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なぜスマホメーカーは『ゲーミング』に力を入れるのか:佐野正弘のITトレンドウォッチ

画面サイズや放熱性能、価格性能比のアピール合戦

佐野正弘(Masahiro Sano)
2019年6月6日, 午前10:00
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最近のスマートフォン新機種、特にハイエンドモデルの発表を見ていると、ディスプレイやカメラなど各社が最も力を入れている機能や特徴をアピールするのは当然なのですが、最近ではそれに加えて、必ず「ゲーム」をアピールする機会が増えているようです。そこで今回は、スマートフォンとゲーミングについて考えていきたいと思います。

ゲームはスマートフォン黎明期から人気のアプリ・コンテンツとして広くプレイされており、スマートフォンとは非常に縁深い存在です。それだけに、これまでもゲームに力を入れたスマートフォンというのはいくつか存在したのですが、最近は多くのスマートフォンメーカーが、スマートフォンゲームが快適に楽しめることを積極的にアピールするようになっています。

例えばソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia 1」は、21:9比率のディスプレイを搭載しており、映画が見やすいことをアピールポイントとしていますが、いくつかのゲームベンダーと連携し、21:9の画面をフルに生かしたゲームが楽しめることをアピールしています。

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▲「Xperia 1」は「フォートナイト」などの人気ゲームを、最大の特徴である21:9の横長ディスプレイに対応させるなどして、快適にプレイできることをアピールしている

またサムスン電子の「Galaxy S10」シリーズは、高い性能を備えるだけでなく、独自の冷却機構を搭載し、ゲームをプレイしても熱くならないことを特徴の1つとして挙げており、最近ではゲームとコラボレートしたイベントを実施するなどしてアピールを進めています。シャープの「AQUOS R3」も高い性能を備えるだけでなく、手が触れる箇所が熱くなりにくいよう放熱に工夫をすることで、長時間ゲームを快適にプレイできることを特徴の1つとして打ち出しています。

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▲シャープの「AQUOS R3」も、120Hz駆動のIGZOディスプレイの採用に加え、放熱機構に工夫を加え長時間プレイしても熱くならないなど、ゲームプレイのしやすさがアピールポイントの1つとなっている

また2018年からは、ゲームをプレイするために作られた、"ゲーミングPC"ならぬ"ゲーミングスマートフォン"も見られるようになってきました。国内でも2018年にエイスーステック・コンピューター(ASUS)がゲーミングスマートフォン「ROG Phone」を投入しており、ゲーミングPCのようなデザインや、放熱のために外部ファンを装着できる仕組みを用意するなど、ゲームに特化した内容で注目を集めました。

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▲ASUSのゲーミングスマートフォン「ROG Phone」。ゲームに特化したデザインや設計に加え、専用の端子に周辺機器を接続し、冷却ファンを装着したり、2画面ディスプレイにしたりできるなどゲームに特化した拡張ができるのもポイント

そして2019年にはTAKUMI JAPANが、シャオミ系のBlack Sharkが開発したゲーミングスマートフォン「Black Shark2」を国内で販売することを発表しています。こちらもゲーミングPCを意識したようなデザインと高い性能を備えるだけでなく、タッチの反応速度を向上させるなど、一瞬の操作が勝負を分けるゲームプレーヤーに応えるための仕組み作りに力が入れられています。

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▲シャオミ系企業のゲーミングスマートフォン「Black Shark2」。やはりゲームプレイに注力した高性能と、ゲーミングPCのようにロゴが光るなど独特のデザインを採用しているのが特徴だ

しかしなぜ、端末メーカーはそこまでゲーミングに力を入れるようになったのでしょうか。その1つの理由はゲームの高度化にあります。ゲーミングスマートフォンを生み出すほどスマートフォンのゲームプレイに熱心なのは主に東アジア地域ですが、日本を除く東アジアでは元々、コンシューマーゲームよりパソコンゲームの方が人気があります。

しかもそこで人気を博しているのは3Dグラフィックを活用したリアルな表現を用い、なおかつPvP(Player vs Player、対人戦)の要素を含んだFPS(First Person Shooter、一人称シューティングゲーム)やTPS(Third Person Shooter、三人称シューティングゲーム)などです。故にそうした地域では、スマートフォンゲームでもパソコンと同様、FPSやTPSなどの人気が年々高まっているのです。

