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お詫び:PS4『スパイダーマン』レビュー掲載が遅れた件につきまして (Marvel's Spider-Manレビュー)

爽快アクション x NY丸ごと再現のオープンワールド大作

Ittousai, @Ittousai_ej
2018年9月12日, 午後11:20 in Marvel
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ダンボールだからと期待せずにNintendo SwitchのVRで遊んだ結果……(小彩楓)

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小彩 楓, 4月6日
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プレイステーション4の独占大作、『Marvel's Spider-Man』(スパイダーマン)のネタバレなし先行レビューを  お伝えします 。お伝えする予定でしたが、執筆が間に合わず全然先行じゃなくなったことを読者各位に深くお詫びいたします。

発売前に評価機で試遊した立場として、ゲーマーに対し早期に情報をお伝えする責任があるところ、あまりの楽しさにあと少しあと少しと遊び呆けてしまい、記事が後手に回っておりました。

このような事態を招いてしまったことへの説明責任を果たすため、PS4スパイダーマンの一体どこにそんな中毒性があるのか・凡百のオープンワールド地図埋めサブクエ埋め系とどこが違うのか・歴代「スパイダーマン」好き的になぜグッと来るのか等、できるだけスパイダーマン初見者にもご理解いただける形でご報告し、反省文とさせていただきたいと思います。いまもこう打鍵しつつ、一刻も早くプレイを再開したいのが正直な気持ちです。

PS4『スパイダーマン』概要・そもそもなに系のゲームか


PS4版スパイダーマン Marvel's SPIDER-MANは、『ラチェット&クランク』や『レジスタンス』シリーズでプレイステーションと縁が深い米 Insomniac Gamesが、マーベルおよびソニーとの協力体制で開発した「オープンワールドアクションアドベンチャー」大作。

プレイステーション独占の目玉ですが、ゲームエンジンやスタッフ含め、オープンワールド縦横無尽ゲームとしてはXbox One独占のSunset Overdrive の系統に属しています。

ニューヨーク・マンハッタンを丸ごと縮小再現した広大なマップを舞台に、映画『SPIDER-MAN』そのままのスリリングなスイング・アクションで飛び回り、多数のハイテクガジェットや体術を駆使しつつ、おなじみの敵役スーパーヴィランズや手下のギャングと縦横無尽に戦うあのスパイダーマンになりきれます。

爽快で奥が深いアクションを基本としつつ、ゲーム全体の進行は高台からぐるっと見回して地図の範囲を広げ、凡例と照らしながらアイテムを集め、メインストーリーとは別の膨大なサイドクエストやミニゲームをクリアし、スキルツリーを伸ばし素材を集め武器を開発してゆく、超定番のいわゆるオープンワールドゲームです。

超人的な力で悪と戦うスーパーヒーローであると同時に、ガールフレンドや家族友人との人間関係に悩み、観光名所や自分をスマホで撮りまくり、ソーシャルでの評判を気にしながら、ひたすら家賃と働き口の心配に明け暮れるいまどきの若者ピーター・パーカーでもある「スパイダーマン」の二面性が、ストーリーだけでなくシステムを含めたゲームプレイそのものに渾然と織り込まれていることも大きな魅力となっています。

予備知識不要の新生スパイダーマン


スパイダーマンはあらゆるメディアで膨大な作品が作られてきた人気キャラクターのため、「なんとなくでしか知らない」「映画に出てるのは見たけどよく分かっていない」「詳しくないけど大丈夫かな」なかたも多いかもしれません。

しかし今作は原典コミックスからの伝統と、歴代映像作品からのオマージュを押さえつつ、完全にオリジナルの新生スパイダーマン。予備知識ゼロでも問題なく楽しめる一方、ファンには「やっぱりこうじゃないと」「こう来たか!」も多数あります。ここでシリーズの伝統に触れれば他の作品も一層楽しめる、「スパイダーマンデビュー」にも最適な作品です。

スパイダーマンといえば思春期の若者が直面する高揚と葛藤が大きなテーマの作品ですが、今回のスパイダーマン=ピーター・パーカーはゲーム開始時点ですでにヒーロー業が長く、名だたる特殊犯罪者スーパーヴィランズともかつて戦い下したことがあるという設定。

