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ソフトウェア無線「HackRF One」で電波の使用状況を確認してみた:ウェブ情報実験室

本物のスペアナは高価ですから……

宮里圭介 (Keisuke Miyasato), @miyasa
2019年1月5日, 午前10:00 in HackRF One
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電波を見るために使う計測器に、スペクトラムアナライザ(スペアナ)というものがあります。まともな製品を購入しようとすると数十万どころか数百万単位の金額になるわけで、個人で所有するのはなかなか厳しい。ところが、ソフトウェア無線(SDR)を使った簡易的なものであれば、より低価格で入手できることを知りました。

ソフトウェア無線とは、これまでハードウェアで実現していた部分の多くをソフトウェアで実装することにより、さまざまな通信に対応できるようにする技術のこと。これを利用すれば、ラジオを聞くのも、テレビを見るのも、Wi-Fiを使うのも、同じハードウェアのままソフトを変えるだけでできるようになります(実際はもっと複雑なので、そう簡単にはいきませんけれど)。

言い方を変えると、電波を扱うものであればソフト次第で何にでも対応できるとも言えます。つまり、このソフトウェア無線と簡易スペアナ用ソフトを使えば、コストをあまり掛けずに個人で簡易スペアナが所有できるのです。ということで、オープンソースのSDRとなる「HackRF One」を購入し、試してみました。

購入したのはオープンソースSDRの「HackRF One」

もともとは「Great Scott Gadgets」が本家で、日本では秋月電子で購入できます。が、オープンソースということで、今回は中国通販サイトAliExpressで探して個人輸入しました。

sdr spectrum analyzer
▲ケース付きの本体に複数のアンテナがセットになったものを選択。試してわかりましたが、受信ならロッドアンテナさえあれば問題ない感じでした

AliExpressでは、基板のみの安いもの、それからケース付やアンテナ付きなどいろいろなセットの品も見つかります。せっかく買うなら幅広い周波数帯が見られるよう、複数のアンテナが付属するものを選んでみました。合計164.5ドルでしたから、なんだかんだで2万円しないくらいですね。

HackRF Oneで動くスペアナのソフトはいくつかあるのですが、うまく動いてくれたのが「hackrf-spectrum-analyzer」。これを使い、周波数帯の使用状況をのぞいてみました。

LTEや3Gで使われる2.1GHz帯を見てみる

携帯電話キャリアが全国で利用している、最もポピュラーな周波数帯ともいえるのが2.1GHz帯。これの下りの周波数帯を見てみましょう。auが2110~2130MHz(20MHz幅)、ドコモが2130~2150Hz(20MHz幅)、ソフトバンクが2150~2170MHz(20MHz幅)を割り当てられている帯域です。単純に画面だけ見せられてもわからない思いますので、落書きしました。

sdr spectrum analyzer
▲au、ドコモ、ソフトバンクの帯域を書き込んでみたところ。どのキャリアも20MHzずつが割り当てられています

ついでにグラフの見方もちょっと解説。といっても私も詳しいわけではないのでテキトーになりますけど。

上のグラフは横軸が周波数、縦軸が電波強度となるもので、現在受信している電波の様子となります。この画面でいえば-60dBあたりまではノイズで、それ以上になっているのは何やら電波を受信しているということですね。普通に表示すると瞬間の強度しかわからないので、オプションでピークを30秒ほど残すようにして、頻度が高いところほど白~赤~青と変化するよう表示しています。

下のグラフは横軸が周波数というのは共通ですが、縦軸が時間となります。各周波数での電波強度が時間でどう変化しているか、というのがわかるグラフで、時間が経つと下に流れていきます。この画面でいえばauの帯域が特徴的で、5MHz幅の4つの帯域で順番に電波が弱くなっていている様子がわかると思ます。

つまり、周波数ごとの強度と時間変化の両方がみられる画面となっているのです。ということで、ジャマな落書きのない画面を見てみましょう。

sdr spectrum analyzer
▲LTEと3Gが同居している周波数帯なので、やたらと山がぼこぼこしてるのが面白いですね。見た中ではここが一番楽しかったです

ガードバンドっぽい区切りで判断すると、auは20MHzまとめて、ドコモは15MHzと5MHz、ソフトバンクは5MHz、10MHz、5MHzに分けて使っているのかな、などといったことが読み取れます。ドコモとソフトバンクが分割されているのはLTEだけでなく3Gにも使っていることが関係してるのでしょうか。auも3Gでこの帯域を使っているはずですが、周波数での明確な区切りがないので時分割なんですかね。定期的に電波が弱る瞬間があるので、その辺がちょっと怪しいです。単純に区切りが見えにくいだけ、もしくはココがすでに停波されてる地域なのかもしれませんが。

