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KDDIがスマートグラスに「気合を入れる」理由とは:週刊モバイル通信 石野純也

5G時代の中核的デバイスの一つになる可能性も

石野純也 (Junya Ishino)
2018年5月5日, 午後11:00
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KDDIは4月26日に、スマートグラスの開発を手掛ける米国のODGと戦略的パートナーシップを締結。VR、AR、MRなど(まとめてxRと表現します)の技術をODGの「R-9」上で開発して、6月以降に実証実験を重ねていくと発表しました。

これらの実証実験を通じて、日本人が着用しやすい専用モデルの可能性も探っているといいます。

今回は、この発表会で得られた話から、KDDIがスマートグラスに取り組む背景や理由、そして普及への戦略について紹介します。

R-9は2017年1月に、米ラスベガスで開催されたCESで発表されたスマートグラス。チップセットにクアルコムのSnapdragon 835を搭載しており、スタンドアローンで動作するのが特徴。片眼1080pと画質も比較的高く、1300万画素のカメラも搭載されています。

Snapdragon 835の力を活かし、6軸の自由度(6DoF)にも対応。上下、前後、左右に装着した人の動きをトラッキングすることが可能です。

KDDIは、このスマートグラス上でxRのサービスをパートナーとともに提供し、「世の中にワクワクを提案していきたい」(理事 商品・CS副統括本部長 山田靖久氏)といいます。まずは、コンシューマーに直接届けるB2Cではなく、間にパートナーを挟んだB2B2Cでの提供形態になるとのこと。


▲B2B2Cの形でサービスを提供していく方針

その一環として発表会では、部屋の中に浮かび上がった初音ミクと会話ができるコンテンツや、バーチャルのステージ上に本物のドローンを飛ばしてゲームができるコンテンツなどを公開しました。

今後は、フィールズグループやパソナテック、長野県飯田市などをパートナーとして、xRのコンテンツを開発し、トライアルを行っていくそうです。


▲まずはパートナーのコンテンツを活かした展開を行うとのこと

▲提携の狙いを語る、KDDIの山田氏

KDDIがスマートグラスやその上で展開するxR技術に注力しているのは、これらがコミュニケーションサービスの延長線にあると考えているからです。背景には、2020年にスタートする予定の5Gがあります。

山田氏は「通信とモバイルは、デバイスとネットワークの進化とともに、世の中のライフスタイルを変革してきた。これから迎える5Gの時代にも、スマートフォンだけでなく、新たなデバイスの進化がある」と語ります。


▲KDDIにとってのスマートグラスは、5G時代を見据えた取り組みに

 4Gの普及に歩調を合わせた形でスマホが広がっていったように、超高速通信や低遅延、多端末接続を売りにする5Gが広がれば、スマホの「次」が求められるようになります。その際の有力なデバイスがウェアラブルであり、xR技術を活用しやすいスマートグラスになると考えているようです。

発表会でいくつかのコンテンツに触れてみた印象では、確かにスマホやタブレットで同じ体験をするのは難しいと感じました。スマホやタブレットはあくまで手に持って顔から離して使うもので、没入感が下がってしまうからです。

▲ドローンとARを組み合わせたゲームを体験する筆者(安全上の理由で、実際の操作はできなかった)

▲相手があたかもその場にいるかのように会話でき、コミュニケーションにも役立つ

一方でよりリアリティを求めるのであれば、現状の4G通信ベースでは解像度が足りていません。より大きな映像をスムーズに受信するには、5Gが必要になってくるはずです。さらにARでは、体験者の動きにきちんと映像が追随する必要があるため、低遅延も必要になってくるでしょう。

屋内で使うのであれば光回線とWi-Fiで十分ではありますが、どこにでも持ち運べる形で使うには、5Gがマストになりそうです。

一方で発表時点でも、販売開始時期や価格などは、「具体的には決め切れていない」(同)というのが現状です。ODGのスマートグラスは「(他社製品に比べて)優位があると思っている」(同)反面、それでもまだ「いろいろなところを改良しなければいけない」と、課題があることも認めています。
デモを体験してみた印象でも、リアリティはまだまだ不足していますし、これをコンシューマーが普通に使うようになるには、UIももっと洗練させる必要があると感じました。

サイズ感も、ODGの製品はコンパクトではありますが、普通のメガネに比べるとまだまだ重く、使っているうちにずり落ちそうになることもありました。
未来感はある一方で、一般のユーザーが普通にかけるには、さらに数世代進化させる必要がありそうです。

R-9や他のスマートグラスにチップセットを提供するクアルコムも「黎明期にあるxRを成功に導けるよう、ともに歩んでいきたい」(XR担当 シニアディレクター ヒューゴ・スワート氏)と述べていたように、スマートグラスはあくまで黎明期といった位置づけです。


▲発表会で披露された将来コンセプト映像。これぐらい自然になるには、まだ時間がかかりそう

そのため、KDDIでは、パートナー経由でコンシューマーに提供するB2B2Cを含め、「まずは企業から始まる」(山田氏)と考えから、用途を限定し、企業向けから始めるという戦略を採ります。

一般のコンシューマーが使うようになるのは「そのあとになる」(同)といいますが、現状では、その進め方が正しいような印象を受けました。

そう聞くと消極的なようにも思えますが、一方でスマートグラス自体は「PC、フィーチャーフォン、スマートフォン、最近ではボイスエージェント(スマートスピーカー)と拡大する中で、その中の1つとして、特に5G時代には非常に可能性が高いデバイスとして、気合を入れてやっている」(同)との発言もありました。

こうしたスマートグラスは、一般ユーザーが気軽に買って、日々身に着けるようになるにはまだまだ時間はかかりそうな気配があります。まずはKDDIの言うように、パートナーを通じたB2B2Cの形で、徐々に生活に浸透していくことになりそうです。

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