しかしピーターは何かと過去の因縁話を説明的に独白するうえ、「ハイスクール時代に街中に隠しておいた思い出の品を集める」というアイテム収集要素が過去のエピソードを伝える仕組みにもなっているため、知らないキャラクターの話をされても「そういうもの」と思って聞き流せば全く支障ありません。

でも一応スパイダーマン予備知識



とはいえ、基本だけでもおさらいしてから臨むほうが落ち着く場合のために、超簡単な「スパイダーマンとは」も記しておきます。すでに知っているかた、前提ゼロでここからダイブしたいんだ!という場合は読み飛ばしてください。

1962年にコミックスで誕生したスパイダーマンの基本設定は「両親を亡くし叔父叔母とニューヨークに住む高校生ピーター・パーカーは、科学実験を見学中に放射能を帯びたクモに噛まれ、超人的な感覚と運動能力、天井や壁に張り付く力を手に入れる。得意の科学知識を活かして作ったクモ糸発射装置と手製コスチュームを身に着けたパーカーは、謎の覆面ヒーロー「スパイダーマン」として一躍人気者に」。

スクールカースト下位の理系ギークで、上位の体育会系ジョックにバカにされる立場だったパーカーは新しく手に入れた力に夢中になるものの、ある悲劇的な出来事から「大きな力には大きな責任が伴う」(with great power, comes great responsibility) ことを学び、自分の力を自分のためではなく、地元ニューヨークの人々を助けることに使う本物のヒーローとして目覚めることになります。

作品よって設定は変わりますが、スパイダーマンのキモは「良き隣人としてニューヨークの人々を助ける世界的ご当地ヒーロー」「特別な力を持ちながら、ガールフレンドとの関係に悩んだり、家賃の心配をするごく普通の若者」「理系で発明の才あるガジェット野郎」、そして何より、命懸けで犯罪と戦いつつも常に軽口を絶やさない明るい性格であること。

(ぱっと見よく似ているデッドプールも軽口を絶やしませんが、あちらは死にたくても死ねず生き続けるのが辛すぎてブラックジョークでも連発しなければやってられない可哀想な皮肉屋です。他の作品ではわりとスパイダーマンと共演します。)

「ニューヨーク(を元にした街)を拠点にガジェットを駆使して犯罪と戦うアメコミヒーロー」枠には別会社のバットマンもいますが、あちらはすでにオープンワールドアクションゲームが人気シリーズ化しています。

しかしバットマンの中の人ブルース・ウェインが幼少期のトラウマから犯罪者を罰することに憑かれた億万長者で、基本どんよりした成人男性であるのに対して、パーカーは悲劇を経ても憎しみより人助けのために戦い、家賃が払えなくてもユーモアを忘れない好青年。

決してミスターウェインをdisるわけではありませんが、この対称的な主人公に象徴される世界観の違いと、ウェブを使った戦闘や移動のアクションのおかげで、アーカムシリーズとははっきり差別化できています。

移動だけで猛烈に!楽しい!



今作で何よりも特筆すべきは、美しいニューヨークの街をあのウェブスイングで移動するだけでひたすら楽しいこと。2002年の映画『スパイダーマン』が初めてリアルに描いて見せた、ビルとビルの間を超高速でスイングし、空高く舞ったと思えば地表ギリギリをすり抜けるあのアクションが存分に楽しめます。

仮にスパイダーマンが実在したなら、あの超高速移動はものすごく複雑なウェブ操作が必要になるはずですが、今作では何も考えずR2押しっぱなしで良い感じにスイング、離せば切って飛ぶ、また押しっぱなしでスイングと実に簡単。

最近の映画『スパイダーマン:ホームカミング』ではまだ力に慣れないピーターがビルに正面から突っ込んで潰れたりしていましたが、今作では激突しても何事もなく壁面をダッシュしたり、再スイングにつなげられます。ビルの谷間に落ちたり立ち止まっても、ウェブを引っ掛けて一瞬で加速できるため、大きなペナルティを負うこともありません。

「誰でも簡単」は「オートで退屈」になりかねませんが、少し慣れると基本のウェブスイングもタイミングの工夫や方向転換、地形に応じたアレンジでもっと高速に、思いどおりに動けることが直感的に分かってきます。



スイングのほかにも直線的に引いて真正面に加速する・空中で一瞬引っ掛けて急速転換といった技があり、組み合わせればあらゆる地形をさらに早く、自在に移動できるようになります。

