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Amazon Pay登場で主要プレイヤーが出揃ったQRコード決済の将来を占う:モバイル決済最前線

数年後に勝ち残れるのはどの企業か

鈴木淳也 (Junya Suzuki), @@j17sf
2018年9月3日, 午前09:00 in amazon pay
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8月29日、アマゾンジャパンは福岡市内で会見を開催し、同日より福岡市内と東京都内の一部エリアでのAmazon Payによる店舗決済を開始したことを発表した。

東京での事前説明会の模様はすでに報じられているが、今回は実際の導入店舗での取材を交えつつ、「QRコード決済(あるいはモバイル決済)」をうたう国内での主要プレイヤーが一通り出揃ったこともあり、現状と今後の展望を整理してみたい。


まず、Amazon Payとは、国内月間ユーザー数3700万人といわれるAmazonショッピングアプリを利用するユーザーに対し、同決済サービスに対応した店舗において会計時にQRコードを表示する機能を提供することで、Amazon.co.jpアカウントに登録されたクレジットカードなどの決済手段で支払いを可能にするサービスだ。

特徴として挙げられるのは、店舗決済において、日本国内でアクワイアリングを行うNIPPON PAYをパートナーに選んだ点。同子会社であるNIPPON Tabletが提供する無料タブレット貸し出しサービスを小売店が利用可能となっている。


▲福岡で開催された会見でのアマゾンジャパンAmazon Pay事業本部本部長の井野川拓也氏(左)とNIPPON PAY創業者兼代表取締役社長の高木純氏(右)

この無料タブレットを導入した場合、2020年末までの期間限定で決済手数料0%のキャンペーンが利用でき、特に中小小売店での導入ハードルが低いのが特徴だ。POSレジの改修が必要な大手チェーンや、すでにリクルートなどが営業を通じて大規模展開を実現しているタブレット端末決済サービス「Airレジ」の領域ではなく、より小規模で地域密着型の小売店開拓を目指すと両社は説明している。

今回ローンチ都市として福岡が選ばれたのは、福岡市がキャッシュレスの実証実験を行っており、これにNIIPPON PAYが参加事業者の1社として協賛していることに由来する。


▲福岡市内の対応店舗に立てられているのぼり

天神エリア周辺の飲食やアパレルなど数店舗を対象に8月29日よりサービスが開始されており、対象店舗では入り口でのロゴの掲示やのぼりの設置など、サービスを通じた店舗誘導も行われている。
また、東京では早稲田商店街の一部店舗でサービスが開始されており、両都市を含む全国規模で少しずつ対応店舗が増えることになりそうだ。NIPPON Tabletによれば、福岡市のケースと同様、複数の都市での町おこし事業の一環で導入交渉を進めているとのこと。

今回記者会見が行われ、ローンチ店舗の1つとなった「博多廊」を運営するIMD LABO、IMDレストラン事業本部本部長の角銅伸介氏は、Amazon Payという注目サービスを通じた宣伝効果のほか、NIPPON PAYの提供するサービスによるインバウンド対応、そして電子マネーなど各種決済手段への対応を導入理由として挙げている。


▲NIPPON Tablet導入で利用可能になる決済サービス群。小売店にはインバウンド対応手段となる

福岡市は場所柄、中国人や韓国人をはじめとする外国人の九州観光の玄関口として機能としており、街のいたるところにインバウンド需要を狙った店舗や各種表記を見かける機会が多い。AlipayやWeChat Payといった中国のQRコード決済のほか、クレジットカード対応など、こうした客のニーズに応えるものだという。

電子マネー対応も観光客対応の一環で、「私を含むこのエリアの人々は交通系電子マネーなどを利用する文化を持ってない」(角銅氏)というように、地元民向けサービスではないことを認めている。
ランチタイムであれば1500円や2000円といった比較的低い単価での食事をさっと楽しんで去って行く客も多いとのことで、手軽な決済手段として認知が広まることに期待したい。


▲ショッピングモール「キャナルシティ博多」内で見かける広告。実際、中国人客を中心とした多言語での案内表示のほか、テナントすべてで利用可能なインバウンド決済サービス対応など、外国人を非常に意識した場所であることがわかる

なお、今回のAmazon Payだが、基本的に日本国内向けのサービスとなる。「Amazon Pay」の名称で提供される決済サービスは現在日本を含む世界8ヶ国で提供されているが、これらは「Amazonによるオンライン決済代行サービス」だ。

ショッピングサイトの会計時にAmazon Payによる支払い手段が含まれている場合、Amazonアカウントを利用し、登録済みクレジットカードを通じた決済が可能となる。商品配送に必要な最低限の情報しか商品販売会社には渡されないため、個人情報を安全に保ちつつオンラインショッピングを行いたい場合に重宝する。
このAmazon Payの提供オプションとして日本向けに「リアル店舗決済」が加わったのが、今回発表されたAmazon Payのサービスというわけだ。

ちなみにスマートフォン上に表示されるQRコードが斜めに傾いているのは「デザイン上の理由」とのことで、特に意味はないようだ。またQRコードだけでなくバーコード表示にも対応していることから、POSレジでバーコードしか読み取れない赤外線スキャナへの対応、大手チェーンなどを意識していることがうかがえる。おそらく、そう遠くないタイミングで大手チェーンや各種スーパーへの対応が行われるのではないかと筆者はみている。

QRコード決済と囲い込み

今回Amazon Payが正式ローンチを発表したことで、ソフトバンクとヤフージャパンの合弁である「PayPay」など参入表明のみで未ローンチのサービスも含め、一通り主要プレイヤーが出揃った形となった。
正式ローンチまで「詳細の説明は待ってほしい」という形で取材自体がペンディングされているものもあるが、筆者が過去1年以上にわたって関係各所に取材してきた経過報告をまとめつつ、少し先の展望を考えてみたい。



