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北欧キャッシュレス最新事情「スウェーデン:ストックホルム編」:モバイル決済最前線

キャッシュレス超先進国を歩く

鈴木淳也 (Junya Suzuki), @j17sf
2019年2月9日, 午前07:00 in cashless
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小彩 楓, 4月6日
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▲「北欧のキャッシュレス最新事情」のある意味本命ともいえるスウェーデンのストックホルムを訪問してみた。写真は特定期間の金曜日にしか開催されないという青空市

諸般の事情で前回の「デンマーク:コペンハーゲン編」から公開まで間の空いてしまった「北欧キャッシュレス最新事情」。今回はいきなりクライマックスにあたる本命の「スウェーデン:ストックホルム編」だ。スウェーデンに関しては世界で最もキャッシュレスが進んだ国の1つとして広く知られており、決済金額ベースではすでに現金比率が1%を切っているという話もある。

その実際について調べるためにスタートした「北欧キャッシュレス最新事情」というシリーズだが、やはり聞くと見るでは大違いということで、いろいろ斬新な発見があった。

スタートからすべてがキャッシュレス体験

バルト海に接するメラーレン湖岸の小島に築かれた丸太の城塞として始まった街は、その「丸太の砦」を意味する「ストックホルム」の名称が付けられた。カルマル同盟の盟主だったデンマーク王家からスウェーデンが独立した16世紀以降、街は急速に発展し、現在では北欧最大の人口を抱える大都市へ。ストックホルムの特徴として、始まりの地である小島、通商「ガムラスタン」と呼ばれる旧市街を中心に、フィヨルドとして形成された周囲の断崖や複雑な入り江に街が少しずつ広がっている。

北欧における他都市が比較的整然とした街並みなのに対し、ストックホルムは水の中に街が存在していることから「北のヴェネチア」とも呼ばれ、景観が非常に美しい。つまり観光に適した環境だといえる。ビジネスもさることながら、こうした理由で同地を訪れる観光客は少なくないだろう。重要なのは、観光客としてどれだけここで快適に過ごすことができるのかという点だ。

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▲ストックホルムは旧市街のガムラスタン地区を中心に湖沿いに広がる街。北欧諸都市の中でも際立って景観スポットの多い歩きがいのある街

スウェーデンのキャッシュレス体験は非常に快適だ。同国ではスウェーデンクローネ(SEK)という独自通貨が流通しているが、ほぼすべての場所でクレジットカードが利用できるため、入国から出国まで現金をいっさい手にすることなく過ごせる。

体験はすでに空港から始まっており、主要な都市への玄関口となるアーランダ空港は街の中心部から40km近く離れているが、アーランダエクスプレスと呼ばれる特急で簡単にアクセス可能だ。チケットは空港直結の駅のプラットフォームに券売機があるので、そこでカードで乗車券を購入できる。通常、車やバスでアクセスすると1時間以上かかるのが、高速列車ならわずか18分で到着できるので、貴重な時間の節約にもいい。

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▲ストックホルムの玄関口となるアーランダ空港に到着したら、アーランダエクスプレス利用がおすすめ。片道295スウェーデンクローネ(約3600円)とお高いが、車で1時間程度かかる道のりが18分にまで短縮される。なお、チケット購入もホームにある自販機でカードが利用できる

街に到着後もすべてキャッシュレスで過ごせる。商店ではすべてクレジットカードが使えるし、地域交通の利用に必要な交通系ICカードもクレジットカードだけでデポジット入りのプラスチックカードが購入でき、チャージも行える。唯一気になったのは「NFCによる非接触決済に対応しない決済端末」がけっこうな割合で存在していること。ここは意外な盲点だった。

コペンハーゲンではほぼApple Payが利用できたことを考えれば、筆者の推測として「ストックホルムの方が決済インフラが古く更新が進んでいない」ことが考えられる。もっとも、プラスチックカードさえあればICでも磁気ストライプであっても困らないため、キャッシュレス体験そのものはそれほど損なわれない。

