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どうなるファーウェイ、キャリアは発売延期の動き(石野純也)

Androidエコシステムにとっても損失

石野純也 (Junya Ishino)
2019年5月22日, 午後02:30 in mobile
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Ittousai, 9月20日
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米国商務省の「エンティティリスト」に入り、連日のようにその名前が取りざたされているファーウェイ。未発売だった端末の日本展開が危ぶまれるなか、同社の日本法人であるファーウェイ・ジャパンは、SIMフリーモデルの「P30」と、その廉価版にあたる「P30 lite」を発表しました。どちらも、発売は5月24日を予定。大手家電量販店やネットショップのほか、主要なMVNOを通じての販売も開始されます。

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▲SIMフリー版のP30、P30 liteを発表したファーウェイ

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▲家電量販店のほか、MVNOを通じて販売される予定

エンティティリストに登録されてしまったことで、米国原産の半導体やソフトウェアの調達が難しくなってしまいます。ファーウェイに関しては、アプリケーションチップやモデムを内製化しているため、他社のようにクアルコムからSnapdragonを即調達できなくなるといったリスクは少なくなりますが、OSとして採用しているAndroidにはGmailやGoogleマップ、YouTubeといった、各種グーグルアプリが載っています。

また、単にアプリが載っているだけでなく、AndroidにはGoogleアカウントが登録でき、サードパーティのアプリを配信するGoogle Playも用意されています。AndroidはオープンソースのOSで、禁輸措置を受けたといっても利用はできますが、そこに密接に組み込まれたサービスや、グーグルのアプリケーションを利用できなくなるのは、ファーウェイにとってかなりの痛手。

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▲Android上にはPlayストアや各種グーグルアプリがプリインストールされている。新規の端末を開発するにあたり、これらを調達できなくなるおそれも

中国のように、グーグルのサービス抜きで提供している国ではあまり問題がないのかもしれませんが、その他の国や地域では死活問題です。実際、昨年ZTEに対して禁輸措置がかかった際には、アップデートサーバーが停止され、セキュリティパッチも当てられない状況になってしまうなど、日本の端末も大きな影響を受けました。ZTE端末を提供してきたキャリアにとっても、頭の痛い問題だったようです。直近で発売されたのはワイモバイルのWi-Fiルータのみで、ラインナップも以前より減っている印象を受けます。

一方で、制裁措置には例外もあり、既存の端末のサポートに関しては、90日間、取引規制が免除されていることも明らかになりました。グーグルは、ファーウェイのエンティティリスト登録後、いち早く既存製品でのAndroidが利用可能なことや、セキュリティパッチを提供し続けることなどを発表していましたが、この声明と猶予措置は合致するもの。つまり、少なくとも既存の製品は、期間限定ではあるものの、問題なく利用できるというわけです。

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▲米商務省の発表によると、90日間は猶予期間として、端末のセキュリティアップデートなどに関係した調達が行えるという

ここで問題になるのは、日本で未発売のP30やP30 lite、さらにはドコモから発売予定の「P30 Pro」が「既存の端末」なのかというところ。海外では発売済みですが、日本では未発売とあって、どちらとも解釈できる、微妙な立ち位置といえました。ただ、ファーウェイの発表会や、同社日本法人のデバイス部門を率いる呉波氏のコメントを聞く限り、P30シリーズはあくまで既存端末という位置づけの模様。日本でも、無事に発売できることになったようです。

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▲P30およびP30 liteはどちらも未発売だが、海外では発売済み

発表会に登壇した呉波氏は、米国の決定に対して異議を唱えつつ、P30やP30 liteを含む既存の製品について、セキュリティアップデートとアフターサポートは継続的に提供していくことを表明しました。呉氏のコメントは次のとおりです。

「AndroidはオープンソースのスマートフォンOSで、当社は重要な参加者として、その発展と成長に貢献してきた。ユーザーや産業にとって有益なエコシステムは、引き続き発展させていく。ファーウェイとhonor(ブランド)に関して、販売済み、もしくは販売中のスマートフォンやタブレットにおいては、今後の継続的なセキュリティアップデートやアフターサポートが影響を受けることはない」

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▲発表会で、セキュリティアップデートとアフターサポートの継続を約束した呉波氏

P30のカメラ性能や、P30 liteのコストパフォーマンスに魅力を感じていたユーザーには、ひとまず朗報といえますが、状況は日々、刻々と変化しているため、予断を許しません。上記の猶予期間が延長されるか、終了までに米中間で何らかの妥協点を見つけられなければ、今後のアップデートが継続できなくなってしまうからです。また、現時点ではOSのメジャーアップデートにはファーウェイからもグーグルからも言及がなく、これは棚上げになっていると見てよさそうです。

各キャリアから相次いでP30シリーズの発売延期が発表されましたが、これも状況がまだ完全に見えていないためです。現時点では、3カ月でサポートができなくなってしまう可能性があり、メジャーアップデートも難しくなっています。現時点ではファーウェイやグーグルから確約を取るのが難しく、影響範囲が見極めづらいため、とりえあず、発売日を先送りしたのが真相といえます。

さらにいえば、例年、秋に発表されていたMateシリーズや、来年以降のPシリーズがどうなるかも未知数です。ファーウェイとしても、既存の端末だけではビジネスが厳しくなってしまうため、何らかの対策を講じる必要はあります。それが先か、政治的な決着が先かは不透明ですが、この状況が続くのは、スマートフォンを取り巻くエコシステム全体にとって、あまり好ましいことではありません。

アップルを抜き、世界シェア2位になったファーウェイは、その部材調達も膨大です。日本企業からも年間6700億円相当(2018年)の部材を購入しており、新端末の発売ができないとなると、甚大な影響を受けます。中には、業績の大幅な下方修正を迫られる企業も出てきてしまうでしょう。日本のみならず、当の米国にも調達先はあり、呉氏が述べていたように、「アメリカの社会に対しても巨額の損失をもたらす」のは必至です。

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▲世界シェア2位と影響力が大きなメーカーだけに、サプライチェーンに与える影響も深刻になりそうだ

Androidのエコシステムへの悪影響も懸念されます。呉氏のコメントにもありましたが、ファーウェイはAndroidに対して、さまざまな貢献をしてきました。昨年11月に中国・深センで同社のソフトウェア開発をリードするソフトウェアエンジニアリング部門社長の王成録氏にグループインタビューした際には、ファイルシステムやナビゲーションバー、省電力機能、PCモードなど、ファーウェイで開発したさまざまな機能がAndroidに取り入れられてきたことが語られています。

当然、総販売台数の低下につながれば、Androidのエコシステム拡大にとってもマイナスです。グーグルがいち早く声明を出した背景には、こうした事情もありそうです。

加えて強調しておきたいのは、やはりユーザーの選択肢が減ってしまうこと。特にP30やP30 Proは、そのカメラ機能が高く評価されており、カメラ画質の評価機関であるDxOMarkでは、P30 Proがサムスンの「Galaxy S10 5G」と並んでトップスコアを記録しているほか、ベスト5の中の3台がファーウェイ製端末で占められているほど。将来、これを超える端末が出せなくなるとすれば、率直に言ってユーザーにとっての損失にほかなりません。

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▲カメラ性能の高さは、さまざまな場面で評価されている

政治的な色合いが強い今回の対ファーウェイ制裁ですが、業界全体はもちろん、ユーザーに悪影響をおよぼしているのは残念でなりません。今後の展開にも、注目しておきたいところです。



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