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「Mate 20 Proの独自EMUIは単なるUIではなくOSだ」:週刊モバイル通信 石野純也

ファーウェイ ソフトウェア部門トップインタビュー

石野純也 (Junya Ishino)
2018年11月30日, 午後06:30 in interview
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ファーウェイ、グループインタビューの第二弾はソフトウェアに関して。
(第一弾のハードウェア系トップインタビューはこちら)

同社の端末にはこれまで、継続的に「EMUI」が搭載されてきました。Androidをカスタマイズしたメーカー製UIの一種ですが、この開発をリードしているのはソフトウェアエンジニアリング部門の社長、Wang Chenglu氏。同氏がEMUIとAndroidの関係性や、ファーウェイのUIが目指す方向性を語りました。主な一問一答は以下のとおりです。

──Androidを使う一方で、独自のEMUIを搭載していますが、プレーンなAndroidと比べて、どこに強みがあるのでしょうか。

Wang氏「ファーウェイにとっての強みは、ハードウェアとソフトウェアを密に連携できるところです。それができるのは、ハイシリコンのチップを搭載しているからでもあります。EMUIは名前こそUIですが、実際には完全なOSと言えます。ドライバだけでなく、Linuxのカーネルや抽象化層まで、(Androidに)最適化と修正をほどこしています。ファイルシステムも、いらなくなったゴミを捨てるガーベージコレクションのシステムを改修しています。さらには、ミドルウェアの最適化やイメージエンジンなども含まれます。

3年かけ、EMUIはかなり応用面で強力になってきました。ソフトウェアのスタックにホットパッチを適用できる技術も実現しており、何か問題が起こった時にもいち早く対応できます。これは、Androidはもちろん、iOSでも実現できていないことです」



──一方で、UIのベースはAndroidですが、標準の操作性とどうバランスを取っているのでしょうか。

Wang氏「ピュアAndroidはあくまでデザインリファレンスで、これをどう取捨選択するかです。弊社では消費者からのフィードバックとリクワイアメント(要求)を見て決めています。

たとえばP10のときには、1つの物理キーを、3つの仮想ボタンの代わりにしようとしました。消費者の声として、3つあると複雑で、画面内の場所を取るというものがあったからです。そこでまずAndroidチームと相談し、試しに中国バージョンを作ってみることになりました。結果として、それが非常に好評を博しました。それを皮切りに、Androidチームの側も、好意的に相談に乗ってくれるようになりました。P10を通して、我々の方が中国の消費者を理解していると認めてくれたのです。

消費者に対する理解がより正確で深くなるほど、Androidのエコシステムへの貢献度も高くなります。たとえば、フルディスプレイ時のナビゲーションやファイルシステム、バッテリーの持ちの改善などは、弊社で実装しましたが、評判がよかったものは(Android標準に)取り入れられています。

Androidは様々なメーカーが端末を出していますが、消費者の反応は、製品を出すことでしか得られません。こうした反応を得て、グーグルにフィードバックをしています」


──ちょうど今、省電力のお話がありましたが、ファーウェイの端末は電池の持ちがいい一方で、スリープ時に通知がこないなど、徹底しすぎている印象もあります。このバランスはどうお考えですか。

Wang氏「バッテリーの持ちに関して、我々がやっていることは2つです。1つは、スマホのハードウェアすべての消費電力をつかむことです。バッテリー消費は線形ではなく、もっとも効率の高いポイントを見つけなければなりません。

もう1つはアプリがどういうハードウェアリソースを使うのかを見極めることです。たとえば、Wi-Fiのスキャンに関してですが、アプリによってはWi-Fiをオンにしたとき、最初の5分は頻繁にスキャンして、その後はその間隔を広げるといった感じです。こうしたアルゴリズムをうまく調整する必要があります。

ご質問にあった通知がこないというのは、このアルゴリズムの正確性の問題で、これは上げていかなければなりません。たとえばAIを使うことで、次にどのアプリが起動されるのか、アプリごとの滞在時間はどのくらいなのかといったことを推測できます。

この正確性はEMUI 5.0のときは86%でしたが、8.0で95%になり、9.0では99%になりました。アルゴリズムとアプリに対する理解にAIを組み合わせて、最終的には100に近づけていきたいと考えています」


