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キログラム原器廃止へ。質量の単位「kg」再定義、プランク定数に基づく定義へ変更

アンペア、ケルビン、モルもちょっと変わります

Munenori Taniguchi, @mu_taniguchi
2018年11月17日, 午前08:55 in Science
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11月16日にフランスで開催された国際度量衡総会にて、約130年間、「1kg」の定義に使われてきた国際キログラム原器(IPK)を廃止し、2019年5月20日からはプランク定数を基準年経計算で求める方法に変更することが決定されました。

国際キログラム原器とは、パリ郊外にある国際度量衡局に保管される白金-イリジウム合金製の1kg分銅のこと。この分銅が世界で使われる1kgの基準とされ、メートル条約加盟国にはその複製が置かれています。

2018年現在、世界的に用いられるSI単位系で人工物を基準とする単位はキログラムだけでしたが、人工物の場合は表面の汚染(酸化などの化学変化や摩滅)が発生すると数値が変わることがありえます。このため微小なナノレベルの技術開発が進む昨今、キログラムにおいても誤差なく利用できる物理定数を基本とする方式への変更が求められていました。なお、われわれの生活レベルでは2019年5月20日以降も1kgの扱いが変わることはありません。

今回の変更はキログラムだけではなく、電流の単位であるアンペア(A)がクーロンの定義を元にした方式から電気素量(陽子、陽電子1個分の電荷) を基準とする方式に、熱力学温度の単位ケルビン(K)が水の三重点(水蒸気、水、氷)が共存する温度の1/273.16、つまり絶対零度(0ケルビン)を基準とする方式からボルツマン定数を正確に1.380649x10の-23乗J/Kに定めて求める方式に、そして、物質量を表すモル(mol)は炭素12(C12)0.012kg中に存在する原子数に等しい要素粒子を含む系の物質量(炭素スケール)を1molとするという一般人にはよくわからない定義から、6.02214076x10の23乗個の要素粒子を含むという、やっぱり一般人にはよくわからない定義へと改められることも決定されました。

こうした単位定義の変更は、人類の長い歴史の中では珍しいことではありません。そしてその多くは、私たちの生活のレベルにおいてはまったく問題にならないほどの小さな変更であることがほとんどです。しかし、冒頭に記したナノテクノロジーなど最先端の科学技術の分野では、誤差が生じにくくなりより正確な分析が可能になるなど、大きな変化となるはずです。

アメリカ国立標準技術研究所の研究者デヴィッド・ニューウェル氏はScience News誌に対して「これは計量標準研究者にとってはとてつもなくエキサイティングな出来事です。私はついにこれが成し遂げられるなんて、まだ信じられません」と述べました。

ちなみに、世界でもっとも古くに用いられた単位は、約8000年ほど前のメソポタミア文明期に使用された「キュビット」と言われており、その基準は"肘から中指の先までの長さ"で、おおよそ43~53cmとされます。


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