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レース中の充電が戦略のカギに?マクラーレンが考えた「2050年のF1グランプリ」

ドライバーが怒るとマシンが赤く光ります

Hirokazu Kusakabe
2019年1月26日, 午後12:30 in ElectricCar
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F1グランプリが100周年を迎える2050年に向けて、名門チームのマクラーレンは30年後のF1レースがどうなるか、どうあるべきかを考え、そのビジョンを発表しました。既存のテクノロジーやそこから予想される進化に基づき、このスポーツに対する社会的な要求や、何よりファンの要望に応えることを念頭に、モータースポーツに関する膨大な知見を持つマクラーレンの研究部門が想像した「2050年のF1レース」です。

この「MCLExtreme」と名付けられたビジョンでは、まず大真面目に「2050年のF1マシンは空を飛ぶか? 答えはノーだ」と述べています。その理由は「騒音が大きく、事故の危険が高くなるから」。そして何より、ファンが求めるものは「人間が運転し、4つのオープン・ホイールで路面を走る後輪駆動のマシン」によるレースであると主張しています。確かに、これにはF1ファンの多くが賛同するでしょう。

しかし、マクラーレンが考える2050年のグランプリ・レースが、現在のF1レースと共通するのは、ほとんどそれだけ。あとはマシンもレースもコースも観客の楽しみ方も異なります。

McLaren
まずはマシンから見ていきましょう。ボディには前後のウイング以外、現在のF1マシンのような付加的な空力パーツが見当たりません。代わりにマシンの裏側が複雑に彫り込まれており、車体の下を通り抜ける空気によって発生するダウンフォース(負の揚力)で、マシンは路面に押さえつけられます。さらに左右のサイドポッドが、「ホホジロザメのエラのように」張り出したり、縮んだりすることで空力を調整するとのこと。速度が500km/hにもなるという直線ではこの部分が内側に格納されて空気抵抗を抑え、コーナーやブレーキング時には逆に外側へ展開してダウンフォースを得る仕組みです。タイヤは自己修復性機能を持つ素材が使われているため、レース中に交換する必要はありません。

動力は当然ながら電気が想定されています。小型で高出力のモーターを1基だけ搭載し、これが(現在のF1マシンのように)後輪のみを駆動します。フレキシブルに搭載可能なバッテリーは、2018-19年シーズンからフォーミュラEに独占供給しているマクラーレン・アプライド・テクノロジーの知見を活かし、さらに現在より高密度になることが想定されています。

McLaren
マクラーレンでは、2050年になればバッテリーの10〜50%を10秒〜30秒で充電できるようになると見ていますが、興味深いのはその充電方法です。4本のタイヤには、トレッド面の中央部に磁気コイルが装備されており、さらにサーキットにも路面に磁気コイルを埋め込んだ「チャージング・レーン」を設けます。マシンはバッテリーの残量が少なくなれば、このチャージング・レーンを通ることで、走行しながら非接触充電が行えます。このレーンをゆっくり(長時間かけて)走れば多くの電気を充電できますが、レースではそれだけ後れを取ります。逆に速く(短時間で)走り抜ければ充電できる電気の量は少しですが、すぐにレースに復帰できます。

これが現在のF1におけるピットインのように、レースの戦略として重要になってくるわけです。レース中のバトルで大きなパワーを使えばそれだけバッテリー残量が減り、何度もこのチャージング・レーンを走らなければならなくなります。反対にレースで電気を節約しながら走れば、充電に要する時間が短くて済みます。あるいは同じ電気の量を充電するにしても、一度だけゆっくりとチャージング・レーンを走るか、それとも短い充電を二度に分けて行うか。どちらが有利に働くかは、レースの展開と作戦、ドライバーの意思等によって変わってくるわけです。さらには、ある条件の下、バトル中に相手のマシンから電気を"盗む"ことも可能になるそうです。

そんな複雑なレース展開をサポートするのがAIです。レースカーの運転自体は、"戦士"である人間が行いますが、AIはマシンやレースに関する様々な情報を収集・分析し、ドライバーにアドバイスを与えます。AIはドライバーの性格や好みを学習して、各自に合ったサポートをします。つまり、このAIを"育てる"のも人間というわけです。ドライバーが気まぐれで散漫な走りをすれば、AIは的確な判断ができず、有益なサポートができません。AIとドライバーは、レーシングスーツに組み込まれたセンサーと、ヘルメットのヘッドアップ・ディスプレイを通じてやり取りします。

McLaren
マシンのコクピットが透明なフードに覆われているのは、観客にドライバーの手や足の動きが見えるようにとの配慮です。さらにマシンに装備されたバイオ・フィードバック・センサーが、ドライバーの脳波や心拍数、体温などを検知してドライバーの感情を読み取り、これを観客に伝えます。例えばドライバーが怒ったりフラストレーションを感じたらマシンが赤く光り、逆に追い抜きに成功して喜びを感じている時には青く光るといった具合です。その一方で、観客席にもセンサーが備わっており、ドライバーに対する声援が高まれば、コクピットの内側が同じように光って、ドライバーがレース中に勇気づけられたり励まされたりという仕組みも搭載されています。つまり、ドライバーと観客が双方向に気持ちを伝え合うことが可能になるのです。

マクラーレンが想定する2050年のF1レースが行われるサーキットは、まるでホットウィールのコースのように急なアップダウンやバンクを備え、500km/hに達する直線や90度で曲がるコーナーもあります。ドライバーには最大5Gもの重力加速度が掛かるため、レーシングスーツは戦闘機やアクロバット機のパイロットスーツのように、自動的に空気をスーツ内側に送り込んで血流障害を防ぐシステムが装備されています。

McLaren
他にもマクラーレンは、騒音や排ガスを出さないことから(フォーミュラEのように)都市部におけるレース開催の可能性や、観客席を強化ガラスで囲みコースのすぐ脇に設置する提案、マシンやコース各所に装備したカメラの映像を視聴者が自由に切り替えるレース放映の方法などにも言及しています。

このアイディアをそのまま映像化すれば、近未来のモータースポーツを描いたSF映画がすぐにできそうですが、どんなに空想的に思えても、これは53年にわたる継続的なF1参戦で通算182勝を挙げたマクラーレンが考えたものであり、決して非現実的な絵空事ではないはず。しかも、観戦する側から見ても結構面白そうじゃないですか? 30年後のことよりも、この6年間に1勝もできていない現在の状況をなんとかしろという声があることは、きっとマクラーレン自身も重々承知しているでしょうけど。




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