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「小覇王」——中国でニセファミコンを作り続けたメーカー(山谷剛史)

スマホのOPPOも元をたどれば小覇王に

山谷剛史, @YamayaT
2019年6月1日, 午後12:00 in Gaming
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中国で『ニセファミコン』を作り続けて28年というゲーム機メーカー「小覇王」がある。小覇王は、ファミコン互換機を作り続け 、今では30〜40代の中国人ならだれもが知っているメーカーとなっている。

小覇王は、米国版の「NES」ではなく日本の「ファミコン」の互換機を作り続けた。またそのついてくるソフトも日本の海賊版ソフトの詰め合わせだった。現在30〜40代の中国人の多くが子どものころに小覇王のファミコン互換機を遊び、日本を体感した。ファミコンのソフトでは特に「魂斗羅」「沙羅曼蛇」「高橋名人の冒険島」「バトルシティー」などが人気となっている。

小覇王は2018年3月に、「新型ゲーム機を普及させ、正規版を推進し、ファミコン互換機を販売するのをやめる」という企業戦略を発表している。だが結局、ニセモノは売らないとしている「天猫(Tmall)」の小覇王のオフィシャルショップでは、ファミコンが遊べるゲームがまだ販売されている。

小覇王
▲小覇王の海賊版をやめる宣言文

小覇王
▲今も小覇王のファミコン互換機は売られ続けている

そんな小覇王が近年、開発を進めていた新型ゲーム機「小覇王Z+新遊戯電脳(略称:Z+)」の開発を中止した。

Z+は、2016年に発表されたAMDの「Zen」アーキテクチャーベースのAPU、128GB SSD+1TB HDD、8GBメモリーというスペックのWindows パソコンで、専用ゲームが用意される予定だった。値段は4999元(約8万円)の予定で、PlayStation4やXbox Oneに比べてあまりに値段が高く、かつ外観はXbox Oneそっくり、メニュー画面はPlayStation4に似ていると非難されていた。

小覇王
小覇王▲発売中止となった小覇王Z+

結局のところ、期待されていない新型ゲーム機が発売されなかった、それだけのことであった。過去の中国産のオリジナルのゲーム機もまったく売れていなかったことから、そもそもユーザーの小覇王への期待も、中国の独自ゲーム機への期待もなかった。だが今回のニュースをトリガーに、「小覇王とファミコン互換機史」の記事が登場した。中国のニセファミコンについて詳しく書いていた記事がないので、ここで紹介したい。

■OPPOの源流にもなった? 知られざる小覇王の歴史


ファミコンは中国でも非公式ながら流通していたそうだ。1985年当時、ファミコンは関税の関係で185元(誤植ではない。当時の1元のレートは極めて高かった)、普通の人にとって3か月の給料となり、とても買えるものではなかった。

小覇王を興したのは段永平という人物だ。1988年、勤めていた北京電子管工場を離れ、広東省の広州にある借金まみれの日華電子工場の工場長に任命され、日米で人気のファミコンの互換機を製作した。値段は300元と、正規のファミコンの3分の1という低価格だった。

1993年には、小覇王はキーボード型のファミコン互換機をリリース。ジャッキーチェンが宣伝をしたことも知名度上昇に拍車をかけた。キーボード型ファミコンは、英語やプログラミング学習のコンテンツがあるとし、「勉強するから」という請願を親にして買ってもらったという話を聞く。

1994年には小覇王の互換機は、販売台数100万台を突破した。ちなみに1994年は、当時、次世代機とよばれた「プレイステーション」と「セガサターン」が発売され、任天堂公認ソフトとしては最後となる「高橋名人の冒険島4」がハドソンから発売された年だ。だがその後も中国では、現在に至るまでファミコン互換機は売られていて、中国の「淘宝網」などのオンラインショップや、おもちゃの卸売り市場なのでその姿を確認することができる。

さて、1995年には小覇王で内部分裂が置き、段永平は小覇王を離れ、歩歩高という企業を立ち上げる。歩歩高はファミコン互換機や学習機で知られているが、立ち上げの段階でOPPOの創始者となる陳明永と、vivoの創始者となる沈ウェイ(火へんに韋)を小覇王から引き抜いている。つまり現在世界シェアベスト5に入る中国のスマートフォンメーカーの「OPPO」と「vivo」のトップは、若かりし頃はファミコン互換機づくりにかかわっていたのだ。

小覇王
▲OPPOも元はファミコン互換機が原点?

さらに1995年から小覇王の人材が流出し、小覇王の旧スタッフがニセファミコンのメーカーを立ち上げ、小覇王のファミコン互換機のさらに3分の1の価格というファミコン互換機が登場する。いよいよ泥沼の競争時代に突入した。

プレイステーションとセガサターンが争っている1996年には、中国でDVDより一世代古いVCD(VIDEO-CD)が流行りだす。当時の中国での販売台数は600万台ともいわれる。そうした中、新科、愛多、裕興といったメーカーが、VCDプレーヤーとコンパチのファミコン互換機をリリースした。1988年発売のPCエンジンは世界初のCD-ROMドライブ搭載ゲーム機となったが、そのPCエンジンの終焉の頃、世界初の「CD-ROMドライブ内蔵ファミコン互換機」が中国で売られていたのである。アラサーの中国人に子どもの頃のゲーム体験を聞くと「CDに何百本と海賊版ゲームが入ったファミコン互換機を幼少期に遊んでいた」と言うだろう。

CDドライブ搭載のファミコン互換機は結局長続きせず、小覇王はカセットを挿すタイプのファミコン互換機を作り続けた。パソコンが普及した後も、中国では、公式には未発売のゲーム専用機が人気を博している。ソニーのPlayStation2(PS2)やPlayStation Portable(PSP)、任天堂のWiiは中国人に愛されたゲーム機だが、それらと並び、無数のファミコン互換機がゲームショップや淘宝(タオバオ)などで売られ続けた。

小覇王
▲小覇王のAndroid型セットトップボックス「G36」。本体自体にはソフトは内蔵していない
小覇王
▲小覇王のG36のパッケージには「80年代生まれの懐かしのファミコン」という文言

小覇王は近年ではAndroidを搭載したファミコン型で動画も見られゲームもできるSTB(セットトップボックス)や、Wiiを意識したコントローラーを振って遊べる体感ゲーム機をリリースしている。また海賊版ゲームを遊べる携帯型ゲーム機も多数展開している。

小覇王
▲最近ではファミコンゲームが遊べるモバイルバッテリーも売られている

小覇王のニュースに対する中国の反応には「懐かしい」といった意見と「電子ゴミ」といった否定的な意見が多く目立つが、いずれにせよ中国人の記憶に残るメーカーであり製品であると言える。小覇王は、今後、激変する中国では消えてしまう運命にあるのだろうか。筆者は時流のOSやハードウェアを利用した製品に形を変えて、まだまだしぶとく生き続けるのではないかと思っている。




「TechCrunch Tokyo 2019」11月14日、15日に開催



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