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コンシューマが5Gに求める用途とは? 改めて考える5Gの意味:本田雅一のウィークリー5Gサマリー

インド人のモバイルビデオキャスティングへの異常な情愛

本田雅一, @rokuzouhonda
2019年5月10日, 午後12:30 in 5g
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日本でも周波数の割り当てが終わり、連休前にはNTTドコモがラグビーワールドカップ2019に向けたプレサービスについての発表を行い、来年の本格商用サービス開始時にも、米ベライゾンが設定したような"5G特別料金"は導入しない意向を吉澤社長が発表するなど、ゴールデンウィーク直前の日本では、5G関連のニュースがやっと動き始めました。

そして連休明けにはGoogleがAndroid 10(Android Q)の5G対応や、これまで批判が多かった、端末のプライバシー保護対策などの発表を開発者向け会議の「Google I/O」で発表。とはいえ、スマートフォンの視点では、5Gの用途はまだ見えておらず、一般消費者の目は「充分に高性能でカメラ性能が良いコストパフォーマンスのいい端末」に向いていことは、Engadget掲載記事のPV数などからも明らかなところですね。



そんな中、この連載を担当している僕は、ゴールデンウィーク直前のタイミングで、スペインはアンダルシア地方ウェルバ近くの海岸線に行っていました。毎年恒例の「IFA Global Press Conference(GPC)」に参加するためです。日本のニュースも並行して追いかけていますが、せっかくなので今週はGPCで拾った5G関連の話から始めることにしましょう。



多くは家電関連の話題ばかりなのですが、当然、コンシューマ向けのエレクトロニクス製品に関して5Gやスマートフォンの話題は欠かせません。



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世界最大の調査会社「iHS」エグゼクティブ・ディレクターのMaria Aguete氏は、コンシューマが今何を求めているのかデータから読み取るというセッションを行いました。その中で彼女は4K/8Kテレビや音声アシスタンス機能と共に、5Gに関する調査と分析も発表しています。

平たく言えば「コンシューマにとって5Gってどんな意味があるの?」という話題です。

コンシューマにとって5Gは何の意味があるの?

"コンシューマにとって5Gは何の意味があるの?"という話題は、まさに世界中の業界関係者が知りたいことです。現在、スマートフォンが大きな製品ジャンルとして定着し、それまでにあったデジタル家電の業界地図を大きく塗り替えただけでなく、放送事業や映画産業など、様々なジャンルに渡って影響を及ぼしています。

しかし、現在のスマートフォンは携帯電話技術の中でもEDGEと呼ばれていた、2G最後期の規格から商品設計が始まったジャンルです。その後、3Gでフィーチャーフォンを片隅に追いやり、LTE時代に動画を手軽に扱えるようになると、コンテンツ消費のパターンが大画面スマートフォンに寄っていき、テレビ市場にも影響を与えるデバイスになりました。とはいえ、スマートフォンというデバイスそのものは、ある程度完成されたもので、これ以上に大きく何かが変われるのか? というと、そこには疑問があるところでしょう。

もし、スマートフォンが大きくその形を変えないのであれば、3G/4G時代の代表的な製品ジャンルに留まり、5Gを象徴するアプリケーションのひとつにはならないかもしれません。そのことが解っているからこそ「5Gってどんな意味があるの?」とシンプルにコンシューマ......つまり、一般消費者から問われると、そこで答えに詰まる専門家も多いのです。

そもそも、"みんなが知りたい"ということは、"みんながわからない"ことの裏返しでもありますから、調査したからといって新しい答が見えてくるわけではありません(元も子もない話で申し訳ありませんが......)。ということで、iHSの報告にも目新しい話は残念ながらありません。

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▲5Gに消費者が期待することトップ10

一般消費者が5Gに期待することのトップに「スマートフォンの通信帯域が大幅に上がること」があるのは当然でしょうし、「大容量化であらゆるものがIoT化すること」「低遅延化がもたらす快適な操作感」なんていうのは、5Gに関する宣伝から伝わっているものでしょう(具体的な用途が示されているわけではありませんからね)。