特殊な移動システムとしては、屋外の比較的長い距離に使うスイングのほか、ウェブをひっかけられる場所にまっすぐ加速して移動するポイントジップもあり。

屋内でもジップできるポイントが無数に設定されているため、戦闘シーンで歩く代わりに高速移動で敵に肉薄するのはもちろん、たとえば建物内を行ったり来たりしてパズルを解くシーンでも、ほとんど歩かず瞬間移動を繰り返してサクサクと進められます。

素晴らしいのは、ひとり気ままに飛び回るだけでも楽しいこのトラバーサルの仕組みが、犯罪者を追うアクションやストーリー演出と一体化していること。

自動車で逃走するギャング団をスイングで追いつめるのも、ルートが決まった「追跡ミニゲームイベント」ではなく完全にシームレス。ただ楽しいからとビルの間を飛び回るうちに身に付けたトラバーサルの技が、緊迫感ある追跡シーンで活きてくるときは、プレーヤーと主人公が一体化したかのような没入感があります。

昨年の発表イベントで公開され話題になったヘリコプター追跡のシーンも含めて、このゲームのもうひとつの主役キャラクターとも言えるニューヨークの街を縦横に移動しながら物語が進行する場面は、PS4スパイダーマンでもっとも楽しいハイライトのひとつです。

爽快で歯ごたえあるバトル



移動と並んで中毒性があるのが、ウェブやガジェットを駆使した戦闘アクション。基本はカポエラやテコンドーのような格闘技で、適当に攻撃を連打すれば手近な相手にコンボが決まるタイプです。

超感覚「スパイダーセンス」のおかげで頭上に警戒マーカーが現れるため、あわせて回避ボタンを押すだけで、視界の外からの銃弾も突進もひとまずは避けられる便利な仕組み。最初のうちは、攻撃ボタン連打と回避ポン押しだけでスタイリッシュな殺陣が決まります。

バトルで使う技は、3系統のスキルツリーをアンロックして育ててゆく仕組み。最初から使える基本技も含め羅列すれば、

・相手をウェブで引き寄せる・自分が一気に間合いに飛び込む
・手近なオブジェクトを引っこ抜いて投げつける
・ウェブに絡めた相手を振り回して周囲の敵を蹴散らす、投げる
・ウェブで武器を無力化する、相手の手から奪う
・壁や屋根に一瞬で立体機動して翻弄
・スイングからのキック

といった、多彩な選択肢があります。

ステルス要素もあり、壁張り付きで思いもよらない場所に潜みつつ、孤立した敵をひとりまたひとりと不意打ちでブラ下げてゆくのは、ありがちとは言え抗いがたい楽しさです。

ゲーム進行に応じて開発できるガジェットは、

・相手を一瞬で吹き飛ばし、壁に貼り付けるインパクトウェブ
・敵を探し電撃を放つスパイダードローン
・ウェブ伝いに電撃を放ち連鎖的にスタンさせるエレクトロウェブ

など多数。



さらに新しいスーツを開発し着替えることで、防弾やゲージ回復や仲間召喚などの「スーツパワー」が使用可能。好みや得手不得手により、戦闘の組み立てと戦術のバラエティは非常に豊富です。

(開発できるスーツのデザインは、歴代のコミックスや映画に登場したもの多数。ピーターがありものの材料で手作りしたダサダサ手抜きコスプレのようなものから、アイアンマンことトニー・スタークが開発したハイテクスーツ、コミックスで展開した別の次元のスパイダーマンのスーツまで。)

戦い方の選択肢は例えば、格闘アクションと一瞬の反応が得意ならばギャングの群れに自ら飛び込んでコンボ主体に戦う、反応速度が重要なカウンター系を使う、ウェブで敵から敵へと嵐のように移動して銃撃をかわすなど。

「スパイダーセンス」のおかげで、敵の銃撃は狙われ始めた時点で射線が白い線で表示され、色で危険性が判断できるため、回避や高速移動を続けることで狙いが定まらず当たらない状況にできます。

乱戦が不得手なら範囲攻撃やノックバックで距離を取って片付ける、相手に気づかれる前にステルスで戦力を削る、リーチ外からひたすらガジェットで遠距離戦を挑むなどなど。(ボス戦以外は)自分の戦い方を作って実行する楽しみがあります。

