Sponsored Contents

wearablesの最新記事

Image credit:
Save

watchOS 5の「トランシーバー」と「ミー文字」に見る新しいコミュニケーションの形:週刊モバイル通信 石野純也

音声からビジュアルへ

石野純也 (Junya Ishino)
2018年6月6日, 午後12:30 in wearables
50シェア
9
41
0

連載

注目記事

世界初の完全分離骨伝導イヤホン「earsopen PEACE」でネクストレベルの「ながら聴き」を体感

世界初の完全分離骨伝導イヤホン「earsopen PEACE」でネクストレベルの「ながら聴き」を体感

View
AirPods Pro実機をソニーのWF-1000XM3と比較 ノイズキャンセリングの決定版は?(追記)

AirPods Pro実機をソニーのWF-1000XM3と比較 ノイズキャンセリングの決定版は?(追記)

矢崎 飛鳥, 10月29日
View

Engadget日本版でも速報が掲載されていましたが、6月4日(現地時間)に、米カリフォルニア州サンノゼでWWDC 2018が開幕しました。基調講演では、「iOS 12」「WatchOS 5」「tvOS 12」「macOS 10.14 Mojave」が発表され、さまざまな新機能が追加されました。

すでに、アップルの姿勢や戦略、各機能に込められた狙いなどを解説する記事もあれこれと出ています。それらを繰り返しても意味がないので、ここでは、筆者が気になった機能などを、モバイルの観点から取り上げていきたいと思います。


WWDCで発表されたOSの中で、特にiOSやwatchOSでは、改めて"コミュニケーション"の機能がフィーチャーされていたのが印象的でした。WatchOSではトランシーバー機能(英語ではWalkie-Talkie)、iOSでは自身の分身を作れるミー文字や、それを活用できるグループFaceTimeなどがそれに当たります。

まず、watchOS 5に採用されるトランシーバーですが、これはFaceTimeオーディオのプラットフォームを応用した機能とのこと。FaceTimeオーディオ自体は通常の電話と同じように、双方向でかつリアルタイムなやり取りが可能ですが、あえて片方向の通話にコミュニケーションを限定したことで、新たな機能に仕立て上げているのが特徴です。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
Apple Watchに追加されるトランシーバー機能。英語ではWalkie-Talkie

やり取りの仕方も簡単で、あらかじめ電話番号やメールアドレスでトランシーバー機能に招待をかけ、相手が承諾すると自分のApple Watchに登録されます。あとは、コミュニケーションを取りたいときだけ、Apple Watchの画面上に表示されるボタンを押し続けながら話しかければOK。まさにトランシーバーのように使える機能というわけです。もちろん、Apple Watch Series 3であれば、単体で、セルラーを使って音声を送ることができます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
話すときは、画面に表示されるボタンを押しっぱなしにする

携帯電話でトランシーバー的に音声をやり取りする仕組みは、古くて新しい機能といえるかもしれません。過去には日本でも、ドコモの「プッシュトーク」や、auの「Hello Messenger」があり、これらは米国でトレンドとなっていた「Push to Talk」というトランシーバー機能からインスパイアされて実装されたといいます。ただし、残念ながら、これらの機能はユーザーに受け入れられず、スマホ時代を迎える前にサービスが終了してしまいました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
トランシーバー的な機能は、かつて携帯電話にも実装されていた。写真は筆者が当時撮影したauのHello Messenger

スマホも含め、携帯電話の場合、耳に当てっぱなしにしてリアルタイムで通話できた方が、利便性が高いからです。当時は料金が別途かかったり、対応端末が限られているなどの問題もありましたが、通話のスタイルとして違和感があったのも大きな理由だと筆者は見ています。

