Sponsored Contents

businessの最新記事

Image credit:
Save

上限1000円で話題、『2年縛り』ってそもそも何?解約金引き下げの影響は(石野純也)

有識者会議は非公開のまま実施

石野純也 (Junya Ishino)
2019年6月11日, 午後07:45 in Business
138シェア
14
124
0

連載

注目記事

世界初の完全分離骨伝導イヤホン「earsopen PEACE」でネクストレベルの「ながら聴き」を体感

世界初の完全分離骨伝導イヤホン「earsopen PEACE」でネクストレベルの「ながら聴き」を体感

View
AirPods Pro実機をソニーのWF-1000XM3と比較 ノイズキャンセリングの決定版は?(追記)

AirPods Pro実機をソニーのWF-1000XM3と比較 ノイズキャンセリングの決定版は?(追記)

矢崎 飛鳥, 10月29日
View

6月11日に、総務省で非公開の有識者会議が開催されました。ここでは、2年縛りについては、現行では9500円かかっていた解除料を、1000円程度に引き下げる総務省案を、大手キャリアに求めることを検討したようです。


では、2年縛りとは、そもそも何だったのか。ここでは改めてその歴史を振り返るとともに、引き下げがどういった効果をもたらすのかを検討しきたいと思います。元々、携帯電話の期間契約は、あっても1年などと期間が短く、解除料も3000円程度でした。これに対し、ボーダフォン(現ソフトバンク)が2003年に「ハッピーボーナス」を導入し、2年契約と違約金に相当する1万円の解除料を設定しました。

ただ、ハッピーボーナスはあくまで割引の1つで、途中で契約年数に応じて割引額が変動する仕組みが導入されたこともあり、今の2年縛りとはやや形が異なります。2年契約を結ぶとどのユーザーも一律で料金が下がる仕組みの原点で、一般化する契機になったといえるのは、2006年にauが導入した「MY割」と、それを強化した2007年の「誰でも割」でしょう。

engadget
▲auが2007年に発表した「誰でも割」

当時、筆者もその記者会見に参加していましたが、若き日の高橋誠社長(当時はコンシューマ事業統轄本部長)が「誰でも割」や「新1/2」と書かれたボードを掲げている姿が印象的でした。それ以前の携帯電話料金は、他社も含め、契約年数や家族契約の有無に応じて割引率を決めていましたが、それに関係なく、一律で料金が半額になるというのが誰でも割のインパクトがあったポイントです。

engadget
▲誰でも割を発表した高橋社長(当時は本部長)

engadget
▲家族や契約年数に応じた割引から、一律50%割引に変わった

これにはドコモも追随せざるをえず、発表済みだった「ファミ割MAX」と「ひとりでも割」を、「ファミ割MAX50」と「ひとりでも割50」に改定。基本使用料の割引率をauと同じ、50%に定めました。こうした割引と引き換えにユーザーに課されることになったのが、俗にいう2年縛りというわけです。家族などの縛りなく割引を提供する代わりに、より強い制約が必要になったというのがキャリア側の事情です。

engadget
▲auの誰でも割にドコモも追随。1年目から、1人で契約しても50%割引が実現した

同時期の2006年にMNPの制度がスタートしたことも、2年縛りとは無関係ではありません。解約からの新規契約より手軽に、電話番号そのままで他社に移れるため、事業者サイドとしては、ユーザーを引き留める縛りがほしくなります。この縛りを納得して受け入れてもらうための施策として、割引率を上げたという見方もできます。

engadget
▲MNP開始も2年縛りが一般化した背景の1つ。写真はドコモが開催したMNP開始イベントのときの様子

この2年縛りは、インフラがLTEになっても残り、今に至るまで続いています。解除料も9500円と、誰でも割が導入されてから、12年ほど変わっていません。一方で、その間、通信インフラは3Gから4Gに変わり、料金プランもたびたび変わってきました。基本使用料の数も徐々に減り、現在は通話もデータ通信もコミコミのパック料金が主流になっています。

