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各国で続く測位衛星の打ち上げ。米国依存からの脱却目指す

iPhoneの仕様にも影響する可能性

TechCrunch Japan Staff
2018年12月24日, 午後12:00 in gps
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ダンボールだからと期待せずにNintendo SwitchのVRで遊んだ結果……(小彩楓)

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小彩 楓, 4月6日
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あなたはどこにいるのか? これは、単なる純正哲学的な問ではなく、地政学的にますます重要な問題となってきた。それによって、AppleやAlphabetのようなIT系の大企業が厳しい立場に追いやられようとしている。

中国、日本、インド、イギリス、そして欧州連合を含む世界中の国々が、独自の測位システムを構築するための研究、実験を行い、実際に衛星を打ち上げている。

これは、ここ何十年もの間、グローバル・ポジショニング・システム(GPS)によって、物体の位置を測定する機能を実質的に独占してきたアメリカにとって、とてつもなく大きな変化となる。GPSは、冷戦時代にアメリカ空軍が軍事目的で開発し、2000年の半ばに民生用にも開放された(GPSの簡単な歴史については、この記事を、詳しい歴史が知りたければ、一冊の本となった情報もここにある)。

GPSを支配することには、多くの利点がある。その中で、第一の、そしてもっとも重要なことは、軍用、商用に関わらず、世界中のユーザーがアメリカ政府が提供するサービスに依存するということだ。いわば、ペンタゴンの慈悲によって位置を決めさせてもらっているわけだ。この技術の開発と測位衛星の打ち上げが、宇宙産業に利益をもたらす波及効果もある。

現在のところ、そのシステムに対する代替手段となるのは、世界規模では唯一ロシアのGLONASSだけだ。これは、ロシア大統領ウラジミール・プーチンの肝入で進められたアグレッシブなプログラムによって、数年前に全球をカバーするようになった。ソビエト連邦の崩壊後に衰退していたものを再構築したものだ。

今では、他にも多くの国々が、米国への依存度を下げ、独自の経済的な利益を得たいと考えている。おそらく、それがもっとも顕著なのは、GPSに代わる世界的なシステムの構築を国家の最優先事項としている中国だ。そのBeidou(北斗−「Big Dipper」)ナビゲーションシステムは、2000年以降ゆっくりと構築されてきており、主にアジアでのサービス提供に焦点を当てている。

しかしこのところ中国は、Beidou衛星の打ち上げを加速し、世界規模の測位サービスの提供をもくろんでいるFinancial Times紙の数週間前の記事によれば、中国は今年だけで11個のBeidou衛星を打ち上げた。それは、そのネットワーク全体のほぼ半分に当たる数であり、2020年までには、さらに十数個の衛星を追加する計画だという。完成の暁には、世界でもっとも規模の大きなシステムの1つとなるだろう。

2017年11月5日、中国は西昌の衛星打ち上げセンターから発射されるLong March-3B型の打ち上げロケット。第24号と第25号のBeidouナビゲーション衛星を搭載している。写真は、Getty Imagesから、Wang Yulei /中国通信社/VCGによるもの。

中国は、衛星を軌道に乗せるだけでなく、自国のスマートフォンメーカーに、Beidouに対応した測位チップを各社のデバイスに搭載するよう要求している。すでに、HuaweiやXiaomiといった大手メーカー数社のデバイスは、GPSとロシアのGLONASSに加えて、Beidouのシステムに対応している。

それはAlphabetや、とりわけAppleのようなアメリカのスマートフォンのリーダーを苦境に陥れる。たった1種類に統合されたiPhoneデバイスを世界中に供給していることを誇りにしているAppleにとって、GPSに関する独占の崩壊は頭の痛い問題だ。中国市場にだけBeidouに対応した独特なデバイスを供給することになるのか。あるいは、世界市場向けの携帯電話にもBeidouチップを搭載するのか。それによって、米国の国家安全保障当局とトラブルになるのではないか?

やっかいな問題は、それだけではない。GPSに代わるシステムを立ち上げることに、もっとも積極的なのは中国で、世界中を網羅することに強気の姿勢を見せているが、独自のシステムを追求しているのは中国だけではないのだ。

日本は、宇宙開発を、中国に対抗し、経済を回復させるための国家的な優先事項と位置づけており、そのプログラムのもっとも重要な要素の1つとなっているのが、ポジショニングシステムの構築だ。そのQuasi-Zenith Satellite System(準天頂衛星システム)には、現在までに1200億円(10億8000万ドル)の費用をつぎ込んでいる。GPSを補強して、日本国内のカバー範囲を拡大するように設計されたものだ。それによって、推定2兆4000億円(2155億8000万ドル)の経済効果を見込んでいる。

この新しいシステムを利用するには多大なコストがかかる。生産規模が小さいためだ。Nikkei Asian Reviewの数週間前の記事は、「受信機の価格が高いことがハードルになる。三菱電機が木曜日に発売した受信機は、誤差が数センチ以内という精度を持っているが、その価格は1台が数百万円、つまり何万ドルもするのだ。」と指摘している。自律走行車には、日本国内でのより高い位置精度が必要なのかもしれないが、その技術を車に取り入れたいのであれば、自動車メーカーは直ちにコストを下げる必要がある。

日本と同様に、インドもGPSを補完するIRNSSというシステムの実現を目指している。すでに7つの衛星を打ち上げ、インド亜大陸でのカバー範囲を拡張している。一方、Brexitをめぐる国民投票の結果、3月に欧州連合から脱退することになっている英国は、EUのGalileo測位システムにアクセスできなくなる可能性がかなり高い。そのため、独自のシステムの立ち上げを計画している。そのGalileoは、2019年には完全な運用状態になると期待されている。

かいつまんで言えば、世界は1つのシステム(GPS)から、おそらく7つのシステムに移行したのだ。中国のメーカーは、GPS、GLONASS、そしてBeidouを1つのチップに実装することを促進しているが、それは中国という国家規模でしか成立しないだろう。たとえば日本では、スマートフォン市場は飽和状態にあり、人口は中国の10分の1にも満たない。そのため、価格を下げるために必要な量産効果は見いだせない。同じ理由で、英国ではさらに厳しいだろいう。

理論的には、1つの測位チップを、それらのさまざまなシステムすべてに対応するように設計することは可能だ。しかし、特にGLONASSとBeidouに関しては、米国の国家安全保障法に抵触する可能性がある。つまり、インターネットが異質な極に分断されているのと同様に、スマートフォンの測位チップも、そうした地域ごとの市場に対応するため、細分化を余儀なくされることが、すぐに明らかになるだろう。それは最終的には、消費者にとって、より高い価格を意味し、製造業者にとっては、より厳しいサプライチェーンを意味することになるのだ。

画像クレジット:AFP/Getty Images

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(翻訳:Fumihiko Shibata)





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