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新Mac miniは実質「Mac Pro mini」。上位モデルはMac Pro超えの性能 (西田宗千佳)

羊の皮をかぶった狼

西田宗千佳
2018年11月6日, 午後08:00 in mac mini
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いよいよ2018年11月7日に出荷を控えた新「Mac mini」の実機レビューをお届けする。プロセッサーのみの小規模変更さえも4年前、デザイン変更に至っては2011年以来の7年ぶりとなるMac mini。今回のアップデートはファンを喚起させたことだろう。

ボディが黒くなったほかにどこがかわったのか? 主にベンチマークテストの値からチェックしてみたい。


今も変わらぬ「ミニマムなMac」

Mac miniは「Bring Your Own Display, Keyboard and Mouse(BYODKM)」という標語とともに、2005年に登場した。ジョブズらしいなかなか強引な略語だが、「シンプルなハードウエアに好きなキーボードやマウスを」という思想は正しい。だからこそ、13年もの長きにわたり、多くのユーザーから「ミニマムなMac」として愛されてきたわけだ。

そんなMac miniだが、4年間も更新されていなかった。なぜ更新されなかったのか、もちろんAppleはコメントしていない。今、復活したのは「Appleと市場にとって必要」と判断されたのだろう。

それはさておき、まずは新型のパッケージを確認していこう。実は従来モデルとあまりかわらない。「BYODKM」らしく、パッケージは相変わらず簡素。開封すると本体がピッチリと詰まっており、同梱品は電源ケーブルくらいしかない。


▲外箱。旧モデルとイメージはかわらずあくまで「シンプル」だ


▲箱をあけると、本体がいきなり登場。この下には電源ケーブルがあるだけだ

ボディサイズ的に旧モデルから変化はない。重量は1.3kgで、旧モデル(約1.2kg)と比べ若干増えているが、デスクトップ型であるし、あまり気にする必要はあるまい。

デザイン面でもっともわかりやすい変化は、ボディ色が「スペースグレイ」へと変わったことだろう。Appleは現在の製品ラインナップにおいて、スペースグレイを「プロライン」の色にしている。


▲正面から。ボディはスペースグレーになり、より「プロっぽく」なった

 公式ページを見ても、どちらかと言えばコンシューマ向けな製品は背景が白だし、どちらかと言えばプロ向けな製品は背景が黒。Mac miniは今回から、ボディも公式ページの背景も「黒」になった。これは、「コンパクトでパワフルなデスクトップ機を多数求める」プロ向け製品へと進化した、という見方もできるはずだ。

というよりも、Mac miniを支持し、求め続ける顧客の多くが「濃いMacファン」と「仕事でMacを使うプロ」であったから、そういう製品として蘇った、と言ってもいいかもしれない。


▲Mac miniの公式ページにおいても背景が「黒」に。MacBook ProやiMac Proと同じ扱いになっている

インターフェースは時代に合わせて刷新、メモリ増設は「購入時に」

デザインに変更はないが、インターフェースには「時代」が現れている。2014年モデルでは、メインのインターフェースはあくまで「USB 3.0」だった。USBが4つ、Thunderbolt 2が2つという構成だったインターフェースは、USB Type-Cと兼用のThunderbolt 3が4つ、USBが2つへと変更されている。

すなわち、ほかのMacBookなどと同じくThunderbolt 3がメインになっているのだ。HDMIも「2.0」になり、4Kで60Hz出力が可能となっている。このあたりは順当と言えば順当な変更だろう。


▲本体背面。左側から、電源・イーサネット・Thunderbolt 3×4、HDMI 2.0、USB 3.0×2。中央下部にあるのは排気口で、その右隣には3.5mmヘッドホン端子がある

ハードウェアの仕様としてMac miniにはディスクリートGPUが搭載されていない。そのためプロセッサに統合されたGPUである「Intel UHD Graphics 630」が使われているが、動画編集やVR、ゲームなどでパワー不足は否めない。だが、そうした問題はThunderbolt 3接続の外付けGPUボックスを使えば解決できる。今回はMac mini本体のみを借用しているため動作状況のチェックはできていないが、必要とあれば対応できるようになっているあたりが「今時」だ。

ところでMac miniを買おうと考えている人の中には、「メモリーやSSDの増設が自分でできるのか」を気にしている人もいるだろう。結論からいえば、「基本は販売時に増設」。分解すればアップグレードが可能であるかもしれないが、今回の試用機は分解するわけにいかなかったので、そこまでは確かめられていない。

Mac miniは、2014年モデル以降、メモリーは「購入時増設」が基本になり、本体内部へのアクセスが難しくなっている。裏蓋をあけることでメモリースロットなどへアクセスできそうだが、少なくとも筆者には、治具を使うことなく素手で裏蓋をあけることはできず。