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▲ストックホルム中央駅に到着したら、ホテルのチェックイン時間まで半日ほどあるためコインロッカーを利用。ここもクレジットカード使えるのでキャッシュレス

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▲まず最初に行く場所は当然ながらMcDonald's

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▲もちろんApple Payで決済できる

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▲次にCoopという中央駅構内のスーパーマーケットにやってきた

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▲なんとApple Payが通らない。そもそも非接触に非対応なので、ICチップまたは磁気ストライプのカードで決済するしかないようだ

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▲次は駅から出て、少し街中を散策してみる

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▲離れた場所に移動するには鉄道やバスへ乗車する必要がある。ストックホルム近郊の公共交通はすべて交通系ICのみとなっているようだ

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▲こちらは地下鉄の入り口。ゲートを使う乗車方式となる

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▲1日券やチャージ式交通系ICカードの購入はコンビニのような駅の売店で可能

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▲ICカードを購入してみた。このAccessと呼ばれるカードはチャージ式で、デポジットのほかにあらかじめ一定額をチャージして利用する。利用するたび料金が引かれるため、観光などで滞在日数が決まっていて集中移動したい場合には、紙にICチップとアンテナが埋め込まれた使い捨てタイプの指定日数乗車券を購入した方がお得だ

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▲さっそく地下鉄で移動してみる

「Swish」を探せ

さて、今回のストックホルム訪問の目的は現地のキャッシュレス事情の調査だが、その最大の理由は「Swish」というサービスにある。これはスウェーデンの中央銀行と同国の大手銀行らが共同で2012年にスタートしたスマートフォン送金サービスで、対人間送金に加え、その仕組みで店舗決済にも利用できる。

デンマークでは「MobilePay」という同種のサービスが利用されているが、その分野での先駆者であり、かつ最も成功したスマートフォン決済サービスの1つだといえる。実際に使える場所を探しつつ、その利用の様子を押さえるというのが最終目的だ。

だが実際のところ、ストックホルムの街で「Swish」の表記を探すのは、コペンハーゲンで「MobilePay」のアクセプタンスを探すより難しい。理由は後述するが、Swishで送金先の指定は電話番号(携帯電話番号)だという点で、QRコードが掲出されていたり、Bluetoothモジュールを用いるMobilePayと比べ専用装置が設置されていないため、その店で実際にSwishが利用可能かどうか判別しずらい。

いろいろと街を散策しているとたまに「Swish」表記に加え、10桁の番号の羅列を見かけるのだが、これはどちらかといえばレアな事象だと思っていい。むしろ、iZettleと呼ばれる小型の決済端末を使ってカード決済が可能な小型店舗のが目立つほどだ。現地の人らの話では「(普通の店では)どこでSwishが使えるかわからないので、まずは必ず使えるカードで決済してしまう」という。

スウェーデンでは現地の銀行口座を作るとデビットカードが自動的に入手できるため、非接触とICのどちらにも対応したこのカードを使ってまずは決済......ということになるようだ。

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▲カラフルなビルが印象的な繁華街に出てみた

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▲入り口付近のエリアがカフェになっている書店に立ち寄る

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▲Swishの表記を発見。合わせて番号も記述されていた

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▲番号は10桁で、電話番号に対応している。通常の個人電話は0の番号でスタートしているが、このように1などで始まる番号はビジネスアカウントとのこと。商店登録が行われている証拠だという

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▲書店内はセルフレジもキャッシュレス

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▲実はこの書店はキャッシュレス店舗とのこと

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▲繁華街の通りを少し歩いていると市場の開催されている広場にやってきた。ワゴン販売のホットドッグ店が出ていた

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▲iZettleのシールに各種国際カードブランドのアクセプタンスマークが出ており、カード決済できることがわかる

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▲キャッシュレス店舗......というわけではなく、旧紙幣や硬貨の受付を停止しているという表記のようだ

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▲Apple Payで決済してみる。決済端末のiZettleをBluetooth接続されたスマートフォンで操作していることがわかる

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▲広場に出ている露天では、あちこちでカード決済が可能なことを示すアクセプタンスマークが確認できる

