Sponsored Contents

5gの最新記事

Image credit:
Save

iPhoneへの影響は?AppleとQualcomm和解報道の捉え方:本田雅一のウィークリー5Gサマリー

普及プランと将来の事業収益を巡る相互の牽制はまた別次元のお話

本田雅一, @rokuzouhonda
2019年4月23日, 午前08:00 in 5G
78シェア
0
42
0
36

連載

注目記事

この連載ではこれまであまり触れてきませんでしたが、AppleとQualcommが通信技術の特許に関連して訴訟合戦をしていた一件について和解しました。

この件において両社は互いに強い口調で互いを責め、Qualcommにいたっては今年2月のMWC 2019で「5Gモデムが搭載されるのはAndroidだけ」というメッセージを展示ブースのユニフォームにまでプリントするなど、冗談なのか、本気なのかわからないと思えるほど極端なスタンスでAppleと対峙していました。

5g

この特許絡みの係争に関しては、将来Appleが作るデバイスにおいて5Gモデム搭載に影響が出るとの懸念観測も出ていました。これは本連載の中で触れたこともありますね。iPhoneやiPadはもちろんですが、5Gの場合は低消費電力や基地局あたりの同時接続数などのIoT向け改善点があるため、Apple Watchへの影響も皆無とは言えません。

より現実的な話を述べると、立ち上げ時に少しでも早く製品を出してノウハウを蓄積し、他社よりも優れた製品開発へのフィードバックを得たいとするならば、今すぐにでも5Gモデムが欲しかったことは確かでしょう。

LTEモデムと一体化されたモデムが搭載されるのは来年以降とはいえ、製品開発には時間がかかります。どのモデムメーカーが優れたものを作れるのか、今の段階では確実なことは何も言えませんから、Appleとしてもなるべく多くの選択肢を持ちたいに違いありません。

個人的には「5G時代のリーダーシップをどう執っていくのか、今後の注目点は新たな事業領域の開拓にある」という考えなので、既存端末の改良型に関しては携帯電話事業者各社のインフラ整備がある程度進んだ頃に登場すれば、端末側の対応としては十分だろうと想定しています。そのため、皆さんが懸念しているであろうiPhoneへの影響というのは、さほど大きくはないと予想します。

iPhoneへの影響は大きくはないだろうけれど......

ともあれ、iPhoneそのものの事業計画に関して言えば、今回の和解報道が大きな影響を与えることはないと考えています。そこには技術的な背景もあり、スマートフォン端末として幅広い層に普及させていく際、採用する部品に対する必要となる技術的要件がいくつかあるためです。

まず、5Gモデムがそれ以前の世代のものと統合されていること。これはまだ実現されていません(来年の製品以降です)。消費電力、端末のサイズ、コストなど、様々な点に影響を与えます。

5g

その次にSoCへの統合も求められるようになるでしょう。ここはQualcommのSnapdragonシリーズが得意とする部分ですよね。しかしQualcommの得意とする分野ではありますし、多くのスマートフォン(Android端末)に関して言えばその仕様に多きな影響がある部分なのですが、iPhoneにはあまり関係がありません。

なぜならAppleは独自SoCの元に自社端末を構築しているから。通信を行うためのモジュール(モデム)はSoCの外に置き、そのかわりにGPUやNeural Engineに多くのトランジスタ数を割いて、ニューラルネットワーク処理やGPU能力を高めたり、あるいはiOSと連携しながら高効率でパフォーマンスを引き出したり、独自のイメージ処理プロセッサを内蔵させることでカメラ機能に特徴をもたらしたりしています。

つまり、外付けモデムに良い製品さえ調達できれば、SoCは自前で用意できるのがAppleということです。

5g

余談ですが、こうした観点で言うとファーウェイはAndroid端末メーカーの中でも、特に優位な立ち位置にあることがわかりますね。何しろ全部、自分たちで揃えることができるのですから。

......と話は逸れましたが、5Gモデムを開発しているベンダーはQualcomm以外にもあります。Qualcommが先頭を走っていることは確かですが、5Gの無線技術が成熟し、普及する頃には選択肢も拡がっていくでしょう。

したがって、5Gに向けての過渡期において、調達出来るモデム技術の選択肢が狭まるという意味で、Qualcommとの係争はAppleにとって好ましい状況ではありませんでした。

2020年モデルのiPhoneは5G化がほぼ確実に?