シャレにならないほど激混みの2.4GHz帯

次に見たのが、みんな大好き2.4GHz帯。主にWi-Fiで利用されていることが多いですが、Bluetoothやマウスやキーボードの無線通信用としても使われている周波数帯です。たしか土曜日の深夜あたりにぼーっと眺めていたのですが、近所で激しく使っている人がいたようで、かなりの電波が漏れてきていました。

sdr spectrum analyzer
▲ものすごく使われている様子が観測できましたが、これ、ウチじゃないです。近所で使ってる人がいたようです

出ている電波の周波数は2.4~2.425GHzくらいですから、1chでしょうか。また、5chか6chあたりにもちょこっと電波が出てきていたので、これを見てウチの2.4GHzで使うチャンネルはだいぶ上の方へとずらしておきました。

2.4GHzは電子レンジの影響が大きいというのはよく言われることなので、このあたりの影響も調べてみようと、電子レンジを使いながらチェックしてみました。せっかく電波が見えるんですから、試さない手はありません。

sdr spectrum analyzer
▲電子レンジは2.46GHzあたりを中心に、多少上下にブレながら強烈にノイズをまき散らしてきました

電子レンジから5mは離れている場所での計測でしたが、思っていた以上にノイズとなる電波が大きく、2.46GHzあたりを中心に強く影響が出ているのがわかります。

Wi-Fiルーターでチャンネル設定を自動にすると、なぜかみんな1~7chくらいに設定したがり、上の方のチャンネルを使おうとしない製品が多かったのが以前から不思議でしたが、この結果を見るとなんとなく納得できます。上の方は電子レンジの影響が無視できなそうですからね。

電子レンジによっても使う周波数は変わってきそうなので、チャンスがあれば試してみたいところです。

気持ち悪いほど静かな5GHz帯は減衰が大きいせい?

やたらと混んでいた2.4GHzに対し、5GHz帯は平和そのもの......というか、通常時は何も見えません。通信を始めるとようやくちょこちょこ見えますが、端末をHackRF Oneのアンテナから1mも離してしまうと、わずかにノイズが見える程度にまで減衰してしまいます。

5GHz帯が減衰しやすいといっても、さすがにここまで減衰するとそもそも通信ができそうにないレベル。アンテナがおかしいのかなと、とりあえず付属してきたアンテナを次々変えてみたのですが、変化なし。ビームフォーミングなどの技術によって、通信機器の周辺以外ではノイズをまき散らさないようになってるとも考えてみたのですが、試しにWi-Fiルーターの設定でビームフォーミングをオフにしても変化しなかったので、また別の理由がありそうです。元々どの周波数帯でも受信感度が低く、Gainのバーをいじって無理に増幅しているのが一番の問題かもしれません。まともな増幅器が欲しくなってくる瞬間です。

それはともかく、アンテナに近づければ端末の通信状況がわかるのは確かなので、これで観察してみました。ちょっと面白かったのが、端末によって使用する帯域に違いがあるというのが目に見えてわかったことです。例えば40MHz幅まで対応するMoto Z2 Playを見てみましょう。

sdr spectrum analyzer
▲Moto Z2 Playの場合。大体5.21~5.25GHzあたりの40MHzぶん使っているのがわかります

中央にちょっと切れ込みがあることからもわかる通り、2チャンネルぶんの40MHz幅使っているのがわかる結果ですね。これに対して、iPad mini 4の場合を見てみます。

sdr spectrum analyzer
▲iPad mini 4の場合、Moto Z2 Playでは使われていなかった下のチャンネルまで使われています

iPad mini 4では利用している帯域がちょうど2倍に増え、80MHz幅使っているのがわかる結果となりました。同じ5GHz帯を使うといっても、これだけ差があるのが面白いです。

本当は、700MHz帯が見たかったのです

実は、そもそも電波状況を観測したいと思ったのは、700MHz利用推進協会のチラシが入っていたから。

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▲他のチラシに紛れて入っていた700MHz利用推進協会のもの。「テレビに影響があったら連絡して!」みたいなことが書かれていたような......

700MHzの使用が始まるというので、その使用状況を見てみたいと思ったのが直接の理由でした。で、わくわくしながら700MHzを見てみたわけですが......まだ始まっていないのか、うまく受信できないのか分かりませんが、とにかく何もない! つい先ほども確認しましたが、まったく使われていません。

ということで、2.1GHz帯とか2.4GHz帯とか5GHz帯あたりを見て楽しんでいたのです。これ以外にも1.7GHz帯とか2.5GHz帯あたりもなかなか興味深かったのでおすすめです。また、下り帯域ばかり見ていましたが、2.1GHz帯(実際は1.9GHz)の上り周波数帯を表示しつつ、スマホから電話をかけるのも結構面白かったです。

今のところ電波の周波数と強度をただ見ただけですが、せっかくのソフトウェア無線ですから、そのうちGNU Radioを使って簡単な復調までチャレンジしてみたいです。


関連キーワード: HackRF One, radio, sdr, spectrum analyzer
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