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「脚がグンバツのVAIO」A12のこだわりを発表会で見た:橋本新義レポート

VAIOの「戦いの年季」が見える、アイデアものの脚でした

橋本 新義 (Shingi Hashimoto)
2018年11月13日, 午後10:00 in vaio
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VAIO株式会社が11月13日に発表した、合体式タブレット兼用ノートPC『VAIO A12』。キーボード側ヒンジ部底面に装着された、板状になった奥側の脚「スタビライザーフラップ」を特徴とする"脚がグンバツのVAIO"です。

おおまかな仕様だけ言えば「12.5インチフルHD画面を搭載し、Yシリーズ(いわゆるCore m系)の第8世代Core CPUを心臓部とする、ファンレスWindowsタブレット+合体式キーボード」となりますが、合体時の軽さ(最軽量構成では合体時でも約1.099kg)や昨今のVAIOらしい豊富な拡張端子、そして合体時の取り回しの素直さなど、使いやすさへのこだわりが光るモデルとなっています。

昨今の力の入ったPCに違わず、非常に特徴が多いモデルのため、ポイントとなる箇所を紹介していくだけでもきりがないのですが、今回は発表会で実機を確認してきた中で、筆者が感心したポイントを紹介します。

Gallery: VAIO A12 発表会展示機 | 27 Photos

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Gallery: VAIO A12 発表会プレゼン | 26 Photos

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合体型ノートPCの悩みを解消する
スタビライザーフラップ


VAIO A12 プレゼン

本機最大の特徴となるのが、冒頭で紹介したスタビライザーフラップです。ちょっと見ただけではどういう部品なのかが謎ですが、これは合体した時の重心バランスを調整・分散する効果を持ちます。

VAIO A12 展示機

合体式タブレットPCでは(当然ではありますが)PCとしての主要パーツが画面側に入るため、素直に作ってしまうとキーボード側のほうが軽くなってしまい、開いたときにバランスを取るのが難しくなります。
この「合体時・開いた状態の重量バランスと重心を調整し、後ろに倒れないようにする」のがスタビライザーフラップというわけです。

VAIO A12 プレゼン

これにより、従来のタブレット兼用ノートPC(いわゆる2-in-1タイプ)でありがちだった
  • (合体時)クラムシェルタイプの場合、後ろに倒れないようにキーボード側も重くなり、トータルでは重量級となる
  • キックスタンド(いわゆるSurfaceタイプ)の場合、キーボードを付けた状態の設置では底面積がクラムシェルタイプより広がってしまう
  • 簡易キーボード装着タイプや"溝ありキーボード"タイプの場合、画面角度調整の柔軟性に欠ける

といった問題を解決できる......というのがVAIOの主張です。

VAIO A12 プレゼン

では実際にどうなのかといえば、これがかなり成功しているように思えます。正直「え? これだけでよかったの?」と驚きでした(当然ながらもちろん「これだけ」ではなく、また他パーツなどでの重量バランス調整もあってこそなのですが)。

実際に使ってみても、最大まで開いて画面をタッチした状態では、ぐらつく感じさえありません。実際に触る前は「そうは言っても、フラップに重量を掛ける関係からヒンジが堅いとか、なんらかのエクスキューズがあるのは」と思っていたのですが、そのあたりの違和感も驚くほどありません。

また膝上に置いた場合では、ともすれば一般的なクラムシェルノートPC以上の快適度と感じました。フラップが重量を分散してくれるため「当たっている感じ」が少なく、またキーボード側が熱くならないことから、比較的長時間でも使っていられるためです。

VAIO A12 展示機

そしてキーボードユニットも、VAIO Zの初代機から導入され、Sシリーズでも改良を加えつつ継承された、S13の静音ユニットをそのまま導入。キーは比較的軽めで、タイピング感覚もかなり良好。タッチパッドもS13と同じ独立ボタン式のため、クラムシェルノートPCとして意識することなく使えてしまいます。

タイトルに合わせて表現するならば、まさに「なじむ......実に! なじむぞ」といった印象です。

VAIO A12 展示機
▲フラップ部を最大限に開いた状態(写真上が底面側)。衝撃などを逃がすべく、ここまで広がります。またヒンジの部品もかなり頑丈そう


また驚いたのは、キーボード側が軽くても倒れないようになったことで「キーボード側バッテリーレス」という構成が可能となっている点。実は最軽量構成では、本体側重量は607gなのに対しキーボードユニットは約492gと本体側のほうが重く、フラップがなければ容易に倒れてしまう重量バランスなのです。

VAIOノートでフラップと聞くと、歴戦のEngadget読者の中には『VAIOノートXR』で採用された放熱用の「インタークーラーフラップ」を連想する方も多いと思われます。あちらは性能を重視した結果のフラップとなりましたが、本機は使い勝手を配慮したゆえのフラップ、というわけです。

