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実は「意味が大アリ」だったソニーBRAVIAのNetflix画質モード。テレビでマスモニの印象に迫る

「画質モード」のあり方に一石

本田雅一, @rokuzouhonda
2018年11月30日, 午後08:00 in 4K
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Netflixとソニーが共同で開発した「Netflix画質モード」。ソニーBRAVIAの中でも最高品位とされるMasterシリーズのみが搭載するこのモードについて、実際の映像制作時に使用された業務用マスターモニターと比較しながら視聴するプレスセッションが設けられました。

この画質モードそのものは、9月のベルリンIFAで発表された「Netflix Certificated Mode」とまったく同じものですが、当時から今ひとつ、何がすごいのかピンと来ていませんでした。

名前を聞いただけでは「ふ~ん」。

少しばかり映像技術に詳しい人でも「何が新しいの?THXや、各社が搭載している映画モードと何か違いはあるの?」そんな風に思うはずです。

とりわけソニーのBRAVIAは、グループ会社に映画会社が存在することもあり、映画モードにはこだわられてきました。

ならば映画モードで観ればいいじゃん?Netflix画質モードに何か意味あるの?という疑問も当然と言えるでしょう。

今回の視聴会でも「?」マークだらけだったのですが、掘り下げて取材をしてみると、なるほど「そういうことですか!」と理解。

たしかにNetflixの作品を画質にこだわって視聴するのなら、このモードは「とっても安心」と言えるでしょう。しかも、そのデキはかなり良いものでした。

Netflix

●実は深い意味があった?Netflix画質モード

Netflix画質モードは現在、Masterシリーズの液晶テレビ「Z9F」シリーズ、およびOLEDテレビ「A9F」シリーズのみに採用されています。この2台だけに限定されている理由は、極めて繊細な画質調整を階調の破綻なく行えるよう設計された最新の「X1 Ultimate」が必要だからです。よって、過去のBRAVIAシリーズはもちろん、X1 Ultimateを搭載していないMasterシリーズ以外のBRAVIAでも利用できません。

規定値ではオフになっているNetflix画質モードですが、ユーザーがオンにするとNetflixを起動した時、自動的にNetflix画質モードに切り替わりるようになります。

Netflixバイス・プレジデントのスコット・マイラー氏によると、このモードになるとNetflixで配信されている全ての映像作品が「製作者が伝えようとするそのままの印象で」表示でされるため、特に細かな技術的なことを考えなくとも"正しい映像"で楽しめるとのこと。

たしかに劇場公開用の映画は、そもそもがプロジェクターで投射する映画として楽しんでもらうことが前提ですから、まずは劇場での画質がリファレンスとなります。

しかしNetflixの場合、映画として短期間劇場公開されるものもありますが、テレビドラマ、テレビアニメ、長編映画、ドキュメンタリなど多様なジャンルが入り混じっています。

複雑なことを考えず、Netflixを起動したら、あとは適切な画質で見えますよ、というモードは重要だと言えます。

Chris Columbus

イベントではNetflixオリジナル映画の「クリスマス・クロニクル」プロデューサーをつとめたクリス・コロンバス氏も参加していましたが「こだわりがまったく伝わらないディスプレイ(テレビ)で観られているのはフラストレーション。我が家にある3台テレビは、どれもまったくダメだった」とか。

ハリウッド映画の場合、数ヶ月をかけて映像の仕上がりを決める作業(グレーディング)を行います。クリスマス・クロニクルでは、グレーディングだけで8ヶ月を費やししたそうです。Netflixは今年、オリジナル映像作品に60億ドルもの巨額投資をしていますから、同じようにこだわった映像が山のようにあります。

しかし、そんな映像製作者のこだわりも、質の低いテレビではまったく伝わりません。彼らが2年という時間をかけて作り込んで来たことからも、Netflix画質モードの存在意義は、Netflixにとってはとても大きなものだとわかります。しかし、では従来の映画モードと何が違うのでしょう?

実は意外に(といっては失礼ですが)深い意味がありました。

●Netflix画質モードの本質

Netflixは世界中でオリジナルの映像製作を行い、各国で映像を配信しています。日本で製作されたものも米国や欧州、アジア各国などで配信されますし、その逆もしかりです。また、世界中のいろんな映像製作者が作る映像を買い付けています。

ということで、Netflixでは"ハリウッドではこうだ"、"日本の常識ではこうだ"といった齟齬がないよう、全世界で共通の映像評価を行う環境が構築されているのだそうです。

たとえば、映像マスターを確認する際にはこのマスターモニター(ソニーBVM-X300など)、家庭でテレビが視聴されたときの環境は「このぐらいの明るさ、照明の色温度」といったことです。

"全世界、マスモニは同じ基準じゃないのかよ"と僕も思いましたが、どうやら同じマスモニでもキャリブレーション(計測しながら微調整)の設定や、そこからのパラメータ設定などでNetflix側で決めている部分があるそうで、このあたりは"家庭のテレビで観る"ことを考えて作り込んでいる部分があるのでしょう。

その評価環境、システムにおいて、オリジナル作品のグレーディングは行われ、さらに外部製作会社の映像も同じ環境で受け入れ品質のチェックが行われます。Netflixが品質管理を行う際にチェックした映像と"同じ印象を得られる"ことが、このモードの本質というわけです。