もう1つ、コペンハーゲン同様に見られたのが、クレジットカードやSwishではない「店舗独自の決済サービス」を提供している例が多いことだ。

一種のポイントカードを使ったロイヤリティプログラムの一種なのだが、チャージ方式でクレジットをストアアカウントに蓄積できるため、電子マネーのように利用できるのが特徴。割引特典やクーポン利用も可能になるため、こうしたサービスを有効活用する人も多いようだ。使い勝手としては世界最大の電子マネーサービスといわれるStarbucks Rewardsに近いといえばわかるだろうか。

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▲Hemkopというチェーンのスーパーマーケットにやってきた。通常のカード決済端末のほか、SEQRという店舗決済サービスの存在も確認できる

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▲セルフチェックアウトのコーナーでは、最終的に出力されたレシートのバーコードをスキャンさせることでゲートが開いて退店可能だ

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▲コペンハーゲン同様、ストックホルムでは独自のストア決済アプリというものが多いようで、たびたび宣伝を見かける

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▲こちらはEspresso Houseという店舗のアプリを使った決済。Starbucksのアプリを想像していただけるとわかりやすいだろう

カード対応のみで困ること

やはりコペンハーゲンと同様、キャッシュレス超先進国といわれるスウェーデンのストックホルムにおいても、現金決済が必要となる場面に何度か遭遇する。典型的なのが、商店や市場でのちょっとした買い物で、完全に現金をゼロにするのは難しいのではないかと思える。一応カードと現金の両方が使えるのでスウェーデンクローネを持たない旅行者でも困らないというのが、日本を含む他国との違いだろう。「チップ」が現金というのも、このあたりの税務処理の曖昧さを象徴するものかもしれない。

とはいえ、今回のストックホルム滞在では本稿最後のディナーレストラン以外ではチップは払っておらず、それもクレジットカードの支払いに含めているため、最後までキャッシュレスでやり過ごすことができている。

気になるのは、カード決済のみ受け付けるトイレに割と頻繁に出くわしたことだ。外国人旅行者、特にMastercardやVisaなどの世界でメジャーなカードブランドを持たない中国人や、そもそもカードを持っていない人がこの都市を訪れたとき、トイレをどう利用すればいいのか。ホテルや一部の商業施設などはカウンターで鍵をもらったり、そのまま利用できたりするので事なきを得られるが、便利さの反面で逆に苦労する場面に遭遇することがあるかもしれない。

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▲ガムラスタン地区に戻ってきて、少し観光してみる

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▲とにかく絵が映えるガムラスタン地区。北欧の大都市は意外とこういう場所が少なく、ある意味で歩いているだけで楽しめる場所は貴重

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▲歩いていて困るのはトイレ。ほとんどの商業施設では有料トイレなのだが、このようにクレカ決済で解錠方式となっている

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▲こちらは屋外の公衆トイレ。キャッシュレスが徹底しているが、緊急時にカードなかったらどうするのだろうか......

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▲駅のトイレだが、こちらはなんとコイン方式。当然現金を持っていないので利用できない......と思ったのだが......

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▲カウンターに人がいて、テーブルの下から決済端末を出してくれた。Apple Pay決済できたので危機を脱出

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▲キャッシュレス大国であっても、ところどころで現金の息吹を感じる。これはカフェ横のチップ入れ

青空市場でSwishを体験してみる

コペンハーゲン滞在中は、いろいろな人に「MobilePayを使っているか?」と質問して「いつも使っているよ」と返事をもらうものの、実際にMobilePayを使う場面には最後まで一度も遭遇しなかった。そのときにわかったのは「普段の決済場面ではほとんどクレジットカード(デビットカード)を使っていて、送金や一部の決済手段で(MobilePayなどの)モバイル送金サービスが選択可能だったときに利用する」という優先順位だ。

