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Pixel 3発表に思う。グーグル、マイクロソフト、アップル それぞれが進む道とは?(本田雅一)

3社3様

本田雅一, @rokuzouhonda
2018年10月12日, 午後08:00 in google
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先日、アマゾンがAmazon Alexa対応製品を中心に多様なプライベートブランド製品を発表したばかりですが、10月9日(日本時間10月10日午前0時)にはグーグルが第三世代となるPixelスマホ「Pixel 3」を発表。夜が明けて、昔なら「体育の日」とされていた日になると、米国発表会を追いかける形で、日本でもおサイフケータイ対応のPixel 3が発表に。NTTドコモとソフトバンクから発売されることも明らかになりました。

Pixel 3



"旧・体育の日"は晴天率が高いことから東京オリンピック開会式の日に選ばれたという話は広く知られています。そんな今年の10月10日も例に漏れず秋晴れ。やはり"特異日"なのか、示し合わせたように日本マイクロソフトも米国で発表済みだったSurfaceシリーズの新製品を日本でも発表会を開催しています。

ちなみにIT系の製品ではありませんが、アイロボットジャパンが「Roomba E5」を同日に発表しています。アイロボットジャパンは、日本市場において厳しいメーカー間競争が繰り広げられている白物家電のジャンルでロボット掃除機市場の60%を持ち、草分け的存在。その同社が発表した「Roomba E5」は、従来比5倍の吸引力を実現しつつもバッテリー持続時間は長く、なんと4万9880円という低価格を実現した製品です。(実を言うと、僕はこっちの発表会に行っていました)。

これは売れそうだと思ったら案の定、モノ系雑誌の編集長が「これ、絶対バカ売れしますよ」と。"Engadgetで掃除機は関係ないだろ!"というツッコミもあるでしょうが、とまぁ、いっぺんに色々なものが発表されて大変だった旧・体育の日。それぞれの製品に対して感じるところもあるのですが、各社の"立ち位置の微妙な違い"が感じ取れて、興味深い日だったとも言えるでしょう。

なんてことを今回はコラムで書き綴ろうと思います。まずは製品に関して。

"意外性のなさ"が良い感じなSurface Laptop 2

ひとつひとつの製品については取り上げるつもりはないのですが、マイクロソフトの新製品の中で、もっとも意外性があったのは「Surface Headphone」、もっとも平凡で普通に見えるのは「Surface Laptop 2」でしょうか。



......と書きかけて、"意外に感じた"ことがもうひとつあるのを思い出しました。今回のSurfaceシリーズ、Headphoneを除けばすべて入出力のインターフェイスなどを含め、ハードウェアの基本的な構成が変化していないことです。

逆に言えば、完成度が高いともということなのかもしれませんが、さすがにUSB Type-Cコネクタの周辺デバイスも増え、レノボ、HP、デル、ASUSなどがType-Cへと切り替えている中、USB Type-AのUSB 3.0(+Surface Connect端子を通じたポートリプリケータとMini DisplayPort)で押し通すというのはちょっと驚き。

もっとも、Surfaceファミリーという意味では、従来からの投資してきた資産をそのまま活用できるという面で悪くない話でもあるんですけどね。

Surface

さて、少し話が逸れましたが、僕がこれらの中で一番グッと来たのはSurface Laptop 2ですね。そろそろ後継機の噂もありますが、Macには競合する製品がありませんし、Windowsという枠組みで考えると3:2の縦横比を持つディスプレイは、それだけで魅力的だと思いますよ。情報ツールとしてクラムシェル型のコンピュータを使うのであれば、タスクバーが居座ることも考えると3:2は理想的。

実はWindows 8が登場する際、マイクロソフトは画面の縦横比のリファレンスとして16:9に収斂させるデザインガイドを出していたことがあるんですが、マイクロソフト自身がとっくの昔にこのルールを破るどころか、積極的に使い続けているのだから、レノボあたりもそろそろ3:2に切り替えて欲しいものです。

ということで、上位モデルはちょっと高めの値付けな印象もありますし、相変わらずOfficeバンドルしか個人向けには用意されていないところが引っかかりますが、僕が買うならSurface Laptop 2ですね。

Surface Headphones

「Surface Headphone」の方は、僕の別ジャンル(Audio & Visual)での専門分野なのですが、こればかりはしっかりと評価してみなければなんとも言えないところ。ダイヤルを用いたユーザーインターフェイスは使いやすそうですが、ヘッドバンドの位置やドライバユニットのハウジング設計を見る限り、パソコンで作業しながら使うことを想定していて、旅行などでの利用はあまり想定していないという印象を受けました(特にヘッドバンドは真上に伸びているので、飛行機内でリクライニングした際にズレやすそう)。

いずれにしろ日本市場への投入は来年とのことなので、米国市場で先に使い勝手やノイズキャンセリング性能の評価が、日本発売までには確立されているはずです。

グーグルはPixelで何をやりたいのか?

