Sponsored Contents

最新記事

Image credit:
Save

ファーウェイ・ジャパンのトップに聞く、P20シリーズの販売戦略:週刊モバイル通信 石野純也

SIMフリーとキャリア販売の住み分け

石野純也 (Junya Ishino)
2018年6月14日, 午前06:50
167シェア
15
79
0
73

連載

注目記事

消費者版Google+がサービス終了。「あまり使われなかったから」と最大50万人の個人情報流出の恐れあるバグのため

消費者版Google+がサービス終了。「あまり使われなかったから」と最大50万人の個人情報流出の恐れあるバグのため

View
今年は、"夏のファーウェイ祭"と呼べるほどリリースラッシュのファーウェイ。ドコモからは「P20 Pro」、auからは「P20 lite」、ソフトバンクからは「Mate 10 Pro」と「nova lite 2」がそれぞれ発売されます。サブブランドのワイモバイルやUQ mobileも、P20 liteを取り扱います。これらキャリアモデルの情報が出そろったあと、ファーウェイは、自身のブランドで発売するSIMフリーモデル2機種を発表しました。フラッグシップモデルの「P20」と、ミドルレンジのP20 liteがそれです。

詳細は別記事に譲るとして、簡単に概要を説明すると、P20はドコモから発売されるP20 Proの弟分的な存在で、ややスペックを抑えた1台。P20 Proのようなトリプルカメラはなく、ディスプレイも5.8インチとやや小さくなりますが、チップセットやストレージ容量もP20 Proと共通です。そのぶん、価格は税抜きで6万9800円に抑えられており、コストにシビアなMVNOユーザー向けと言えるかもしれません。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
▲フラッグシップながらコストは抑えめのP20

対するP20 liteは、昨年発売され、大ヒットを記録したP10 liteの後継機と呼べる存在の端末で、デザインテイストはP20を踏襲しながら、スペックを抑え、3万円台前半で提供されます。ただし、ダブルレンズカメラを搭載していたり、前面いっぱいにディスプレイが広がっていたりと、押えるところは押えています。P10 lite同様、コスパに優れたモデルといえるでしょう。今年はSIMフリーモデルだけでなく、MNOのauからもストレージを64GBに増強したバージョンが発売されます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
▲販路を広げたミドルレンジモデルのP20 lite

SIMフリーで大躍進したファーウェイですが、今年は大手キャリアにも一気に販路を広げ、シェアを奪いにかかっているように見えます。一方で、ファーウェイはここまでMVNOとともに、SIMフリースマホ市場をけん引してきた存在なだけに、ここまで築いてきた関係をどう発展させていくのかも気になるポイントといえます。そんな疑問数々に、ファーウェイ・ジャパンのデバイス部門でトップを務める呉波氏が答えました。ここでは、そのグループインタビューの模様をお伝えしていきます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
▲グループインタビューに答える呉波氏

――P20 Proは、なぜドコモ独占なのでしょうか。どちらから独占を持ち掛けたのでしょう。

呉氏
日本のスマートフォンの販売の80%以上が、キャリア経由であるという事実が背景にあります。三大キャリアを通したスマートフォンには、端末の購入補助がつき、その金額は(MVNOが)SIMフリーにつけるよりも大きくなります。

ドコモとはNDA(秘密保持契約)を結んでいるので、どちらから持ち掛けたなど、詳しいお話はできません。ただ、ドコモ独占として発売されるのは、長い期間協議を重ねた上での結果です。これからは、キャリアとSIMフリー、どちらも重要視して取り組んでいきたいと考えています。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
▲ドコモからはP20 Pro(左)が発売される

――ネットではSIMフリー版がほしいという声も多く見ます。

呉氏
確かにTwitterなどのSNSや、価格.comには、そういう声もありました。ただし、SIMフリーとして出すP20も、カメラに関してはP20 Proと比べてそん色はありません。ライカのレンズは搭載していますし、AIの機能も取り入れています。SIMフリーユーザーも、P20を体験していただければ、ご満足していただけると思います。

――P20 Proがキャリアから出ることで、トータルの出荷台数は増えることになるのでしょうか。

呉氏
弊社は2014年にSIMフリー市場に参入し、そこを主戦場としていました。今では出荷台数も100万台を超えています。P20 Proだけでなく、P20 liteやMate 10 Proなどが、全体の80%以上を占める三大キャリアから発売されることで、出荷台数は大きく飛躍すると見ています。

――市場の大きさの違いを考えたとき、P20とP20 Pro、どちらが多く売れるとお考えでしょうか。

呉氏
これに関しては、今の段階では何とも言えません。今回は広いキャリアの販路があり、ショップの数にしても、ユーザーの忠誠度にしても、SIMフリーと比べてカバーできる範囲は数倍に拡大します。ただ、やはり販路が異なるため、2つの台数を単純比較するのは、今は難しいと思っています。

――P20 liteもauが取り扱うことになりました。これによって、さらにliteシリーズに弾みをつけることができるのではないでしょうか。

呉氏
P8 lite、P9 lite、P10 liteと3世代続き、P20 liteで4世代目です。P liteシリーズに関しては、SIMフリー市場の拡大に大きく貢献してきた製品だと自負しています。先週のBCNのデータによると、すべての販路でP10 liteが2位につけていました。これは、ドコモの64GBのiPhone 8に次ぐ順位です。P liteシリーズは、消費者の心の中でかなり大きな存在になっているのではないでしょうか。他社もliteを製品名に使うようになりました。

