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iPadを使った鉄道博物館のイベントに参加。受動から能動へ好奇心を掻き立てる新たな試み

子供たちは真剣に取り組んで予定時間を1時間もオーバー

いーじま (Norihisa Iijima), @WipeOut2008
2018年12月3日, 午後12:00 in apple
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12月1日、大宮にある鉄道博物館では、iPadを使った「鉄道車両のミカタ~動画を撮って、みんなで一緒に考えよう!~」というイベントが行われました。iOS標準のアプリ「Clips」を使い、展示車両で気になるところを撮影。じっくり見て感じた疑問や思ったこと、気がついたことを、参加者みんなで共有・話しながら、鉄道博物館の学芸員の人と一緒に楽しもうという新たな試みです。筆者の息子たちは電車大好きなので、さっそくこのイベントに参加してきました。

Gallery: 鉄道車両のミカタ | 27 Photos

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鉄道博物館へは、過去3回ほど来ていますが、今年夏にリニューアルオープンしてからは、はじめての来館になります。子供たちも新たにオープンした南館が気になるようで、E5系はやぶさや400系新幹線が間近で見られるのを楽しみにしていました。

JREast museum

「鉄道車両のミカタ」は、子供たちが参加するタイプで、会場で貸し出されたiPadを使っての体験型イベントです。学芸員の香月さんの元に集まった10名ほどの子供たちは、まずiPadのカンタンな使い方を説明。そして、iPadでアプリ「Clips」を使い、展示されている車両の気になるところを動画で撮影して、それが何なのか、どうしてなのかということを、みんなで考えてみようというものです。

JREast Museum
▲受付でiPadを受け取りイベントに参加

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▲学芸員の香月さんが、今日行うことやアプリ「Clips」の使い方を簡単に説明

まず、撮影のターゲットになったのが、日本で最初に開通した新橋~横浜間を走った1号機関車と呼ばれる150形式蒸気機関車。イギリスから輸入した1両で、国指定重要文化財に指定されています。

子供たちは思い思いに機関車の周りで使い方をサポートスタッフから指導してもらいつつ、気になるところを撮影します。その後集合し、何を撮影したかを披露。時間の関係で1名、2名ほどでしたが、その疑問に対して香月さんが解説するのではなく、どうしてなのかをみんなに聞き、議論していきます。

JREast museum
JREast museum
▲「気になるもの」というテーマで撮影。動画だから音声も残せる

たとえば、「機関車の先頭にある金具が時計みたい」と撮影されたものに対し、「なぜこのような形をしているのか」「これはどうしてここにあるのか」とみんなに聞いて、いろんな意見が飛び交いました。また、機関車の後ろにつながっている当時の客車の中を撮影し「電気(灯り)がないから暗い」と気になったことに対しては、「電気がなかったから」とか「火を使ったランプだと危ないから」、灯りの燃料として「メタンハイドレート」なる言葉が飛び出すなど、子供たちが持っている知識の引き出しから、さまざまな考えが溢れ出てきました。

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▲子供たちが撮影した動画に対して、みんなに問いかけ、議論しました

本筋から外れた意見も多々出ましたが、傍から見ていた大人たちからすると、子供たちの発言にそんな発想はないなぁと関心していたことでしょう。おそらく香月さんもそういった「予期しない疑問や解答」を期待し楽しんでいたのではと思います。

iPadを使って動画を撮影させたというのも、子供たちの興味をひく材料としてよかったと思います。

このイベントの企画をした、当館の学芸員・坪内さんは「これまではギャラリートークといって、学芸員が一方的にお話をすることが多く、館長が出席する世界鉄道博物館会議でも、一方的に話すのは生涯学習施設としては不誠実ではないかと問題視されていました。お客さんと一緒に考えたり、学芸員が知らないことに気づけたりといった、対話型のコミュニケーションをしながら博物館を楽しんでもらうことが課題だったのです。また、いまだに博物館でワークショップをやる場合は、紙と鉛筆でやることが多いのですが、いまはスマホやタブレット、PCを使う時代。それでいいのかという課題もありました。この2つの課題を解消すべく行なったのが今回のiPadを使ったイベントです」

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▲今回のイベントを企画した学芸員の坪内さん

そのため、今回は学芸員からの知識の押しつけではなく、香月さんは参加者の疑問に対して正しい解答はせず「博物館内にはほかにも同じような車両がいくつも展示されています。その中に
答えやヒントがあるので、見つけてみてください」と説きました。あえて答えを示さず、館内から答えを導き出させるやり方は、歴史が詰まった博物館ならではであり、より子供たちの好奇心を掻き立て、知識の連鎖が生まれると感じました。

続いて、ターゲットになった車両は、E1系の2階建て新幹線です。実は息子たちは、昔の歴史的車両よりも、現在でも見られるような車両のほうが一段テンションは上ります。ただ、今回のイベントを体験して、昔の車両に対しても興味を抱いてくれたようなので、もっといろいろな知識を植え付けさせたいと思いました。

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▲E1系2階建て新幹線。機関車とは全く違うつくりに対して、子供たちはどう感じるか