実は本機のライバル――合体時にも軽量で倒れにくいクラムシェル型2-in-1――としては、パナソニックの『レッツノートXZ』シリーズがあります。

XZは合体時に約1.019kg、本体のみでは約0.55kgと重量は本機より有利で、なおかつCPUがUシリーズと本機より高性能なのですが、合体時の安定性などは本機のほうに分があると感じました(ただしXZも十分驚異的ではあるのですが)。また価格帯も本機は、XZより相応にお手頃になっています(もちろん、ここは搭載CPUなどの差も大きいわけですが)。

カバンの中でも片手で外せる本体や
無線でも使えるキーボードなど、使い勝手が光る


VAIO A12 プレゼン

さて、合わせて感心したのは、本体(タブレット側)を分離するためのリリースレバーが2箇所――合体した状態のキーボード面奥側と、閉じた状態での天面側――とにあり、また「一度解除すると、本体を再合体させない限りロックが外れた状態になっている」点。

こうした機構になっているのは「クラムシェルとして閉じた状態から、片手で本体だけを取り外す」状況を意図してのこと。とくに天面側のレバーは「カバンの中に入れたままで分離させ、本体だけを取りだす」という状況を考えたため、とのこと。

VAIO A12 プレゼン
▲ワイヤレスキーボードユニットを選択すれば、この状態でもキーボードとタッチパッドが使えます(ただし当然ながらキーボード側の拡張端子は使えません)


さらにキーボード部で光る工夫はもう一つ。オプションで「ワイヤレスキーボードユニット」を選択すると、外した状態でもキーボードとタッチパッドが使えるのです。本体との接続はあえてのBluetoothではなく、2.4GHz帯の独自無線。これはセキュリティ面に配慮してとのことです。

この機構は、おもに営業(対面販売)用に使う現場からの意見を元に開発した、とのコメントがありましたが、もちろん個人がイラストに使う場合などでも便利ですし、また「画面は机の上がいいけれど、キーボードだけ膝上に置きたい」という場合などでも活用できます。

VAIO A12 プレゼン

なお、本機はスタイラスペン(別売り)にも対応。ワコム社の技術を採用します。ただし発表会で尋ねたところ、センサー種別は残念ながらEMR方式ではなく、アクティブES(AES)方式とのことでした。
また開発担当からは「オプションのペンではペン先単品販売がないため、イラストなどで本格的に使われる場合はペン先交換ができるワコム『Bamboo Ink』がよいと思います」とのコメントもいただいています。

一般的な5V電圧のUSB機器から充電可能
いざという時に安心なアシスト充電


VAIO A12 プレゼン

そしてもう一つ、個人的に注目したポイントは、タブレット(本体)側の充電仕様です。搭載されたUSBタイプC端子(速度5Gbps)を経由して、一般的なモバイルバッテリーでも充電が可能な『5Vアシスト充電機能』です。

ポイントは(本機はUSB PD対応機器も使えるため間違えそうなのですが)、USB PD非対応の5V出力モデルでよい、というところです。

アシスト充電ということで、当然ながら充電速度はゆっくりとなりますが「緊急時には、コンビニなどで購入可能なUSBバッテリーやACアダプタでも充電が可能」というアドバンテージは非常に大きいもの。

このあたりは、本体側の省電力性が高いYシリーズCPUを採用しているからこそ実用的なバランスで提供できるという事情もあり、良い意味で非常にトンチの効いたものと感じました。

VAIO A12 プレゼン

なお、バッテリー駆動時間に関しては、本体時では約7.7~8.5時間(JEITA 2.0測定法)、キーボード側にバッテリーなしの場合、合体時は約7.4~8.1時間となります。またワイヤレスキーボードユニット、つまりキーボード側バッテリーを含むと、約14.4~15時間と大幅に延長されます。

性能はY系列CPU機として妥当なレベル
VAIO Sと違い、あえて最高性能は追わず


VAIO A12 展示機
▲本機のマザーボード。放熱機構はこのシンプルなヒートシンクと、液晶パネル裏に貼られた放熱用シートだけと、かなりシンプルです

さて、CPUは冒頭で紹介したように、いわゆるCore m系こと「Yシリーズ」版Core i系列。ダイレクト販売モデルの場合、TDP(発熱と消費電力の目安となる値)が5W枠となる、Core i7-8500Yにi5-8200Y、m3-8100Y、そしてCeleron 3965Y(これのみTDP 6W、かつ第7世代相当のCPUです)が選択可能です。

となると当然気になるのは性能ですが、これは良い意味でも悪い意味でも相応と呼べる水準です。

こう表現したのは理由があり、発表会で開発陣に質問したところ「本機はファンレス冷却機構の中で実性能を重視し、またタブレット時には手に持って不快にならないように発熱の低減を重視した点などから、CPU仕様を超えるチューニングなどはあえて積極的には行なっていない」とのコメントを得られたため。