今回、P20 liteは販路が拡大して、より多くの消費者にリーチできるようになりました。P10 liteよりも期待できる結果になる、と信じています。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
▲P10 liteは大ヒットを記録。後継機のP20 liteにも期待が集まる

――カスタマーサポートを強化し、認定修理店を全国に7店舗オープンしますが、対象はSIMフリーだけです。キャリア製品を扱えないとなると、ユーザーは混乱するのではないでしょうか。

呉氏
おっしゃるように、消費者にとっては混乱しやすい状態になっています。ですので、これは解決していかなければならない課題だと認識しています。せっかく製品がよく、価格も安くても、サービスが悪ければ消費者は離れてしまいます。

ただ、SIMフリーの製品だけが対象になった事情もあります。キャリアを通して販売した製品に関しては、キャリアのアフターサービス拠点でサポートを受け付けているからです。というのも、キャリアを通した製品は、所有権がいったんキャリアに移っているからで、さまざまなキャリアのサービスも搭載して販売されます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
▲認定修理店を全国7カ所にオープン。SIMフリー端末のみが対象だ

――キャリアのサービスという点でいうと、P20 Proは電話帳も「ドコモ電話帳」ですし、ファーウェイのホーム画面にするとアプリのドロワーも出せなくなります。この点は、今までファーウェイ端末を使ってきた人にマイナスではないでしょうか。

呉氏
これは深いところに理由があり、キャリア向けの製品は(ユーザーの目に見えないところまで)大幅なカスタマイズをしています。キャリアに展開するスマートフォンと、SIMフリー市場のスマートフォンでは取り巻くものも大きく違います。また、中国のことわざに、「魚と熊の手は同時に持つことができない」というものがあります。日本語だと、「二兎を追う者は一兎をも得ず」で、どちらも兼ね備えるのは難しいと考えています。

――2割にも満たないSIMフリー市場は捨ててしまうという可能性はありますか。

呉氏
それは決して起こりえないことです。グローバルで見れば、ほかの国はすべてオープンマーケットがメインになっています。SIMフリー市場に対して継続的に取り組んでいくスタンスは、今後も揺るぎません。

一方でキャリアを通してふさわしい製品は投入していきたい。どういった製品がキャリア経由になるのかは、メーカーが決めるのではなく、キャリアが決めることです。メーカー側ができるのは、常に準備万端にして備えておくことです。

――P20 Proのように高額な端末はキャリア、そうでないものはSIMフリーと住み分けていくのでしょうか。

呉氏
そういった見方の一部は正しいと思いますが、弊社の戦略は必ずしもそうではありません。今回、SIMフリー市場に出すP20もフラッグシップモデルですし、今後もこうしたハイエンド端末は継続して市場に投入していきたいと考えています。一方でキャリア市場にも変化があり、ミドルレンジの機種を扱い始めています。製品戦略は市場の変化に合わせてダイナミックに変わっていくもので、常にその変化を敏感に捉えて見極めないと、生き残りは難しいと思います。

――今回、MNOのメインブランドで発売される端末はすべて異なっていましたが、意図的に散らしているのでしょうか。1モデルで3キャリア出せた方が、コスト効率はよくなると思いますが、いかがでしょうか。

呉氏
グローバルな観点で見ると、1つのモデルを広く販売するというのは、メーカーにとっても、部品のサプライヤーにとっても理想的なことです。どんなに細かな変更でも、製造ライン上では大きな変更になってしまうからです。ですが、実際のところ、国や地域によってもニーズは異なりますし、キャリアごとにもニーズは変ってくるため、1つのモデルですべてに対応するのは難しいと思います。

私の経験でいうと、これまで50カ国以上の国で仕事をしてきましたが、「独占でやりたい」というのは、どの国のキャリアも言ってきます(笑)。これは、どこにおいても一致しています。ですので、どうバランスを取っていくのかは、メーカーにとって避けては通れない課題だと認識しています。


OLYMPUS DIGITAL CAMERA▲ソフトバンクはMate 10 Proを発売。3キャリアで別々の端末を扱うことになった


呉波氏の発言を聞くと分かるとおり、SIMフリースマホ市場ではどうしても高い端末は敬遠されがちです。割引がないか、あっても少ないため、本体価格が丸裸になるからです。そのため、約10万円のP20 Proをキャリア経由で販売するのは、自然ななりゆきだったと考えられます。

昨年は「P10」と「P10 Plus」の両方をSIMフリーで発売しましたが、2機種が食い合ってしまったという話も聞きます。やはり現状の市場規模では、フラッグシップモデルを2機種出すというのは厳しいのでしょう。ドコモとSIMフリーで2つのフラッグシップモデルの販路を分けた理由は、ここにもありそうです。

販売台数的には本命といえるP20 liteは、順調に複数キャリアへ販路を広げています。ビジネス的にはここで成功を収めていることもあって、ハイエンド端末をどうするかはまだ手探り状態にも見えました。ドコモのP20 Proの売れ行きがどこまで伸びるかによっても、今後の戦略は変化していくかもしれません。

167シェア
15
79
0
73

Sponsored Contents