Pixel 3

一方、グーグルの製品はエキサイティングと言えばエキサイティングな面もありました。冒頭でも挙げたように、おサイフケータイに対応することで、日本の消費者にもフレンドリーな製品となっています。



その背景には、おサイフケータイ対応端末の開発を容易にするため、FeliCaネットワークスの数年に渡る影なる努力があるのですが、事実上Android OSを管理しているグーグル自身の開発する端末が、日本の決済インフラに対応したことは素直に喜ばしいことです(中・長期的視点ではGoogle Payの枠組みでFeliCa対応しないのかよ? というツッコミもできますけどね)。

Google Pay

多くの業界トレンドを取り入れ、現代のスマートフォンに求められる期待に応えられるだけの高い性能や多くの機能、そして機能を使いこなすためのインテリジェンスがPixel 3にはあります。求める価格帯と合うのであれば無難な選択肢ですし、僕自身もこれからのリファレンスとするAndroid端末を一台購入するならば筆頭に挙げるでしょう。

メジャーなAndroidのバージョンアップに端末を対応させる作業はなかなか大変なもので、大きなメーカーでさえ、追従していくのがなかなか難しい事情もあります。iOSのように5世代分も遡って対応した上で応答性まで高めるなんてことは、本当に難しい。そういう意味でも(何年使うかはともかく)Pixelなら安心と言えます。

しかし、一方で"Androidプラットフォーム全体"を見渡したときのPixelシリーズ位置付けに対する違和感(最初の製品から感じていたのですが)もまた、今年はなおさらに強調して感じられました。

グーグル自身が表明しているように、Pixelシリーズは"ベストオブグーグル"を集約した端末ということで、実のところ明快です。


"ベストオブグーグル"="ベストオブAndroid端末"?

Pixel 3

たとえば、カメラの中に仕込まれた翻訳機能などはそもそもグーグル翻訳が持っている機能です。また、2020年まで容量無制限(ということは、その先は有料かしらね)の写真向けストレージサービスや画像識別機能なども、近年グーグルが力を入れて開発してきたクラウドベースでのニューラルネットワーク処理を活用し端末機能の一部であるかのように一体化する機能という意味で、グーグルなりの提案として盛り込んでいるのだと思います。

実際にAndroid端末を開発している方ならよくわかることですが、Pixelシリーズは標準的なAndroidの実装例ではなく、ユーザーインターフェイスや画面設計、カメラなどの主要機能にかなり手が入った特別版のAndroid端末です。

AndroidはオープンソースのOSですが、実際に一般消費者向けの商品を作る際には、グーグル公認のテスト業者を通じてCTS(Compatibility Test Suite)を通過させて、はじめてグーグルのサービス(アプリマーケットのGoogle Playを含む)へアクセスするためのアプリがライセンスされます。

スマートフォン以外で、たまにGoogle Play非搭載のAndroid端末を見かけますよね。あれは搭載したくないわけではなく、諸々の事情から搭載できないんです。CTSを通すのはなかなか大変なうえ、認証試験を受けるのにもコストがかかり、さらには小さなバージョンアップを含めてアップデートを配信する際にも必ずCTSを再通過させねばならないという事情があるなど、メーカーとしては簡単に対応できないという事情があるのです。

つまり、Androidの奔流であるOS本体と、グーグル提供サービスの間をつなぐ要素(CTSで許可されるグーグル製アプリ)は、おのおの別々に開発せねばなりません。このためスマートフォン本体とグーグルのサービスを一体化した端末を開発するのは、なかなか難しい。PixelシリーズがかつてのNEXUSシリーズのような"開発標準機"という位置づけではない理由はここにあります。

つまり、OSを開発するための端末ではなく、グーグルのサービスを、より簡単かつスムースに扱うためにグーグル自身がカスタマイズしたAndroidを搭載した端末。これこそが"ベストオブグーグル"の意味というわけです。

では、それは"ベストオブAndroid端末"という意味なのでしょうか?


