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ヤフーの立場で考える、ソフトバンクの子会社になることのメリット(佐野正弘)

さまざまな憶測もありますが

佐野正弘(Masahiro Sano)
2019年5月22日, 午前08:00 in Business
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去る2019年5月8日、ソフトバンクは決算説明会で、同じソフトバンクグループ傘下で、兄弟関係にあるヤフーを、連結子会社化することを発表しました。さまざまな憶測も呼んでいる今回の出来事ですが、ここではあえて、ソフトバンクグループやソフトバンクではなく、子会社化されるヤフーの立場から、子会社化にどのようなメリットがあったのかを考えてみたいと思います。

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▲2019年5月8日の決算説明会で、ソフトバンクはヤフーの子会社化を発表。会場にはヤフー代表取締役社長の川邊健太郎氏(右)も登壇し、ソフトバンク代表取締役社長執行役員兼CEOの宮内謙氏(左)と握手を交わしていた

ヤフーは現在のソフトバンクグループに当たる旧ソフトバンクが、米Yahooとの合弁で設立した企業で、現在はソフトバンクグループの傘下企業となっています。ポータルサイトの「Yahoo! JAPAN」を中心に、日本市場に向けニュースやEコマース、映像配信など多くのサービスを提供しているということは、多くの人が知る所ではないでしょうか。

そうした経緯もあり、ヤフーはこれまでにも、ソフトバンク、ひいてはソフトバンクグループの通信事業とは非常に密な協力関係を取ってきました。いま最も良く知られる所では、現在ソフトバンクの低価格ブランドとして知られる「ワイモバイル」が挙げられるでしょう。ちなみにワイモバイルは2014年、ヤフーがソフトバンクの前身の1つであるイー・アクセスを買収して携帯電話事業に乗り出そうとしたことをきっかけに生まれたブランドで、ヤフーがたった2ヵ月でそれを撤回したことでも大きな話題となりました。

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▲現在の「ワイモバイル」ブランドは、2014年に旧ソフトバンク傘下のイー・アクセスをヤフーが買収し、携帯電話事業に参入しようとしたことを機として生まれている

ですが両社の関係は、固定回線の時代から既に存在していました。実際、2001年には旧ソフトバンクが提供するADSLによるブロードバンドサービスに、ヤフーのブランドをあしらい「Yahoo! BB」として展開。街中で赤いジャンパーを着たスタッフがADSLのモデムを配布したことで大きな注目を集め、旧ソフトバンクが通信事業で存在感を示すきっかけとなりました。

そして旧ソフトバンクがボーダフォンの日本法人を買収し、携帯電話事業への参入を果たした後は、両社の連携が一層強化されることとなります。ソフトバンクの前身の1つであるソフトバンクモバイルが携帯電話サービスを提供開始した2006年には、携帯電話向けのインターネットサービスが「Vodafone live!」から「Yahoo!ケータイ」へと変更され、ポータルサイトもYahoo! JAPANと同じの形となっています。

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▲ソフトバンクモバイル時代のフィーチャーフォンには「Y!」マークのボタンが用意されており、それを押すと「Yahoo!ケータイ」のポータルサイトに接続する仕組みだった

さらにスマートフォン時代に入ると、ソフトバンクのスマートフォンにヤフー関連のアプリが多くプリインストールされるようになりましたが、より一層連携が深められたのが、ソフトバンクが「UULA」「スポナビライブ」など自社提供のコンテンツ・サービスを終了させ、通信事業への専念を進めてからのこと。それ以降ソフトバンクは、コンテンツはヤフーへと完全に任せる形を取り、現在に至るまで協力関係が続いているのです。

ここまで挙げてきた連携策は、どちらかといえばソフトバンク側がヤフーを利用する形でのものだったといえます。ですが、ヤフー側もこれまで、自社ビジネス拡大のためにソフトバンクと連携してその基盤を活用する取り組みを進めてきました。

その象徴といえるのが「Eコマース革命」です。ヤフーは2013年に「Eコマース革命」と打ち出し、「Yahoo!ショッピング」の出店手数料を無料にするなど、伸び悩んでいたEコマース事業の大幅拡大を目指すための大胆な取り組みを進めてきました。そして、そのEコマース事業拡大の切り札となったのがソフトバンクとの連携です。

