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プログラミング教育必修化に向けたApple「Swift Playgrounds」の取り組み

すでにiPadがデファクトスタンダードに

弓月ひろみ(Hiromi Yuzuki)
2018年3月4日, 午前09:00 in Apple
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最近よく耳にする「プログラミング教育」という言葉。日本では2020年にプログラミング教育を必修化することが検討されている。世界でも「プログラミング教育の必要性」が重視されており、計算的思考を育てるためのさまざまな教育が進んでいる。ここ数年で、こどもが楽しく遊べるプログラミングロボットやガジェットも数多くリリースされ、日本でも比較的簡単に手に入る環境が整いつつある。今や家庭でも、その気さえあれば気軽にプログラミングに触れられるようになった。

文科省はプログラミング教育について「子供たちにコンピューターに意図した処理を行なうよう指示することができるということを体験させながら、将来どのような職業に就くとしても、時代を超えて普遍的に求められる力としての「プログラミング的思考」などを育むことであり、コーディングを覚えることが目的ではない」としている。


ただし、実際の教育現場には不安の声も多い。プログラミングを経験したことのある教員は少なく、今後どのように知識を得ていくのが正解なのか、教材をどう用意すべきかが課題となっているからだ。そんな中、日本の教育現場で新しい取り組みがはじまっている。AppleのiPadと同社が2016年秋にリリースした無料のプログラミングアプリ「Swift Playgrounds」を使ったプログラミング教育だ。


SwiftとはAppleが作ったプログラミング言語で、人気アプリケーションの数々が、この言語を使って開発されている。「Swift Playgrounds」は、そのSwiftをインタラクティブにした、楽しく学べるiPad用の無料アプリケーションだ。パズルを解き、課題に挑戦することでコードの基本をマスターできる仕組みになっている。コーディングの知識が不要なため、コードを学び始める学生に適している。

2018年3月3日(土)、株式会社内田洋行が「2020年の学びに向けて-授業実践者に聴くプログラミング的思考の育成ワークショップ」を開催した。セミナーのひとつである「Swift Playgroundsを活用したプログラミング的思考の育成」では、3名の教諭が実際の教育現場で「iPad +Swift Playgrounds」を導入した結果について発表を行なった。受講したのは全国から集まった教員たち。その発表の様子をお届けする。


最初に登壇したのは立教小学校・英語科の天野 英彦教諭。2016年の3月、英語科の授業でSwift Playgroundsを導入した。



「自分自身にプログラミング経験はなく、まず無理だと思っていましたが、インストールして驚きました。楽しい音楽、キャラクターのかわいさ。これからプログラミングを習得しようとする学習者のハードルを一気にさげてくれます」

立教小学校の生徒には3年生になると、ひとり1台のiPad miniが配布される。Swift Playgroundsでの教育は、iPad導入の最初の世代である現5年生と一緒にスタートした。リリース当初、Swift Playgroundsには英語版しかなかったため、単語やコマンドの意味を理解しながら内容を進めていく必要があり、それが英語教育に最適だと考えたそうだ。

「普段は英語を話すよう指導しても、消極的でなかなか実行しない生徒が、キャラクターのバイト君に"turn left" "move on"と自然に話しかけるようになっていきました。人間ではなく、キャラクター相手だから抵抗感がないのかもしれません」

授業は4人1組のグループワークで行なった。当初、友達とのコミニュケーションが得意でなかった児童も、この授業によって大きな変化を見せたという。

「プログラミングは試行錯誤の連続です。失敗しても、繰り返し繰り返しチャレンジする精神が身につく。この授業をはじめてから、彼らも積極的に会話に加わるようになりました」



天野教諭は、英語教育には様々な壁があると話す。例えば文法の正確さを追求するあまり、テストの点数は高いが話せない、というケースがある一方、流暢に話すことを気にして、文法はいつまでもブロークンというケースもある。両方を叶えるのは、とても難しいことだ。それがSwift Playgroundsで「キャラクターに指示を与える」という手順を繰り返すことにより、バランスよく学べるようになったという。

「英語の授業では、文章の要点をすくいだすスキミングや、多くの情報から適切なものを抽出するスキャニングが大事です。教員は膨大な時間をかけてテキストを準備しますが、その割に、うまくいかないことが多い。それが、Swift Playgroundsによって自動的にできるようになりました」

