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水中LiDARから海中レーザー給電まで。アクアLANコンソーシアムが本格展開へ

レーザー光を通信・給電にフル活用

石井徹(TORU ISHII), @ishiit_aroka
2019年2月7日, 午後07:00 in Alan
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水中の無線ネットワークの構築を目指すALANコンソーシアムは、第1弾のプロジェクトを発表しました。

ALANコンソーシアムは、水中での可視化技術、無線通信・ワイヤレス充電といった技術を持つ企業や大学、国の研究機関が加盟する団体。同団体のコンセプトは、通信手段が限られている水中に、陸上に準じた通信や給電のシステム「ALAN(Aqua Local Area Network)」を構築するというもので、2018年6月に発足し、これまでJEITA(電子情報技術産業協会)のサポートを得て、要素技術の検証を行ってきました。

代表を務める島田雄史氏は「水中で展開できる要素技術は揃っているが、それらを融合させてビジネスへと結びつける存在がなかった。ALANコンソーシアムがその旗振り役になりたい」と語ります。

同団体が実用化を目指す技術には、「光」をさまざまな形で活用するという特徴があります。島田代表が率いるベンチャー企業トリマティスは、レーザー光による通信技術を強みとしています。

ALANコンソーシアム
ALANコンソーシアム代表島田氏
▲ALANコンソーシアム代表・トリマティス代表取締役CEOの島田雄史氏

■ソナーより高精度、カメラより長距離な「水中LiDAR」

ALANコンソーシアムが第1弾のプロジェクトとして取り組むのは、「水中LiDAR」と呼ばれる水中ロボットを使った構造物検査の検証です。

LiDAR(ライダー)とは、レーザー光を用いて、周囲を立体的に把握する技術。特定の波長の光を当てて、その反射波が届くまでの時間をセンサーで測定することで、周囲の物体までの距離や形状を把握することができます。気象観測に用いられているほか、現代の自動運転車のほとんどで搭載されており、陸上では普及しつつある技術と言えます。

「水中で距離を測る」と聞くと、まっさきに想像するのは「ソナー」でしょう。反射が届くまでの時間を測定するという原理については、LiDARもソナー共通ですが、ソナーは音波を用いることで、遠くまで届き、しかも機材が安価という利点があります。ソナーの弱点は精度が出せないこと。音波には発散しやすい精密な測定には向きません。

また、水中での探査ではカメラも活用されています。カメラと有線ケーブルを搭載し、水中の様子を調べる水中ドローンはすでに実用化されており、橋脚の検査などで利用されています。一方、カメラは視界が良好でないと意味がありません。たとえば東京湾のような水が濁った環境下では、数m先の視界もなくなってしまうため、利用しづらい環境と言えます。

言い換えれば、ソナーは長距離に強いが把握できる精度(分解能)は低い、カメラは多くの情報を取得できるが近距離でしか活用できないと言えます。水中LiDARが目指すのは、ソナーとカメラの中間、短~中距離の環境を把握することです。

ALANコンソーシアム
▲レーザー光によって水中の構造を把握する水中LiDAR

トリマティスが開発を進める水中LiDARでは、青色レーザー光を用いることで、水中で数十~数百m先の物体や地形を数cm単位の分解能で把握する性能を備えています。ソナーよりも詳細に、カメラよりも遠くまで把握できるというわけです。

水中LiDARを無人の探査ロボットに搭載することで、ダムや橋脚といった構造物が劣化していないか検査する作業を、カメラ搭載の水中ドローンよりも高精度で、潜水士による目視検査よりも安価に実現できるとしています。

■水中でワイヤレス通信

有線通信で利用される光ファイバーは、光を通す繊維がパイプの様な役割を果たし、光の(超高速な)点滅を遠くに伝えます。その点滅でデータを表すことで、データを遠くまで送信できるという仕組みです。

光ファイバーでは目に見えない光(赤外光)が用いられていますが、目に見える光(可視光)でも同様の原理でデータを伝えることができます。それが「可視光通信」と言われる技術。

水中に携帯電話を沈めると圏外になることからも分かるように、地上での無線通信に利用されている電波は一般に、水中では減衰しやすく、通信に利用するのは難しいとされています。可視光通信ではまっすぐ進む性質のあるレーザー光を使うことで、水中でもある程度の長距離でデータ通信を送信できます。

ALANコンソーシアムでは水中通信を研究している山梨大学やJAMSTECが参画し、この分野の技術開発を進めています。また、KDDI総合研究所もメンバーに名を連ねており、通信キャリアとしての知見や実用化に向けたアイデアを提案しています。

■水中でワイヤレス給電

ALANコンソーシアムの開発分野では、水中でのワイヤレス給電技術も含まれます。光を使ったワイヤレス給電は、原理としては太陽光発電に近いものになります。つまり、受電側にソーラーパネルを置き、送電側から受けたレーザー光によって発電するという仕組みです。

現代の太陽光発電には電力変換効率が低いという弱点がありますが、水中ワイヤレス給電の場合、発電に使うのは自然光ではなく単色のレーザー光なので、電池パネルを特定の波長にあわせて設計すれば、より効率の良い発電が可能としてます。

光ワイヤレス給電ではALANコンソーシアムに参画する東京工業大学が研究を進めており、海中への給電に応用を目指しています。

■水中でワイヤレス、なぜ必要?

先に述べたとおり、水中でのドローン探査はすでに実用化されています。そうしたドローンの有線接続に対して、速度面や電力効率では明らかに不利な海中でのワイヤレス通信やワイヤレス給電技術を開発する意義はどこにあるのでしょうか。

有線接続では確かに高速ですが、一方で波の影響を受けやすかったり、藻が絡みやすいという弱点があります。通信や充電をワイヤレスにすることで、こうした物理的な影響を受けにくくなることにあります。

ALANコンソーシアムが取り組む技術開発は、現在は実証実験の段階で、陸上でのワイヤレス通信と同じくらいの高速さが得られるようになるまでにはまだ時間がかかりそうです。通信や給電では、当初は無線というより「非接触」と言える程度の近距離からの実用化を目指すことになりそうです。

島田代表は今後について「2021年度までに技術実証を積み重ねていく。水中構造物の検査の規模が大きくなる2020年度移行を目指して、実用化を進めていく」と紹介。あわせて水中での技術開発に関心がある企業や研究機関に対して、ALANコンソーシアムへの加入を促していく考えを示しました。




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