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Makuakeで2000万円超の支援を集める小型ゲーミングPC「HiGame」実機レビュー

Intel+AMDの「Kaby Lake-G」搭載PCッス

宮里圭介 (Keisuke Miyasato), @miyasa
2018年12月5日, 午後02:50 in gameing
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ゲーミングPCと聞くと、やけにでっかいタワー型PCを想像しがちですが、わずか体積2リットルという小さなサイズで登場したのがCHUWIの「HiGame」。Makuakeでプロジェクトが公開されると支援が殺到し、すでに2000万円を超える支援が集まっています。そんなHiGameのCore i7モデルを販売前に借用することができたので、軽くレビューしていきましょう。

そもそも「HiGameってなんだ?」という人はMakuakeのページを見てもらうとして、スペックからザックリとポイントを挙げておくと、CPUは4コア8スレッドの「第8世代Core i」、グラフィックスはAMDの「Radeon RX Vega M」、サイズは173㎜×158㎜×73mm(体積約2リットル)、重量は約1300gという小型PCになります。

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見どころはこのCPUとグラフィックスが、統合された1つのパッケージとなっているところ。このCPUはIntelとAMDが手を組んだモデルで、開発コード名は「Kaby Lake-G」。これを搭載するPCはいくつかありますが、そのうち最も有名なのはIntelの小型PCベアボーンキット「HADES CANYON」です。

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▲MakuakeのHiGameプロジェクトで説明に使われているKaby Lake-Gの構成図。CPUとGPU(とメモリ)は別のダイで、1つのパッケージに統合されています
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▲「HWiNFO」を使って、実際にHiGameのCPUとGPU情報を確認してみると、4コア8スレッドのCPUと、Radeon RX Vega M GHがちゃんと認識されていました

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▲Kaby Lake-G搭載の代表といえるのが、「HADES CANYON」。小型PCベアボーン、NUCシリーズのひとつとなります

HADES CANYONは小型のゲーミングPCが欲しい層と、変態個性的なCPUを保護したくなるマニアを騒がせた製品ですが、下位モデルでも10万円以上となかなか高額。これ、ベアボーンキットの価格ですからね。ここからさらに、メモリ、ストレージ、OSの価格がプラスされます。

その点「HiGame」は容量8GBのメモリ、容量128GB or 256GBのSSD、Windows 10 Homeがセットになっています。それでいて、早期の最安値であればi5モデルが9万円、i7モデルが10万9800円となっていましたから、注目が集まるのも納得です。厳密にいえば、HADES CANYONの方が少し上のCPUを搭載してるので、単純な比較は難しいですけれど。

HiGameが採用しているCPUは「Core i7-8709G」もしくは「Core i5-8305G」。この2つのCPUの違いを軽くまとめてみたので参考までにどうぞ。CPU部は同じ4コア8スレッドですが、Core i7-8709Gの方はキャッシュが多く動作クロックも上、GPU部もCore i7-8709Gの方は性能の高いものが採用されています。

Core i7-8709GCore i5-8305G
コア/スレッド4/84/8
CPUベースクロック3.1GHz2.8GHz
CPU最大クロック4.1GHz3.8GHz
キャッシュ8MB6MB
グラフィックスRadeon RX Vega M GHRadeon RX Vega M GL
CU2420
GPUベースクロック1063MHz931MHz
GPU最大クロック1190MHz1011MHz
TDP100W Package TDP65W Package TDP
▲CPU部の動作クロックが異なるほか、GPU部のグレードに差があるというのが2つのプロセッサの大きな違いです。より詳細な比較が知りたい場合はこちら


さて、HiGameがどんなPCなのかという話はこのくらいにして、実機をチェックしていきましょう。

ベンチマークで3D性能をチェック
Core i5-9600K+1050Tiのデスクトップとほぼ互角の結果

今回試用したのはCore i7-8709Gモデル。容量8GBのメモリと容量256GBのSSDを搭載したものとなります。「HWiNFO」を使って構成をチェックしてみると、こんな結果に。
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▲「HWiNFO」の機能を使い、基本的なスペックをチェックしてみます。メモリはシングルチャネル、SSDはIntelの760p(NVMe対応)というようなことがわかります

