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六枚の刃で切り裂く精密暗殺ミサイル『ニンジャボム』R9X、米軍が実戦投入。巻き添え減らす「人道的」兵器

刃物でサージカルストライク

Ittousai, @Ittousai_ej
2019年5月10日, 午後06:00 in R9X
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いわゆる対テロ戦争を続ける米国が、爆薬のかわりに六本の刃で目標を切り裂く空対地ミサイル、別名「ニンジャボム」を実戦で使用していることが分かったと、米Wall Street Journalが報じています。

「ニンジャボム」ことヘルファイアR9Xは、1980年代から使われてきた小型の地対空ミサイルHellfireの弾頭へ爆薬の代わりに金属塊、あるいは着弾の直前に展開する六本の刃を搭載した兵器。

米軍とCIAはパキスタンやシリア等の地域で、ドローンからミサイルを発射して敵対組織の幹部や指揮者を殺害する作戦を続けてきましたが、ヘルファイアR9Xはその際に通常の弾頭よりも精密な暗殺を可能にし、民間人のコラテラル・ダメージ(巻き添え被害)を軽減する目的で開発・運用されました。

米国は1990年代からRQ-1/MQ-1プレデターなど遠隔操縦型ドローン(UAV)の実戦に投入し、2000年代初頭からは偵察だけではなく武装型を運用してきました。

ドローンによる「精密」攻撃は有人機よりもお手軽に、なにより米国側の人命リスクなく運用できるため対テロ戦争では多用されてきましたが、大きな成果を挙げる一方で、誤爆や過剰な威力から民間人の巻き添え被害が多いことはたびたび報道され問題になっています。

たとえば英国の民間シンクタンクによる統計では、2004年以降で米軍のドローンによる空爆は約6800回弱、死者は8459から12105人、民間人は769から1725人、0~17歳の子供は253から397人など。(The Bureau of Investigative Journalism調べ)。

オバマ前大統領は大統領令でドローン攻撃による民間人被害者数の年次公開を義務化するなど、軍に対し民間人被害の軽減を要請しており、CIAはヘルファイアより小型で威力も低い誘導ミサイル兵器スコーピオン(Small Smart Weapon)を導入済みです。ヘルファイアR9Xもこうした方針により開発されたものとされています。

MQ-9

通常のヘルファイアミサイルは全長約160cmほど。WSJの取材に答えた複数の関係者によると、精密暗殺用のR9Xは弾頭に通常の爆薬を搭載せず、ただの運動エネルギー兵器として機能する金属製の弾頭と、着弾の直前に六本の刃が展開するバリエーションがあるとされています。

使用されたのは数回のみ。これはターゲットの位置をピンポイントに把握でき、かつ通常弾頭では周囲の巻き添え被害が大きすぎる状況でのみ選ばれたため。

通常の弾頭が使われた場合、自動車などはフレームを残して吹き飛び、焼けた残骸のみが残ります。しかし2017年にシリアで、アルカイダの幹部であったAbu Khayr al-Masriが米軍のドローン攻撃で死亡した際には、残された自動車は屋根に鉄骨でも刺さったかのように大穴が空きフロントガラスも一面にヒビが入っているものの、車体全体は保たれており、また焼けた痕跡もありません。

(R9Xは理論上、運転手を残して助手席の人間だけ殺害できることを目指した兵器とされていますが、この際には乗っていた二人とも死亡したことを米国・シリアの当局が認めています)

米軍・CIA・ヘルファイアの製造元であるロッキード・マーティンともWSJの照会に対して、R9Xの存在あるいは性質についてコメントしていません。

巻き添え被害を最小に抑えた精密な攻撃については、むやみに戦端を拡大して状況を悪化させません、「病巣」のみを精密に除去できます(なので他の手段ではなく武力攻撃で行きましょう)といった政治的なニュアンスの使われ方も含めてサージカルストライク、外科手術的攻撃と称されてきましたが、R9Xは本当に空飛ぶ刃物でサージカルストライクという悪い冗談のようでもあります。

民間人の二次被害については、報道などにより攻撃側が国内世論の反発を受けるリスクはもちろん、仮に標的を除去できたとしても、巻き添えを食らった側の対米感情を悪化させ、逆に政治的な目標達成を遠ざけるのも大きな問題です。

「ニンジャボム」はこの点からすれば、あくまで通常の弾頭との比較において優れた兵器であるはずですが、爆弾のかわりに六本の刃を生やしたミサイルのビジュアルが公表されることがあれば、逆説的に恐怖を与えや反感を買いそうなのが難しいところです。

いずれにせよ、遠隔操作される無人機というハイテクの極みから、実質的に狩猟用と変わらない矢が発射される光景はいかにも21世紀的。合理的に考えればあり得ないと馬鹿にされる「カタナで戦う巨大な二足歩行ロボット」を笑えません。

なおトランプ大統領はドローン攻撃による民間人被害数の公開義務を軍に不要な負担を強いるものとして、2019年にオバマ前大統領による大統領令を撤回しています。




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Source: WSJ
関連キーワード: r9x, us, war, weapon
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