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ポルシェ博士の曾々孫が電動スポーツカーを発表 バッテリーの80%を4分40秒で充電可能

ただし中国の会社が開発した超高速充電設備が普及すれば

Hirokazu Kusakabe
2019年3月4日, 午後07:00 in transportation
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その名は「ピエヒ」


新興EVメーカーがまた1つ、名乗りを上げました。この「マーク・ゼロ」と名付けられた電動スポーツカーを発表した会社の名前には、クルマが好きな人であればひょっとしたら聞き覚えがあるかもしれません。

スイス・チューリッヒとドイツ・ミュンヘンに本拠を置くピエヒ・オートモーティブ、創業者の1人はトニー・ピエヒ氏。名字から推察されるとおり、かつてフォルクスワーゲン・グループで一時代を築き上げたフェルディナント・ピエヒ元会長の孫であり、傑作大衆車フォルクスワーゲン・ビートルの生みの親で現在も超有名スポーツカー・メーカーにその名を残すフェルディナント・ポルシェ博士の孫の孫にあたります。

ハンガリー人デザイナーのラスロー・ヴァルガがデザインしたマーク・ゼロは、1960〜70年代のスポーツカーを思わせるスタイルが特徴的ですが、その中身にはピエヒ・オートモーティブによると「世界中の有名自動車会社で働いてきた専門家による社内グループが、社外で働く200名と共に開発」したというモジュラー構造プラットフォームが隠れています。

Piëch Mark Zero

3基のモーターを搭載


バッテリーは最近の一般的な電気自動車のようにフロア下に敷き詰めるのではなく、センタートンネルと後輪車軸上に配置。これによってスポーツカーらしい前後重量配分と低いシート位置を実現したとのこと。150kW(204ps)を発生する誘導モーターは前に1基、後に2基が搭載されています。つまり走行状況によって2基のモーターが左右の後輪を個別に駆動し、さらにもう1基のモーターが前輪も駆動するという仕組みです。3つのモーターを上手く制御すれば、スポーツカーらしい優れたコーナリングと加速性能を発揮するでしょう。0-100km/h加速は3.2秒、最高速度は250km/hになる見込みです。

航続距離はWLTP(国際統一排出ガス・燃費試験法)基準で500km。テスラ モデルSの最上位モデルに比べたら少々劣りますが、凄いのはバッテリーの80%をわずか4分40秒で充電できると謳っていること。もちろん、これには対応した急速充電設備が必要です。欧州で一般的なCCS(コンボ)規格の急速充電にも対応しますが、その場合の充電時間については公表されていません。

Piëch Mark Zero

バッテリーと充電設備は中国企業から


ピエヒ・オートモーティブが採用するバッテリーと充電設備には、中国の企業関わっています。充放電時の発熱が極めて少ないというバッテリーセルは、中国青島に研究開発センターを持ち中国香港に拠点を置くDESTENグループが開発しました。同社は今後、自動車業界への進出を計画しているようです。充電設備は中国青島と香港に拠点を持つ青島 TGOOD Electric Co. Ltdが提供します。2004年に中国とドイツのエンジニアによって設立された同社は現在、300を超える都市に21万カ所の充電ステーションを展開しています。

モジュラー構造プラットフォームは様々なボディに対応可能で、電気自動車だけでなく内燃エンジンや各種ハイブリッド、燃料電池にも適応できるとピエヒ・オートモーティブは述べています。同社では2人乗りスポーツカーのほか、4人乗りモデルやスポーティなSUVを計画中とのことですが、このプラットフォームを他の企業に供給することも視野に入れているようです。

また、このプラットフォームはソフトウェアだけでなく、バッテリーセルなどのハードウェアも、将来的に技術が進歩すればアップデートすることが可能です。

Piëch Mark Zero

自分で買いたくなるスポーツカーを開発


「私たちは自分で買いたくなるようなスポーツカーの開発を目指しました。現在の市場に足りないものについて、エンスージアスト達とも長い時間にわたって語り合ってきました。定期的に買い換えて消費されるものではなく、将来のクラシックになるクルマを提供したいのです」と、トニー・ピエヒ氏は語っています。欧州自動車業界の名門一族に生まれた同氏ですが、米国のプリンストン大学を卒業後、中国で12年間を過ごしたそうです。

ピエヒ氏と共同でCEOを務め、同社のクリエイティブ・ディレクターを担当するレア・スターク・ラジシック氏は次のように述べています。「我々の目標は、感動的な運転体験を最新テクノロジーでサポートすること。つまり、ドライバーが運転から気を逸らすことができるクルマを作りたいわけではありません。本物のスポーツカーを運転する感覚が味わえること。"運転される"クルマではありません! もちろん、車両アーキテクチャ自体は自動運転にも対応可能ですが、それは今後、別のモデルで手掛けることになるでしょう」。スイス・ザンクトガレンの美術学校を卒業した同氏は、日本のパナソニック、ソニー、キャノンなどの商品デザインに携わってきた経歴の持ち主です。

なお、フォルクスワーゲン・グループによる技術協力や、おじいちゃんから孫への資金援助などの話は(少なくとも表には)一切聞こえてきていません。

Piëch Mark Zero
3月5日に開幕するジュネーブ・モーターショーで一般公開されるマーク・ゼロは、ピエヒ・オートモーティブという会社と技術を世に広く知らしめることが主な役目と推察されますが、市販の計画もあるようで、生産は「長年製造業に関わってきた外部の経験豊かな企業に委託」し、「ドイツの製品基準に合った品質」になると同社では発表しています。実際に生産を請け負うパートナー企業については今後明らかにされる予定です。

サイズと重量はホンダ NSX並み


マーク・ゼロは全長4,432mm × 全幅1,991mm × 全高1,250mm(サイドミラー含まず)と、テスラの新型ロードスターに比べると二回りほど大きく、どちらかといえばホンダのNSXに近いサイズ。発熱の少ないバッテリーは空冷が可能であるため冷却器を必要とせず、これによって車両重量は1,800kg以下に抑えられたとピエヒ・オートモーティブはいいますが、NSXの車両重量も1,800kgです。ちなみにホンダ NSXは前1基、後2基のモーターを搭載する点がマーク・ゼロと似ていますが、リチウムイオン・バッテリーの容量が1.1kWhと非常に小さい代わりに3.5リッターV6エンジンも積んでいます。

市販されても数千万円クラスになりそうなマーク・ゼロ自体は、我々のような庶民には縁がないかもしれません。しかし、そのバッテリーや急速充電の技術、そして電動パワーユニットを簡単に交換可能とすることで車両本体は長く乗れることを目指したクルマ作りは、今後の電気自動車産業に少なからず影響を及ぼすことも十分考えられます。今から50年後にはモーターやバッテリーを最新のものに載せ替えたマーク・ゼロが、"自動車史における価値"を認められ、50年前のポルシェのようにクラシックカー・オークションで高値を記録して話題になったりするのでしょうか。

Gallery: Piëch Mark Zero | 5 Photos

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