ゲームに注力されているPCっていうことなので、ベンチマークソフトを使って3D性能を見てみましょう。使用したのは、軽量ゲームの目安としてド定番の「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」(FF14ベンチ)、重ためのゲームの目安として「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」(FF15ベンチ)、3D性能の参考値として「3DMark」の3つです。

それぞれの条件は、FF14ベンチは「1920×1080、最高品質、フルスクリーンモード」、FF15ベンチは「標準品質、1920×1080、フルスクリーン」、3DMarkはデフォルトのまま「Fire Strike」「Time Spy」の2つを試しました。

同等の価格帯で購入できるゲーミングPCを比較対象にするのがいいだろうということで、CPUにCore i5-9600K(6コア6スレッド)、グラフィックスにGeForce GTX 1050 Ti(4GB)、メモリ容量8GBといった構成のものを用意しました。エントリークラスのゲーミングデスクトップPCとしては、それなりのスペックです。

結果は以下の通り。

 HiGame
(i7-8709G)
対抗機
(i5-9600K+1050Ti)
FF14ベンチ7878(非常に快適)7970(非常に快適)
FF15ベンチ4319(普通)4203(普通)
3DMark Fire Strike81867199
3DMark Time Spy30052656
▲FF14、FF15はCPU性能が若干出やすいのでビックリするくらい結果が肉薄してます。3DMarkはグラフィックス性能の方が影響が大きいようで、HiGameが有利に

純粋なグラフィックス性能ではGeForce GTX 1050 TiよりもRadeon RX Vega M GHの方が上となるようですが、その差をCPU性能で埋めてきたのが対抗機、といった結果です。グラフィックス性能の方を重視する3DMarkではHiGameが大きくリードしていることからも、そのことがわかります。

ちなみにもうワンランク上のGPU、ミドルクラスのGeForce GTX 1060ではどうかといえば、FF14ベンチで10000を大きく超えてくるような性能となります。HiGameではそこまでの性能は望めませんから、「エントリークラスのゲーミングPCとしてはそこそこの実力」という結論になるかと思われます。

具体的には、軽量なゲームならフルHDの高画質で遊べ、重たいゲームなら画質か解像度を落とせばいける、といった感じです。

金属の質感が結構うれしい本体(と中身)をチェック

本体サイズは縦置きで幅73mm、高さ173mm、奥行き158mmというコンパクトなものです。本体の体積が約2Lということなので、横に1Lの紙パックを置いて比較してみました。

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▲正面と横から、どちらも1Lの紙パックと並べて。思っていた以上にわかりやすい比較になりました

こうしてみると、正面から見るとほぼ同じ面積、横から見ると2本分っていうのがわかり、「2Lというのは本当だな」と実感できますね。

インターフェースは前面にあるのがUSB Type-C/Thunderbolt3の1ポートのみ。USB 3.0×5、LAN、HDMI×2、DispleyPort×2、マイク入力、ヘッドフォン出力といった残りのポートはすべて背面となっています。使い勝手を考えるなら音声関係に加えて、USB3.0のうち1つくらいは前面に欲しかったところですが、見た目重視で考えるなら最低限のUSB Type-Cのみというのもありかもしれません。

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▲インターフェースのほとんどは背面に集中。小型PCながら、映像出力が4つもあるのがなかなか豪快です

横置きしたときに底面となる部分は、吸気口となっていることもあって少し厚めのゴム足が装着されています。この底面、ネジを外すと簡単に外れるのですが、すぐ内側に空の2.5インチベイが装備されていました。付属のSATAケーブルを使うことで、この底面にSSDやHDDを搭載できます。こういった拡張性が残されていると、ちょっと得した気分になりますね。

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▲中央部の穴の片方はCPUクーラー直、もう片方は穴が開いているだけです。ケースファンなどはなく、ファンはCPUクーラーのみ

