Sponsored Contents

Medicineの最新記事

Image credit:
Save

研究者が死後4時間のブタの脳を部分的に蘇生。代謝反応やシナプスの活性化など細胞機能を復元

゙🐷゙

Munenori Taniguchi, @mu_taniguchi
2019年4月18日, 午後06:32 in Medicine
72シェア
11
61
0

連載

注目記事

AirPods Pro実機をソニーのWF-1000XM3と比較 ノイズキャンセリングの決定版は?(追記)

AirPods Pro実機をソニーのWF-1000XM3と比較 ノイズキャンセリングの決定版は?(追記)

矢崎 飛鳥, 10月29日
View
一般常識としては、人は(たとえ不死身のハイランダーでも)誰かに首を切り落とされてしまえばあの世行き、つまり死を迎えます。でも、もしかしたら今後はそうではないかもしれません。

イェール大学の研究者は、食肉工場で4時間前に断首されたブタの頭部を再び生きた状態に戻し、しばらく維持できたとする実験をまとめた論文をNature誌に寄せました。

研究者らは食肉工場から入手した豚の頭部に、BrainExと呼ばれる人工心肺のような装置を接続し、ブタの体温に保った反凝固性の酸素および栄養素運搬溶液を灌流させました。すると、新たな血行と代謝反応つまり細胞が酸素と糖質を取り込み二酸化炭素を産生する反応、そして自然なシナプスの活性化が確認されました。この反応は10時間にわたって続いたとされます。この研究チームは2018年には死亡直後のブタの頭部を同様に36時間生きながらえさせたとの研究を発表しています。

Nature
この研究は潜在的にいくつかの概念を一変させる可能性があります。研究者は実験において、神経活動と意識は脳の血流が遮断されてから数秒、長くても数分で失われ、組織の破壊が始まること、組織の破壊を食い止めるには一刻も早く血液の循環を回復させなければならないことを仮定としていました。それが今回の結果にみられたように、血液の循環を失って4時間も経た状態であっても、部分的にも再び生体反応を引き起こせるのであれば、実はわれわれが考えているほど脳組織は死んでいない可能性が考えられます。そして、現在の脳死の定義を変えてしまう可能性もこの実験にはあります。

ただ、少なくとも実験ではブタ(の頭)は生物学的反応は示したものの、今回の目的は脳組織が再生するかどうかを調べることであったため、循環液には神経活動を阻害するいくつかの成分を配合し、意識が戻るといった高度な蘇生にならないよう制限をかけていたと研究者は強調しています。チームはもし実験中のブタ(の頭)にアルファ波もしくはベータ波といった脳波を検出した場合は、即座に麻酔薬を投与し、細胞活動を終了させるために急冷する用意をしていたとのことです。

実験においてどのように意識のあるなしを測定し、覚醒状態にならないことを保証するのかは、技術的にも倫理的にも色々な考えが交錯するところです。今回の研究においては、動物福祉に関する倫理的ガイドラインに厳密に従うため、大学側の指導に基づき1966年に策定された動物福祉法で定められるように、食用家畜として飼育され、研究を開始する前に殺されたブタの頭部を使用して行っています。

この研究はわれわれ人類にとって潜在的に莫大な医学的メリットをもたらすかもしれません。たとえば、ロシアのカルト映画『ドウエル教授の首』のように首だけで生きながらえるところまでは無理としても、脳外科などでのBrainExの活用が考えられるうえ、さらに研究が進めば一時的に脳を取り出して保管や移植することも可能性としてはあり得ます。ただし、この分野の研究にはいまよりもかなり厳格な倫理ガイドラインが必要になるでしょう。研究チームはヒト胚に由来する幹細胞研究を先例として掲げ、適切な機関がまず綿密なガイドラインを定める必要性にも言及しています。

ちなみに、今回の実験で使われたBrainEXと似た考え方で、体温を保つよう血液を灌流させて臓器を維持する方法は肝臓移植への利用なども研究されています。倫理ガイドラインや技術の完成度が高まれば、いずれは死後に脳だけを取り出し、移植のためにしばらく保存するといった延命策なども考えられるようになるのかもしれません。




「TechCrunch Tokyo 2019」11月14日、15日に開催



広告掲載についてのお問い合わせはad-sales@oath.com までお知らせください。各種データなどはこちらのメディアガイドをあわせてご覧ください。

72シェア
11
61
0

Sponsored Contents