engadget
▲ドコモやKDDIは、相次いでパック料金を打ち出した

こうした変化を経て、2年縛りを条件にした50%の割引も、半ば"所与のもの"になっていきます。もともとは、正規の料金があり、そのうえで2年縛りを受けると料金が半額になっていたのですが、半額の料金が当たり前の感覚になってくると、単に縛りがあるだけに思えてきます。ソフトバンクに至っては、同じホワイトプランで2年縛りありとなしが混在して残っているため、整合性が取れていない印象もあります。

2年縛りが当たり前になった結果、各キャリアとも、割引後の価格を打ち出すようになり、この傾向に拍車をかけます。ユーザーからすると、2年縛られるメリットが感じづらくなっているといえるでしょう。

engadget
▲各社が打ち出す価格は、原則として2年縛り適用後のものになっている

こうした中、いわゆる2年縛りは、総務省の有識者会議で、たびたび議題に挙がっていました。ただ、違約金については無効を求める裁判も行われていますが、最高裁でキャリアが勝ち、有効との判決が確定しています。また、有識者会議でも、期間契約に基づく割引については、一般的な商習慣であるとして、その都度、キャリア側の主張がおおむね認められてきました。

"おおむね"としたのは、細かな条件——たとえば、契約解除を無料でできる期間を延長したり、割賦の終了とズレがないようにしたりといった、細かな改善は求められてきたからです。結果として、現状では無料解除期間が3カ月に延びています。自動更新なしで料金がわずかに上がるプランも、その1つです。

一方で、2年契約については、不当に競争を妨げるものとして、総務省の緊急提言以降、再び問題視されるようになっていたのも事実。電気通信事業法の改正にかんがみ、KDDIは先の有識者会議で、1カ月分のARPU(1ユーザーあたりからの平均収入)を基準とするといった案を出していました。このような経緯を踏まえると、なぜ唐突に1000円という金額が導き出されたのかが少々不透明です。本件が議論されたといわれる総務省の有識者会議が非公開なのも、理解に苦しむところです。

engadget

engadget
▲KDDIは、5月に開催された有識者会議で、一例として1か月分のARPUを基準に挙げた

今後、解除料の上限が1000円となると、ユーザーを引き留めておく効果は限りなくゼロに近くなるため、2年縛りの撤廃に踏み切るキャリアが出てきても不思議ではありません。ただし、今の料金プランは2年契約を前提にした離脱率をもとに設計されているといわれています。そのため、この数値が変わると、料金設定に制約が出てしまうおそれもあり、理屈のうえで考えると、料金を上げなければ帳尻が合わなくなってしまいます。

とはいえ、9500円の解除料が、本当にどこまでキャリアの解約率抑止になっていたのかも、はっきり見えていません。たとえば、これを5000円に下げると、解約が倍増するかといえば、そうではないでしょう。固定回線や電気とのセット割や、ポイント還元など、各社とも解約抑止の施策はほかにもあり、そこが強力であれば、9500円だろうが、0円だろうが、解約はできないからです。

engadget
▲KDDIの決算資料より。他社も同様だが、サービスをバンドルすることで、解約率は低下するため、2年縛りを撤廃した影響がどこまであるかは不透明だ

総務省の思いつきで、料金が上がり、競争も起こらないという最悪の結果になることだけは、なんとしても避けていただきたいところ。繰り返しになりますが、そのためにも、前提となるはずの有識者会議は非公開にしないでほしかったと感じています。

(更新)冒頭の表現を一部変更




「TechCrunch Tokyo 2019」11月14日、15日に開催



広告掲載についてのお問い合わせはad-sales@oath.com までお知らせください。各種データなどはこちらのメディアガイドをあわせてご覧ください。

関連キーワード: business, docomo, kddi, mobile, softbank
138シェア
14
124
0

Sponsored Contents