これらを除くと70%以上の人が期待しているアプリケーションは、「ゲームのストリーミングサービス」と「4Kビデオのストリーミング」なんだそうです。
しかし、これらはいずれもコンシューマに対する調査でしかありません。データはデータでしかなく、未来を移しているのではなく"現在のニーズ"と"現在の状況から想像出来る未来のニーズ"を映しているに過ぎないのです。

"想定市場"、それぞれで発展した後が大切

ゲームのストリーミングサービスに関しては、すでにこの連載の中で取り上げたことがありますし、UHD映像のストリーミングをなんて話は、当然、帯域が拡がれば出てくるものです。ネットワークの帯域は、あればあるだけ使い切られてしまうのが歴史で、誰も"もったいない"なんて思いません。



広帯域になったら、それだけ無駄......おっと、口が過ぎました、それだけ贅沢に帯域を使うようになります。そうした"自由"を楽しんでいる中で、思いもよらないような使い方が進み、いずれはみんなが楽しむようになることを期待しましょう。

今回の資料で出てきたように、家庭向けCATV回線の5G置き換えなどでは4K映像ストリーミングサービスのニーズがある......ということがわかります。工事を行わなくとも無線で光回線並の高速回線が家庭の中に入るんですからね。

でも、社会がどう変化していくかはその先にあるわけです。CATVが将来的に5Gとなり、5Gを通じて高品位映像を楽しむようになるのが"当たり前"になったら、そのインフラの上で新しい使い方をし始めるひとが出てくる。ゲームストリーミングサービスに関しても同じです。

GoogleとMicrosoftのゲームストリーミングサービスが成功したと仮定しましょう。いや、いずれはそうなるのだと思います。でも、それは"前世代のアイディア"が5Gで花開くというだけに過ぎません。

本番はその先にあります。ゲーミングPCクラスでしかできないようなゲームに誰もがモバイル端末からアクセスし、それらがクラウドで結合されたとしたら大規模ネットワークゲームはどうなるか? あるいはeSportsがどのように発展するのか? 想像力が働きませんか? "現在の"5Gに、消費者が期待することを見ていると、そんなことを感じました。

インドではLTE世代でこんなことに

たとえば、このプレゼンをしてくれたMariaさんの資料には「LTE世代でスマホはどう変わったか」というデータもあります。売上げでは"ゲーム"が柱ですが、"使われている時間"に目を向けると、実はLTEは"モバイルでビデオを見ること"が当たり前になった世代です(ビデオなんてその前からずっと言われていたんですが)。

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▲LTE世代で端末を使う時間の比率がどう変わったかを示した資料

でもビデオ視聴が当たり前になったことそのものが重要というのではなく、使い方が変化したことで、世の中が「モバイル端末でビデオを見るのが当たり前」と共通認識を持ち始め、クリエイターの作るコンテンツに変化をもたらしていることの方が大きいわけです。

そしてもっと大きいのが、ユーザーの使い方。たとえば、インド人はかなり特異なスマートフォンの使い方をしているそうです。

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▲インドにおけるスマートフォンの使い方を調査した資料

彼女のいう数字を信じるならば......ですが、インドでインターネットに接続している消費者の71%が、手持ちのスマートフォンを使ってビデオキャスティングをしたことがあるとのこと。しかも、全体の40%は一日に複数回のモバイルキャストをするのだとか。

「だからなんだ!」と言うかもしれません。「文化の違いでしょ?」とも。しかし、LTEが、そういった生活スタイルをもたらしたと考えるならば、5Gネイティブ世代の時代、どこの国でどんなトレンドが生まれるのやら。とんでもなく馬鹿馬鹿しいことを想像している人が、もしかしたら5Gがもたらす未来を言い当てているかもしれません。




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