最終的に生徒たちは文法の感覚、語順を学ぶだけでなく、コードを書き、それを友人同士で確認し、バグを発見してデバッグするというところまでできるようになった。また、グループワークにすることで、相手に正確に伝えるためにどうすればいいかを考えるようになり、コミュニケーション力、課題解決力もアップした。

「自分が使える単純な英語を使い、意思疎通を行なう。伝える工夫をする、ということを学び得ることができました。これは普段の英語の授業だけではなし得なかったことでしょう」

続いて登壇したのは、山梨英和中学校・高等学校 中学校英語科 近藤 美和教諭。ドラマ「花子とアン」で話題になった、村岡花子が英語教諭を務めた学校として有名な女子校だ。



近藤教諭は校内のICT教育推進 iProdectリーダーだ。同校では6年前、オーストラリアの姉妹校で「ひとり1台iPad」の導入が始まったことをきっかけに、中学1年生からiPadの個人所有をスタートさせた。

山梨英和中学校・高等学校は、文部科学省よりSSH「スーパーサイエンスハイスクール」の指定を受けている。SSH指定学校は科学技術系人材の育成のため、各学校で作成した計画に基づき独自のカリキュラムによる授業や大学・研究機関などとの連携、地域の特色を生かした課題研究など様々な取り組みを積極的に行なっている。同校は2015年12月、コンピューターサイエンス教育習慣プログラミングワークショップ Hour of Codeをスタート。2016年3月には、Sphero SPRK EDITIONを導入するなど積極的にプログラミング教育を推進していった。

「私はプログラミングについて知識がなく、わからないことだらけ。Swift Playgroundsを導入したきっかけは、Apple Store表参道のイベントです。イベントに参加したのち、このアプリを色々な教科と融合させることで、生徒のプログラミング思考を育てたいと思うようになりました」

2016年9月、Swift Playgroundsの英語版リリースの同月に、近藤教諭は生徒に呼びかけ、挙手で参加する「プログラミングやってみたい部」を設立。

「生徒は部活や授業で忙しく、特定の時間を設けることが難しい状況でした。そこで、お昼休みにお弁当を食べながらSwift Playgroundsを試すプログラミングランチをスタートさせました」

プログラミングランチはお昼の時間にiPadを並べ、お弁当を食べながら楽しくアプリを試す時間で、参加したのは中学2年の生徒たちだった。

近藤教諭にはプログラミング教育の際、必ず生徒に守らせているルールがあるという。それが以下の3つだ。

1. わからないときは教師ではなく友達に聞く
2. 聞かれた友達は手をとめて解決方法を考える
3. お互いのデバイスには触らないこと


このルールについて近藤教諭はこう語る。

「先生が正解を持っているわけではない、というのがプログラミングです。別解がたくさんあるのもSwift Playgroundsのいいところ。隣の人と会話がしながら、こうするといいよ、誰々がこういうやり方をしていたよ、という対話が生まれます。協力しあって最適解を見つけたり、柔軟な思考を得られるんです。私は専門家ではないので、わからないこともたくさんあり、生徒と一緒に学ぶことができました。答えがわからないからこそ、生徒に対し、すごい! それどうやってやったの? 先生に教えて! と言えました。ほかの授業ではありません」

近藤教諭は学習効率を高めるため、アンプラグドな状態でプログラマー思考を育むための絵本やカリキュラムも用意した。

「プログラミングという言葉にアレルギー反応を起こすこどもがいるかもしれないと考え、デバイスを一切もたない状態での学習も行ないました。制服を着る時の動作をプログラムに置き換え、行動を分割するチャートを作るなどの学習も取り入れました」




当初はプログラミング経験がないまま、Swift Playgroundsを学ばせることに、不安があったというが、このアプリ専用の教員用ガイドを使うことで解消された。教員用ガイドは、「iBooks」の中に無料で用意されており、誰でもダウンロードすることができる。
「この教員用ガイドは、インタラクティブな教科書になっていて、必要な要素をKeyNoteでダウンロードできたり、生徒に見せるための資料も用意されています。演習パズルの解答例や、コマンドについてのビデオも用意されているので、安心です。私にとっては解答例が一番役立ちました」。


今後、近藤教諭同様、プログラミング経験のない教諭が、教える側に立つことがあるだろう。そうした際に授業のアイディアをふんだんに用意した教員用ガイドが役立つことは間違いない。

