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IIJの「フルMVNO」を徹底解説。ユーザーのメリットとは:週刊モバイル通信 石野純也

Apple SIM対応にも一歩前進?

石野純也 (Junya Ishino)
2018年3月23日, 午後01:00 in mobile
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IIJが、日本で初となるドコモのネットワークを利用したフルMVNOサービスを開始しました。現在は、法人向けに提供されており、4月2日から、訪日外国人向けの「Japan Travel SIM」を発売します。フルMVNOを活用したサービス内容は、今後順次広げていく予定です。

フルMVNOのサービスを開始したIIJ

そもそもフルMVNOとは、これまでのMVNOと何が違うのでしょうか。決定的な差は、加入者管理機能と独自のSIMカードにあります。加入者管理機能とは、HSS/HLRと呼ばれる、モバイルネットワーク上のデータベースのような存在です。端末がどの基地局につながり、通信するかということを制御する機能を持っています。この加入者管理機能は、これまで、MVNOに開放されておらず、設備を持つ大手キャリアのみが保有していました。

MVNOが担うのは、あくまで端末が基地局につながったあとのデータ通信を行う部分だけで、SIMカードの有効・無効までは制御できません。通常時は無効にしておき、一時的に通信をしたいときだけ有効にするというような使い方はできなかったのです。もちろん、各MVNOとも紛失・盗難時にSIMカードを一時的に無効にすることはできますが、これはあくまでもドコモなり、KDDIなりに依頼をかけているからです。


▲加入者管理機能を持つことでシグナリング部分までMVNOが管理できるようになる

一方の独自SIMカードは、その名の通り、MVNOが発行するSIMカードのこと。これまでのMVNOは、大手キャリアからSIMカードごと借り受けていました。副次的な効果として、たとえばドコモのMVNOのSIMカードを、ドコモのSIMロックがかかった端末で使えるといったメリットはありましたが、これも、SIMカードをレンタルしていたためです。半面、MVNO側には、SIMカードのスペックを決める権利がありませんでした。


▲SIMカードを独自に発行するのも、従来のMVNOとの大きな違い

フルMVNOとはこの2つを持ち、自らが制御できる領域を広げたMVNOのことを指します。IIJのMVNO事業部長 矢吹重雄氏の言葉を借りると、大手キャリアから「独立した、1つの移動体通信事業者になるということ」になります。実際、IIJもフルMVNOになることで、サービスの幅を広げました。


▲IIJの矢吹氏

たとえば、3月15日に導入された法人向けの料金プランには、サスペンド時の料金が設定されています。月10GBのプランを選ぶと3600円ほどかかるところを、サスペンドすれば30円済ませることが可能になります。この機能によって、「SIMを利用しないときはサスペンドして不要な料金がかかるのを避けつつ、負担を軽減することができる」(IIJ MVNO事業部 副部長 安東宏二氏)ようになりました。

従来はずっと3600円かかっていたことを考えると、サスペンド時の料金は1/120と、ユーザーにとっては激安になるわけです。これならば、たとえばメーカーが、データ通信できる何らかの機器にSIMカードを組み込んで販売するようなこともしやすくなるでしょう。常時接続が必要なスマホなどの機器をSIMカード対応にしやすくなるほど、常に通信が発生するとは限らないWi-Fiルーターのレンタルなどにも使いやすくなっています。


▲サスペンド時の料金は30円と格安


▲IIJの安東氏

加入者管理機能と独自のSIMカードを持つことで、ビジネスモデルの設計も柔軟にできるようになりました。その成果といえるのが、訪日外国人向けのJapan Travel SIMです。これまでも、同様の趣旨のSIMカードは販売されてきましたが、MVNOにとって、在庫コストが大きな悩みになっていました。SIMカードを吊るしで置いておくには、開通済みの状態にしなければならず、それをすると、MVNOから大手キャリアへの支払いが発生してしまうからです。


▲Japan Travel SIMにもフルMVNO版が登場

このコストが100円弱かかるほか、「SIMカードの発行手数料が394円になり、各社がプリペイドSIMに力を入れなくなった」(矢吹氏)という経緯があります。結果として、ユーザーが支払う料金にも跳ね返っていました。逆に、Japan Travel SIMのフルMVNO版はドコモ版よりも料金が抑えられており、ビックカメラでは1.5GBで1850円、3GBで2800円という設定になっています。

●ユーザー目線のメリットは?

法人向けや訪日外国人向けのサービスが中心で、一般のユーザーにはいまいちメリットが伝わりづらい感もありますが、フルMVNOになったからといって、これまでの格安スマホ、格安SIMが劇的に変わるわけではありません。むしろ、MVNOの取れるビジネスモデルを広げる効果の方が大きいといえるでしょう。

とは言え、まったくメリットがないわけではありません。IIJは個人向けのIIJmioにも、「タイプI」を加える予定で、「タイプIならではのメニューも考えている」(矢吹氏)といいます。


▲個人向けサービスや国際ローミングサービスも予定

間接的なメリットもありそうです。たとえば、上記のような法人向けサービスが広がれば、メーカーが通信対応の製品を作りやすくなり、それが販売されればユーザーにとっての利便性は上がります。また、これまでMVNOができなかった国際ローミングサービスに参入できることも、ユーザーにとってのメリットになるかもしれません。

現状、IIJでは、ローミングサービスをあくまで法人向けと考えているようですが、たとえばタブレット用のデータSIMを出し、国内、海外どちらでも安価に使えるというのであれば、一定のニーズはありそうです。DSDS端末の2枚目のSIMカードとして挿しておくのもいいでしょう。

また、独自に発行するSIMカードは、物理的なSIMカードである必要もありません。IIJでもeSIMへの対応を予定していますが、これを使って他社と組めるようになったことにも、大きな意味があります。具体的にいうと、たとえば、Apple SIMの選択肢として、IIJを選べるようになるための技術的な制約が1つ取り払われたことになります。もちろん、これにはアップルとの合意が必要になるためハードルは非常に高そうですが、大手キャリアからSIMカードを借りていたこれまでよりは、大きな前進といえます。






▲フルMVNO化によって、取れるビジネスモデルの幅が広がった

MVNOの存在意義は「大手キャリアに提供できないメニューを増やしていくこと」(矢吹氏)にあります。一方で、これまでのMVNOは、取れる技術的な選択肢が少なったこともあり、大手キャリアとの違いの出し方が、"安さ"一辺倒になっていました。差別化の軸を多様化できるフルMVNOは、こうした現状を打破できる可能性を秘めています。その意味で、フルMVNO化は、格安一辺倒からの脱却ともいえるでしょう。IIJの出す、今後のサービスにも期待したいところです。


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