Sponsored Contents

5gの最新記事

Image credit:
Save

5Gは2年後の開始に向けてここまで来た。最新動向が集まった「5Gシンポジウム」レポ

高速なだけでなく、短い通信遅延や多数端末の接続を活かした実験が多数見られました

大和哲(Yamato Satoshi), @deyamato
2018年3月30日, 午前08:00 in 5g
97シェア
0
97
0
0

連載

注目記事

次世代の移動体通信規格である「5G」は、現在携帯電話の主流として使われている4G(LTE)の後継として、日本では2020年に商用サービス開始が目標とされています。

現在はサービスに向けた準備を進めている段階ですが、開始予定から3年前となる2017年度より、総務省の呼びかけによって、各キャリアが5Gの応用に向けた各種実証実験をスタート。そして年度末となる2018年3月27日と28日、東京青海の国際交流館にて「5Gシンポジウム」として、これら実証実験の成果発表が行われました。

今回は同シンポジウムにおける各キャリアの講演やデモから、5Gではどんなことができるようになったのかを見てきました。


▲ちなみにこれが、5Gで使われる28GHz送受信用基地局側アンテナの内部です


5Gモバイル通信では、4Gと比較して様々な点で強化が図られますが、要件としては以下の3点が挙げられます。

  • 高速・大容量化(eMBB:enhanced Mobile Broadband)
  • 超高信頼性と低遅延の実現(URLLC:Ultra-Reliable and Low Latency Communications)
  • 大量・多種の端末の接続への対応(mMTC:massive Machine Type Communications)

5Gはこれらの点に関して、4Gからの性能を大きく向上させることを主眼とします。

また使われる周波数帯も、3.7GHzや4.5GHzといった4Gに近い周波数だけでなく、28GHz帯といったこれまでの携帯電話などでは使われたことのない周波数の電波を扱うことになります。こうした変化により、スマートフォンやタブレットといったこれまでの機器から、大きく異なる用途にも使われるようになるはずです(代表的なところでは、いわゆるIoT機器や自動運転車などが有望視されています)。

シンポジウムを見る限りでは、この1年は総務省をはじめ、キャリアやその他の業界も5Gの応用を試行錯誤で行った1年だったようです。
2020年のサービス開始まであと2年。これから先、どんな用途で5Gは使われるようになるのでしょうか。


▲デモ展示は、各キャリアの5G実証実験集大成という印象です

端末あたり5Gbps・1基地局あたり10Gbps超の超高速通信


5Gの3つの特徴のうち、ユーザーに最もイメージしやすいのは、やはり「高速・大容量」でしょう。

総務省の技術目標としては、1端末あたり5Gbps・基地局あたり10Gbps超といった速度に加え、移動時も90km/h程度で2Gbpsの通信速度の確保が掲げられています。4Gからは文字通り桁の違う速度です。

ドコモの実験では、東京スカイツリーと浅草地域にアンテナを立て、4K画像をお互いに送受信するというデモを披露しました。実験では4K解像度とその画質でをアピールするべく大型のテレビを使っていましたが、これは(端末側の能力さえあれば)スマートフォンでもモバイル通信網での4K画像送信が可能となることを示します。

また、4K画像の送受信例としては、5G回線を経由しての遠隔医療実験も行われました。これは和歌山県の和歌山県立医科大学と共同で行ったもの。

具体的には、大学病院と約110メートル離れたクリニックの間を5G回線で接続。クリニックでは(擬似的な)患者と、4Kテレカンファレンスシステム、4Kクローズアップカメラ、それにタブレットタイプのCTスキャナを使い、クリニックのドクターが大学病院のドクターの指示を仰ぎながら患者の容体を観るというものです。



大学病院からは4K画像で患者の外観や、CT画像を鮮明に見ることができます。4K画像は、簡単に患者の皮膚のテクスチャなども判断可能な鮮明さです。

そしてここで効いてくるのが、5Gのもう一つの特徴である低遅延。デモでは、情報量の多い4K動画であるにも関わらず、転送遅延は最大でも0.03秒、平均で0.02秒と非常に短いことがアピールされました。遠隔医療を用いた手術ではリアルタイム性も重要であるため、ここは大きなメリットとなります。


▲5Gアンテナが取り付けられた東武鉄道の電車と、走行中の測定の様子


5Gの特徴の一つである、高速移動時における通信の実験を行ったのは、NTTコミュニケーションズです。東武鉄道の実際の車両と線路脇に28GHz帯の電波を送受信するアンテナを取り付け、電車の移動速度であっても高精細映像が配信出来ることを実証していました。



また、国際電気通信基礎技術研究所(ATR)も、KDDIの協力のもと、沖縄セルラースタジアムで自由視点映像の同時配信に向けた高精細映像の多重配信に関する実証実験を行いました。
これは、1基のポールに取り付けたアンテナから、野球場の内野席に当たる部分を全て28GHzの電波でカバーし、映像配信をしようという試みです。

