと感じたからです」。現在の価値観で堂々と歴史改変したファンタジーエジプトです、とさらっと書かれています。

この文章があるのはディスカバリーツアーのガイド部分なので、教材であるはずのツアー全体がこのような意図で編集されているのかと混乱しますが、こちらはあくまで本編ゲーム内での描写に対する説明。むしろ、はっきりと「歴史的に不正確」と述べているだけまだマシともいえます。



アサシンクリード オリジンズは プレイステーション4、Xbox One、Windows PC向けに販売中。本編を買えばディスカバリーツアーは無料でダウンロードできます。PC版のみ、2500円程度で単品のディスカバリーツアーのみも購入可能です。



蛇足にゲーム自体の短評:アサクリは続編も外伝も大量に作られてきたために、シリーズをあまり / ぜんぜん遊んでいないのにいきなり最新作だけ手を出して良いのか分からない、と躊躇する人も多いと思われますが、オリジンズは題名のとおりすべての起源となるお話。従来作品を遊んでいなくても、独立したゲームとしてまったく問題なく楽しめます。

シリーズを重ねた洗練とプラットフォームの進化のおかげで、ミッションや道中もバラエティがあり、(昔よりは)飽きにくくなりました。特にボタン一発でいつでも使える偵察ドローン的な鷹のセヌは、ステルス潜入アクションも進歩していることを実感させる快適便利システム。

敵陣を鷹の視点で自由に偵察して、目標物や敵に目印を付けてから臨めるというチートにも程がある能力ですが、このお陰でステルス潜入アクションでもたつきがちなプランニング部分や、苦痛になりがちな素材探しなどがテンポよく、凝縮された楽しみになっています。

(短評なのは脇道クエストやフォトモードが楽しくてまだ序盤しか遊べていないため。素材集めは鷹の目があっても面倒ですが、ここが醍醐味であり達成感というプレーヤーも多いためなんとも言えません)




通常のゲーム内で見かける彫像は貝殻もなく、当時の文化を反映したそのまま状態です。胸や股に貝殻が貼り付けられるのは、歴史教育向けをうたうディスカバリーツアーのみ。

Coverage: Polygon
関連キーワード: assasinscreed, censorship, education, funny, ubi
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