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LTE帯域もいずれ5Gに?長い目で見れば早期展開は低料金化に繋がるかも:本田雅一のウィークリー5Gサマリー

今後の動向に注目です

本田雅一, @rokuzouhonda
2019年4月1日, 午前07:00 in 5g
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先週はAppleによる各種サービスの発表もありましたが、日本では総務省が主宰する情報通信審議会の新世代モバイル通信システム委員会 技術検討作業班による第11回目の会合が行われ、その議事録が公開されました

日本でも現LTE帯域を5Gへ移行する準備段階に

5g

上記の議事録にある「資料11-1 5G実現に向けた進捗状況」には周波数割り当てに関する話がわかりやすく書かれていますが、実は注目は「資料11-2 技術検討作業班の審議再開」の方。この資料の1ページ目には、既存のLTEで使われている帯域(700M〜3.5GHz帯)を近い将来、5Gでも使えるように準備を進めていきましょう、ということが書かれています。

準備の進捗次第ですが、どうやら携帯電話事業者側の準備は充分に整っているようで、順調に進めば2020年中にも(技術的には)導入可能になっていくようです。

それ以前にベースとなる帯域の割り当てもまだ済んでいないわけで、ちょっと気が早い気もしますけれど、LTEで使われている周波数帯は既存基地局の資産(場所的なものも光回線的なものも)が活用できますから、全国エリアへの面展開が容易という面があります。

従来のたとえば3GからLTEへの移行でも、LTE端末の普及に従って帯域の割り当てを移行していきました。それと同じようにLTEから5Gへの引っ越しを容易にするため、同じ周波数帯をLTEと5Gで供用するべく技術的要件を整理しましょうということです。

......といっても、実はあまり検討することはありません。

なぜなら、日本の携帯電話事業者はいずれもLTE-Advanceへの対応を済ませており、技術規格の面でも同一帯域をLTEと5Gで共用することを前提に作られているからです。実際に各携帯電話事業者側としても「追加の検討は不要」という意見が出ているようですから、スムースにルールの策定が進んでいくと思います。なにより携帯電話事業者自身が望んでますからね。

この連載の初回でも書いていたのですが、すでに米国や欧州ではLTE帯域を5Gに置き換えるための準備が進められ、実際に使われる周波数帯もほぼ決まっています。日本だけ置き去りにならないように......という意図があるのかもしれません。

LTE帯域を5G化する意味

ところで、5Gでは高い周波数帯を使うからこそ、広帯域の無線通信ができるのだという記事を読んだことがある人がいるかもしれません。ならばLTEの帯域を5Gに割り当てる必要なんてあるの? と思うでしょう。

しかし、この情報には正しい側面と正しくない側面があります。無線通信の速度は、通信で実際に使う周波数の"幅"と、その幅の中でいかに効率よく通信を行うかという"通信効率"の掛け算で決まるからです。
このうち通信効率は、5Gの無線通信技術(5G NRと言います)を採用することでおよそ3倍になり、より広い幅を与えることで最終的にさらなる高速化が行われるわけです。高い周波数帯を用いる高速になるのは、高周波数帯ではより多くの"幅"を与えやすいからです。

たとえば28GHz帯の5Gの場合、各通信事業者ごと400MHzの帯域が割り当てられる予定です。700MHz帯で400MHzも割り当てると、その通信チャンネルよりも低い周波数帯が使いものになりませんよね。半分以上も使ってしまうんですから。

ではLTE帯域を5G化する意味は何か? というと、前述したように同じ周波数帯でも効率よく通信を行うことで同一資源(つまり帯域幅)でより多くの通信が行えるという利益が生まれることにあります。

たとえばLTE-Advanceではキャリアアグリゲーションという、複数の異なる周波数帯を束ねて通信する方法を使い、ひとつのデータ通信回線に100MHz以上を割り当て、ギガビット級の速度を実現しています。しかしこれは、束ねているすべての周波数帯の電波を捕まえたときの合算値にしか過ぎません。


前述したように28GHzという極めて高周波の場合(ミリ波領域)では400MHzが確保されていますが、Sub-6と言われる6GHz以下の周波数帯では100MHzの割り当てであるため、使える周波数の幅だけで比べればLTE-Advanceとほとんど違いはないことになります。

一方で、同じ周波数の幅ならば、LTEよりも5Gの方が高効率。したがって、世の中の人達がLTE端末から5G端末への買い替えを進めれば、その分、LTEで使っている帯域を5Gにしていくことで、周波数全体の利用効率が上がることになります。

実際には、どのぐらい5G対応端末を販売できたかをみながら、バランスよく割り当てている帯域幅の"5Gへの引っ越し"を進めていくことになるでしょう。

しかし、上記のような意味合いならば、さほど急ぐ必要はありません。5G対応端末の普及に応じて、接続される端末の通信方式に合わせて切り替えるならば、本格的なサービス開始の2020年に、すぐさまLTE帯域を5Gにする必要はないんですから。

5Gの面展開をしたいか、したくないかがポイントか

この話、結局のところ5Gネットワークを日本国内で"面"で展開し、地方も含めて人が住んでいるところは幅広くカバーしたいのかどうか? という話ではなく、LTEと5Gの端末普及状況に応じて、弾力性のある切り替えを計画したいということなのだと思います。

楽天も含め、5Gへの投資を行う携帯電話事業者は、すでに標準化を終えている、5GとLTEを同一周波数帯内で共存させる新技術「DSS(Dynamic Spectrum Sharing)」が日本でも使えるよう、ルール作りを進めてほしいという声を挙げています。その目的は前述したような弾力的運用を行いたいからでしょう。

5g

一方、総務省としては5Gネットワークを特定の用途や施設に特化した使い方から始めるのではなく、全国津々浦々まで(というと言いすぎかな?)を5Gでカバーした上で、そこに生まれてくるアプリケーションやサービスを育て、日本国としての新たな産業育成という方向に持っていきたいのかもしれません。

もっとも、かつて世界でもっともブロードバンドネットワークが家庭に届く環境を目指していた時のように、全国ほとんどの家庭に光ファイバー(あるはそれに相当する)速度の通信が提供できるようにすれば、アプリケーションは自然発生的に生まれ、それが新しい産業の勃興に......っと、そんな時代もありましたが、意図通りの展開になったかというと疑問ですね。

さて、実際に携帯電話事業者が、どのような意図で動いているかはわかりません。

しかし、"速やかに5Gネットワークを全国に展開したい勢"は、将来的なネットワークのコストを考えているのだと思います。帯域幅の拡張ではなく"通信効率の改善で増速する"ということは、言い換えれば"通信帯域あたりのコストが下がる"ことを意味するからです。

きちんと原価が透明化された中で、接続料が決められることが前提ではありますが、5Gが面で展開され、多くの端末が5Gネイティブでデータも音声も通信するようになれば、短期的には投資コストがかかっても、長期的にはコストが下がって料金も安くなる......かもしれませんね?

いや、実際はそれほど甘くはないのかもしれませんが。




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