内野席に計50台の4K映像表示ができるタブレットが設置され、プレイの解説などを観られますが、特筆すべきは、回線上ではそれぞれのタブレットがユニキャスト(1対1の通信)として接続されている点です。従来こうした例で使われるブロードキャスト(1対多の通信)とは違い、1台ごとのタブレットに違う映像を配信することが可能です。



▲よく見ると1台1台が違う映像を上映しています。なお5Gアンテナは棚の背後に設置されました

シンポジウム会場では、スタジアムと同仕様の5Gタブレット25台を並べ、それぞれ別の画像を上映するデモが行われました。

28GHzという電波は4Gなどで使われるものより距離面では不利で、見通せる程度までしか飛ばすことができません。しかし逆にスタジアムのような開けた場所に対し高い位置にアンテナを設置すると、どの位置にも非常に多くのデータを飛ばすことができるというわけです。

無線区間でも1msの超低遅延通信



4Gと5Gが大きく異なるのは「遅延」に関する考え方でしょう。
4G以前のモバイル通信では、人と人が会話して気にならない程度の遅延であれば良いというレベルであれば問題にしていませんでした。携帯電話の主な用途は「人と人が会話する」ことにあったからです。

対して5Gでは、リアルタイム性が必要とされる、機械対機械の制御(いわゆるIoTやM2M)といった用途でも安心して使えるように、シビアに遅延の少なさを追求しています。

こうした低遅延ならではの用途で用いられる5G実験はEngadgetでも何度か紹介しており、一例としては、KDDIが大林組と共同で行った、4K 3Dモニターを活用した建機の遠隔施工実験や、ソフトバンクの時速90キロメートルの速度におけるトラックの「無人隊列走行」実験などが挙げられます。

今回のシンポジウムでも、ソフトバンクの無人隊列走行のデモが開催されました。実験施設は茨城源城里町というシンポジウム会場とは離れた場所にあるので、展示は中継映像によって行われました。今回は高速道路を走るトラックを想定し、先頭を行く一台のトラックは有人で運転、そのあと2台の無人トラックが後をついて走るという構成です。

2台目と3台目の自動運転トラックは、4.7GHz帯の5G通信を使って遠隔制御を行っています。


▲画像ではわかりにくいですが、トラック3台の隊列走行としては非常に車間が狭いです


特筆すべきは、車間距離が非常に狭いこと。これだけ車間を詰めて走るには、1台目のトラックのちょっとしたアクセル、ブレーキにも敏感に対応しなければなりません。これを実現するのが、1ms以下の超低遅延通信というわけです。

またこの実験では、28GHz帯の5G回線を使い、2台目と3台目のバックミラーに取り付けたカメラの映像を送信。1台目の助手席にあるモニターに4Kで配信するという実験にも成功しています。

この映像に関しては、シンポジウム会場で4G回線経由との比較ができましたが、その性能差は一目瞭然。警備員がポールを上下に振っているという、交通整理を模した映像が流されたのですが、4Gでは明らかに振りに対して映像が追いつかず、コマ落ちもあって飛び飛び、コマ送りになっています。対して5Gのそれは全く遅れを感じさせません。

「超低遅延」とはこういうことか、とまざまざと見せてつけてくれるデモでした。

平方キロあたり端末100万台の多数同時接続



▲接続実験では端末約2万台の同時接続が行なわれた(NICTのページより)

もう一つの特徴である「多数同時接続性」に関しては、情報通信研究機構(NICT)が、エイビットなどとともに行なった実証実験が公開されました。

この実証実験では1平方キロメートル辺り100万台もの端末への同時接続が目標となる、大規模なもの。これは災害などの際、一斉に多数の通信要求が発生する場合や、5GベースのIoTで想定される、多数の物体の位置を的確に把握可能とする情報収集方式を前提とした実験です。

2011年の東日本大震災では、一斉に被災者が電話をかけようとして輻輳(回線のパンク)が起こったことを記憶している方も多いと思います。どんなときでも、誰がどこにいるのか基地局が把握でき、避難所などでも電話がつながれば、被災者や家族、友人の安心は計り知れません。


このように5Gシンポジウムでは、5Gの特性を活かした数々の実験が着実に進んでいることが確認できました。2020年の商用サービス開始まであと2年。その間に、さらに実使用に近い実証実験などが繰り返され、次の世代のビジョンが示されていくはずです。5Gの時代はすぐそこまで来ているのです。




広告掲載についてのお問い合わせはad-sales@oath.com までお知らせください。各種データなどはこちらのメディアガイドをあわせてご覧ください。

97シェア
0
97
0
0

Sponsored Contents