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テクノロジーで視覚障がいを克服「iPhoneを処方する眼科医」から学ぶ活用術

ニュース記事の流し聞きには「スピーチ」が便利

石井徹(TORU ISHII), @ishiit_aroka
2019年5月16日, 午前06:30 in Accessibility
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HomePodレビュー。Apple MusicとSiriが家に来るスマート高音質スピーカー

HomePodレビュー。Apple MusicとSiriが家に来るスマート高音質スピーカー

Ittousai, 8月13日
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毎年5月の第3木曜日は「Global Accessibility Awareness Day」。Webサービス開発者の提案で始まった記念日で、障がいを持つ人々がWebサイトやアプリを使えるようにする技術を啓発する日です。

この日にあわせて、Apple Storeではアクセシビリティをテーマとしたイベントを開催しています。13日にApple 京都で開催された、"手術をしない眼科医"三宅琢氏によるプレゼンテーションを取材しました。

三宅琢氏▲三宅琢氏

■iPhoneで"患者の困難"を解消

従来、日本の眼科は"症状を解消する"ための医療を中心に考えられてきました。たとえば白内障で視力が低い患者なら、手術によって原因を取り除く手術が臨床医学的に主流の対処です。しかし、臨床医学的な対処が視覚障がいに悩むすべての人に通用するわけではありません。

三宅氏が携わる「ロービジョンケア」という分野は、視力が悪かったり、色が判別できないという障がいがある患者に対し、困っていることを解決し、充実した人生を送れるようにするという発想の医術です。目を患う人の悩みは単純に視力が低いことではなく、それによって本が読めなかったり、お札の区別が付かなかったりという、より生活に紐付いた困難に遭遇すること。それをテクノロジーの活用によって手助けすれば、たとえ視力が回復しなくても、充実した人生を送ることは可能です。

デジタルビジョン
▲三宅氏は従来の医学的な視力回復のアプローチに加え、iPhone/iPadを使ってハンディキャップを乗り越える新たな「ケア」を提案します

視覚障がいのある患者を手助けするテクノロジーとして三宅氏が長年着目し続けてきたのが、AppleのiPhoneとiPadでした。三宅氏は現在、Studio Gift Hands社の社長として、iPhoneを使って視覚障がい者の悩みを解決するコンサルティングに従事。また、公益社団法人NEXT VISIONの理事として、ロービジョンの患者をサポートする活動を行っています。

■見えない人を生活支援デバイスとしてのiPhoneの可能性

三宅氏は90分のセッションのなかで、目が見えない人がiPhoneを使いこなすためのヒントを多数紹介しました。

視力が弱っている患者にとって便利なのが、iPadのカメラ機能。シンプルなカメラを拡大鏡として使うというアイデアです。カメラは視覚障がいのある人にとって、ポスターや新聞を読むといった用途だけではなく、さまざまなことをするのに役立ちます。三宅氏は、iPadを固定するスタンドを使って、爪切りができたという患者や、食事を"目で確認して"美味しく食べられたという患者の実例を紹介しました。

カメラアプリで爪切り

音声アシスタント「Siri」も、目が見えない人にとって強力なサポートツールになります。音声コマンドだけでアプリの起動やSMSの作成・送信、マップの経路検索といったさまざまなな使い方ができます。三宅氏によると使いこなしのポイントは「Siriの理解できる"正しい日本語"で話しかける」ことだそうです。

SiriでSMS

さらに、iPhone/iPadにプリセットされている「アクセシビリティ」の設定は、障がいがある人のスマホ利用を強力にサポートします。たとえば、アクセシビリティから「ズーム機能」をオンにすれば、どの画面でも拡大できるルーペを画面上に出すことができます。

ズーム機能

障がいの特性に応じて、画面の色味などを変えて見えやすくすることもできます。色反転やグレースケール(白黒)のほか、赤緑色覚障がいなどにあわせたカラーフィルターが用意されています。さらに、「スピーチ」を使うと、画面上の文字をiPhoneが読み上げます。こうしたアクセシビリティの機能を併用して、自分の使いやすいiPhoneを作り上げることができます。

セッションでは、障がいのある人が便利に使えるアプリも紹介されました。紙の印刷物などに書かれた文字を写真に撮ってテキスト化する「OCRアプリ」は、スピーチ機能と組み合わせれば、紙の書類に書いてある文字をiPhoneで読み上げることができます。

OCRアプリOCRアプリ

「NantMobile マネーリーダー」は、紙幣をかざすと素早く金額を読み上げるアプリ。視覚障がいのある人の海外旅行での悩みを解決します。電子教科書の文字を大きく表示できる「UDブラウザ」など、視覚障がいのある人の勉学をサポートするツールも、iPhoneアプリとして登場しています。

紙幣読み上げアプリ▲NantMobile マネーリーダー
UDブラウザ

さらに、スマートフォンならではのツールと言えるのが「Be My Eyes」というアプリ。これは視覚障がい者と支援者を繋ぐマッチングアプリで、支援者がの「目」となり視覚障がい者をサポートします。たとえば契約文書など、視覚障がい者が見たいもの、読みたいものがあるときに、支援者と映像を共有。支援者が読んで伝えるといった使い方ができます。安定した通信が確保できる、スマホ時代ならではの障がい者支援と言えます。

■"見えない人"が知っている、使いこなしのヒント

障がいのある人をデジタルツールで支援する"伝道師"として活動している三宅氏ですが、現在は視覚障がい者だけでなく、聴覚障がいや知覚障害、発達障がいや認知症の人へのテクノロジーの活用法の指南も行っています。

三宅氏の活動の中でも、特に興味深いのケースの1つに、認知症患者のお年寄りへの支援があります。かつて書道を趣味としていたお年寄りに対して、iPadを使って書道や琴の演奏を疑似体験してもらうという試みです。昔親しんでいた趣味にiPadでふたたび触れることで、生きる意味を感じることができるのであれば、それは患者にとって、医学的な治療に勝るとも劣らない価値があると言えるでしょう。

書き順アプリで習字体験

また三宅氏は、産業医として、企業の労働者向けに健康に役立つデジタルツールの活用方法を教授しています。三宅氏が強調するのは、「アクセシビリティ」を初めとしたiPhoneの機能が、決して障害のある人だけを対象としているものではなく、健常者でも便利に使えるツールになっているということ。たとえば、スピーチ機能は通勤時間帯の電車でニュースを"流し聴き"するのに便利です。また、夜間にスマホのディスプレイを見続けるのは目に対して悪い影響を与えますが、色反転機能を使うことで、その影響を抑えることができます。

読み上げ機能

「見えない前提で視覚障がいがある人は"見ないでも"使えるものをよく知っている。障がい者の困難さに学ぶことは、スマホを便利に使いこなすための処方箋になります。アプリの開発者なら、アクセシビリティの機能をどう生かすかを工夫することで、商品開発のアイデアを得られるでしょう」(三宅氏)

障害のある人でも、iPhoneやiPadのようなテクノロジーを活用すれば、障害を乗り越えて充実した人生を送ることができるでしょう。同時に、障害がある人のテクノロジーの活用法は、健常者にとっても新しい使い方へのヒントを得られるかもしれません。

Apple Storeでは無料のイベント「Today at Apple」を通して、アクセシビリティ機能の活用法を伝える取り組みを行っています。iPhoneをもっとディープに活用したいという人にとっても、新たな発見がありそうです。



「TechCrunch Tokyo 2019」11月14日、15日に開催



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