──カメラの数が増えていますが、大変なことはありますか。

Wang氏「カメラを使うときには、ハードウェアからソフトウェアまで、すべてのスタックが関わってきます。チップセットとの間での細かなチューニングも必要になります。画像の元データをどう合成していくのかには、多大な労力が求められました。弊社が先駆けだったので、ほかに参照できる業界のデータもなく、設計と大量のチューニングをしました。特にチューニングが大変でした」
HUAWEI Mate 20

──Mate 20シリーズもそうですが、スマホが大型化しています。一方で片手操作のニーズも高いと思いますが、何か工夫されていることはありますか。

Wang氏「どのUIが最適かというのは、非常に難しい問題です。消費者の行動がそれぞれ違うためです。ただし、最終的な目標は大型・小型などのサイズや、湾曲・折りたたみなど形状に関係なく、シンプルにすることです。

ディスプレイはすべてユーザーに使ってもらうべきで、それがユーザー体験の向上にもつながります。そういったこともあり、最新モデルにはジェスチャーナビゲーションを取り入れました。また、ツール類も上にあったものは、下に移しています。ジェスチャーナビゲーションは右利きでも左利きでもいいよう、左右どちらでも使えるようにしました。

今後、AIがもっと完全なものになると、人と機械のインタラクションはタッチだけではなくなります。声だったり、目線だったりを使ってやり取りができるようになります。ですから、本当の意味でのUIの革新は、AIが成熟したときになってから起こるのではないでしょうか」


──EMUIでは複数の操作を選べますが、オススメはやはりジェスチャーですか。

Wang氏「もっともオススメなのがジェスチャーで、(発売された国での)使用率は86%、そのうち90%以上から好評です。ほかの選択肢として、丸いボタンを表示するものや以前のように仮想キーを3つ設定できるものも用意しています」
HUAWEI Mate 20

──音声操作にも対応していますが、技術的に難しい点を教えてください。

Wang氏「ネットワーク環境がよければクラウド上のモデルを使えますが、それがない場合、端末上に同じようなモデルを展開しなければならず、そこが難しい。Mate 20でも音声操作を使っているのは全体の10%程度で、まだまだ使用率は低いのですが、新しい機能にしてはまずまずといった成果です。ユーザー側も、新しい操作に適応していく過程が必要になりますからね」


──今のお話とも関連しますが、クラウドとエッジ側の住み分けはどうしていくのでしょうか。

Wang氏「端末側だけで音声認識を丸ごとできるようになるのが夢ですが、5Gでは、クラウド使うメリットも大きくなります。5Gは単なるモバイルネットワークのアップデートではなく、レイテンシー(遅延)がゼロに近くなり、端末とネットワークの境界線があいまいになります。端末側で処理すればリアルタイムにできたり、プライバシーが保護されたりといったメリットがありますが、(5Gが普及すれば)その違いは演算能力だけになるのかもしれません。

5Gが広がれば、分散型のサービスも提供できるようになる可能性もあります。たとえば人が車に乗ったとき、場所が認識され、音楽を聞きたいと話すだけで自動的に車載スピーカーから音が流れる──これができるようになったときが大きなターニングポイントで、シンギュラリティではないかと思います」


──ハードウェアの進化によって実現できたソフトウェアは、何かあるのでしょうか。

Wang氏「NPUがいい例です。NPUは、Kirin 970で初めて搭載されましたが、行列演算に特に適しています。これを生かした一例として、カメラにAIがつき、物体を前にかざすとそれが何であるかを識別できるようになりました。ほかにも、翻訳など、様々な可能性があると思います」
HUAWEI Mate 20

──Mate 20シリーズもPCモードに対応していますが、これもEMUIの一種でしょうか。また、ファーウェイではWindows PCも展開していますが、これをEMUIのPCモードにしていくような考えはありますか。

Wang氏「PCモードはEMUI 8.0から始まりましたが、当初はケーブルが必要でした。9.0ではワイヤレスに対応するなど、進化もしています。しかし、このPCモードをPCのOSにするという考えはありません。

ちなみに、PCモードについても、標準のAndroidに取り入れられることになりました。これも弊社の貢献で、Androidをベースにしたイノベーションのいい例だと思います」

──ありがとうございました。


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関連キーワード: android, emui, google, huawei, interview, linux, mate20pro, smartphone, UI
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