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ゲームストリーミングが進む方向は?5Gは単なるトリガーにすぎない:本田雅一のウィークリー5Gサマリー

5Gで新しい何かが生まれるはず

本田雅一, @rokuzouhonda
2019年4月9日, 午後12:30 in 5g
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Engadgetとも極めて縁の深い米Verizon Wirelessが、米2都市で5Gサービスを開始しました......って、"おまえ、米国ではすでに始まっているって、言うてたやん!"と突っ込まれるかもしれませんが、すでに始まっていたのは5G NR(第5世代移動通信システム向けに開発された無線通信技術)を用いて家庭向けにブロードバンド接続を提供するサービスです。今回始まったのは5G NRを用いたモバイル端末向けサービス。う〜ん、ちょっとややこしいでしょうか?

いずれにしろ、4月3日からミネアポリスとシカゴでサービスイン。以前にも紹介したように、月額10ドルの追加料金を支払うことで1Gbpsの5Gデータ通信サービスを受けることができます。年内に展開都市は30都市まで増えるとのことなので、日本人の行く機会が多い都市でも敷設が進んでいく事でしょう。

LTEでもギガビット級のサービスはありますが、これはチャンネルを束ねたキャリアアグリゲーションで実現しているものですし、電波の利用効率は違いますから、まずはスタート地点として"ここから始まった"ことを祝っておきたいところだったのですが、実は韓国の携帯電話事業者3社が著名人に渡した端末の5G回線を開通させ、ゲリラ的に前倒しで「世界初」を宣言しました。

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実はVerizonのモバイル端末向け5Gサービスは4月11日に開始予定でした。しかし、韓国での5G開始が5日と発表され、世界初を狙っての前倒しだったわけです。さらに韓国勢はそれに対抗して、本来は4月5日だった一般向け開通日を前に、4月3日夜に(ごく一部の端末を)開通させることで面目を保ったわけです。

......が、一般向けのサービスとしてはVerizonの方が早いわけで、この争いに何か意味があるんでしょうかね?

さて、こんな感じで書き始めましたが、先週は5G関連の大きなニュースがあったわけでもなく、取り上げるべきと思えるニュースもないのですが、前々回に取り上げたゲームストリーミングサービスについて、取材相手から"なるほど"と思える意見を伺いました。今回はそんなテーマで進めてみたいと思います。

長期的に見れば、スマートフォンや周辺の事業環境にも関係してくるかもしれない事なので、ゲームストリーミングに興味がない方も読み進めてみてください。

"かつて"任天堂からソニーへと時代が変化した理由(のひとつ)

あくまでも事業の流れの話ですから、これから書くことは"ゼロサム"......つまり、1か0かという話ではありません。そこは理解していただいたうえで、これからはゲームストリーミング──クラウドゲーミングといった方がいいかもしれませんが、ゲームを動かすコンピュータをネットの向こう側に持つケースが確実に増え、あるいは現在のゲーム機ビジネスの根幹を揺るがすことになるかもしれません。

「いやいや、そこっていくら頑張ったって遅延があるでしょう。そんなもの遊べないよ!」 というのは、誰もが思っていることです。それでも、この流れは止まらないだろうというのが、ゲーム機業界の重鎮として最近まで現役だった方の見解でした。

コンピュータゲームといってもいくつかのジャンルがあって、スマートフォン向けゲームと据え置き型ゲーム機向けゲームの世界ではかなりビジネスモデルが異なりますが、GoogleのSTADIAが狙っているのは、ゲーミングPCやゲーム専用機の市場です。

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インターネット技術のトレンドを考えれば、エッジ技術とレイテンシの低い足回り(エッジから端末までの回線遅延)の整備で、問題は徐々に解決していくでしょうし、以前書いたように、ハードウェアを普及させるというハードルもありません。

しかし、実はこのあたりのことは(重要ではあるけれども)"最重要"なポイントではなく、一番のポイントは"ライセンス料"だという意見でした。これはユーザー側からは見えにくいところですね。

かつてファミコン、スーパーファミコンの時代、任天堂こそがゲーム専用機市場を支配していました。ソニーがプレイステーションを自社ブランドで発売する以前、任天堂との提携を模索していたがうまく進まなかった......という話を聞いたことがある人もいるはずです。

安価にハードウェアを普及させ、コンテンツの販売で収益を上げていくビジネスモデルの中には、他社開発のゲームを流通させるためのビジネスモデルも組み込まれていました。ゲームソフトを記憶させたROMカートリッジの生産は、任天堂に委託しなければ生産できず、この中にはライセンス料金も含まれていたわけです。これは今でいうプラットフォームビジネスですね。

ソニーが発売したプレイステーションは、もちろん3Dグラフィクスという斬新な要素を導入していたことも普及における重要な因子でしたが、ハードウェアの制約も大きく、また任天堂のゲーム機が充分に拡がっている中では、当初、かなり苦戦していました。

グローバルでビジネスを軌道に乗せるためには、北米市場でプレイステーションへの流れを作る必要がありましたが、そこで現地......すなわち北米のクリエイターを説得できた理由は、ゲーム用CD-ROMが安価な(ライセンス料も含まれているが半導体のROMよりはずっと安い)ことだったのだと言います。

まぁ、ものすごく大まかな話なので、他にも多様な視点があると思います。しかし、サードパーティーのゲームクリエイターたちがプレイステーションへと傾いていくきっかけ、説得材料のひとつではあったようです。ではゲームストリーミングサービスではそのあたり、どうなるんでしょうね?

