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真の5G社会で必須になる「5G SIM」、ジェムアルトが解説

SIM搭載Snapdragonも開発中

石井徹(TORU ISHII), @ishiit_aroka
2019年4月13日, 午後08:00 in 5G
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世界各国で導入が開始された次世代のモバイル通信「5G」。その5Gでは「SIM」にも新たな機能が追加されます。4月9日、ジェムアルトは技術説明会を開催し、5G時代のSIMカードが持つ新しい特徴を紹介しました。

SIMは携帯電話キャリアが持つユーザー情報と接続しているスマートフォンなどの端末情報を紐付けする重要なデバイス。LTEスマートフォンの多くには、「SIMカード」として内蔵されています。

▲4G LTEスマートフォンに内蔵されるnanoSIMカード

SIMカードの設計で高いシェアを持つジェムアルトは、その5Gに対応するSIMカを発表しています。ジェムアルトいわく「世界初」という5G SIMは、2019年上半期(6月)までに出荷が開始されます。

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▲ジェムアルト モバイルサービス&IoT事業本部 フィールドマーケティングマネージャー 米沢正雄氏

■今の5Gは「完全な5G」ではない

5Gは米国や韓国で続々と開始されていますが、これは「フル仕様の5G」ではありません。実は5Gの詳細な仕様は未だ決まっておらず、2019年末をめどに策定される「3GPP Release 16」で決定される予定です。

そして、5Gには「高速(通信速度が向上する)」「低遅延(反応速度が早くなる)」「多元接続(1つの基地局でこれまでより多くの端末を制御できる)」という3つの特徴がありますが、現在の5Gではそのうち「高速」のみしか実現できません。

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なぜなら、5Gの提供開始当初は、多くのキャリアが移行期向けの仕様「NSA(ノンスタンドアロン)」を採用するから。これは、4G LTEの制御システムを用いて5Gサービスを展開するという仕組みで、日本の大手3キャリアを含め、LTEから5Gへ移行するキャリアの多くがこの方式を採用するものとみられています。

コアネットワークまで「5G化」した完全な5Gネットワークの実現は、2022年ごろとみられています。そして、ジェムアルトの「5G SIM」は、その「完全5G時代」のネットワークを見据えた仕様となっています。

gemalto▲5Gのフル機能が活用されるまでにはまだ数年かかる見込み
gemalto▲5G SIMで進化する特徴

■SIMの識別番号が暗号化される

SIMの1つ1つに割り当てられている識別番号が割り当てられています。4G LTE SIMでは「IMSI」と呼ばれるものです。IMSIから携帯電話契約者の情報を読み出すことはできませんが、近年では個人情報に当たる可能性があるとして、プライバシー保護の観点から課題とされてきました。

4G LTEのIMSIは電話番号と1対1の関係を持つ数字で通信時には平文(暗号化されていない状態)で送受信されます。5G SIMではIMSIに相当する「SUPI」には、暗号化の仕組みが追加されます。

5G SIMでもSIMの識別番号をネットワーク(通信キャリア)とやり取りする点は変わりませんが、SUPIそのものではなく、それを暗号化した「SUCI」を利用してやり取りします。これは特に海外キャリアのローミングを利用している場合などに、契約者個人の情報と紐付けを難しくする効果があります。

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■海外ローミングがスムーズに

海外のキャリアで通信する時に使う「ローミング」も、5Gではより賢くなっています。5G SIM追加された「ステアリングローミング」は、複数のキャリアのローミングサービスが使えるときに、接続先に優先順位をつける機能。この機能があることで、安価なローミングサービスで快適なサービスを提供できるようになるといいます。

ローミングサービスは、キャリア間で接続協定を結んだ上で提供されます。ユーザーがローミングサービスを使う場合、ユーザーの契約キャリアから回線提供元の現地キャリアに支払われます。その際の料金は事業者同士の話し合いで決められており、一律ではありません。

たとえば、ある国では「エリアが狭くローミング料が安いキャリアA」と「エリアが広いがローミング料が高いキャリアB」が存在している場合に、通信事業者としてはキャリアAを優先して利用してもらいたいわけです。

ところが、LTEまでのモバイル通信では、接続先キャリアに優先順位をつける機能がありませんでした。そのため割安なローミングサービスを提供する際、「割高なキャリアB経由で接続した場合、一度接続を切ってキャリアA経由で繋ぎ直す」といった工夫を行っている事業者もありました。その場合、つなぎ直すまでの間は通信ができないため、ユーザーにとっては「安い代わりに、なかなかつながらない」状況にもなり得ます。

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ローミング制御の優先順位付けが3GPPによって5Gの標準規格に盛り込まれることで、この手間を解消しつつ、キャリアにとっても割安なローミング料金でサービスを提供できるようになります。

■SIMの「秘密鍵」が更新できるように

5Gで進化のポイントの1つ「多元接続」は、1つの基地局に数百、数千台単位の端末が接続し、管理できるようになるというもの。モノがネットワークに繋がるIoTを実現する上で重要な要素になります。そのIoT機器でも重要となる5G SIMの新機能として「秘密鍵の更新」があります。

従来、SIMカードのセキュリティーの要となる「秘密鍵」は、一度SIMが発行されると変更できない仕様でした。その背景には、携帯電話やスマートフォンでは数年に1回は機器の置き換えが発生するため、その際にSIMカードを更新すれば事足りていたという事情があります。

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一方、5G時代のIoT機器(たとえばスマート机、スマートゴミ箱、スマートバス停、スマート住宅......)では、数年どころか数十年は使い続けるようなものも想定されます。優れたセキュリティー技術でも数年〜数十年で破られる時代に、一度発行された秘密鍵を数十年使い続けるのは安全とは言えません。そのため、5Gでは破られた秘密鍵の更新機能を持たせることで、安全な状態を確保するといった仕様も盛り込まれています。

■SIMカードのカタチも変わる

今のスマートフォンなどで主流となっているSIMは、カード型で取り外しできるものですが、IoT機器では製造時にチップ型の「eSIM(embedded SIM)」も多用されています。

そして、近い将来には、チップセットにSIMカードの機能を組み込んだ「iSIM(integrated SIM)」も登場します。ジェムアルトはクアルコムと提携してSnapdragonシリーズのSoCにSIM機能を搭載。製品化を進めています。

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チップセットにSIMが入ることで、製品設計の自由度はさらに高まります。パソコンやスマートフォン向けに利用できるのはもちろん、たとえば「スマート眼鏡」のようなSIMスロットを入れるスペースが確保しづらいデバイスで、iSIMは有効な技術と言えるでしょう。




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