QRコード決済は別名「アカウント(ID)決済」や「アプリ決済」などと呼ばれており、事前にアカウント上に登録しておいたクレジットカードや登録済み銀行口座などを通じて支払いを行うサービスだ。

QRコードは、相手への支払いに際して利用するアカウント情報を伝える仕組みとなっており、磁気ストライプやICチップが実装されたクレジットカードのような物理媒体を持たずとも、スマートフォンさえあれば店頭での支払いが行える点でメリットがある。
また小売店にとってはQRコードを読み込む環境さえあればいいため、専用のバーコードスキャナやクレジットカード端末を導入せずとも、普通のスマートフォンやタブレットに店舗決済用アプリさえあればよく、導入ハードルが低いメリットもある。

この「アカウント(アプリ)決済」というのがQRコード決済における非常に重要な部分で、この仕組みにより個人ユーザーの行動把握が可能になるほか、アプリなどを通じて個別のプロモーション提供など、「情報マーケティング」「プロモーション広告」といった新しいビジネス展開が可能になる。

これは従来のクレジットカードや電子マネーではできなかった仕組みであり、特に中国ではAlibabaやTencentなど、インターネット系新興企業が金融分野へと進出するきっかけとなった。また大きな特徴として「ポイント連動」が容易な点が挙げられ、決済時にポイントカードを提示せずともポイント付与が可能であったり、あるいは決済時にあらかじめポイントを指定して消費できたりするなど、ポイントマーケティングとの親和性が非常に高い。

NTTドコモのd払いなどでは、まだこのあたりの連動が不完全な印象も受けるが、「来店誘導」「プロモーション」「ポイントによる囲い込み」といった要素の数々が、「QRコード決済乱立」とも呼ばれる現在の状況を生み出している。



経済産業省主導による官民共同での「QRコード決済方式統一」の取り組みが進んでいるが、これには次のような背景がある。決済時に掲出するQRコードの表示方式が各社で統一されておらず、POSの操作画面で決済方式を逐次選択したり、あるいはタブレットで決済に利用するアプリを変更したりと、店員のオペレーション負担が現状では大きいということを鑑み、特に小売店向け決済を統括する経産省が動いたというわけだ。

現状では中国の決済サービスも含めて最大4〜6程度のサービスが並ぶ程度だが、2019年後半には少なくとも10以上のサービスが同一地域に出現することになるだろう。表示されるQRコードから決済サービスを自動判別する仕組みの導入によって、小売店店員の負担を軽減するのが狙いだが、統一が実行に移されるのはどんなに早くても2019年後半か2020年になりそうだ。場合によっては、さらに後ろにずれ込む可能性もある。


▲LINE Payが提供を予定している専用の決済端末

そのため、LINE Payのように統一を前に自社決済専用の端末をプロモーションを兼ねて小売店へとバラ蒔く施策を進める事業者もいる。筆者の推測だが、「数ある決済サービスの1つに埋没しないための施策」「条件付きで決済端末を無料配布することで、小売店を優位な条件で囲い込む」といった狙いがあるのではなかろうか。

2〜3年先に残っているプレイヤーはどこか

とはいえ、こうした乱戦状況は長くは続かず、そう遠くないタイミング、具体的には2〜3年内に主要プレイヤー2、3社を残して、残りは撤退または吸収合併、あるいは小規模なサービスとして細々と残る形になるだろう。

この時に残っている可能性が高い主要プレイヤーはどこか。関係各位への取材を通し、共通して本命に挙がっていたのが「LINE Pay」と「PayPay」の2つだ。まず、どちらもバックがLINEとYahoo!(ソフトバンク)ということで体力的に余裕があること、そして本業が別にあり、それらとの決済サービスの親和性が高いことも評価のポイントだ。


▲まだサービスインしていないが、QRコード決済の本命の1つとされるソフトバンクの「PayPay」

体力的に余裕がある、というのは「手数料0%キャンペーン」の部分に現れている。従来の金融サービスにおいて、手数料は利ざやが稼げる数少ない1つだ。つまり手数料0%というのは、稼ぐ手段が得られないことを意味する。
0%とは言わないまでも、1%前後に押さえたり、あるいは「キャッシュバック」を含めてプロモーションを展開するプレイヤーも存在する。その原資は「既存の決済ネットワーク(例えばNTTデータのCAFISや全銀協のネットワーク)を通さず、独自の決済ネットワークを構築する」ことで実現していることもある。


▲決済手数料0%が意味するものとは

会社のサイズ自体が小さければ、大手に比べて小回りが利くという点でもコスト面で有利だが、「大手が手数料0%キャンペーンを続けることで、先行投資が回収できないまま体力が削られ続ける」ということになる。結局、0%キャンペーンの正体とは「体力のないプレイヤーを脱落させるための"ふるい"」であり、時間が経過すればするほど大手が有利になるのだ。

LINE PayやPayPayは、コミュニケーションサービスやインターネット事業という強力な本業が存在し、手数料0%であっても情報マーケティングや各種プロモーションを通じていくらでも稼ぐ手段が存在する。

中国でAlipayやWeChat Payが非常に低い手数料で躍進した原動力でもあり、そもそも勝負のフィールドが違う。「手数料は悪」という発言も見受けられる昨今の風潮だが、この0%にはメリットもデメリットも存在しており、そのあたりの背景をよく考える必要がある。

少なくとも、「手数料0%」という文言自体がこうした企業の宣伝キャッチであるという点は覚えておいていいだろう。この手数料のからくりや実際については、後日改めて記事化する予定だ。

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