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スマホ販売に「補償金」上乗せ 著作権者に分配検討。の時代錯誤(石川温)

文化庁は将来を見据えた議論を

石川温
2018年10月23日, 午後09:10
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10月23日、文化庁において、「文化審議会著作権分科会 著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会(第4回)」の会合が開催された。

普段、スマホや通信料金を取材するライターが初めて、文化庁を訪れて、この会合を傍聴、取材してきた。なぜなら、この会合でスマホの販売に対して「補償金を載せる」という不穏な動きがあるという話を聞いたからだ。

現在、著作権法30条2では、録音や録画に対して、著作権者への補償金の支払いを義務づけている。これを「私的録音・録画補償金制度」という。録音に対しては1993年6月から実施されており、DAT(デジタル・オーディオ・テープレコーダー)やDCC(デジタル・コンパクト・カセット)、MD(ミニ・ディスク、オーディオ用CD-R、オーディオ用CD-RWなどが対象となっている。

集まった補償金は日本音楽著作権協会(JASRAC)や日本レコード協会などに分配されているのだ。

スマホが補償金徴収のターゲットに

しかし、今時、DATやDCC、MDを使っている人を探すのすら難しい。また、CD-Rなども最近はほとんど見なくなってしまった。

そこで新たに補償金を回収できる機器として、汎用機であるパソコンやスマホがターゲットになりつつあるのだ。

会合に参加している委員のなかからは「パソコンユーザーの21.4%が音楽を私的複製しているというデータがある。また、スマホユーザーであれば、14%が私的複製しているという。日本では年間3000万台のスマホが出荷されている。3000万台に14%をかけた480万台分の補償金を回収できる可能性があるのではないか」という意見が飛び出した。

つまり、スマホメーカーに対して、補償金を請求したいというわけだ。

時代は「所有」から「サブスクリプション」に

本来、補償金は、私的にデジタルコピーされることで、著作権者が不利益になりかねないという趣旨で実施されているものだ。

しかし、ここ最近、スマホで音楽を聞く場合、Apple MusicやLINE Musicといったようにストリーミング配信が人気となりつつある。ストリーミングであれば、コンテンツのコピーなどはできず、私的複製には当たらない。ストリーミングサービスにより、著作権者に対して、契約によって、適切な著作権料が払われているにも関わらず、さらにスマホの販売に対して補償金を載せるというのは理解に苦しむというものだ。

今回の議論に参加し、グーグルやアマゾンなどが会員となっているアジアインターネット日本連盟は意見書の中で「日本でも2013年から2017年にかけてストリーミングの割合が増加し、音楽産業の重要な収入源になっている。ストリーミング型への移行で私的複製は減少している。またダウンロード配信もコンテンツ利用の対価は契約で処理されており、DRMによって複製は不可能だ。(スマホやパソコンなどの)汎用機器への補償金制度の拡大は対価の二重取りを強いる事になり不適切だ」とはっきり指摘している。

また、会合では、スマホのスクリーンショット機能もやり玉に挙げられている。

最近では単に画面を画像として保存するだけでなく、画面操作を録画できる機能がOSに盛り込まれているが、これを「私的複製できる」として、補償金の対象としようとしているのだ。

そもそも、アプリを紹介したり、操作を解説するために搭載されたはずの「スクリーンショット機能」を「音楽を複製できるから補償金の対象にすべき」というのは、やや飛躍した考えのようにも思える。

スマホの登場により、気軽に自分の好きな音楽を楽しめる環境が整っているし、画面を録音録画できるアプリはいくらでも存在する。もはや、その流れは止められないはずなのに、ここでも補償金を獲れるのではないかという発想に呆れるばかりだ。

確かに、スマホにより、音楽とのふれあい方、楽しみ方は一変した。スマホ時代の著作権のあり方を考え直すのも悪くはない。

ただ、ストリーミング配信が全盛になっていくことで、今後は着実に著作権者は、守られていく方向にあるのは間違いない。

これだけ、SNSなどを通じて、ユーザーとクリエイターが直接にやり取りできる環境が整っているだけに、将来的には権利を管理する団体の役割も変化せざるを得ないのではないだろうか。

未来を見据えた議論を

そもそも「所有」が前提だった時代は、私的複製して自分で所有するしか、安価に音楽を楽しむことができなかった。しかし、いまや所有の時代は終わりつつあり、サブスクリプションで「聴く権利」を楽しむ時代になっている。

私的複製の時代が終わろうとしているなか、もっと将来を見据えた、サブスクリプション時代の著作権のあり方を文化庁には議論してもらいたいものだ。
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