E1系新幹線でも同様にClipsで撮影し、みんなで持ち寄ったものから、1つ2つ紹介して議論するのですが、ここでサプライズ。一般にはE1系新幹線の車内は開放されていないのですが、今回特別に車内に入り、意見交換とそのあと作業する動画編集の場となりました。息子たちもまさかの展開に大感激です。

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JREast museum▲いろいろと撮影したあと、車内に入れることをサプライズ発表

ここでの意見交換は、みんな慣れたのか、香月さんも収集つかないぐらいあちこちから意見や疑問が飛び出して、「手を上げてから話してください」とお願いするほど。それぐらい、今回のイベントが子供たちにとって楽しかったことを意味していると思います。

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▲みんな、どうしてなのかという疑問に対してさまざまな意見が飛び出した。親として見ていてもいい感じ

最後に香月さんは参加した子供たちに「今回疑問に思ったこと、考えたことは、自分自身で見つけてください。見つける方法はこの博物館にいくつも用意されています。展示している車両やモノを見たり、ライブラリーにある本でも調べられます。さらに、鉄道のことを研究し、どう展示するか考えている学芸員さんもいますので、ぜひ聞いてみてください。見つけることが博物館のいちばん楽しい"ミカタ"かもしれません。このClipsを使ったイベントが、そのきっかけになればと思います」と語りました。

イベントは1時間の予定でしたが、撮影した動画に納得しなかった子供は再撮へ。そして動画の編集もサポートスタップに教わりながら、凝りすぎた結果、結局1時間近くオーバーしていました。最後に動画として保存してもらい、カードの裏にQRコードが印刷されるので、そこから動画が見られる仕組みになっています。保護者でiPhoneなどをもっている場合は、そちらへ直接動画を転送してもらえました。息子たちは鉄道博物館の手帳ももらって大満足。「めちゃくちゃ楽しかった」と上機嫌でした。

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▲最後に香月さんからお土産を手渡し

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▲中には鉄道博物館の手帳と鉄道カードが入っていました。持ち方が天地逆なのはご愛嬌

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▲鉄道カードの裏側にQRコードが印刷されています

最近は、小さい頃からiPadやiPhoneといったデジタル端末を触って育つ子供たちが多いですが、筆者の息子たちは、ほとんど触れずに育ってます。それがいいか悪いかは別にして、タッチ操作でできる端末は、なんとなく使い方がわかり理解も早いため、息子たちもすぐにある程度は使えるようになりました。サポートスタッフもいたので、わからなかったらすぐ聞けましたが、実は筆者もこのアプリを使ったことがなかったので、親向けにアプリの使い方を説明するA4ペラ1枚程度の簡易マニュアルがあればよかったかなと思いました。

というのも、息子たちは母親のiPhoneで電車を撮影したりしているのですが、通常横に向けて撮影します。ただ、このClipsは正方形の動画になるため、横に倒しても意味がなく自動的に天地を合わせてくれないため、縦にしたり横にしたりして撮影した結果、天地が揃わない動画になってしまいました。それに気づけなかったのがちょっと残念でした。あと、意外と機能が豊富でやれることも多いので、もっと使いこなせたらより凝った動画ができたなぁと思いました。今度鉄道博物館へ行ったとき、リベンジしたいと思ってます。

JREast museum
▲しっかりサポートしてくれて動画編集作業もこなせたが、親が知るための簡易マニュアルは欲しかった

ただ、先述したようにiPad使っての撮影は子供たちもかなり楽しんでいました。特にいま撮り鉄化しているので、このイベントをきっかけに動画撮影もハマるかもしれません。

残念ながら、今回は単発企画のイベントでしたが、今後もテーマを変えて同様のイベントを行いたいと坪内さんは語ります。

「この博物館で楽しんでいる方はたくさんいらっしゃいますが、楽しんで学んでいる方がどのくらいいるのかというと自信がありません。今回もiPadがなければ、正直楽しんでいただけなかったのではないかと思っています。実は、博物館に来ても車両の前に立って写真を撮るお客さんがほとんどです。ところが今回、1つの車両に対して30分ずつかけて見たり考えたりしました。これは博物館にとってもいい楽しみ方ですしお客さんにもいいことだと思います。参加した子供たちが、疑問に思ったり考えたりしたことも含めて楽しいと思ってもらったら成功ですね。今回は1号機関車とE1系新幹線の対比がテーマでしたが、今後はいろいろなテーマを考えていきたいと思っています」

このようなイベントは、海外の博物館ではあっても、日本国内ではないとのこと。今後、今回の経験を活かして、定期化し他館にもノウハウを伝え、最終的には生涯学びを人生の生きがいにできるような施設を目指したいと語っていました。

鉄道博物館は、体験できるコーナーも多く、先着順で人気が高いため、早朝から並んでいる親御さんも多いと思います。ただ、このような限定イベントは、サイト情報などに注目していないと気が付かず、意外と穴場かもしれません。子鉄をおもちのお父さんお母さんは、サイトのイベント情報を逐次チェックしておくことをおすすめします。筆者もまたこういう企画があればぜひ参加させたいですね。


関連キーワード: apple, clips, event, ipad, JrEast, movie, museum, train, transportation
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