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▲3Dグラフィックによるリアルな表現のFPSなどは、日本ではあまり人気のないジャンルであったが、海外では非常に高い人気を博している

またゲーミングPCが最近人気となっているように、そうしたゲームを快適にプレイするには、とても高い性能が求められます。ハードスペックの影響でゲームの動きがカクつき、それが操作ミスにつながるようなことがあれば、相手に勝つことができないからです。そこで人気ゲームの変化とともに、ゲームをプレイするスマートフォンにも高いハード性能が求められるようになり、それがゲーミングスマートフォンの誕生や、スマートフォンメーカー各社がゲームに力を入れる要因にもなったといえます。

ですが日本のスマートフォンゲーム市場は、コンシューマーゲームの影響を強く受けていることから、スマートフォンでもRPGを中心とした一人で楽しめる内容で、なおかつキャラクターの収集や育成に重きを置いたゲームの人気が高い傾向にあります。それゆえ海外と比べれば、ゲームをするのに性能の高いスマートフォンを求める人がそこまで多かった訳ではありません。

そうした状況を大きく変えたのが、2018年に「荒野行動」や「PUBG Mobile」などのバトルロワイヤル型のゲームがヒットしたこと。これらのゲームはいずれも3Dグラフィックによるリアルな表現を用いたTPSであり、快適にプレイするには高い性能のスマートフォンが必要です。そこで日本でも、ゲームをするのに高い性能のスマートフォンを求める声が増え、メーカーもそうした声に応える形で、ゲーム関連の機能を重視するようになったといえます。

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▲2018年は日本でもスマートフォンでバトルロワイヤル系のゲームがブレイク。「東京ゲームショウ2018」でも「PUBG Mobile」の試遊に長蛇の列ができるなど、人気と注目を集めていた

そしてもう1つの要因は、端末メーカー側にあります。日本ではソニーのスマートフォン事業が赤字に苦しんでいることがよく報じられますが、それはHTCやLGエレクトロニクスなども同様ですし、最近の業績を見ると、アップルやサムスン電子といった大手メーカーでさえ、スマートフォンでは苦戦が続いている状況のようです。

その背景にはもちろん中国メーカーの躍進もあるのですが、より影響が大きいのがスマートフォン市場の飽和です。先進国だけでなく新興国でもスマートフォンの普及が進んだことで市場が飽和傾向にあり、既にメーカーが販売を大きく伸ばすことが難しくなっているというのが、本質的な要因となっている訳です。

そのため端末メーカーは、数を売らないと利益が出ないローエンドモデルより、単価が高く利益が見込みやすいハイエンドモデルに力を入れる傾向が強まっています。ですがスマートフォン自体の性能が飛躍的に向上し、通常の使い方をする分にはミドルクラスのモデルでも日常使いには十分満足できるだけに、10万円クラスのハイエンドモデルを「性能が高い」というだけでは買ってくれない状況にあるのも事実です。

そこでメーカー各社は、カメラの性能を飛躍的に向上させるなど、さまざまな付加価値を付けてハイエンドモデルの販売を拡大しようとしているのですが、そうした付加価値の1つとして、ゲーミングが注目されるようになった訳です。

ゲームはスマートフォンの性能向上が快適なプレイに直結しますし、高性能で高価格なゲーミングPCの市場が拡大していることからも分かるように、コアなゲームプレーヤーであれば、快適なゲームプレイのために積極投資する傾向にあるのも確か。SNSで日常的に利用されるカメラと比べればターゲットの幅は狭くなるかもしれませんが、それでもゲームはスマートフォンの人気コンテンツだけあって、高い市場性を持ちます。

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▲日本で販売されるBlack Shark2は最も高い性能を持つモデルで、価格も9万9800円とかなり高額だが、ゲーミングに特化することで価格相応の価値を持たせている

そこで端末メーカーは、スマートフォンの付加価値を高め、販売価格を上げるために、ゲーミングに力を注ぐようになったといえるでしょう。日本でもスマートフォン性能の向上を受けてか、バトルロワイヤル系のゲームだけでなく、「アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ」などのように3Dグラフィックを多用し、快適な動作のために高いパフォーマンスを必要とするゲームは着実に増えているだけに、メーカー各社がゲームに力を入れる傾向は、今後より広がっていくかもしれません。


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