フォーカスゲージとフィニッシュムーブ、回復の関係


スパイダーマンには体力ゲージのほか、コンボを決めるなど積極的な行動で増えるフォーカスゲージがあり、満タンになると敵の体力にかかわず特別な演出で瞬殺できるフィニッシュムーブが使えます。

面白いのは、このフォーカスは方向キー下を入れるだけで、いつでも体力に変換して回復できること。フォーカスをとりあえず消費してひと息つくか、集中して被弾を避けつつフォーカスフルに持ち込みバッサバッサと薙ぎ倒すかを常に意識するシステムです。

ある種のアクションゲームでは、敵の群れに飛び込み爽快に攻める技が用意されているのに、被ダメージと回復の手間やリソースを考えると、結局はネチネチと遠間から時間をかける安全策をとったほうが、ゲーム進行からは「賢い」行動になってしまい、積極的な技が趣味やロマン枠になってしまうことがあります。

しかしスパイダーマンではこのフォーカスとフィニッシュムーブ、回復のおかげで、慎重かつ大胆に攻めるインセンティブがあり、リスクテイキングが報われるシステムです。

リソース管理を持ち越さない戦闘

これはゲームの優劣よりも好みに属する点ですが、スパイダーマンの戦闘では体力もフォーカスもすぐにリセットされ回復するほか、ガジェットの残弾数も比較的簡単に回復できるようになっており、ひとつの戦闘で気持ちよく使い切れます。

オープンワールド系に限らず、リソース管理や武器弾薬のクラフト系システムがややこしいゲームの場合、せっかく新しい武器やアイテムや魔法がアンロックされても、今後の進行でどれくらいリソースを獲得して補給できるかが不明で、長期的なジリ貧を避けるためなかなか使えず我慢を強いられることがあります。

あるいは気持ちよく戦闘に勝利した直後、獲得したドロップやXPと比較して「使ってしまったアイテムの分、これじゃ差し引きマイナス」と気づいてやり直したくなり、テンポが削がれてしまうなど。

スパイダーマンの戦闘ではガジェットの残弾もその場その場で比較的容易に回復できるため、事後に収支や今後の弾薬クラフトを考えてせっかくの勝利に水をさされることがありません。

試行錯誤と戦術組み立て


最初は基本技だけでも覚えるのが大変ですが、慣れてきたら操作リストを見返して、使ってなかった技を使ってみる繰り返しで場の主導権を得られるようになります。

選択肢が広いだけに戦闘はなかなか歯ごたえがあり、回避を意識せず単純に連打しているだけでは、すぐに敵に囲まれて行き詰まってしまうバランス。

難しくなってきたら、やられてしまう状況を振り返りつつ、自分にあったスキルを解放して試す、スタイルにあわせたスーツパワーや改造(Mod)を組み合わせて最適化してみる......といった試行錯誤で打開できます。

最初はまるで歯が立たずイベントの順序を間違えたかと思うような戦闘に、使える技を発見したり、発想を変えてみることで勝てるようになる楽しさは格別。

アクションに入る前のスキルや装備開発・組み合わせも含めて、臨機応変に流れを組み立てることを楽しめるプレーヤー、上達を楽しめるプレーヤーには実に楽しめる奥深いアクションです。

一方、 「ストーリーを楽しみたい人向け」とされる最低難度のフレンドリーを選んでも、ボタン連打だけでは普通に倒されてしまいます。アクションは本当に苦手、ゲーム経験がない、戦闘はむしろフルオートがありがたいというプレーヤーには厳しいかもしれません。


お約束&驚きのストーリー。主人公以外の視点も




枝道が楽しくて本筋を忘れるのはオープンワールドゲームあるあるですが、PS4スパイダーマンのメインストーリーは意外にも(?)、先が気になるドラマチックな展開が楽しめます。特に物語が動き出しややシリアスになる中盤以降。

シリーズ伝統のスーパーヴィランズ(スーパーヒーローの宿敵キャラクター)も、スパイダーマンのファンならば「いやいやwww」と思うようなバレバレ状態で登場しながら、今作独自の展開ではそう来たか!という新鮮なひねりもあり。

