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カタパルトで衛星打ち上げ──宇宙スタートアップのSpinLaunchが3000万ドル調達へ

あの成層圏ドローンを開発したTitan Aerospaceの創立者

TechCrunch Japan Staff
2018年2月23日, 午後01:59 in space
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衛星を打ち上げるのに巨大なロケットを飛ばさずにすむとしたらどうだろう? カタパルトで宇宙に出るというアイディアは一見クレージーだが、SpinLaunchが狙っているのはまさにそれだ。このスタートアップは2014年Jonathan Yaneyによって創立され、ステルス状態を保ってきた。YaneyはGoogleが買収したことで大きな話題となった巨大な成層圏ドローンを開発したTitan Aerospaceの創立者だ。

TechCrunchは3つの情報源からSpinLaunchがシリーズAのラウンドで3000万ドルという巨額の資金調達を試みていることをつかんだ。この資金は同社が実際に宇宙カタパルト・テクノロジーを完成させるために使われるという。Yaneyは4年間の沈黙を破ってTechCrunchのインタビューに応じたので以下にそのもようをお伝えする。

【略】SpinLaunchでは真空にして抵抗を減少させたリング状のチューブ中で飛翔体を加速する。チューブから発射される際の速度は、ある情報源によれば、時速3000マイル(4828キロ)程度になるという。飛翔体はそのまま宇宙に向けて飛び立つ。飛翔体には大気圏を出るために必要とされる速度を得るために補助的なロケットが設置され、カタパルトはロケットを含めて加速できる。

ステルス状態を破ることについては躊躇があったというが、YaneyはTechCrunchの取材に応ずることを決め、SpinLaunchの格納庫を案内して写真撮影を許可してくれた(上に掲載)。「宇宙開発の最初期からずっとロケットが唯一の運搬手段だった。この状態は70年も基本的に変わっていない。テクノロジーの進歩は遅い上に漸進的だ。宇宙が商業的に採算が取れるものとして広く開放されるためには現在の10倍以上のテクノロジーが必要だ」とYaneyは言う。【略】

SpinLaunchのファウンダー、CEOのJonathan Yaney

最近までSpinLaunchに関して分かっていることはほとんどなかった。SpinLaunchのウェブサイトにはパスワードがかかっているし、サニーベール本社の求人情報も「成長いちじるしい宇宙スタートアップ」とあるだけだった。しかし先月、ハワイ州上院にSpinLaunchが「電動式小型衛星打ち上げシステム」を建設することを援助するために2500万ドルの支出を求める法案が提出された。これはシステム建設にともなう各種のビジネス機会や雇用の創出、また宇宙へのアクセスをハワイにもたらすことを期待したものだった。

SEC〔証券取引委員会〕に提出された書類によれば、Yaneyは2014年SpinLunchの創立後、株式で100万ドルの資金を得ている。2015年には290万ドルを株式で、2017年半ばには220万ドルを借り入れでそれぞれ調達している。2017年後半にはさらに200万ドルを借り入れており、Yaneyが述べたところではSpinLaunchは総額1000万ドルの資金を調達してきたという。Yaney自身もSpinLaunchに出資している。今回のシリーズAの3000万ドルについては投資家と交渉中であり、「まだラウンドが実行されたわけではない」という。

マスドライバーは1960年代から研究されており、最近の例としては電磁レールガンコイルガン電磁加熱化学ガンライトガスガンラムジェット・アクセラレータブラストウェーブ・アクセラレータなどが考案されている。NASAでは円形ではなく直線のカタパルトから飛翔体を発射するマスドライバーを研究したことがあるが、コストパフォーマンスその他の点でいずれも実用化への条件を満たさなかったという。

Yaneyのカタパルトはこれと異なる。「SpinLaunchではリング状のカタパルト内で角速度を次第にアップすることにより飛翔体を加速する。これにより発射システムに要求される強度も必要な推進力も大きく低下する」という。SpinLaunchでは1回の発射コストを50万ドル程度に下げたいとしている。Yaneyによれば、従来のロケットの場合、1回ごとに500万ドルから1億ドルが必要だという。

NASAもカタパルト式マスドライバーを実験していた

2人の情報源は、SpinLaunchのテクノロジーを検討した物理学者の見解として、空気との摩擦がもっとも大きな課題となるだろうと述べた。地球の低層大気は濃密なため、飛翔体がカタパルトから大気中に打ち出されたとき、いわば「レンガの壁に衝突する」ような衝撃を受けるという。飛翔体に搭載されるコンピューターやセンサーなどの精密機器はすべてこの高Gに耐える能力が求められる。上の写真に見られるように、飛翔体がきわめて鋭く尖った細長いデザインなのはこの点を反映しているのだろう。

実際にこのカタパルトが建設できるかどうかだが、Yaneyは「過去3年間の開発でコアとなるテクノロジーは完成し、テストずみだ。ほとんどリスクについては解決方法を発見している。残っているのは、他の巨大なハードウェアと同様、実際のシステムを建設すること伴う課題だ」という。宇宙開発というのは安上がりにはできない。SpinLaunchは大規模なベンチャーキャピタルから継続的な支援を得る必要があるわけだ。

SpinLaunchがテクノロジー上の課題を克服できた場合、宇宙ビジネスへの参入障壁は大幅に低くなる。無重量状態を利用するイノベーションも数多く生まれるだろう。一般人の宇宙旅行から惑星における採鉱までこれまで純粋にSFと考えられていた分野が現実のものとなる可能性がある。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@FacebookGoogle+

関連キーワード: drone, space, SpinLaunch
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