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▲底面板の内側には2.5インチベイが。薄いドライブが2つくらい入りそうなサイズですが、電源付きのSATAケーブルは1本しか付属していませんでした

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▲M.2スロットのすぐ近くにSATAと電源のコネクタが用意されています。2ポートぶんあるので、ケーブルを何とかできれば2台内蔵もできるかも

底面を開けたついでに中身をじっくり見てみたところ、SSDはIntel SSD 760p(256GB)、メモリはKingston製で容量8GBのものが装着されていました。このSSDはNVMe対応の高速なモデルとなっていて、CrystalDiskMarkで速度を測ってみたところ、シーケンシャルでリード3100MB/s、ライト1200MB/s以上となかなかの結果でした。ランダムリードライトはそれほどでもありませんが、特に不満はないレベルです。

メモリがシングルチャネルというのはちょっと残念ですが、グラフィックスがメインメモリを使う一般的なCPU内蔵グラフィックスとは違い、Radeon RX Vega Mには専用メモリが搭載されているため、ゲーム性能が落ちることはほとんどありません。試しに8GB追加した容量16GB環境でFF14ベンチなどを試してみましたが、ほとんどスコアに影響がありませんでした。

むしろ、4GB×2などとされてしまうと増設時に無駄になってしまうので、8GBが1枚というのはありがたい気がします。とはいえ、最近は8GBでも不安を覚えるようになってきていますし、さっさと16GBまでメモリ容量を増設してしまうのがいいでしょう。

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▲SSDはIntelで、メモリはKingston。ちゃんと名のあるメーカーの品が使われていました
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▲SATAのように600MB/s以下での頭打ちはなく、しっかりとシーケンシャルアクセスの性能が出ているのが気持ちいいです

メモリを外して奥の方をのぞいてみると、銅製のヒートシンクから延びたヒートパイプがCPU部へと繋がっているのが確認できました。CPUの熱をヒートシンクに移動して、そこから一気にケース外に排出する構造ですね。ノートPCなどでよく見られるものです。

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▲CPUはアルミの板で押さえられていて、ヒートシンクというよりはヒートスプレッダーといった印象。このアルミ板からヒートパイプを伝ってヒートシンクへと熱が移動する仕組みです

ファンはCPUクーラーのものだけ、しかも吸気はケース外から直接となっていますので、この構造だとケース内の換気を積極的に行なう手段がありません。側面に穴が開いてますから、まったく換気がされないというわけではないですが、ケース内に熱は溜まりやすいでしょう。

外観からすればアルミ製ケースといった雰囲気があるので、天板(横置き時)から放熱されるのではと期待するかもしれませんが、天板を外してみると、まったく通気口がありません。

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▲天板のネジを外して化粧板をどかすと、その内側は樹脂。この面からは熱が逃げる余地がありません

一番の熱源となるCPU(とGPU)がヒートパイプでヒートシンクに接続されているとはいえ、そこからケース内に漏れる熱は皆無ではないですし、CPUの裏面、SSD、メモリ、チップセットなどから出る熱もあるため、もう少しケース内の換気についても工夫が欲しかった......というのが正直なところ。特に熱は上側に溜まりやすいので、熱の逃げ場が少なくなる横置きよりは、縦置きで使う方がいいかもしれません。CPUクーラーの吸気口も、底面だと厳しいですしね。

気になったのは、高負荷時に安定しないCPU性能

ゲームやグラフィックス性能を測るベンチマークテストだけなら安定して動作していたのですが、問題となったのはCPUの性能を測ろうと「CINEBENCH R15」を動かしたとき。試した範囲では613cb~808cbとかなり激しくスコアが変動していました。

ゲーム性能で比較に出したPCのCore i5-9600Kが1085cbですから、これよりも3割ほど遅い感じです。モバイル向けCPUでいえば、670cb前後となるCore i7-8650Uが近いスコアとなるでしょう。

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▲それなりに動作クロックが安定していたときで、700台後半あたり。800cbを越えたのは1回だけでした

