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LINEを追う「+メッセージ」、普及への課題は多い(石野純也)

3キャリアがバラバラに提供

石野純也 (Junya Ishino)
2019年4月24日, 午後04:00 in App
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ドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社が、「+メッセージ」の機能拡充を発表しました。新たに追加されるのは、企業が個人ユーザーに対してメッセージを送れるようになる、「公式アカウント」です。同時に、トッパン・フォームズが主導する、金融サービスの手続きをワンストップ化する+メッセージ上のプラットフォームも披露されました。新サービスは、auが5月以降、ドコモとソフトバンクが8月以降に開始する予定です。

機能を拡充し、企業の公式アカウントを開始する

+メッセージとは、RCS(リッチ・コミュニケーション・サービス)という規格に基づいたメッセージサービスのこと。RCSは世界各国のキャリアが集う業界団体のGSMAが策定した規格で、電話番号だけでメッセージをやり取りできるSMSやMMSを発展させたもの。電話番号で送受信できる利便性はそのままに、送受信可能な文字数を大幅に増やし、画像や動画をはじめとする各種データも添付できるようになりました。

また、RCSは企業がアカウントを持ち、チャットボットのような仕組みを運用したり、メッセージ内で決済まで完結させてしまったりと、非常に多機能になることを想定しています。日本以外でも導入しているキャリアが徐々に増えてきている一方で、主要3キャリアが一斉導入した国や地域は珍しく、一種の"成功事例"としてGSMAが主催するMWCなどのイベントで紹介されてきました。

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▲昨年開催されたMobile World Congress Shaghaiでは、日本が唯一RCSを全キャリア一斉に導入した国として紹介されていた

実際、1年経たずにユーザー数は800万を突破。auはAndroidのSMSをアプリごと置き換えているため、ある意味当然な感もありますが、これこそが本来、RCSが狙っていたことでもあります。ケータイユーザーほぼ全員が使えるSMSを進化させるからこそ、各種メッセージサービスに対抗できるということは、GSMAの主張でもあります。この点では、シナリオ通りといえるかもしれません。

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▲ユーザー数はサービス開始から1年を待たずに800万を突破した

このタイミングで企業アカウントの仕組みを作り、個人対個人だけでなく、企業対個人のコミュニケーションにも使えるようにするというのが、3キャリアの考え。企業アカウントの開設からは対価を取っていく予定で、ビジネスモデルとしてはLINEのそれに近いものになりそうです。

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▲近隣の店舗を検索したり、銀行の住所変更を+メッセージ経由で行えるようになる

ただし、現時点ではアクティブユーザーは公開されておらず、本当に使われているのかどうか、疑問も残ります。普及にはまだまだ課題も多い印象を受けました。また、機能の拡充に関しても、LINEなど、競合になりうるサービスと比べ、"遅い"と感じています。

まず、利用者の拡大に関してですが、筆者が個人のアカウントで確認してみたところ、登録している相手はキャリア勤務の人がほとんど。IT関連メディアまで含めると、8割ぐらいが"関係者"や"半関係者"になり、一般のユーザーに浸透しているかは不透明です。先に述べたように、auはAndroidのSMSを置き換えているため、自動的に数は増えていきますが、ドコモやソフトバンクは別アプリとして機能するため、ハードルは高め。

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▲ドコモのAndroidの場合、アプリをダウンロードしてから、SMSアプリを手動で置き換える必要がある。

さらに、日本ではシェアの過半数を占めるiPhoneの場合、ユーザーが自らApp Storeでダウンロードする必要があるうえに、SMSがiMessageと統合されている関係上、サードパーティのメッセージアプリのようにしか使うことができません。本来、RCSはSMSからシームレスに移行できるのがメリットのはずでしたが、これでは同程度まで広がるのは難しいでしょう。

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▲iPhoneでは、App Storeからアプリをダウンロードしなければならず、+メッセージ上でSMSのやり取りはできない

SMSのように誰もが使えるようなものになるためには、大手3キャリアだけでなく、MVNOも取り込む必要があります。現時点では3キャリアのみで、ワイモバイルやUQ mobileといったサブブランドも非対応。「いくつかのMVNOからご要望はいただいている」(KDDI 取締役執行役員専務 商品・CS統括本部長 東海林崇氏)といいますが、提供には至っていません。

特にソフトバンクは、ソフトバンクとワイモバイルが同一回線で、ブランドや料金を分けているにすぎません。なぜ今に至るまでサービスを開始していないのか、理解に苦しむところがあります。「まず隗より始めよ」ということわざがこれほどピッタリはまる事例もなかなかないでしょう。UQ mobileはauのMVNOという位置づけではありますが、サブブランドである以上、こちらで利用できないのも不可解なところです。

窓口は3キャリアでバラバラ、認証の基準も異なる

座組を見ると呉越同舟になっており、運用が効率的ではないような印象も受けました。新たに提供される企業アカウントに関しては、窓口がキャリアごと。極端な話、認証を与えるかどうかの基準も異なっているといいます。代理店のような枠組みが作られ、そこが受け皿になるようですが、参加するキャリアが増えれば増えるほど、企業アカウントを開設する側にとっては面倒な手間も増えそうです。仮にMVNOやサブブランドが参画したとしても、そこにだけ企業アカウントがないという事態も考えられるからです。

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▲ユーザーからは1つに見えるが、企業側は3キャリア別々のアカウントを作る必要があるといい、効率が悪い

開始から1年経って、スタンプがあまり増えていなかったり、有料スタンプが提供されていなかったりするのも、突き詰めると同じ理由。スタンプの発注や収益の分配などを考えると、どこか1社だけがやるわけにもいかず、LINEのようにスピーディにサービスを提供するのが難しくなっているようにも見えます。

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▲スタンプも現時点で51と、あまり数が増えていない印象

3キャリアが結託できない理由

そもそもの話として、同じ名称のサービスに対し、音頭を取る会社が3つに分かれていていいのかという疑問も残りました。メッセージサービスはインフラという観点で考えると、地下鉄などのエリアを整備する通称・トンネル協会のように、キャリア各社が集った1つの集合体を作り、すべてをそこに集約させてもいいような気がしています。

ある+メッセージ担当者によると、3キャリアが真の意味で結託し、一体運営できない背景には、独占禁止法上の問題が出てくることがあるといいます。LINEをはじめとするサードパーティのサービスの排除につながりかねないというわけです。とはいえ、現状の日本市場を見ると、スマホのメッセージアプリではLINEが一強状態で、3キャリアが結託してサービスを提供したとしても、その状態が簡単に覆るとは考えにくいところ。競争の枠組みより、より強固な協力体制を築いた方がいいのではないかと感じた次第です。

また、上記の理由だけでは、サブブランドや自社グループのMVNOに提供できてない理由も、説明しきれません。SMSの置き換えという特性上、すぐにサービスが終了してしまうことはないとは思いますが、存在感を出していくためにやるべきことは、まだまだ多そうです。




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