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新iPhoneが真価を発揮するのはこれから? iPhone XS Maxから見えた可能性

ポテンシャルの高さを実感しました

石井徹(TORU ISHII), @ishiit_aroka
2018年9月30日, 午後08:00 in iPhone XS Max
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iPhone Xを1年使っていた筆者がiPhone XS Maxを体験して気づいたことをレビューします。多くのレビューで指摘されているように、性能向上を体感できたのは「カメラの改良」でした。AI性能が加わったカメラを試用する中で感じた"可能性"について、筆者の私見も交えたレビューをお届けします。

良い意味でも悪い意味でも変わらない

iPhoneは使用感を変えないように気を遣って設計されているためか、いつも「前のiPhoneと使用感が変わらないなあ」といったような感想を抱くのですが、今回のiPhone XSシリーズではその印象が顕著でした。

今回、iPhone史上最大のディスプレイを備えたiPhone XS Maxの方を体験したため、大画面特有の便利さと不便さを味わいました。一方で、「iPhone XS」はiPhone Xと筐体も画面もまったく同じ大きさで、並べてみても違いが分からないほど。iPhone XをiOS 12にバージョンアップしてしまえば、動作のなめらかさでも違いを感じるのが難しいほどです。良い意味で言うと「操作に戸惑わない」ですし、裏を返せば「代わり映えがしない」とも言えます。

右はiPhone XS Maxですが、外観もiPhone X(左)からほとんど変わっていません。アップルによると、iPhone XSシリーズの前面・背面ガラスには硬度の高いものが採用されており、傷つきにくくなっているそうです

「iPhone XS Max」の場合、大画面化・狭額縁化という大きな違いもあります。6.5インチという大画面には、表示できる情報量の多さから、特に便利と感じるシーンも多々あります。一方で、タッチ操作がかならずしも最適化されているとは限らず、特に片手持ちで使うには厳しい操作もありました。


顕著な違いがわかるのはカメラ

ハードウェア性能の違いが分かりづらい今回のアップデートですが、明らかに違うのがカメラの写りの良さ。特に夜景や夕暮れのシーンのような、明暗の対比が強いシーンでは、iPhone XSシリーズの写りの良さが際立ちます。

iPhone XS Maxレビュー

iPhone XSにはAppleが「スマートHDR」と呼ぶ新機能が搭載されています。といっても、画面表示では特に変化はなく、必要なシーンで自動で動作します。今まで通り、ただ写真を撮るだけで、新機能の恩恵にあずかれることになります。

このスマートHDRは、iPhone XSシリーズの新チップセット「A12 Bionic」の性能を活用したもの。A12 Bionicでは"人工知能(AI)的"な処理性能が強化されており、Smart HDRでは明度や彩度などの微調整でそうした処理を行っているとみられます。

一眼カメラで夜景を撮るときは、シャッタースピードや露出の調整などに神経を使うものですが、ボタン1つ押すだけでそれに迫る写真を撮れるiPhone XS Maxのカメラにはなかなかのインパクトがあります。

デジタルズームの性能も良く、SNSにアップする用途なら、10倍ズームでも十分使い物になるのではと感じるくらい、ズーム特有の荒れが抑えられています。

iPhone XS Maxレビュー
↑iPhone XS Maxで撮影。左が広角、中央がデジタル2倍ズーム、右はデジタル10倍ズーム
iPhone XS Maxレビュー
↑比較としてiPhone Xで撮影したもの。左が広角、中央がデジタル2倍ズーム、右はデジタル10倍ズーム。10倍ズーム時の差が大きい

多少脱線しますが、このようなチップセットでAI性能を強化するアプローチはファーウェイが先行しています。同社のAndroidスマホ「HUAWEI P20 Pro」もカメラにAI処理を追加しており、夜景の撮影ではスマートフォンで撮ったとは到底思えないほどくっきりした写真が撮れるモデルです。
それだけでなく、建物から食べ物まで、どんなモノを撮っても「インスタ映え」しそうな写真が撮れてしまうというのが、ファーウェイ製スマホの面白いところ。


P20 Proのアプローチを踏まえてiPhone XS Maxで撮った写真を眺めると、「写真の画質改善」というゴールに対して、少し異なる解釈をしているように思えます。すなわち、ファーウェイはSNSにアップした時に見栄えがいい写真を作るという志向であるのに対して、Appleは簡単な操作で見たままの風景を記録できるというところに重きを置いているように思います。

iPhone XSシリーズの「スマートHDR」は、AIによる被写体判別機能やコントラスト補正などを生かして、主にスマートフォンのセンサーの弱点である露光量の少なさを克服するような処理と言えます。できあがった写真は、ファーウェイ端末で撮ったほど"映え"はしないものの、より自然で、目で見た風景に近いような画作りです。

Gallery: iPhone XS Maxの撮影サンプル | 10 Photos

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また今回は、ポートレートモードにもAI処理による機能改善が加わっています。"ボケの具合"、つまり被写界深度を撮影後に調整できるようになりました。それだけでなく、「自然光」や「ステージ照明」などの照明効果も撮影後に変更できるようになっています。

