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いずれiPhoneからSIMスロットがなくなる? AppleがDSDS対応に踏み切った理由:週間モバイル通信 石野純也

日本国内でのeSIM対応に期待

石野純也 (Junya Ishino)
2018年9月15日, 午後12:00 in mobile
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ご存知のように、9月12日(現地時間)、米クパチーノで「iPhone XS」「iPhone XS Max」「iPhone XR」の3機種が発表されました。すでに記事は盛りだくさんなので、改めてスペックなどの詳細には触れず、ここでは現地取材で筆者が気になったことを書いていきます。

ほかの方も記事にしていますが、モバイルを専門にする筆者にとって、やはりテンションが上がったのは3機種がDSDS(デュアルSIM/デュアルスタンバイ)に対応していることが発表された瞬間です。アドレナリンがドバっと出たのか、思わずメモを取る手を止め、Twitterで叫んでしまいました(笑)。


▲iPhoneのデュアルSIM対応が発表された瞬間

DSDSとは、簡単にいえば2つのSIMカードで同時に待ち受けする機能のこと。日本でもSIMフリースマホでは一般的な機能になりつつあり、大手キャリアとMVNOのSIMカードを同時に使ったり、海外に行ったときにローミングで待ち受けしながら現地のSIMカードでデータ通信をしたりといったシーンで利用されています。


▲異なる2つの番号を使ったり、海外で現地通信事業者と契約する利用シーンが想定されている

ところが、iPhoneはその一歩先を行きました。2つ目のSIMカードが、端末に内蔵されたeSIMだったからです。アップルはこれまで、ソフトウェアで書き換え可能なSIMカードに積極的に取り組んできました。独自規格としてiPadをApple SIMに対応させたほか、Apple WatchもSeries 3からeSIMに対応しています。

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▲iPadやApple Watchで書き換え可能なSIMカードに取り組んできたことをアピールするフィル・シラー上級副社長

2月にMobile World Congressで取材した通信ベンダーのエリクソンによると、Apple WatchのeSIMは、世界各国のキャリアで構成されるGSMAの策定した標準仕様に則っているとのこと。SIMカードに情報を書き込むプロビジョニングの仕組みは、エリクソンも開発に協力したようで、今年のMobile World Congressでも、同社のブースでその様子が公開されていました。ちなみに、日本でも一部キャリアはApple Watchのプロビジョニングにエリクソンの設備を使っているようです。

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▲2月のMWCで取材したエリクソンのブースでは、Apple WatchのeSIMにプロビジョニングする仕組みが公開されていた

Apple Watchの場合、大まかな流れとしては、プライマリーデバイス(1台目の端末)であるiPhoneを経由して、セカンダリーデバイスのApple WatchにSIMカードの情報を書き込んでいます。この仕様はウェアラブル端末向けに作られたもので、2016年に発売されたサムスンの「Gear S2 Classic」が真っ先にこれに対応しました。

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▲最初に標準仕様にのっとった端末は、サムスンのGear S2 Classicだった。写真は2016年のMWCで撮影

今回はアップルがあえてeSIMと呼んでいることから、新iPhone3機種に内蔵されるeSIMも、独自規格ではなく、標準仕様に則ったもの、またはそれに近いものと考えられそうです。ただし、iPhoneはプライマリーデバイスにあたることから、細かくいうと、Apple Watchとは異なるスマホ向けの仕様になっている可能性が高くなります。


▲Apple SIMではなく、eSIMと呼んでいる

仕組み的な前置きが少々長くなってしまいましたが、標準規格に則っているため、世界各国のキャリアにとっては、導入が容易になりそうです。発表会では、主なキャリアとして、EEやVodafone、ドイツテレコム、米T-Mobile、AT&TにVerizonといった超大手の名前が挙がっていました。JioやAirtelといったインドのキャリアの名前もありました。Apple SIMにはサービスを提供していなかったVodafoneやVerizonの名前もあり、少なくともApple SIMより、対応キャリアは増えそうです。

残念ながら日本のキャリアの名前はここには挙がっていませんでしたが、各社とも、eSIMのプラットフォームはすでに持っているため、何らかの条件をクリアできれば、対応できる可能性はありそうです。インバウンド対策として、プリペイドの料金プランを提供するといったこともできるかもしれません。

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▲Apple SIMには非対応だったVodafoneやVerizonの名前も。日本での対応も期待したい

大手キャリア以外では、フルMVNOとしてHSS/HLRを持ったIIJに期待したいところです。IIJはIoT向けのeSIMを開始することを予定しているほか、世界各国で使えるデータSIMの「AIRsim」に対してSIMの管理番号(IMSI)を払い出しており、インバウンド対応をしています。アップルとの交渉は必要になりそうですが、もしiPhoneのeSIMでIIJが選べたら、インパクトは大きくなりそうです。


▲IIJもeSIMプラットフォームの準備を進めている

日本のユーザーが海外で利用する場合にも、iPhoneのeSIMは役に立つ可能性がありそうです。特にMVNOの場合、ほぼすべての会社がデータローミングを提供できていません。これは加入者管理機能(HSS/HLR)を持っておらず、SIMカードを大手キャリアから貸与されているためです。

こうしたユーザーが海外に出かけるときは、日本でローミング用のSIMを買うか、現地でSIMカードを調達する必要がありましたが、新iPhoneであれば、一部の国ではその必要なくスムーズに通信できるようになりそうです。その意味で、海外渡航が多いMVNOのユーザーが新しいiPhoneを選ぶのはアリだといえます。

とはいえ、発売時点では、eSIMは利用できないようです。アップルによると、ソフトウェアアップデートでの対応を予定しているとのこと。発表会で展示されていた端末を見ても、eSIMの設定をする画面がなく、ハードウェアとしてeSIMが搭載されていることが端末情報で確認できただけでした。今後の対応状況にも注目しておきたいところです。

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▲実機でもセカンドSIMの存在は確認できたが、まだそれを稼働させるソフトウェアが存在していなかった

アップルの中では、将来的にはSIMカードスロットがなくなり、すべてをeSIMに集約することも念頭に置いているのかもしれません。ただ、そのためには世界各国のキャリアが軒並みeSIMのプロビジョニングに対応する必要があり、iPhoneの展開国の広さを考えると、一筋縄にはいかないでしょう。

実際、当局の規制が厳しい中国ではeSIMが認可されず、Apple Watchもその機能が発売後にふさがれてしまう事件がありました。今回のiPhoneが中国のみ物理SIMの2枚挿しとモデルを分けてきたのも、こうした事情を踏まえたものといえそうです。


▲規制の厳しい中国では、物理的なSIMカードを2枚挿しする仕様に

【2018/09/15 18:30追記】初出時、写真の順番とキャプションの内容が入れ替わっておりました。読者並び筆者にご迷惑おかけしましたことをお詫びし、訂正いたします。




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