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国内スマホ大手も参入、盛り上がる自動翻訳機は今後伸びるのか:佐野正弘のITトレンドウォッチ

背景にはインバウンド需要、スマホ開発経験があれば参入障壁は低い?

佐野正弘(Masahiro Sano)
2019年6月16日, 午前11:30 in Arrows Hello
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最近は海外での取材が増えた筆者ですが、だからといって英語が得意かというと、お世辞にもまともに会話できるレベルとは言えません。ですので、海外出張の際にはスマートフォンの翻訳アプリが手放せなかったりするのですが、最近は翻訳ができる自動翻訳機も登場しているようです。そこで今回は、自動翻訳機市場の今後について考えていきたいと思います。

「Google翻訳」に代表される、クラウドを活用した翻訳サービスは古くから存在するものですが、機械学習などAI関連の技術が投入されたことにより、近年その精度は急速に高まっています。そうした進化を受ける形で、最近は自動翻訳サービスがあらゆる所に入り込むようになってきました。例えばマイクロソフトは、「Skype」に自社の自動翻訳技術「Microsoft Translator」を導入。それを用いて通話やメッセージのやり取りをリアルタイムで自動翻訳する機能を搭載しています。

Skype▲Skypeは2017年よりリアルタイム自動翻訳機能を日本語にも対応させており、Skypeを通じた外国人との対話もできるようになっている

中でも最近注目されているのが、クラウドの自動翻訳エンジンを活用して話した言葉を自動翻訳する、携帯型の自動翻訳機です。日本でその先駆けとなったのが、2017年に登場したソースネクストの「POCKETALK」です。これはオランダのトラビスという企業と共同開発した、多言語対応の携帯型自動翻訳機で、ソラコムのSIMをセットにして提供することにより、世界各地で、なおかつWi-Fiなどがない場所であっても翻訳ができることから大きな注目を集め、ヒットを記録しました。

初代POCKETALKは通信回線に3Gを用いていたことから、話した言葉が通訳されるまでのタイムラグがやや長く、実用面でやや不安な部分がありました。そこで同社は2018年に4G回線に対応した後継機「POCKETALK W」シリーズを投入して改善を図り、同シリーズの拡大に力を入れているようです。

このPOCKETALKのヒットを受ける形で、自動翻訳機へ参入する企業は急激に増えているようです。超小形の携帯電話「NichePhone-S」などを販売しているフューチャーモデルは、2018年にWi-Fi対応の「PERARK(ペラーク)」と、4Gの通信機能を備えた「ez:commu(イージーコミュ)」の2機種を投入。またスマートフォンやMVNOなどの事業を手掛けながらも経営破たんした、プラスワン・マーケティングで代表取締役社長を務めていた増田薫氏は、新たに立ち上げたTAKUMI JAPANにて、やはり2018年に通信機能を備えた「KAZUNA eTalk5」を投入し、自動翻訳機の市場に参入しています。

ez:commu▲フューチャーモデルが提供する自動翻訳機「ez:commu」。4GのSIMを挿入して利用でき、インターネットイニシアティブ(IIJ)の「IIJmio」などからも販売されている

とはいえ、これまで自動翻訳機に参入してきたのは、中小の企業であったり、ソースネクストのようにPOCKETALKでハードウェア事業に初めて参入する企業であったりしたことから、どうしてもニッチという印象は否めませんでした。ですが2019年に入ると、国内のスマートフォンメーカー大手の富士通コネクテッドテクノロジーズが「arrows hello AT01」で自動翻訳機の市場に参入。有名企業がこの市場に入り込んできたことで、潮目が変わりつつあるように感じます。

arrows hello▲富士通コネクテッドテクノロジーズは2019年5月23日に、自動翻訳機「arrows hello AT01」を発売。通信はWi-Fiのみの対応だが、国内スマートフォン大手からの参入は市場の潮目を大きく変える出来事でもある

自動翻訳機がこれだけ人気となった背景には、1つにはやはり筆者のように外国語が苦手という日本人が多く、元々の市場性が高かったということが挙げられます。とはいえ日本は島国で、日常的に他の国に行く人が多い訳ではないことから、海外旅行者だけをターゲットにしても市場の広がりには限界があります。

では参入企業はどこに注目しているのかというと、インバウンド関連需要の獲得ではないかと考えられます。近年、日本に観光に来る外国人は急増していますが、宿泊施設や店舗など、外国人と応対する現場に外国語が得意な人が揃えられるとは限りません。

そこで訪日外国人とのコミュニケーションを円滑にするためのツールとして、自動翻訳機に対する注目が高まっているようです。実際メーカー側の動向を見ても、個人だけでなく、法人への販売にもかなり力を入れて取り組んでいる様子を見て取ることができます。

TAKUMI Japan▲TAKUMI JAPANはインバウンドに関連する法人需要の開拓に向け、より大型の据え置き型自動翻訳機を開発しているという

そしてもう1つの理由は価格にあるといえるでしょう。自動翻訳機の価格を見ると、その多くが3万円台で販売されているようですが、これはミドルクラスのスマートフォン1台くらいの値段。「自動で翻訳してくれる」という価値を考慮すれば、比較的購入しやすい値段といえるでしょう。

なぜ自動翻訳機がこれだけの低価格を実現できるのかというと、翻訳エンジンがクラウドに存在するため、ネットワークに接続できればよく高いハード性能が必要ないということが、理由の1つとして挙げられるでしょう。

そしてもう1つの理由は、その中身がスマートフォンとほぼ同等だということです。例えばPOCKETALK Wのスペックシートを見ますと、CPUが「ARM Cortex53 Quad-Core 1.3GHz」と書かれていますが、ARMのCortex53はクアルコムやメディアテックなどが提供しているミドル・ローエンド向けのチップセットに採用されているものでもあります。

またOSに関しても、「Android OS 8.1のカスタマイズOS」と記述されており、Androidベースで開発されていることが明記されています。OSがAndroidベースであれば、ソフトウェアもスマートフォンの資産を活用できることから低コストで開発しやすく、それが自動翻訳機の低コスト化につながっていることが見えてきます。

それゆえODMやOEMの活用も含め、スマートフォンの開発経験があれば比較的参入しやすい市場ともいえる訳ですが、参入企業が増えれば価格競争も懸念される所です。今のところ、後発のメーカーの動向を見ると、複数のエンジンを活用して翻訳精度を高めるのに加え、オフライン翻訳機能を追加したり、カメラを活用した翻訳機能を加えたりするなど、多機能化によって差異化を図ろうとしています。ですが元々の用途が翻訳に限定されているだけに、それにも限界があるというのが、正直な所です。

arrows Hello▲arrows helloはカメラ機能を搭載し、撮影した文字を翻訳する機能を備えるなど、後発だけに多機能化で差異化を図っているようだ

日本はスマートフォンやパソコンなどの汎用機があってもなお、電子辞書など用途に特化した専用機器が支持されやすい市場です。それだけに自動翻訳機の市場は今後も広がる可能性が高いと考えられますし、参入企業の増加とそれに伴う市場の拡大によって、POCKETALKシリーズが圧倒的な市場シェアを占める現在の状況も変化してくるでしょう。

ですが比較的参入障壁が低いだけに、市場性が高いと踏んで参入企業が急増すれば、たちまち体力勝負のレッドオーシャンとなってしまうというのもまた確かです。既に参入しているメーカーとしては、ニッチからマスへと市場が広がってほしい気持ち半分、価格競争が怖いので広がって欲しくない気持ち半分、といったところかもしれません。




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