デザインを見る限り、おそらくは2014年モデルと同様、「後日のアップデートは難しく、自己責任」であると思った方がいいだろう。一応ヒントとして、「フタのすき間の構造を見る限り、2014年モデルと同じ治具で開けられそうな気がする」とだけお伝えしておきたい。


▲本体底面。「Mac mini」のロゴがある樹脂製の蓋があり、この周囲から吸気する。これが外れれば内部にアクセスできそうだが、貸出モデルの分解は御法度なので、そこまでにしておく

上位モデルは2013年・Mac Proを超える性能、静穏な動作に好感

さて、そろそろ使い勝手をチェックしていこう。といっても、ごくごくシンプルな機器なので、特別なアプリケーションを使ったわけではない。ベンチマークソフトの「GeekBench 4」を走らせ、ウェブを使い、「Adobe Lightroom CC」で写真の現像をしてみた程度。その点はご了承願いたい。

今回試用したモデルは、CPUが「6コアIntel Core i7・3.2GHz」でメモリーが「32GB」、ストレージが「1TB」のものだ。CPUパフォーマンス的には、新Mac miniでは最高のモデルである。ちなみに、同構成にすると価格は27万6800円(税別)となり、決して安くはない。


▲「このMacについて」を確認。CPUは「6コアIntel Core i7・3.2GHz」で、メモリーが32GBなのがわかる


▲メモリーはDDR4のモジュールが2つの構成。試用モデルは16GBが2枚入って合計32GBだった


▲「GeekBench 4」でのデバイススペックチェック。モデル名が「Macmini8,1」であるのがわかる

というわけで、GeekBench 4の値を見てみよう。


▲ベンチマークソフト「GeekBench 4」。Macだけでなく多数の機種で利用できるマルチプラットフォーム対応ソフトだ

シングルコアの値は「5562」、マルチコアの値は「27057」となっている。GeekBenchに登録されている他のMacの結果と比較すると、シングルコア性能では2位、マルチコア性能ではiMac Pro(2017年モデル、CPUはXeon)に負けるものの、2018年モデルのMacBook Pro・15インチモデルよりも上となっている。

そしてなんと、2013年発売とはいえ、「Mac Pro」より速い結果だ。現在のプロセッサー処理速度の進化を反映した、なかなか優秀な値である。


▲CPUのベンチマーク結果。シングルコアが「5562」、マルチコアが「27057」とCPU性能に比した順当な結果。このコンパクトボディだと思えばかなりのハイスペックである

とはいえGPUが弱いため、「Compute Results」の値は「24541」と平凡。今時のディスクリートGPUを搭載したPCならこの数倍の値であり、iPhone XSのそれと大差ない。


▲「Compute Results」の値は24541。CPU統合型GPUなので、そこまで高い値にはなっていない

好感をもったのは、ベンチマークソフトを回して高負荷をかけた時でも、ファンの音がほとんど目立たない、ということだ。自室で空気清浄機が回っている状況で、ほぼ音が聞こえてこない。耳をすませば聞こえる......という程度だ。

スマホを使った簡易な音量計(精度はかなり低いので、傾向がわかる程度に考えてもらいたい)では、高負荷時で39dBだった。この状態で、背面の排気口からはさかんに高温の熱気を排出していたから、静穏性はかなり高い、と思っていい。この点はすばらしい。

写真の処理をしてももたつきは感じられない。普段筆者はMacBook Pro 13インチ(2016年秋発売、Touch Bar搭載モデル)を使っているが、それに比べればもちろん高速だ。

繰り返しになるが、今回試用したモデルは、スペック的には新Mac miniで上位にあたるもので、CPUを下位のものにすれば、パフォーマンスはその分下がる。とはいえ、「今の時代に合った、シンプルなMac」という機器としての素性が変わるわけではない。

コンパクトな製品を求めている人とってはもちろん、新Mac miniはうってつけだ。PCやMacを一切使ったことがない人にはやはりハードルが高いかもしれないが、それは製品の性質上、仕方がない。現在、PC用の4Kディスプレイはかなり安価になっており、品質も上がってきている。それらと組み合わせて使うことを考えると、「安価にデスクトップ型のMacを買いたい」人におすすめの製品となる。そしてもちろん、仕事向けに複数台求める人には、ほかに選択肢もない。

願わくばAppleには、これをベースとして毎年CPUなどの進化に合わせたアップデートを続けてほしいと思う。「次はまた4年」、というのはちょっと厳しい。日暮熟睡男じゃないんだから。

関連キーワード: apple, mac, mac mini, Mac mini 2018, MacMini, macmini2018
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