最後に登壇したのは、前述の天野教諭と同じ立教小学校・情報科の石井 輝義教諭。



「情報科の授業で終わらせるのではなく、国語・社会・算数・理科など、通常の授業に、どう知識を活かせるかを常に考えていた」

当初はScratch、Minecraftなどのソフトを教えていたが、それらがブロックを積み上げていくタイプの「ビジュアルプログラミング」であることに疑問を感じていた。そして、プログラミングを言葉のひとつとして学ぶことが大切なのではないかと考えるようになった。日本語・英語・プログラミング言語...のように、別の言語として捉えるということだ。これに Swift Playgroundsが最適だったという。

「Swift PlaygroundsではMinecraftなどと違って、実際にコードを使ってプログラミングをしていきます。これにより、プログラミングの専門用語やプログラムの中でいう関数・概念を身につけることができます」

授業を進めるにあたり使用したのは「ITunes U」。ITunes Uは、Appleが提供する教員用アプリで、宿題の提出、成績管理、ディスカッション、課題の評価、生徒とのやり取りも可能なクラス管理ができるツールだ。立教小学校では2014年9月からiTunes Uを使用しており、生徒たちも操作に慣れているため、プログラミング教育にも取り入れることになった。

「アプリを介し、こどもたちが繰り返して学べるため、たとえ40人の大人数クラスであっても個々の能力から進行状況を把握できるのがポイントです」



とはいえ、 Swift Playgroundsは、まだ誰も試したことのない領域だった。新しいことを大人数のクラスに導入するには勇気がいる。40人の授業×3クラスすべて失敗すると、取り返しがつかなくなってしまうからだ。

「私の場合、まず自分が受け持つコンピュータークラブの生徒に、少人数で体験してもらことから始めました」

レゴ・レゴエデュケーションを使ってビジュアルプログラミングをしたのち、Swift Playgroundsと教育用マインドストームEV3を導入。少人数であっても、iTunes Uの中で自分たちが自発的に学べる環境を作りあげていった。

「ひとりで課題を解こうとすると壁に当たったとき手が止まってしまいがちですが、グループだと違う。自分たちで対話をしながら、問題を解決していく力が身につきました」

少人数への体験で手応えを感じた後、大人数クラスのカリキュラムにも Swift Playgroundsを導入。小学校4年生の授業では近藤教諭同様、アンプラグドを大事にした。「コップをどう動かすか」といった単純な動作について、行動を分解する体験をさせ、人に説明する手順を考えさせ、プログラミング思考を身につけるというものだ。授業は4人が1台のiPadを使ってプログラミングの基礎を学ぶグループワークで進めた。



「グループにすることで、生徒が主体的に動くようになりました。理解できていない友達に説明をするために、どうすればいいのか。プログラミングという言葉を、ステップにわけて説明するにはどうすべきか。これを考えることで対話的な学びが生まれ、プログラミング的思考が自然に身についたように思います」

会の最後、このセミナーの参加者に、発表を受けてどう感じたかを聞いた。答えてくれたのは、常葉大学教育学部付属 橘小学校 非常勤講師の久永恵津子さん。小学校1年生から6年生までの情報科の授業を、週17時間受け持っている。



「現在、 橘小学校はBiscuit、Scratchなどを取り入れ、試行錯誤しながら教育を進めています。ただ、石井先生が仰ったように、ビジュアルプログラミングが中心。高学年には、もっとコードを意識させる学習が必要と感じており、Swift Playgroundsに、とても興味が湧きました。これまでは膨大な資料を探し、用意しなければならないのが悩みの種でしたが、iBooksから無料でダウンロードできるので負担がない。生徒・教諭の双方にとってメリットが大きいのではないでしょうか」

これからは「プログラミング教育は情報科に任せておけばいい」という考え方ではなく、総合科の先生方も率先して学習方法について考えていくべきではないかとも語ってくれた。

プログラミング教育を推進せよ、という声が上がる一方、対応に追われ、変化を迫られている教育現場。こども達の未来も大事だが、教師の負担をなくし、モチベーションをキープさせる現場を作り上げていくことも大事な環境整備だ。iPadとSwift Playgroundsが今後どのように教育現場を変えていくのか。引き続き注目していきたい。



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