ここに関しては若干解説が必要でしょう。実はVAIOの現行Sシリーズ(TDP 15W版CPUを搭載するクラムシェル型モバイルノート)では『VAIO TruePerformance』という、インテル側の想定以上の性能を引き出すターボブースト機能(と冷却機構、そしてCPU電源部)のチューニングを行なっています。

本機でもやろうと思えば(やるだけなら)こうしたチューニングも可能なのですが、冷却機構がファンレスである以上、こうした性能のみに特化したチューニングでは放熱が追いつかず、いわゆる"熱だれ"を招きます。

そのため本機では「ファンレスで無理なく冷却が可能な中で、最大限の性能を引きだす」点を優先している、というわけです。またタブレット状態では、手に持った際に熱くて不快にならないよう、さらに発熱の低減を優先する動作を取ります。これはVAIO全体のコンセプトでもある「『快』を重視する」ポリシーのため。「極端な無理のない設計により、総合的な完成度を上げる」という考え方です。

VAIO A12 展示機

しかし一方で、CPU以外で性能に影響するパーツはかなりの重装備となっています。たとえばメモリはLPDDR3ながらデュアルチャンネル構成。CTOでは容量も16GBまで選択可能ですし、SSDも「第三世代ハイスピードSSD(NVMe)」の搭載が可能です。

とくにSSDに関しては、展示機(最上位構成)に搭載されていたモデルはSamsungの『PM981』シリーズでした。これはTLC NANDチップ搭載ながらリード最大3GB/秒オーバーと非常に高速なことで知られ、コンシューマー向けでは『970 EVO』に相当するもの。
このあたりはPCI Express接続のSSD搭載で他メーカーに先んじたVAIOらしいところでもあります。

小ささと汎用性をバランスさせた内部構造
いろいろな点で割り切りが面白いPC


VAIO A12 展示機

実際の使用感ですが、発表会場内で非常に短期間だった点、また展示機が最上位構成だった点などはあるものの、Core m系モデルとしてかなり快適。さすがに現行のSシリーズと比べると物理コア数の差も感じますが、CPUが比較的控えめな分、RAMやCPUがボトルネックとならない配慮は相応に効いているようです。

会場ではドラゴンクエストX ベンチマークの結果なども確認できました。展示機は最上位構成で、CPUはCore i7-8500Y、RAM 16GBという構成でした Core m3搭載モデルでしたが、標準品質/1280×720解像度/フルスクリーン時でのスコアが「5620」と、CPUと照らし合わせると優秀と呼べる水準となっています。

【訂正:10時25分】こちらのベンチマークを実行したモデルに関して、当初はCore i7モデルと表記しておりましたが、Core m3モデルでした。読者並びに関係者の皆様にはお詫びの上訂正いたします。申し訳ございませんでした。

VAIO A12 展示機

会場内では本体側を分解したモデルも展示されていましたが、マザーボードがコンパクト(放熱用の金属板に囲われた箇所)なのに対して、SSD用のM.2スロット(2280サイズ)が搭載されていたり、またmini PCI Expressも2基(無線LANとLTEカード用)が備えられるなど、一見して相反するかのような汎用性を備えるのが面白いところ。

このあたりの理由を開発陣に尋ねたところ、実はこうした構成はCTOオプションを広げる点と、業務で導入された場合のオンサイト修理などを重視した結果、とのこと。

VAIO A12 展示機

実は本体側の背面カバーは昨今のタブレットに多い接着式ではなく、ネジと周囲の爪による固定となっており、さらに爪は独立したはめ込み式のパーツとなっています(上の写真にある白い部品が爪です)。これにより、もし爪が折れた場合でも修理は爪だけの交換で対応できます。合わせて、主要パーツがモジュールとなっていることで保守性も高いとのこと。

とくにSSDが脱着可能という点はビジネス向けで重要で、スタッフからは「オンサイト修理を望まれる企業ユーザーは個人情報などを取り扱う業務もあり、セキュリティ要件が厳しい。そのため修理も可能な限りオンサイトで済ませたいし、他のパーツを交換する状況になってもストレージだけは持ち出して欲しくない、という事例が多くなっています」とのコメントもありました。

VAIO A12 プレゼン

このようにVAIO A12は、処理性能とモバイル性、そして細かな使いやすさへの配慮といった、各所の(ともすれば相反する)バランスを現状の最大公約数的なまとめ方で収め、さらにスタビライザーフラップというアイデアにより「理想的な『100%クラムシェル』となる合体式モバイルノート」を実現したとも呼べるモデルです。

とくにクラムシェル状態の自然さは昨今のノートPCにあってもちょっと驚くほどなので、ぜひ一度店頭などで触れてみて欲しいところ。この脚がグンバツなVAIOは、うっかり触れたら最後、強烈な磁力を物欲に対して発するタイプのモデルでもあるのです。


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