ハードウェアの領域に踏み込めない? あるいは踏み込みたくない?

Pixel 3

グーグルにとって......つまり、"より良いクラウドサービスの提供を通じて、より高い広告価値を生み出す"事業にとって、Pixelシリーズはとても重要なものです。しかし、言い換えるとグーグル提供サービスへの"より良い窓口"に留まり、そこから踏み出さないところに、ちょっともどかしさを感じます。

グーグルにとっての事情や位置付けをさておくならば、一般消費者市場に投入するハイエンド端末なのですから、"次の時代のスタンダード"を示す方向感を"ハードウェアのアーキテクチャや設計手法などからも示してくれることを期待したいのですが、そうしたハードウェアの設計、あるいはSoCレベルにまで踏み込んだ開発はするつもりがないんだなぁというのがPixel 3に対する僕の感想です。

汎用的に複数メーカーが採用するOS開発を担う企業が、ハードウェア事業を上手に舵取りするのはなかなか難しいものです。

たとえばマイクロソフトを例に上げると、彼らはWindowsを多くのパソコンメーカーにライセンスしています。パソコンメーカーはお客さんのはずなのに、自分たちもパソコンを開発し「俺のがいちばんいいぜ!」とやらなきゃいけないのですから、そこには大義名分も必要になってきます。

Surface

当初、タブレット端末とパソコンの融合を目的に始まったSurfaceシリーズは現在、オフィスワークなどインフォワーカー向け端末が多いWindows機をよりクリエイティブなエリアでも! とコントローラーやクリエイター向けデスクトップを出してみたり、教育市場で使いやすい端末を出してみたり(そうした意味ではLaptopシリーズはちょいとOEMとの競合範囲が広いですね)しています。



このところやや首を傾げることがなきにしもあらずですが、基本的にはパートナー企業が大きく投資しにくい領域を開拓し、新しいジャンルや応用分野をイネーブリングすることでWindowsファミリーの領域を拡大するというのがSurfaceシリーズの大義名分です。

もし、PixelシリーズがAndroid端末そのものの進化の方向を示していくものだとするなら、しっかりとSoCにも投資をして......具体的にはクァルコムなどとの協業を進めることでカメラ機能や端末内AI処理(ニューラルネットワーク処理に特化したプロセッサへの投資など)、エッジAIの方向性も示して欲しいんですけどね。

もちろん、クラウドAIとエッジAIでは、できる範囲、内容が異なりますが(クラウドの方がより大きな情報を扱え、処理できる容量も大きい)、昨今のプライバシーに関する議論を鑑みるならば、クラウドとエッジ、両輪を回した上での"未来のスタンダード"を見せて欲しいと言うと、期待しすぎでしょうか?

あらためて"何で儲けているか"を考える時かも

さて最後に。

「あんたら、何で儲けてんの?」

という部分が、よく似た製品の中にも明確に顕れているなぁというのが、"旧・体育の日"いちばんの感想ですね。

マイクロソフトはWindowsを基礎にしていますが、その実、企業向けのシステムやクラウドプラットフォームの会社であり、その事業領域をなんとか広げようと、パートナー企業に気を使いながらも"Windowsベースのハードウェアだって、まだまだ前に進めるんだぜ"とリーダーシップを取ろうとしています。

iPhone XS

今回、アップルはあまり関係ありませんが、彼らはユーザーが自分の意思でクラウドを使うことに対して、より良い手段を用意しようとはしているものの、商品の核となる価値は"端末内で完結"させることに注力しています。だからニューラルエンジンなるものを開発し、独自のSoCにドーンと投資をしているわけです。



ではグーグルさんは? というと、やっぱりそこは広告屋さん。もちろん、広告で儲けることそのものに異議はありませんが、広告的価値を高めるためにサービスの応用範囲や利用者数を増やすことに興味はあっても、ハードウェアを含めた体験の質を高めることにはあまり向かっていないのかなぁと思うのでした。

このあたりは、何が"良くて"、何が"悪い"という話ではないのですけどね。

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