今作ではピーター・パーカー以外の人物が操作キャラになることがあり、主人公以外の視点からの物語も語られます。

ゲームとしていえば、スパイダーマンの能力が使えないうえに創意工夫の余地もほとんどなく、失敗するとやり直しの強制一本道ステルスゲームになる展開があり、ほぼ絶賛ばかりのこのゲームでも「あれだけはイライラした」と呼ばれる点ですが、少なくともストーリーとしては、ピーター以外の視点が含まれることで厚みが出ているのは確かです。

(スパイダーマンのお約束をあまり知らない場合、中途で出会うキャラクターが果たして何者なのか、別の作品では伝統の重要キャラなのかそうでないのかが気になるかもしれませんが、とりあえずは今作だけの情報で遊んで問題ありません。)

ネタばれになるため話の展開には直接触れませんが、サブクエストや小さなランダムイベント、あるいは名もない市民からのちょっとしたセリフを通じて、スパイダーマンが「孤独な復讐者ではなく、隣人を悲しませないために戦う地元ヒーロー」、「ユアフレンドリーネイバーフッド」であることがプレーヤーにも実感でき、感情移入しやすい作りになっていることも、加速し始めてからのメインストーリーの印象をさらに強めています。

オープンワールドのシステムでキャラクターを描く



ゲームを開始してすぐ、爆発するビルに取り残された人々を救うべく通気口を這いまわっていると、育ての親のメイ叔母さんからピーターに夕食がどうこうと電話がかかってきます。

「ずいぶん騒がしいのねえ」「いやその、いまアクション映画を観てるんだ!」という、正体を隠すヒーローものあるあるネタで、スパイダーマン/ピーター・パーカーという二面性あるキャラクターを導入する演出ですが、アクションのさなかの着信で慌てるのは、ある意味で今作の「現代を生きるスパイダーマン」を象徴する場面です。

この「それどころじゃないのに着信・留守電メッセージ」は、ゲーム全編にわたって様々な相手から届きます。育ての親のメイ叔母さんを始め、親友、ガールフレンド、協力するNYPDの警察官たち、表の仕事の雇い主にして尊敬する上司などなど。

ピーターはスパイダーマンであることを少数の相手を除き隠しているため、スパイダーマンに連絡してくる相手、ピーターに連絡してくる相手がいますが、主人公をめぐる登場人物たちそれぞれの生活と感情と声、対するピーターの時に皮肉な、時に悲痛なセリフは、オープンワールド散策中にも途切れず続きます。

(驚くべきことに、メーカーInsomniacはこの会話を「普通」と「戦闘中や移動中で息を切らせているとき」の二種類収録したうえで、ゲーム中にダイナミックに使わけているとのこと。)

このゲーム進行中にも流れ続ける「語り」には、スマホ着信に加え、とある事情からスパイダーマンを目の敵にするジャーナリストのラジオ放送(ポッドキャスト)や、ゲーム内の架空SNSに寄せられるニューヨーク市民の声という設定の「ソーシャルフィード」があり、どちらもプレーヤーが「スパイダーマンとしてどう行動したか」に対応して刻々と変わってゆきます。



高層ビルのあいだを飛び回るスパイダーマンは当然ながら孤独な存在ですが、このひっきりなしに更新されるメッセージや通信というシステムのおかげで、本筋ではないミニゲームやアイテム探し中でも、この箱庭ニューヨークが単なる地形ではなく生きた人のいる街に感じられるシステムは実に見事です。

地上に降りて歩いてしまうと、さすがに人の群れの描写は優先度が低いためか情報量は下がり、あまりニューヨークらしい活気も通行人のバリエーションもありませんが、それでも「あの」スパイダーマンを見かけて本物??と驚く声や、サインを求める声、時には「以前の何々事件で家族が助けてもらって」という市民など、ただの通行人でない市民とスパイディのやりとりを再現しようとする努力がみられます。

いずれも、「メインシナリオを進めるとカットシーン会話で説明される物語」だけではないあの手この手で重層的にピーターというキャラクター、そしてニューヨークの街と人々というキャラクターを描くことに成功しており、ブラブラと散策していても、本筋を進めていても楽しく中毒性がある理由となっています。

堂々たる独占大作、アクション好き万人におすすめ


延々と楽しさを述べてきましたが、規模が大きな作品だけに好みが分かれる点、これは蛇足では?と思える点も多々あります。一部を挙げれば、

(追記:下記のうち多くは、発売直後のパッチで解決しました。)

