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苦しさ増すXperia、ソニー2018Q1決算。ゲームとイメージング好調の影で:週刊モバイル通信 石野純也

モバイルは大胆な施策が必要

石野純也 (Junya Ishino)
2018年8月1日, 午後12:30 in Business
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ソニーは、第1四半期の連結業績を発表しました。グループ全体を俯瞰(ふかん)すると、業績は好調を維持。中でも、PlayStation 4を擁するゲーム&ネットワークセグメントや、イメージセンサーを抱えるイメージング・プロダクツ&ソリューションセグメントが好調。幅広い分野で、業績予想の上方修正も行っています。

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▲ソニーの第1四半期の業績は絶好調。ゲームやイメージセンサーがけん引

一方で、唯一業績予想の下方修正を行ったのが、本連載のテーマでもあるモバイル。Xperiaを中心としたモバイル・コミュニケーションセグメントで、ソニーモバイルの業績不振がさらに悪化していることが分かりました。
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▲セグメント別で見ると、モバイル・コミュニケーションセグメントの不振が目立つ

第1四半期のモバイル・コミュニケーション部門の売上は1325億円と前年同期比で487億円の大幅な減収。昨年はかろうじて黒字だった営業利益も赤字に転じてしまい、マイナス108億円となっています。その要因は、スマホの販売不振。欧州やソニーモバイルが得意としていた日本で、販売台数が減少してしまったことが要因に挙げられています。

第1四半期での販売台数は200万台で、前年同期比で140万台減。これに伴い、4月に1000万台と予想していた今期の販売見通しも、900万台に下方修正しています。この四半期に日本で投入した端末といえば、フラッグシップモデルの「Xperia XZ2」ですが、販売台数の少なさを見る限り、日本でもキャリアへの納入が大きく減っていることがうかがえます。
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▲売上、営業利益ともに大幅減。販売台数の見通しも下方修正した

ソニーのCFOで、直前までソニーモバイルの社長を務めた十時裕樹氏は、スマホ不振の要因を次のように説明しています。

「欧州、日本を中心に見込んだ数字よりもセールスが落ちている。競争環境が非常に厳しいこともあるし、我々の商品力自体が競合に対して優位でないところもあるかもしれない」
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▲ソニーのCFO、十時裕樹氏

ここ最近のソニーモバイルは、業績の悪化に伴い、ラインナップを上位モデルに絞り込むのと同時に、販売地域も縮小し、「勝てる市場」で「勝てるモデル」に絞り込んでビジネスを展開するといった戦略を取っていました。ただ、この目論見がうまくいかず、実際には市場を自ら縮小し、残ったモデルが競合に勝てず、さらに市場を縮小するという負のサイクルに陥っているようにも見えます。

自ら認めているとおりですが、サムスンやファーウェイなどの競合が軒並みカメラに力を入れてきた結果、イメージセンサーを持つソニーならではの優位性も薄れてきています。

イメージ処理プロセッサーの「Aube」やデュアルカメラを搭載した「Xperia XZ2 Premium」は、カメラでは他のモデルに匹敵するものの、全体のバランスが悪く、かなりの重量級な仕上がりに。他社が薄型化を進めている中でこの端末を見ると、やはり不格好な印象を受けます。
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▲第1四半期には「Xperia XZ2」(左)と「Xperia XZ2 Compact」(右)を投入したが、販売が振るわなかったという

ここまではソニー自身の分析とも一致していますが、より深刻なのは、市場の変化に迅速に対応できていないところがあるように思えます。たとえば、上記にあるような、ラインナップを絞り込み、ハイエンドモデルに注力するという方針も、率直に言って、今の日本市場の状況には逆行しています。

市場全体を見ると、MVNOの台頭に伴い、ミドルレンジのSIMフリースマホ市場が拡大。ここに対抗すべく、ソフトバンクやKDDIがワイモバイルやUQ mobileといったサブブランドを立ち上げ、やはりミドルレンジのモデルを販売し、ここがボリュームゾーンになっています。
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▲SIMフリーモデルを積極投入し、シェアを伸ばすファーウェイ

最大手のドコモも、docomo withでミドルレンジモデルの幅を広げ、「Galaxy Feel」や「AQUOS sense」といったヒットモデルが生まれています。翻って今の日本向けXperiaを見ると、ミドルレンジモデルが一切なく、海外で販売しているミドルレンジモデルを日本に導入する動きもありません。グループインタビューなどでお話を聞いた限りでは、経営陣も、SIMフリーモデルに消極的だった印象があります。

対照的なのがシャープで、昨年発売したフラッグシップモデルの「AQUOS R」でブランド統一を図りつつ、ミドルレンジモデルの「AQUOS sense」できっちり売上を伸ばし、業績も好転。スマホを含む「スマートホーム」分野が前年同期比15.6%増の1505億円に伸長するなど、好調ぶりが業績にも表れ始めています。
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▲シャープはミドルレンジモデルの「AQUOS sense」がヒット。写真はその上位モデルの「AQUOS sense plus」

十時氏は、ソニーモバイルの今後について、撤退は選択肢になく、5Gに向けて事業を継続させていく意向を示していましたが、このままでは生かさず殺さずの状態になりかねません。フラッグシップモデルを抜本的にテコ入れしつつ、得意とする日本市場の変化にも柔軟に対応していく施策が求められているような気がします。

過去、ソニー(当時はソニー・エリクソン)は、iモード端末から戦略的に撤退しつつ、Walkmanケータイなどで伸びていた海外事業に注力し、そこで生み出したXperiaブランドを日本に逆輸入するウルトラCを繰り出しました。結果として、他の日本メーカーよりも早くスマホに着手することができ、今日まで生き延びることができています。
▲iモード機から戦略的に撤退しつつ、「Xperia」で復活。スマホシフトに成功した

このような大胆さは、今のソニーモバイルやXperiaに欠けているところ。端末の準備にはある程度の時間がかかるため、すぐにとはいかないと思いますが、立て直しは急務です。4月にソニーモバイルの社長に就任した岸田光哉氏は、当時の状況をよく知る人物なだけに、戦略とプロダクトの両面から、思い切った復活劇を見せてくれることを期待しています。

関連キーワード: Aube, Business, earnings, Mobile, PlayStation, sony, Xperia
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