これはSwishも同様で、今回は特別に現地在住の方に協力をいただいて、実際にSwishがどのようにスウェーデンで利用できるのかを紹介してもらった。

Swishの登場経緯は「スマートフォンを使って現金が必要になる場面を電子サービスで置き換えて快適に利用できるようにする」というもので、対面での個人同士のお金の受け渡しや割り勘での支払いなど、これまで現金で行われてきたような取引をスマートフォンで置き換えることが目的だ。

オンライン決済でも利用できる点が特徴で、実際に鉄道チケットの検索サービスでは決済手段の1つにSwishを選ぶことができ、簡単に購入可能となっている。

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▲オンラインサービスなどキャッシュレスで便利なサービスも多い。こちらは鉄道のチケットをオンライン購入しているところ

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▲Swishを使って決済してみたところ

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▲生活スタイルしだいでは現金にほとんど触れないで済むスウェーデン。今回取材に協力してくれた現地在住の方はもう2〜3年ほどATMなどを介して現金に触れてないという(財布に入っていたのは海外から来た人から受け取ったもので、そのまま放置状態になっているとか

次に実際に対面でどのようにSwishを利用するのかを確認するため、ストックホルム市内で特定期間の週末のみに開催されるという青空市に連れて行っていただき、実際にSwishを利用してもらった。対人送金では、まずSwishのアプリを起動して相手の電話番号と送金額を入力する。するとBankIDという認証サービスが起動し、暗証番号入力で本人認証を行う。Swish自体は銀行口座紐付けで利用するものだが、これとは別に銀行サービスをオンラインなどで利用するための「BankID」が必要で、このステップを踏むことで送金が行える。

BankIDはデバイス(サービス)ごとに発行されるとのことで、例えば機種変をしたタイミングなどで再発行が必要となる。再発行自体はオンラインバンキングで自身の口座にアクセスするだけで利用可能だという。手軽だ。

こういった一連の手順が面倒くさいと感じる人がいるかもしれない。だが、ふだん現金を持ち歩かず、本当に必要なときのみにSwishのような送金サービスを使う形でいれば、おそらく端末を操作するのは1日に1回から数回程度だ。実際、ストックホルムではATMに行かずとも過ごせることは現地の人が証明しているわけで、現金を持つ生活とスウェーデン的な生活のどちらが便利か、改めて考えてみるのもいいかもしれない。

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▲特定期間の週末のみに開催されるという青空市にきてみた。カード決済する人々で溢れている

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▲こちらはiZettleを使ったNFC入りカードでの非接触決済

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▲カードのほかにSwishも使えることを宣伝する露天も

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▲こんな感じで手書きのSwish番号を掲示する店舗もある。こういうケースでは個人の電話番号であることが多い

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▲Swishを使って決済する様子を追いかけてみた。まずSwishアプリを起動する

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▲送金先のSwish番号を金額を入力する

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▲BankIDで認証

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▲送金完了。この画面を見せてもいいし、先方のアカウントでお金を受け取ったメッセージが表示されるので、それで確認してもいい。なお、送金相手の名前や過去の送金履歴などもSwish上で確認できる。個人情報がオープンにされているスウェーデンならではの仕組みだ

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▲今回Swish決済を行った店の店主によれば、現金、カード、Swishでの決済比率はほぼ同等だという。現金もそれなりに利用があるため、このように小さな金庫で持ち歩いている模様

ストックホルムについてはまだまだ考察含めていろいろ書くことがあるが、今回はかなり長くなったのでここで一旦締めることにする。続く「フィンランド:ヘルシンキ編」と「ノルウェー:オスロ編」で改めて触れていきたい。

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▲ストックホルム最終日の夜はガムラスタン地区のちょっとこじゃれたお店でディナーを。ワイン蔵を改装した店舗のようだ

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▲「スウェーデンといえばミートボールだろ」という一方的偏見に基づいてメニューはミートボールを選択。創作料理風だが、味もなかなかで十分満足できた

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▲3人分の会計はカードを3枚渡して割り勘で。今回はカードを別々に切っていたが、店舗によっては2枚以上のカードを同時に決済端末に通して1つのトランザクションで割り勘を行うサービスもあるようで、機会があったらぜひ試してみてほしい





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