逆に、この機能はApple Watch的だとも感じました。実際にApple Watchで通話してみると分かりますが、ヘッドセットなしで通話しようとすると、腕を上げっぱなしにする必要があり、長電話だと疲れてしまいます。途中でiPhoneに切り替えたり、通知だけ確認してiPhoneで取ったりする人も多いのではないでしょうか。Apple Watchでサッとコミュニケーションを取りたいのであれば、トランシーバーのように一方的に伝えたいことだけを伝えられた方がいいでしょう。その意味で、トランシーバー機能はApple Watchでのコミュニケーションを促進する可能性があると感じました。

古くて新しいというのは、FaceTimeやミー文字も同じです。3Gの折りたたみ端末だったころから携帯電話を活用していた人は記憶にあるかもしれませんが、アバターを使ったビジュアルコミュニケーションは、ドコモが「キャラ電」として、FOMAの900iシリーズで導入しています。結局は普及しませんでしたが、3Gのテレビ電話は、当時キラーアプリケーションと見られていました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
自分似のアバターを作成できるミー文字

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
サムスンのAR絵文字とは異なり、さまざまなパーツを自分で組み合わせて作成していく

一方で、実際の顔を出すのは躊躇するという人のために、ドコモが用意したのがキャラ電でした。つまり、これもビジュアルコミュニケーションを活性化するための仕組みだったといえます。

残念ながら、キャラ電があっても、通話料が高かったり、端末上に表示される映像が貧弱だったりと、さまざまな理由があり、テレビ電話は普及しませんでした。その後、スマホが台頭し、LINEなどのメッセンジャーアプリがビデオ通話を続々と実装したほか、アップルもFaceTimeをそれぞれの端末に導入しており、ビジュアルコミュニケーションは復活を遂げます。これらはデータ通信として送られるため、料金面の問題が解消されているうえに、端末のディスプレイも大きくなり、相手の顔を見ながらの通話がしやすくなりました。

とはいえ、顔を出すのがためらわれるシーンがあることは、テレビ電話が最初に導入されたときと変わっていません。親しい間柄の1対1の通話ならまだしも、グループでの通話では顔を出したくないということはあるでしょう。寝起きで髪型がぐちゃぐちゃだったり、女性であれば化粧をしていないなど、さまざまなケースで出られないということがあるはずです。

このように見ていくと、グループFaceTimeとミー文字が同時に導入されるのは、ある意味必然的ともいえます。自分に近いアバターが表示されるのであれば、積極的に使えるという人も増えるでしょう。過去にあったキャラ電とは異なり、すでにFaceTimeがある程度普及した実績の上で導入されているため、コミュニケーションを円滑にするツールとしてしっかり機能しそうな予感もしました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
リアルな顔を出しづらいシーンも多そうなグループFaceTimeとの組み合わせは必然ともいえる

ユーザーインターフェイスの刷新など、目につく派手な進化はなかったiOS 12やWatchOS 5ですが、コミュニケーション、特に音声コミュニケーションの「最発明」に挑戦しているところには、アップルらしさを感じました。過去から変わっていない「もしもし、はいはい」ではなく、スマートフォンや、スマートウォッチならではのコミュニケーションを模索しているような様子が見受けられます。

惜しいのは、Apple Watchのトランシーバー機能も、グループFaceTimeやミー文字も、すべてアップルの端末に閉じていること。これは以前から変わっていないところではありますが、コミュニケーションサービスはネットワークの外部性が働きやすく、人が多ければ多いほど盛り上がりやすいだけに、他のプラットフォームにもぜひ開放してほしいところです。

日本では半数前後のシェアを持つiOSですが、世界的に見るとすでに20%を大きく下回っています。アップルユーザーの利用機会を高める意味でも、クローズドにしておくのはもったいないと感じています。Apple Musicのような前例もあるだけに、今後の展開に期待しています。




「TechCrunch Tokyo 2019」11月14日、15日に開催



広告掲載についてのお問い合わせはad-sales@oath.com までお知らせください。各種データなどはこちらのメディアガイドをあわせてご覧ください。

50シェア
9
41
0

Sponsored Contents