そんなAppleとQualcommの和解報道に関しては、エンガジェットの記事でも詳しく出ていますので参照ください。


エンドユーザーの我々にとって、通信端末を構成する主要な部品や技術を持つ会社同士が仲良くしてくれることはとてもいいことです。Appleは各種部品を複数ベンダーから調達する方針ですから、5G対応モデムを搭載する際、Qualcomm製品だけになるのか、それとも他社からも調達するのかなど、不確実な部分もありますが、しばらくはモデムの調達先を1つに絞るかもしれません。過渡期は先頭を走っているベンダーから調達し、市場の成熟に伴ってマルチベンダーへと変更する、この流れがリスクのもっとも少ない手法だと思うからです。

ハードウェア開発には、ある程度の時間──リードタイムが必要ですから、このタイミングで和解を発表したということは、いよいよiPhoneの2020年モデルが5Gになるという予想は現実味を帯びてきました。

5g

しかし、まだどんな社会変革が起きるか手探りである5Gの話よりも、皆さんは自分たちが使う手頃な端末の方が気になるのではないでしょうか?

iPhoneはその歴史において、3Gモデムの搭載、LTEモデムの搭載、と2つの大きな無線技術切り替えがあり、いずれも(当時はモデル数が少なかったこともあり)一斉に製品が切り替わりました。

しかし5Gへの切り替えでは、おそらく5Gモデム搭載モデルと、LTE-Advancedまでのモデム搭載モデル、2つのラインナップが用意されるのではないか? と予想しています。5Gモデム搭載端末の設計に自由度が出てくるには、2021年以降まで時間がかかると思うからです。

そんなことを考えているのは筆者だけではないようで、またぞろ"小型iPhone"の噂が出てきました。いずれも根も葉もない噂だと思うのですが、噂が出てくる背景には「きっと5G黎明期は5GモデルとLTEモデルが併存するに違いない」という考えがあるからでしょう。

噂の小型iPhoneが"SEと同様の意味を持つ"と思う理由

さて、ここから先は少々妄想が入りますがご容赦を。

前述したようにAppleとQualcommの和解の後に、小型iPhoneの噂が出始めたのは偶然ではないと僕は考えています。2020年モデルからAppleがiPhoneに5G対応モデムを積むならばと考えたなら、LTEモデムまでを前提に設計された製品と、5G対応アンテナや内蔵モデムを考慮しながら設計した製品とを別にした方が商品的な魅力を高めやすいと思うのは自然なこと。

つまり、プレミアムクラスのiPhone......現在ならばiPhone XS/XS Maxということになりますが、これらの製品の先に5G搭載モデルがあるならば、それ以外のiPhoneにはLTEモデムが搭載されるのが自然であろうというです。ならば、そこには価格差もある程度は必要になり、ディスプレイなどのコストも考えてよりコンパクトな製品として企画される方が合理的という考えも成り立ちます。

5g

噂では4.7インチディスプレイ搭載の小型iPhone「iPhone XE」が投入されるということになっています。iPhone SEは4インチディスプレイでしたが、そのiPhone SEのサイズ感そのままにiPhone Xファミリーライクな全画面ディスプレイにすれば、おそらく4.7インチぐらいのサイズ感になるに違いありません。


iPhone X/XSが5.8インチですから、それより一回り小さいことになりますね。先日発売されたiPad miniと組み合わせて使うのも良さそうです。その位置付けはiPhone SEと似たものであると思いますが、廉価版という意味ではありません。

5g

iPhone SEは「当時のiPhoneの基本形」を最新SoCで実現したものです。Touch IDによる個人認証を備えたiPhone 5Sは、スマートフォン端末としてひとつの完成形でした。その後、画面サイズが大きくなったり、非接触センサーの電子決済に対応したり、Face IDを搭載したりといった進化を遂げましたが、オリジナルiPhoneの完成形はiPhone 5Sだったわけです。その基本の形を最新SoCで再現したのがiPhone SE。

iPhone XEが本当に登場するかどうか、僕には知る由もありませんが、もし登場するならば、同じような意味合い......すなわち、iPhone Xファミリーの基本形──ベーシックなiPhone X体験をもたらす、LTEモデムを搭載端末──として当面の間、活躍してくれるのではないかな? と。そんなことを考えていますが、来週は少し目先を変えて「LTE世代で何が起きたのか(新しいアプリ、事業領域がどう生まれたのか)」について、話をしたいと思います。



広告掲載についてのお問い合わせはad-sales@oath.com までお知らせください。各種データなどはこちらのメディアガイドをあわせてご覧ください。

関連キーワード: 5g, 5gmodem, apple, iphone, mobile, modem, qualcomm, smartphone
78シェア
0
42
0
36

Sponsored Contents