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Engadget昔ばなし。またはオリジンストーリー編 (Ittousai余談コラム)

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Ittousai, @Ittousai_ej
2019年3月19日, 午後11:28 in Ittousaicolumn
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(EngadgetのよろずやIttousaiによる身辺雑事誰得余談コラムをお届けします。読み進めても特にニュースや鋭い洞察、教訓、人生がときめく魔法などはありません。)

中庭の梔子の花が咲いたようである。......コラムというのはこんなふうに書き出すものだとどこかで読んだ気がしますが、正しかったでしょうか。さておき、何の因果かニュースではない個人コラム(?)を書くはめになりました。

古くからの読者諸賢におかれましては、もともと蛇足や雑談が本体の記事ばかりだろうと仰せかもしれませんが、まあそこはそれ。ニュース速報よりは属人的な感想や体験を主に、余談だけを集めてゆければと思います。


かつて掲示板文化華やかなりし頃、弊誌の規模もごく小さかった頃には、媒体自体が「Ittousai隔離スレ」呼ばわりされたりしたものですが、それで言えば小欄は隔離施設のなかのMSCF、亡命政府のクーデターのようなものです。手荷物忘れず方舟に。

とはいえ掲載媒体が媒体ですので、お題はふんわりとテクノロジー関連、デバイスやサービス、その上に乗る映画やゲームや音楽書籍舞台イベントを含めたコンテンツ、あるいは取材こぼれ話的なもの等々になる見込みです。

さっそく最近遊んでいるゲームや心底びっくりした技術デモの話、ファーウェイの折りたたみスマホ『Mate X』のスタイリッシュ片手開き方法検討、『Sekiro』試遊だけで禁断症状が出てフロムに泣きついた話、『Crackdown 3』アジリティオーブ集め、『スパイダーバース』の印刷ズレ効果、音声入力用特殊発声法SilentVoiceの習得、Weta Digitalの職人芸堪能映画『移動都市/ モータル・エンジン』終わっちゃう前に観に行くべき件について早口で語りたいところですが、まずは第一回のお約束として、またよく訊ねられる話として、不本意ではありますがセルフイントロダクション的な昔ばなしから始めようかと思います。いわゆるオリジンストーリー編です。

(できるだけ手短に済ませますが、省略や正確とは限らない伝聞、記憶違いや諸事情による韜晦が含まれる可能性があります。あくまで一個人の視点からの回想であることはご承知おきください。)

むかしむかしの2000年代初頭、米国でブログメディアのブームがありました。インターネットとウェブはすでに一般世帯へ普及しており、掲示板も日記サイトもニュースサイトもありましたが、ネット人口の増加や通信帯域の拡大、当時の主なネット利用手段であったPCの性能向上などを背景に、個人や少人数でも効率的にウェブで情報発信ができ横につながれるプラットフォームとして、改めてWeblogが台頭した時代です。

いわく、雑誌や新聞は紙という物理媒体の特性、印刷と流通によって規定されてきたが、即時に世界中に届くネット時代にはWeblogという新しい媒体により、新しいかたちのジャーナリズムや批評や娯楽が生まれるであろう、云々。

要するに紙の都合を引きずらないウェブネイティブな情報発信の機が熟して様々な分野のブログが生まれ、伝統的なメディア企業もスタートアップも次々と参入していました。

こうした状況のなか、米国のピーター・ロハスという20代の若者が、あるウェブメディアスタートアップでPC周辺機器や携帯電話といったデジタルガジェットを扱うブログを立ち上げます。それがEngadget...ではなくGizmodoです(2002年)。

このGizmodoは人気ブログになりますが、ファウンダーのピーターは諸事情で袂を分かち、別のブログメディアネットワークであるWeblogs, Incで新しいコンシューマーテクノロジーブログを設立します。こちらが Engadgetの始まりです(2004年)。あまり知られていない、まあどうでもよい事実ですが、実はどちらのブログも同じ人が命名して立ち上げています。

(余談の余談ながら、Gadget とGizmoは英語ではよくワンセットで使われる言葉。ガジェットは比較的最近になって「小型の電子機器」程度の狭義で使われるようになりましたが、元々の辞書的な意味は「ちょっとした新奇な道具等(を(名前が分からないので)ひとまとめにして呼ぶ語)」です。電気が通っていなくてもガジェット。

ディズニーの人魚姫も、海底ではお宝に囲まれて何でも持ってるけれど退屈、と地上に憧れる Part of your worldで「I've got gadgets and gizmos a plenty」と歌ってました。今の語感で聞くとめっちゃガジェおたのアリエルが浮かびます。Gizmoは特に何と呼ぶのか分からないものの意が強く、映画グレムリンのギズモはこちらのニュアンスです。

余談の余談の(略)ながら、以前Engadgetチームが集まった宴席で、当時すでに現場を離れていたファウンダーのピーターから、「Engadget」に決まる前の媒体名候補について聞いたことがあります。一同吹き出すほどの圧倒的なダサさだったので本人の名誉のため秘しますが、言葉としてはGadgetを含まず、未来や技術、最前線、先端といった単語の組み合わせでした。

最終的にはわかり易さを重視してgadgetが入った名前になり、「ガジェットブログ」に分類される弊誌ですが、特にモノとしてのガジェット自体が目的というわけではなく、技術革新のペースが早く未来ヤバイが手軽に実感できる「媒体」がたまたま今はデジタルガジェットである、といったほうが、設立時の意図には近いと言えます。

このため、新テクノロジーがクラウド側にあるサービスでもソフトウェアでも、あるいは材料物性の論文でも、「広義のテクノロジーとその影響」という意味で、われわれにとっては本筋の話題です。)

何の話をしていたか忘れてしまいましたが、まあそんなこんなで発足したEngadgetは、米国の編集チームによる英語版だけでなく、ドイツ語や中国語を含む各国(語)版を早い時期から矢継ぎ早に立ち上げていました。

これが「各地の編集部の連携により、世界中の情報をいち早く届ける」ことを目指したのか、仮に実態が伴わなくても「インターナショナルニュースネットワーク」を名乗った方がスタートアップとして箔が付くと考えたのか、その両方かはもはや知る由もありませんが、兎にも角にも「Engadget Japanese」のベータ版が早くも2005年に始まります。

当時は米国版の本体もごく少人数で始まったばかりとあって、正式スタート前の「Japanese」のために日本の編集チームを揃える余裕もなく、まずは(自称)日本語に堪能な米国の学生が片手間に日本語っぽい記事を作る状態でした。

すでにガジェットブログとして注目されていたEngadgetが日本版を準備しているとの知らせは、日本のガジェット好きのあいだでも話題になりますが、ベータ初期の品質は「......?」。

このとき東京のどこかで米国版Engadgetをチェックしていたとある日本の読者が、以前やりとりのあった米国の編集部に対して、日本版ベータの現状について「(大意: 馬鹿にしてんのかこの野郎)」と丁重な激励の言葉を送ったところ、「(大意: うるせえじゃあ自分でやれ)」と丁重な返事が届き、いつの間にか小遣い稼ぎに「日本版」の設立を手伝うようになったのが関わりの始まりです。

と、先先代のIttousai氏は語っていたそうですが、筆者も直接の面識はなく、真偽のほどは分かりません。

次回 「呪われた筆名」編へ続く

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