実際ソフトバンクは2015年に、ソフトバンクのスマートフォン利用者に向け、Yahoo! JAPANの各種サービスを利用する際に必要な、Yahoo! JAPAN IDの入力を不要にする「スマートログイン」を提供したほか、ソフトバンクのキャリア決済「ソフトバンクまとめて支払い」でYahoo!ショッピングの決済ができる仕組みも用意。大きな顧客を持つソフトバンクとの連携によって、ヤフーのEコマース事業の利用促進が図られた訳です。

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▲ソフトバンクは2015年10月8日より、Yahoo! JAPAN IDの入力不要でヤフーのサービスが利用できる「スマートログイン」などの機能を提供している

2017年にはさらに、ソフトバンクとワイモバイルの両ブランドの利用者に対して、料金を追加することなくYahoo! JAPANの有料サービス「Yahoo!プレミアム」が利用できるサービスを提供。Yahoo!ショッピングで商品を購入するとTポイントの付与が10倍になったり、「ヤフオク!」への出品ができたりする(当時)など、Yahoo!プレミアム会員でなければ受けられない特典やサービスを、ソフトバンクの利用者に向けて提供したことで、やはりEコマースを中心としたヤフーのサービス利用促進がなされているのです。

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▲ヤフーは2017年2月より、ワイモバイルユーザー向けに「Yahoo!プレミアム for Y!mobile」を無料で提供。同年4月にはソフトバンクユーザー向けにも同様のサービスを提供している

今回のヤフー子会社化によって、両社は一層連携を推し進めることになることは確実でしょう。ソフトバンクはヤフーが強みを持つ、非通信分野の売上を伸ばしたいとしていますが、楽天が携帯電話事業に参入し、NTTドコモやKDDIも通信以外の事業拡大を進めているだけに、その狙いは妥当な所だといえます。

では一方のヤフーにとって、ソフトバンクによる子会社化はどのようなメリットがあるのでしょうか。1つはEコマースの連携に象徴されるように、ソフトバンクが抱える2000万以上の顧客基盤を一層活用しやすくなることですが、今後を考えた場合はむしろ、"データ"での連携を図ることができることが、大きなメリットになるのではないかと筆者は見ています。

ヤフーは2018年に、現在の代表取締役社長である川邊健太郎氏が就任した際、「データの会社になる」と宣言しています。ヤフーは老舗のポータルサイトとして長く事業展開しており、なおかつ、9000万を超える利用者を抱えていることから多様なデータを保有しています。そこでヤフーでは、それらデータを活用したビジネス開拓に力を入れていく方針を示しているのです。

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▲ヤフーは宮坂学氏(左)から川邊氏に社長交代した際に「データの会社になる」と宣言、データを活用したビジネスに力を入れる方針を示している

そのヤフーが現在力を入れているのが、ソフトバンクと合弁で展開している、QRコード決済の「PayPay」です。PayPayに関しては競争力強化のため、ソフトバンクグループも出資することが明らかにされていますが、ヤフーがPayPayに力を入れるのには、決済を通じて購買データを取得し、それを活用したヤフーのビジネス拡大に結び付ける狙いがあるが故ともいえるでしょう。

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▲ヤフーがPayPayに力を入れるのには、顧客の購買データを取得してそれを自社ビジネスの拡大につなげる狙いが大きいと考えられる

そしてソフトバンクもまた多くの顧客を抱え、なおかつ日本全国で利用できる通信インフラを持っていることから、顧客の位置情報などオンラインサービスでは取得が難しいさまざまなデータを保有しています。あくまでプライバシーへの配慮が大前提とはなりますが、オンラインに強いヤフーと、オフラインに強いソフトバンクのデータ、そしてPayPayによる購買データ組み合わせることで、ヤフーは非常に強力なマーケティングデータを持つことができると考えられる訳です。

それだけにソフトバンクだけでなく、データの活用に次の成長を見出しているヤフーにとっても、今回の施策で連携を密にできることはメリットがあったといえるのではないでしょうか。2019年10月には「Zホールディングス」に社名を変え、持ち株会社の体制に移行することを表明しているヤフーですが、どのような形でデータを成長に結び付けようとしているのかが、次に注目される所ではないでしょうか。




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