なお、どういう評価システムを作り上げているのかは非公開なんだそうで、質問しても教えてもらえませんでした。とはいえ、おそらくは300から400ルクスぐらいの部屋を想定しているのではないでしょうか。

今回のデモでは、真っ暗な部屋でマスターモニターのX300とBRAVIA A9Fを見比べましたが、実は厳密にはNetflix画質モードの実力を100%活かせる環境ではありません。

というのも、実際には暗室におけるX300でグレーディングを行っているからです。

一方、テレビ側は全暗室ではなく、Netflixが決めている"家庭内で観られるだろう環境"において、暗室でのX300に近い映像となるよう調整しています。

従来の映画モードも、同じようにマスモニに近い印象となるよう調整しているのですが、かなり暗い視聴環境を想定していますし、対象となる映像ソースも映画がほとんどで、Netflixの配信する映像作品ほど振れ幅は大きくありません。

ということで「家庭のテレビで観ることを前提に製作しているNetflixのこだわりを再現するため、両社で作り込んだモード」ということですね。

●して、本当に意味はある?

ところで、ここで"マスモニ"のリファレンスとして何度か登場しているソニーのBVM-X300ですが、これはRGB画素のOLEDを採用しています。一方、家庭向けのOLEDはRGBW画素。さらに液晶に至っては方式そのものが異なり、よって特徴も違えば最大輝度も異なります。

X300は1000nitsまでの輝度をリニアに表現できますが、家庭向けOLEDは1000nits出せるものの制約が多く、実力値としてはもう少し下になりますし、高輝度部の色濃度も違います。低輝度の階調性も違いますし、さらには液晶との比較ともなれば違うところだらけ。

だからこそ、マスモニの絵と「同じ印象になる」よう家庭環境での見え味にこだわったわけですが、基準が1000nitsのX300であるため、対応するテレビも必然的に1000nits近くまで出せるものに限られるそうです。

というわけで、今後、普及型でも楽しめるか?というと、さにあらず。

とはいえ、家庭内で映像を楽しむ想定環境を設定してコンテンツの受け入れ検査を行ったり、オリジナル映像を製作したりと、Netflixって会社はかなりマニアックというか、映像品質に対するこだわりが強いんですね。

「クリスマス・クロニクル」と「ロスト・イン・スペース」の2作品を鑑賞しましたが、上記のように完全に正しい比較環境ではなかったものの、極めて近い印象の絵を出していました。

Netflix

X300はマスモニという性格上、1000nitsまではリニアに表示するものの、それを超える部分は"パッツン"と切り捨てます。対してA9Fは普通のテレビですから、ロールオフという処理で高輝度部を丸めるため、ちょっとだけA9Fの方が眠い絵になるのですが、そうした役割の違いから来る設定の違いも含め、全体の印象はソックリ。

ソニービジュアルプロダクツTV事業部技術戦略室主幹技師の小倉敏之氏によると、全暗室ではなく、Netflixが設定する家庭向けテレビの評価環境で観ると、もっとそっくりの印象になるそうです。

また感心したのは、階調表現に破綻がみられなかったこと。たとえば、規格通りの映像が出ているかを決まったテスト仕様で確認してロゴが発行されるTHXというロゴプログラムがあります。ところがTHXでは特性値だけが決められており、ディスプレイの制約は考慮されていないため、テストは合格しても階調が飛んでいました。

しかし、Netflix画質モードにはそうした破綻は感じられません。

●"高画質モードの考え方"を変えるかも

テレビ画質の調整に立ち会ったことがある人は少ないかもしれませんが、筆者は10年以上 Audio & Visual評論家を続けてきたため、何度もそうした場に立ち会ってきました。

以前からメーカーの開発者とも話してきましたが、高画質を楽しむためには「部屋を暗くした上で映画モードに設定すべし」と、手間とコストをかけることに疑問を感じていました。

なぜなら、ほとんどの人は映画モードに切り替えて映画を観ていないからです。

映画モードに設定していると、明るい照明下では眠い絵になりますし、放送番組の風合いとも合いません。放送を観る際には「標準」や「スタンダード」といった名称の画質モードの方がはるかに見栄えがいいのです。

こうしたことから、東芝の「おまかせドンピシャ」など、周囲の環境を測定したうえで映像内容をも分析する自動画質調整機能が存在するわけですが、これも完璧に動作するとは限りません。

Netflix画質モードは"映像製作者が意図した通りに伝える"という基本的な部分に深くコミットしつつ、しかし「なーんにも考えなくてOKですよ」という、実にゆるい使い方も許容します。

しかも、映像コンテンツの種類を問わず、Netflixで配信されているすべての映像に対して正しく作用してくれ、真っ暗な部屋でなくとも見栄えがいい。これは"家庭向けテレビにおける高画質モード"の考え方、コンセプトに一石を投じる提案と言えます。

テレビのような直視型ディスプレイで"映画館を真似る"のではなく、テレビで観るための映像作品を製作者が作り、その評価システムの一部として市販テレビの画質モードを作る。これはなかなか画期的です。




「TechCrunch Tokyo 2019」11月14日、15日に開催



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