ポートレートモードの改良では、性能の改善よりも、機能の幅が広がった点がうれしいと感じました。これまでの撮影するときに照明効果を決める形では、何パターンか撮りたいときはその都度変更する必要がありましたですが、iPhone XSシリーズならまずは撮影に集中して、どの効果をかけるかは後で考えればいいわけです。
モデルさんを待たせることもなくスムーズに撮れる分、使い勝手が良くなったと言えます。

iPhone XS Maxレビュー
↑ポートレートモードの効果を撮影後に編集できる。モデルはITジャーナリスト富永彩乃さん

Gallery: iPhone XS Maxのポートレートモード | 6 Photos

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「予備電力付き」なSuicaはやはり安心

日本向けの改善点として、Apple PayのSuicaに「予備電力付きエクスプレスカード」機能が追加されています。これは、iPhone本体の充電が切れた後でもエクスプレスカードに登録したSuicaを使えるというもので、その持続時間は5時間ほど。
これまでのApple Pay Suicaでは、入場改札をくぐった後にiPhoneの電源が切れると出場改札を通れなくなるという問題があっただけに、待ち望んでいた改善の1つでもあります。

iPhone XS Maxレビュー
Appleのサポートページによると、エクスプレスカードの予備電力の持続時間は最大5時間とのこと

なお、この機能が有効になるのは、iPhoneが電池切れになったときだけ。ユーザーが意図的にシャットダウンしたときは、「予備電力付きエクスプレスカード」は作動しませんのでご注意を。また、充電が復活した後に初めてエクスプレスカードを利用する際は、FaceID認証が必要になります。

「真価」はこれから?

iPhone XSシリーズのチップセット「A12 Bionic」でAI処理の高度さを実感できるのは、今のところカメラの改良という形だけ。その変化だけに着目すると、買い替える度に性能が大幅に強化されていた数年前までと比べた場合は、肩すかしをくらいそうなくらい小粒な改善に見えます。

やや話がそれますが、iPhone XSシリーズのラインナップを再確認してみましょう。昨年発売のiPhone Xと同サイズの「iPhone XS」、iPhone 8 Plusと同じサイズでノッチ付きのフルディスプレイになった「iPhone XS Max」、そして10月発売のカラバリモデル「iPhone XR」の3モデルのラインナップ。

この中で気になる存在が"廉価モデル"と言われるiPhone XR。3モデルの中では確かに廉価ですが、最低容量で税抜8万4800円からというのは、昨今のAndroid機ではハイエンドモデルの価格帯です。

かつて登場したiPhoneの廉価モデル「iPhone 5c」や「iPhone SE」には、同時発表のフラッグシップモデルより一世代前のチップセットを搭載していました。ところが、iPhone XRは上位モデルと同じ最新チップセット「A12 Bionic」を搭載しています。

iPhoneのラインナップ
↑iPhone 7/7 Plusを入門モデルとして残す新ラインナップからは、販売戦略の転換が見て取れる

そしてもう1つ気になるのが、iPhone XSシリーズの発表と同時に更新されたiPhoneのラインナップ。2016年発売のiPhone 7/7 Plusは続投となった一方で、昨年発売の「iPhone X」は、AppleのWebサイト上のラインナップから姿を消しました。

iPhone 7シリーズの続投は、iPhoneの販売戦略の転換を示すものでしょう。スマートフォンを買い替えても劇的な性能向上が見込めなくなった中、数年前に発売した型落ちのiPhoneを"廉価モデル"として仕立てることで、発売直後のモデルの値崩れを防ぐのが狙いと思われます。


一方で、iPhone Xを早々に販売終了としたのには、2つの意図があると筆者は考えています。1つは単純で、iPhone Xのデザインが「iPhone XS」とほぼ共通になっていること。生産ラインの効率化や販売時での食い合いを無くすためには、iPhone Xをラインナップから消してしまうのが合理的です。

そしてもう1つが「A12 Bionic」というチップセットの存在。つまり、この最新チップセットを搭載するiPhoneの販売台数を早期に拡大したいという意図があるのではないでしょうか。

ハードウェアとしての性能向上したとしても、それを生かすソフトウェアが伴わないことには宝の持ち腐れです。A12 Bionicを搭載するiPhoneでは、カメラの改良やAR(拡張現実)を用いた「計測」機能などが搭載されましたが、新モデルの機能としては小粒に感じられます。

iPhone XSシリーズの発表と同時に、アプリ開発者向けにはA12 BionicのAI処理機能を用いた開発環境も提供されています。この新チップを搭載するiPhoneの販売台数が伸びれば伸びるほど、アプリを提供する側としては対応するメリットが大きくなります。

A12 Bionic

「カメラにおけるAI活用」という視点でスマートフォン市場を概観すると、すでにライバルのファーウェイが昨年発売の「HUAWEI Mate 10 Pro」で取り入れています。ファーウェイは直近の販売シェアではアップルを上回っていますが、多くのメーカーが採用するAndroid陣営の1社でもあり、メーカー独自機能に対応するアプリ開発を促すのは難しい立場とも言えます。

一方でアップルの強みは、iPhoneというハードウェア、iOSというOS、App Storeという配信プラットフォームをすべて1社で提供していること。新しいハードウェアを発売したときも、OSレベルで対応したり、配信プラットフォームで推奨したりすることで、その独自機能に対応するアプリを一気に増やすことができる立場にあります。

アップルの狙いは、そうしたプラットフォーマーとしての強みを前提にしながら、A12 Bionicを搭載した"廉価モデル"「iPhone XR」の投入を起爆剤として、AI処理性能を生かしたアプリを爆発的に普及させる点にあるのではないでしょうか。

つまり、iPhone XSシリーズの真価は、AI処理機能に対応したサードパーティー製のアプリが登場したときに、初めて実感できるようになる、というのが筆者の意見です。カメラの改善は、新iPhoneの実力の一端を見せたに過ぎません。発売直後の今の段階で、その性能を評価するには時期尚早ではないでしょうか。

そう考えると、新iPhoneは「半年後に買っても十分間に合う」とも言えそうです。もちろん、カメラにはその性能を生かした改善が取り入れられていますので、いち早く性能を体験したいなら「今買うべき」でしょう。ガジェット好きの間で伝わる至言「欲しいときが買いどき」という言葉がしっくりくるiPhone XS Maxでした。


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