米商務省から7年間の禁輸措置を受けている中国ZTEが、5月9日に香港証券取引所に提出した書類の中で、「主要な営業活動が停止している」と現状を明らかにしました。
ZTEは米国による対イラン・北朝鮮制裁措置に違反したことを認め、総額11億9千万ドルの罰金を支払うことで合意。その際、違反に関わった従業員の賞与減額ないし懲戒処分も約束していましたが、これに反して賞与を全額支給。この件がきっかけとなり、厳しい措置を受けることとなりました。
これにより、ZTEは米企業であるQualcomやIntelが製造するチップセットを購入することができなくなったほか、Androidの使用自体も危ぶまれる状態となっていました。
提出された書類によると、ZTEはこの件に関し、米商務省と積極的に連絡を行っているとのこと。また、貿易摩擦についての協議のため、先週中国を訪問していた米貿易代表団に対し、中国政府から制裁見直しの申し入れも行われており、ZTEは米商務省からの求めに応じ追加の資料も提出したとロイターは報じています。
また、書類の中で「十分な現金を保有しており、商業的義務を厳格に遵守している」としていますが、現在、ZTEは自社のオンラインサイトや中国国内のECサイトで製品販売を停止しているほか、日本を含む各国で同社スマートフォンのアップデートが行えない状態となっています。
虚偽報告を繰り返したZTEの自業自得とも考えられる半面、きっかけとなった従業員への賞与支給問題は、ZTE自らの社内調査で発覚し自己申告したものであり、制裁は不当だと主張しています。
米中貿易摩擦が深刻化している中、その交渉材料に使われている感も否めませんが、だとしても、アップデートを停止している件について、何の告知も行っていないのは不誠実な対応です。
事態が長引くとZTEの廃業も現実味を帯びてきているだけに、ユーザーが不利益を被らない形での早期決着を期待したいところです。