以前、Core i7-8650U搭載のノートPCでテストした際もスコアが安定しなかったのですが、それでも30cb前後くらいなもので、200cb近い変動というのはなかなかありません。こんなにもスコアが安定しないのは熱の問題かなと思い、「HWiNFO」を使ってCPUのコアごとの様子をチェックしてみたところ、Core #0とCore #2が早々に99度(たぶん上限)まで上昇するなど、なかなかすさまじい状況になっていました。当然、サーマルスロットリングによる速度低下があるわけで、そりゃ、性能だって安定するわけありませんね。
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▲CINEBENCH R15を動かした後で最大値を見ると、温度は99度だし、サーマルスロットリングで速度は低下するしで、なかなかの惨状となっていました

ただ気になったのが、Core #1とCore #3の温度も80度前半と高いですが、それでもCore #0とCore #2の99度と比べれば全然マシだということ。ヒートパイプに近いほうのコアだけが冷えて、遠い方が冷えていないのでは? と勘繰ってしまいます。

またCPUの動作クロックを見ていると、CINEBENCH R15を実行した直後こそ3.7GHzで動作していますが、そのうち3GHzになり、酷いと2.5GHzにまで動作クロックが下落してる様子も確認できました。さらに観察を続けていると、多くの場合は「Power Limit Exceeded」が「Yes」に変化して動作クロックが激減するのですが、たまに「No」のまま動作していることがあり、そのときは3.5~3.7GHzとなって、高スコアが出ていました。
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▲「Power Limit Exceeded」が「Yes」になっているところ。こうなるとクロックが落ちてしまい、スコアも出ません

Power Limit ExceededはCPUの消費電力が高くなりすぎないよう制限する機能ですが、場合によってリミットになったりならなかったりすることから考えると、結構ギリギリなラインに設定してあるのでしょうか。もう少し余裕を持った設定をしておいてくれれば、高スコアで安定してくれそうなのですが......。とはいえ、すでにコアの温度が99度の上限になっているので、CPUクーラーを何とかしない限り長時間の高クロック動作は難しそうです。

今回試したのはCore i7モデルなのですが、もしかするとこの電力や熱設計はCore i5と共通なのかもしれません。グラフィックスも含めたパッケージTDPで比べてみると、Core i7-8709Gが100W、Core i5-8305Gが65Wと大きく違うだけに、Core i5基準で作っているならCore i7で制限が出てしまうというのは、ありえそうな話です。また、コアの温度が早々に99度になってしまうというのも、CPUクーラーの冷却性能不足と考えればある程度は納得できます。

もうひとつ気になったのは、ターボブースト時に本来4.1GHzまで上昇してくれるはずのCore i7-8709Gが、どんな状況でも3.7GHzまでしか動作クロックが上がらなかったこと。大抵のPCではブラウザーを動かすなどの軽い使い方をすると、瞬間的にせよCPUの最大クロックまで上がってくれるのですが、そんなそぶりも一切ありませんでした。

このあたりの挙動はメーカー側のチューニング次第なので、そういう設定になっているPCなのでしょう。実用上問題があるわけじゃないですが、ちょっと寂しい気がしました。

騒音は空気清浄機くらい。小さくないけど大きくもない

小型のゲーミングPCといえば騒音が大変なことになるイメージですが、意外にも、HiGameの騒音はそれほど大きくありません。確かに常時動作音は聞こえますし、ゲームを動かしたときにはさらに騒音が大きくなりますが、例えるなら空気清浄機が近く、掃除機ほどはうるさくなりません。

CPUの挙動と温度に若干不安が残りますが、発売前の試作品ということで、これからさらに完成度が高まることに期待したいですね。まー、不安が残るといっても高負荷時のペフォーマンス低下というだけであって、動作が不安定になるという意味ではないので、実用上問題になることは少ないと思いますけど。

コンパクトでエントリークラスのゲーミングPCが欲しい、もしくは、GPU性能の高いクリエイティブPCが欲しい、今のうちに「Kaby Lake-G」を手に入れておきたい、などと考えているのであれば、なかなか面白いPCではないでしょうか。

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