・すでに述べた強制一本道ステルス展開。主人公以外のプレイアブルキャラクター視点でイライラミニゲームを入れなきゃいけない決まりでもあるのか?と疑問になるほどありがち。

・戦闘やイベントの多くに挟まるQTE (カットシーンと唐突なこのボタンを押せ!こっちを連打!の指示がでるやつ)。QTEはむしろ高評価するプレーヤーもおり、場面により気持ちの良い使い方もあります。
(更新:QTE自動成功のオプション追加)

しかし通常のバトルはスタイルの自由度が高いのに、ボス戦などでは結局は同じQTE演出を繰り返すしかない場面は作業感を感じざるを得ません。

またせっかくスパイダーマンとして様々な技を身に着けたのに、カットシーン演出優先のためどうやっても必ず先に攻撃され、特にこれまでのゲームとは無関係な反射神経ボタン押しを強いられるのは正直微妙な点。まあ、押すボタンの種類が比較的予測しやすいだけでマシなほうではあります。

(プレイステーションデビューのかたは、丸とバツは他の日本のゲーム機でも決定キャンセルで共通として、ほかのボタンは「三角は上向きだから上、四角は左」を意識して覚えてください。)

・存在意義が謎なミニゲーム。ピーターは荒事だけでなく研究にも秀でた科学者であることを見せたい?のか、なんとなくパズルが挟まります。

たとえばこれがドアや敵ロボットのハック的な要素で、ゲーム本編の展開と緊張感を持ってつながっているならともかく、ピーターの「研究」パズルはただ手間がかかるだけ。強制ではないものの、スーツなどゲームプレイに大きな影響がある要素のアンロックに必須です。

年少のプレーヤーにSTEM分野への憧れを持たせる?的な意義なのかもしれませんが、リソース獲得のために延々と繰り返す必要があるこのパズルは、万人向けに難度を抑えたためかパズルとしても解く快楽よりも操作の面倒のほうが上でした。

本当に必要だったのか、入れるにしても操作性はなんとかならなかったのか、面倒を感じる点です。アクションの箸休め?的に、やったあパズル来た嬉しい!というプレーヤーもいらっしゃるとは思いますが、それにしても延々と繰り返すと退屈でテンポを削ぐ点。

(更新:パズルの自動クリアオプションが加わりました。配線ゲームもタワーのアンテナチューニングも、ボタン一つでクリアできるようになります。)

・音声・字幕言語がシステム言語に決め打ち。日本語設定のPS4で、音声は英語、字幕は日本語といった組み合わせは不可。外国語音声を聞きたい場合、システム自体を変更して字幕ごと変えるしかありません。

日本語吹き替えは膨大な物量にもかかわらず非常に優秀で、聞いていても楽しいデキなのが救いですが、モノが洋画や英語圏コンテンツとして長いスパイダーマンだけに、ここは映画のように選択肢を与えてほしかったところです。

強いて挙げようとしてもこれくらい。いずれも、瑕疵というより好みが分かれる程度で、むしろそこが良いプレーヤーも多いかもしれません。

ゲームの性質として、あえて買う前に気にする点を挙げるなら、

アクションはコツを掴むまで(掴んでも) 歯ごたえがある。本当に苦手だったりアクション初心者には厳しい学習曲線が待ち受けていること。かんたんモードならば無敵で接待してくれるタイプではなく、普通に死ぬタイプです。適当操作でお話だけ楽しめるモードはいまのところなし。

洋画吹き替え口調で常にジョークを言い続ける主人公が苦手な場合は無理 (そもそもの売りでもあり、嫌いな場合はスパイダーマンを買おうと検討しないとは思いますが、念の為。)

システムは一般的なオープンワールドRPG程度に複雑。アンロックや開発の系統が何種類もあり、必要なリソースと入手手段もそれぞれ別。

地図埋めスキルツリー伸ばしアイテムクラフト系大好き勢にはそこが楽しいところだろ!と言われそうですが、映画のスパイダーマンが好きで、シンプルにアクションとストーリーを楽しみたい場合にはかなり高いハードルです。


総合的には驚くべき完成度で、根幹はもはや古臭いマップ埋め凡例参照系オープンワールドでありつつ、移動や戦闘の楽しさ、優れたキャラクター演出から、新鮮な感覚で遊べる大傑作です。






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