時代はすでに"配信"だけれど

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まだSTADIAのビジネスモデルが発表されていないため、ここから先は想像になります。実際にはゲームの開発が始まっているでしょうし、開発キットも配付されているということは、ゲーム開発会社は知っているのでしょうけれど、おそらくSTADIA向けにゲームタイトルを配信する際のライセンス料は極めて安価ではないか......と想像しています。

ゲーム専用機も物理メディアの生産・流通からネットワークを通じた配信へと時代が変化していますが、クラウドゲーミングの場合は端末までソフトウェア本体やデータを送る必要すらありません。

STADIAでゲームをリリースするためのライセンス料が安価、あるいは無料に近いモデルだと仮定すると、ゲームプラットフォームからみたとき"コスト安"であることが魅力になります。しかも、売れれば売れるほどその差は大きくなっていきます。

レイテンシに関しては、もちろんクラウドゲーミングでは厳しいジャンルがあることは確かですが、グループ対戦やMMO型のゲームなどは、クラウドに行ってしまうかもしれませんよね。

ソニーの吉田憲一郎CEO兼社長が「プレイステーション5の準備がある」という話をしたという記事がありましたが、それが本当に新しいハードウェアなのだとしたら、結構厳しい戦いになるかもしれません。

ハイエンドはゲーミングPC、ミドルクラスにゲーム専用機が食い込んだとしても、裾野をクラウドゲーミングに侵食されるとなると事業的には厳しいことになりそうです。もちろん、ソニーも今の事態は充分に予想出来ていたと思いますから、想像を超えた何かを期待したいところです。

一方で任天堂の領域は......?

一方で、今後どうなっていくのかが見えにくいのが任天堂の領域です。任天堂はテレビに接続するゲーム専用機のジャンルから、若年層向けのポータブルゲーム機、あるいはファミリー層向けなど、"遊びが生まれる場"に着目して、適切なハードウェアとコンテンツを組み合わせ、独自のプラットフォームを築きました。

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ある程度の年齢になれば、どんな子もゲーム機を欲しがるものですが、その中で親が安心して買い与えられる製品でもあり、また子どもたちにとっても放課後に集まってみんなで遊びやすい。そんなイメージが定着しているのが任天堂の作るゲーム機の世界だと思います。

定額制で遊べる「Apple Arcade」が発表されましたが、Appleはファミリー共有(同じ契約を家族で共有出来る)や厳格なプライバシーポリシーによる安全性、アプリ内課金などによる射幸心を煽る演出やゲームシステムを採用しないこと、そして純粋にゲームクリエイターの創作に対して投資をしていくことを表明しました。

Apple Arcadeは、ソニー、任天堂、どちらのゲーム機プラットフォームとも直接の競合はしません。しかし、iOSデバイスのほとんどがiPhoneとiPadであり、ポータブルデバイスが中心であることを考えれば、やはり任天堂ゲーム機との競合は避けられないでしょう。

スマートフォンのアプリ市場において、販売額がもっとも多い10社はすべて主な売上げをゲームから得ており、また10社中7社はアジア太平洋地域のパブリッシャーです(参考)。さらに掘り下げると、その多くは無料でダウンロードでき、アプリ内課金を誘導されるタイプのもので、任天堂のゲーム機とはあまり競合しません。しかし、本来は買い切り型のゲームがApple Arcadeによって定額で遊べるようになると、状況は変わってくるでしょう。

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稼働するデバイスの数で言えば、iPhoneだけでも10億台が稼働していますし、このトレンドがさらに2倍の端末が稼働していると考えられているAndroid向けにも拡がっていくとしたら、独自の"遊び"を創出してきた任天堂のビジネスに直接的な影響を与え始めるかもしれません。

もちろん、任天堂が提供する価値はこれからも変わらないでしょう。彼らのプラットフォームもコンテンツもとてもクリエイティブです。しかし、ここで思い出すのはデジタルカメラ業界のこと。

専用に開発されたデジタルカメラは、スマートフォンより高画質で操作しやすく、持ちやすく機能も豊富ですが、単体でのネットへの接続手段を持たず、次々に生まれるネットワークサービスへの適応性という面でも柔軟性に欠けていました。

僕自身はより良い写真を撮りたいという気持ちがあるため、その時々に合わせてパナソニックの「LUMIX TX2」やリコーの「GR III」を持ち歩いていますが、スマートフォン以外のカメラを必要としない人が増えていることは否定できません。


"5Gはトリガー"と捕らえるなら

少し違った角度から考えて見ます。LTEの時代に何が起きたでしょうか?

単に高速な通信になっただけとも言えますが、クラウドのパフォーマンスが上がり、データがリッチになる中で、端末はそれに見合うだけの通信速度を持つようになりました。では"速度が上がったことで何が生まれた"のでしょうか。

たとえば地図アプリなどは3Gの時代に生まれたものですが、LTEの時代になって軽々と扱えるようになり、またGPSの位置精度や取得速度も向上するなどの進化が進み、位置情報を用いた上で地図サービスとオーバーレイする、様々なシェアリングサービスなどが生まれてきました。

5Gへの変遷は単なる"トリガー(きっかけ)"にしか過ぎないと考えるならば、直接的に5Gによって実現可能になることだけではなく、市場バランスの変化によって世の中が変わっていく様子を想像してみると、今後進んでいく方向、道筋がみえてくるのではないでしょうか?



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